重賞
重賞(じゅうしょう)とは競馬の競走のなかの目玉となる大きな競走である。重賞の開催は事前から告知を行い有力馬を集め、多くの観客を集めるための看板となる競走である。
解説
重賞の語源は英語のパターンレース(pattern race)から来ている。パターンレースとは「毎年一定の時期に一定の条件で繰り返し行われる競走」のことで、18世紀のイギリスで始まった。それ以前は競馬の競走は開催直前まで条件が確定されないことが常であったが、パターンレースが広まることによって有力馬が目標を持って調整を行うことが可能となった。「重賞」という語は、このパターンレースの「回を重ねて賞を行う」点を採って意訳したものとされる。もちろん「重要な賞」であることに疑いはないが、patternという語に「重要な」という意味はない。
リステッドレース
現在、国際セリ名簿基準委員会(ICSC)によってパターンレースとして認知された競走は、ICSCが毎年作成する全世界の競走リストに掲載される。これらのうち、一定の水準以上のレベルに達しているものがG1からG3に格付され、残ったものはリステッドレース(Listed Race、LR)と呼ばれる。
リステッドレースを含め、この競走リストに掲載された競走は、国際的な競走馬の取引において、競走馬や種牡馬の戦績を表すために用いることが公認される。ブラックタイプ方式と呼ばれるセリ名簿の表示基準では、この競走リストに掲載された競走しか表示が認められず、またグレードに応じて、より目立つ字体の使用がゆるされる。
一般にICSCの求める要件として、その競走が国際的にみて出走が自由であるという条件がある。この条件をクリアできなければ、どれほど賞金が高くてもリステッドレース以上の格付けを得るのは困難である。かつて賞金が世界トップレベルだったジャパンカップもこのために格付を得るには長い年月を要した。イギリスをはじめ多くの競馬開催国では、出走できる要件に年齢・性別以外の条件を付している競走があり、生産国や生産地、取引様態(特定のセリ市で売買された競走馬しか出走できないもの)などの制約がある場合には、格付けの上ではリステッドレースどまりとなる。こうした競走でも、賞金がG1より高額だったりするものもあり、必ずしもICSCの認定格付けと、その競走のレベルの高さが一致するものではない。
日本語訳としての「準重賞」
日本では、リステッドレースを「準重賞」と訳す場合が多く、(重要な賞という意味での)重賞には含めない。しかし重賞を本来の「パターンレース」と解釈するならば、リステッドレースも当然パターンレースに含まれる。
日本における「重賞」
日本では、古い時代には「重要な競走」を表す用語としては、「特別競走」や「大競走」が用いられてきた。中央競馬では1990年代まで4歳牝馬特別(現在のフィリーズレビューやフローラステークス)や阪神牝馬特別(現在の阪神牝馬ステークス)などのように、「特別」という名称がつく「重賞」競走があった。地方競馬ではプリンセス特別のように、「特別」という名がつく重賞競走が現存する。
日本でも重賞のスケジュールは年度ごとの発表であり、なおかつ頻繁な条件の変更は行われないのに対し、一般競走・特別競走の番組が一部をのぞいて中央競馬では年3回、地方競馬では当該開催の直前に所属馬の動向を鑑みて発表されることから「重賞はパターンレースの一種」であるということは間違いない。
重賞に対応する言葉としてグレード競走(グループ競走)という表現が用いられることも多いが、日本にはグレードなどの格付けのない重賞も地方競馬を中心に多数存在する[1]。準重賞は地方競馬では現在も用いられている。
中央競馬では、降雪などにより出馬投票後に芝コースからダートコースに馬場変更となった場合には重賞競走のままであるが格付けは設定されない。最近ではエルコンドルパサーが勝利した1998年の共同通信杯4歳ステークスがこれにあたり、降雪で本来の芝1800メートルからダート1600メートルに変更となったため格付け(JRAGIII)が外された。この取り扱いは1984年2月4日から実施されているものであり[2]、それ以前に芝コースからダートコースに変更された4競走[3]については当初の格付けのまま施行されている。
日本競馬関連の重賞に関する記録
テンプレート:複数の問題 便宜上、以下、中央競馬施行の重賞は「中央」、地方競馬施行の統一重賞は「統一」、地方競馬施行の統一重賞でない重賞は「地方」、ここまでの総称は「日本」、外国競馬施行の重賞は「外国」ないし具体的な国名で表す。
通算重賞勝利数 | ||
---|---|---|
19勝 | スマートファルコン | 統一19勝 |
17勝 | オグリキャップ | 中央12勝 地方5勝 |
ブライアンズロマン | 統一1勝 地方16勝 | |
15勝 | トウケイニセイ | 地方15勝 |
14勝 | アブクマポーロ | 中央1勝 統一9勝 地方4勝 |
メイセイオペラ | 中央1勝 統一3勝 地方10勝 | |
スズノキャスター | 地方14勝 | |
13勝 | ホクトベガ | 中央4勝 統一9勝 |
ケイエスヨシゼン | 地方13勝 | |
ロードバクシン | ||
ヴァーミリアン | 中央3勝 統一10勝 | |
マルヨフェニックス | 地方13勝 | |
ヒシウォーシイ | ||
12勝 | スピードシンボリ | 中央12勝 |
テイエムオペラオー | ||
ナイキアディライト | 統一2勝 地方10勝 | |
マリンレオ | 地方12勝 | |
ローゼンホーマ | ||
ワシュウジョージ |
外国調教馬日本重賞勝利数 | ||
---|---|---|
3勝 | カラジ | 障害競走 |
2勝 | ハートレイク | |
スノーフェアリー |
日本調教馬外国重賞勝利数 | ||
---|---|---|
3勝 | エイシンプレストン | 香港3勝 |
2勝 | エルコンドルパサー | フランス2勝 |
アグネスワールド | フランス、イギリス各1勝 | |
ステイゴールド | ドバイ、香港各1勝 | |
ロードカナロア | 香港2勝 |
年間重賞勝利数 | |||
---|---|---|---|
8勝 | オグリキャップ | 1988年 | 中央7勝 地方1勝 |
ホクトベガ | 1996年 | 統一8勝 | |
アブクマポーロ | 1998年 | 統一6勝 地方2勝 | |
テイエムオペラオー | 2000年 | 中央8勝 | |
エレーヌ | 2010年 | 地方8勝 | |
7勝 | ブライアンズロマン | 1998年 | 統一1勝 地方6勝 |
マリンレオ | 2002年 | 地方7勝 | |
ヒシウォーシイ | 2010年 |
重賞連続勝利数 | ||
---|---|---|
11連勝 | オグリキャップ | 中央6勝 地方5勝 重賞以外での勝利を挟む |
9連勝 | スマートファルコン | 統一9勝 |
マリンレオ | 地方9勝 重賞以外での勝利を挟む | |
ヒシウォーシイ | ||
8連勝 | タイキシャトル | 外国1勝 中央7勝 |
テイエムオペラオー | 中央8勝 | |
7連勝 | ホクトベガ | 中央1勝 統一6勝 |
重賞連続連対数 | ||
---|---|---|
16連続 | トウケイニセイ | 地方16回 重賞以外での連対を挟む |
15連続 | ローゼンホーマ | 地方15回 重賞以外での連対を挟む |
12連続 | オグリキャップ | 中央7回 地方5回 重賞以外での連対を挟む |
ビワハヤヒデ | 中央12回 重賞以外での連対を挟む | |
ナムラダイキチ | 統一1回 地方11回 重賞以外での連対を挟む | |
11連続 | スマートファルコン | 統一11回 重賞以外での連対を挟む |
10連続 | ヒシアマゾン | 中央10回 |
ダイワスカーレット |
同一重賞勝利数 | ||
---|---|---|
6勝 | シバフイルドー | クイーンカップ(地方) 6連覇 |
4勝 | ブライアンズロマン | とちぎ大賞典(地方) 4連覇 |
オースミダイナー | 瑞穂賞(地方) 4連覇 | |
キングスゾーン | マイル争覇(地方) 4連覇 | |
コウエイトライ | 阪神ジャンプステークス 3連覇 | |
フジノウェーブ | 東京スプリング盃(地方) 4連覇 | |
3勝 | セカイオー | 鳴尾記念 3連覇 |
シゲルホームラン | セイユウ記念 3連覇 | |
アドマイヤドン | JBCクラシック 3連覇 | |
タップダンスシチー | 金鯱賞 3連覇 | |
カラジ | 中山グランドジャンプ 3連覇 | |
エリモハリアー | 函館記念 3連覇 | |
ブルーコンコルド | マイルチャンピオンシップ南部杯 3連覇 | |
マツリダゴッホ | オールカマー 3連覇 | |
ヴァーミリアン | JBCクラシック 3連覇 | |
ラヴェリータ | スパーキングレディーカップ 3連覇 | |
セイクリムズン | 黒船賞 3連覇 | |
年間複数施行重賞限定記録 | ||
5勝 | バローネターフ | 中山大障害 秋施行分3連覇含む |
4勝 | フジノオー | 中山大障害 4連覇 |
グランドマーチス |
同一重賞連対数 | ||
---|---|---|
6連対 | シバフイルドー | クイーンカップ(地方) 6連続 |
ブライアンズロマン | とちぎ大賞典(地方) 6連続 | |
5連対 | メルシーエイタイム | 中山大障害 5連続 |
クーリンガー | 佐賀記念 | |
年間複数施行重賞限定記録 | ||
7連対 | バローネターフ | 中山大障害 6連続 |
5連対 | フジノオー | 中山大障害 5連続 |
グランドマーチス |