クィディッチ

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テンプレート:物語世界内の観点 クィディッチ(Quidditch)は、J・K・ローリングの小説『ハリー・ポッター』シリーズ、およびその派生作品に登場する、魔法使い魔女が空を飛ぶ魔法の箒に乗って行う、架空の球技である。また、これを元に現実世界で行われている競技。

物語の中のクィディッチ

2チームに分かれ、所定の球をゴールに投入して得点を競う、現実世界におけるバスケットボールサッカーなどに似た球技。主人公ハリーは、ルールの説明を受けた際に「六つゴールがあって箒に乗ってプレイするバスケットボールのようなもの」と評している。魔法界において最も人気のあるスポーツとされる。

歴史

11世紀にイギリスのクィアディッチ湿原で始まったとされている。この頃はスポーツというよりも遊びで、スニッチは使用しなかった。その後1398年に、ザカリアス・マンプスがしっかりとしたルールを定めたとされている。1473年、初めてクィディッチ・ワールドカップが開催される。1674年にはイギリスでクィディッチ・リーグが設立され、1750年に「魔法ゲーム及びスポーツ局」が設立。クィディッチの公式ルールが誕生した。

ルール

公式ルールでは、7名の選手で構成されたチームが2チーム、計14名で対戦する。審判は主審1人と線審数人。競技場所は「ピッチ」と呼ばれる専用のものが使われる。競技時間中に、クアッフルを相手チームのゴールに投げ入れて得点を競う(1ゴール10点)。ただし、スニッチを捕るとボーナス得点(150点)が得られる為、クアッフルによる得点が低くても、この得点差以内ならば逆転可能。

ゴールは各チームに3つずつあり、旗の先に輪を横向きに取り付けた虫取り網のような形をしている。公式ルールでは1883年に先端部分の形状が変更され、現在のような金属製の輪になった。

競技時間は何分とは定められておらず、「どちらかのチームのシーカーがスニッチを捕るまで」とされる。ただし、両チームのキャプテンの合意がある時はこの限りではない。過去には、1試合が3ヶ月も続いた例もあるらしい(交代選手を投入し、正選手は睡眠をとったという)。つまり、点差が150点未満であればスニッチを捕まえたチームが勝つが、一方で点差が150点を超える場合は、負けているチームがスニッチを捕まえることは、戦略上はありえない(スニッチを捕まえるとその時点で負けが確定する)。ただし、第4巻でビクトール・クラムが150点差が付いた試合で逆転が不可能と判断し、自らスニッチを捕まえて敗北することを選んだ。

選手が競技場の境界線から外に出た場合、クアッフルは相手チームのものになる。

  • チームのキャプテンは、審判にタイムを要求することができる。
  • 試合再開時に選手が戻ってこなければ、そのチームは失格となる。
  • 試合が長引いた場合、タイムは延長されることがある。
  • 競技中、選手は相手の悪質な悪戯などから身を守るために杖を携帯してもよい。
  • ただし、魔法を使って相手チームを攻撃したり、ボールに細工をしたりしてはいけない。

また非公式ルールではあるが、1チームをより少人数で構成したものが遊戯として存在する(ルールやポジションについて詳しくは明記されていない)。日本人的感覚で言えば、サッカーに対する5人制サッカーなどに該当するものと思われる。ハリーロンハーマイオニージニーと二人制クィディッチをして遊んだことがある。

選手は試合中に眼鏡を掛けていてもよい。

ピッチ

ピッチは、縦500フィート(約150m)、横80フィート(約24m)の楕円形と定められている。ピッチの両端に得点エリアがあり、そこに高さ16メートルの金の柱が3本ずつ立っている。この3本の金の柱の先端には、それぞれ輪が取り付けられており、この輪がゴールである。

また、ピッチの中央には直径2フィート(約60cm)の円があり、そこは4つのボールのリリースポイントとして審判が使う。地面は芝生であることが多いが、ルールでは定められていないので、砂や氷、水でできていることもある。

用具

箒(ほうき)(各選手に1本ずつ)
クィディッチ競技用とされる飛行用箒は、魔法界における(実用)飛行用箒では最高級品とされている。
ボール
クィディッチで使われるボールは3種類あり、それぞれ異なる役割を持つ。
クアッフル(1個)
直径30センチほどの革製の赤いボール。縫い目はない。これを相手ゴールに入れると10点となる。
片手で掴むための「握り呪文」と、落下速度を遅くする呪文(取り落としたときに拾いやすくする為)がかけられている。
ブラッジャー(2個)
クアッフルより少し小さい鉄製の黒いボール。直径は10インチ(25.4cm)。自由自在に飛び回り、最も近くにいる選手を無差別に箒から叩き落とそうとする。通称「暴れ球」。
大昔は大きな石に魔法をかけた物だったが、打たれて砕けた破片がてんでんばらばらに選手を追い掛け回してしまうため、割れないように鉄に変更された(とはいえ、鉄製でも全く割れないわけではない。石よりは割れにくいというだけである)。語源はBlooder(ブラッダー:血まみれにするもの)および、Bladder(膀胱:現実世界のサッカーの歴史において初期はボールとしての膀胱を膨らましたものを使用したことと関連する)。しかし、ホグワーツ魔法魔術学校の歴史の中でも、顎の骨を折った人が2、3人ほどいるだけで死亡事故は未だ起こっていない、とのこと。
スニッチ(1個)
胡桃くらいの大きさの金属製の金色のボール。ピッチ内を縦横無尽に飛び回る。これを捕った選手の所属チームに150点が与えられ、同時にゲーム終了となる。
銀色の羽(映画では金色)があり、空中を素早く飛ぶ。稲妻のようなスピードで正確に方向転換することができる。捕るのが非常に困難であり、そのためスニッチを捕る専門のポジション「シーカー」が設けられている。
古くはスニジェットという同形の魔法生物が使われていたが、乱獲され絶滅危惧種となったため、その魔法生物に似た特徴のボールが開発された。スニッチはスニジェットと異なりピッチ内にとどまる魔法がかけられている。
クラブ(ビーター1人につき1本ずつ)
ビーターが味方のチームに近付いたブラッジャーを打つ為に使う、魔法で強化された木製の棍棒。

選手

チェイサー(1チームに3名)
クアッフルを奪い、敵チームのゴールに入れる。
キーパー(1チームに1名)
自チームのゴールを守る。
ビーター(1チームに2名)
自チームの選手をブラッジャーから守り、敵チームの陣地や選手へ打ち返す。役割上肉体的に頑健でなければならず、魔女より魔法使いが担うことが多い。
シーカー(1チームに1名)
スニッチを捕まえる。勝負を左右する重要なポジションのため、花形選手として扱われる。その代わり、相手が執拗にマークする為に酷い怪我を負いやすく、高度なバランス感覚が必要とされる。

ブラッジャー逆手打ち
バックハンドでクラブを振り、ブラッジャーを後方に打つこと。正確に打つのは難しいが、敵を攪乱するには効果的。
ドップルビーター防衛
2人のビーターが同時に1つのブラッジャーを打つことで勢いをつけ、ブラッジャー攻撃がいっそう強烈になる。
ダブル8の字ループ
キーパーが3つのゴールの周りを猛スピードで飛び回り、クアッフルをブロックする。ペナルティを取られた時によく用いられるキーパーの守備法。
ホークスヘッド攻撃フォーメーション
3人のチェイサーが矢じりの形を組み、ゴールめがけて一緒に飛ぶ。敵に恐怖を与え、他の選手を蹴散らすのに極めて効果的。
パーキン挟み
敵チェイサーの一人を味方チェイサー2人が両側から挟み撃ちにし、3人目のチェイサーが挟まれたチェイサーに向かって正面から突っ込んでいく。
プランプトン・パス
シーカーの技。うっかり曲がって飛んだように見せかけて、スニッチを袖ですくい取る。
ポルスコフの計略
クアッフルを持ったチェイサーが上昇飛行し、相手チェイサーには敵をかわしてゴールするように思わせ、下方で待ち受けている味方にパスをすること。正確無比なタイミングが鍵。
逆パス
チェイサーが肩越しに、背後の味方選手にクアッフルを投げる。正確に投げるのは難しい。
なまけもの型グリップ・ロール
キーパーの防御技。片手と片足を箒の柄に巻き付けるようにして、水平に保った箒にぶら下がり両手足を思い切り伸ばす。
トランシルバニア・タックル
鼻にパンチをお見舞いするふりをする。実際に接触しない限り反則ではないが、両者とも猛スピードの箒に乗っているのでこの技を上手くやるのは難しい。
ウロンゴング・シミー
相手チェイサーを振り切るための猛スピードのジグザグ飛行。
ウロンスキー・フェイント
シーカーが下方にスニッチを見つけたふりをして地上に向かって急降下し、ぶつかる寸前に上昇に転じる。敵のシーカーに真似をさせて地面に激突するように仕向ける作戦。

反則

反則は全部で700あるといわれているが、その完全なリストは公表されていない。(公表してしまうと、選手が反則リストにない悪質なプレイを考え出す恐れがあるためらしい)

以下に代表的な反則の例を示す。

ブラッギング
相手の箒の尾をつかむ。
ブラーティング
相手の箒の柄をつかむ。
ブラッチング
相手に衝突するつもりで飛ぶ。
コビング
相手に対する過度な肘の使用。
バンフィング
ビーターが観客席、またはキーパー(守備状態ではない場合に限り)に向かってブラッジャーを打ち込む。なお、観客の安全のためブラッジャーを観客席に打ち込んだ場合、試合が一時に中断される。
フラッキング
クアッフルを叩き出すために、体の一部をゴールの輪の中に入れる。キーパーは輪の後ろからではなく前にいてゴールを守らなければならない。
ハバーサッキング
クアッフルを持ったままゴールに手を入れる。クアッフルはゴールに投げ入れなければならない。
クアッフル-ポッキング
クアッフルに細工する。例えば穴を開けて早く落下させるなど。
スニッチニップ
シーカー以外の選手がスニッチに触る。
スツージング
相手のスコア・エリアに1度に2人以上のチェーサーが侵入する。元は反則行為ではなかったが、1884年に禁止。(しかし、この改訂が当時物議を醸していた)

この他にも「相手の体や衣服を掴む」「相手選手や審判に呪いをかける」「凶器で相手を攻撃する」「吸血コウモリなどの危険な動物を相手にけしかける」なども反則になるらしい。

クィディッチリーグ・プロチーム

ルールか著者のお遊びかは不明だが、パドルミア・ユナイテッドを除いた全てのチームはを踏んでいる。チーム名の最初は本拠地の地名になっている(一部、架空の地名と思われるものもある)。

イギリス・アイルランド

ヨーロッパ

オセアニア

アフリカ

  • パトンガ・プラウドスティックス(Patonga Proudsticks、テンプレート:UGA
    本拠地はパデル県パトンガ。1986年、モントローズ・マグパイズと引き分け、世界から注目された。ワールドカップのウガンダ代表にこのチームから6人が選出されたが、代表チームに同じチームからそれだけ選ばれたのは世界初。
  • チャンバ・チャーマーズ(Tchamba Charmers、テンプレート:Flagicon トーゴ
    本拠地は中央州チャンバ。バックパスの名手が多い。
  • ジンビ・ジャイアント・スレイアーズ(Gimbi Giant-Slayers、テンプレート:Flagicon エチオピア
    本拠地はジンビ。アフリカカップで2度優勝した。
  • サンバワンガ・サンレイズ(Sumbawanga Sunrays、テンプレート:TZA
    本拠地はサンバワンガ。編隊を組んで旋回するプレイで知られる。

北米

南米

アジア

アジアでは箒よりも空飛ぶじゅうたんのほうが普及しているため、クィディッチのチームは珍しい。ただし、外国文化を積極的に取り入れる傾向のある日本では例外的に普及している様子。が、まだまだ諸外国のレベルには達していないという。

  • トヨハシ・テング(豊橋天狗)(Toyohashi Tengu、テンプレート:Flagicon 日本[1]
    本拠地は愛知県豊橋市。負けた試合では自分達の箒を燃やす伝統を持っているが、木材の無駄であるとして国際魔法使い連盟クィディッチ委員会から難色を示されている。

現実世界のクィディッチ

テンプレート:節スタブ マグル・クィディッチ(en:Muggle_Quidditch)という名で2005年、原作のルールを元にバーモント州ミドルバリー大学で校内リーグとして始まった。当然、魔法を使っての飛行は出来ないが箒(ほうき)に跨り競技を行う。その後、Intercollegiate Quidditch Association(IQA)が設立され、2007年11月11日、ミドルバリー大学とハッサー大学との間で最初の大学間の試合が行われた。400以上の大学、300以上の高校にチームが結成され、そのほとんどはアメリカの45州に拡がっているほか、ドイツイギリスカナダメキシコブラジルコロンビアペルーフランス韓国オーストラリアニュージーランドなどにもリーグやチームが存在する。

2010年、IQAはInternational Quidditch Associationに改名した。

ルール

テンプレート:節スタブ 選手は箒(現在は公平を期するため専用のプラスチックの棒を使う)を股の間に挟んでボールを奪い合い、地面に立てた棒の先に輪の付いたゴールにボールを入れることで得点する。 また、腰に小さいボールを付けた人間がフィールドを走り回り、これがスニッチに相当する。 得点に使うものとは別のボールをぶつけることで敵を妨害することができる。

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

参考文献

  • J・K・ローリング著 ホグワーツ校指定教科書2『クィディッチ今昔』(Quidditch Through the Ages)単行本ISBN 4-915512-44-4

関連項目

外部リンク

テンプレート:ハリー・ポッターシリーズde:Begriffe der Harry-Potter-Romane#Quidditch
  1. 愛知県豊橋市の安久美神戸神明社では、毎年2月に鬼祭という祭りがあり、赤鬼と天狗が登場する。平安時代起源の由緒あるもので、これにちなんで市内のアマチュア落語家の会、自転車ファンのサークルなどに「豊橋天狗連」、「自転車倶楽部天狗党」の名がある。ローリングが、豊橋と天狗をどのようにして知ったのかは不明。