シェーン
テンプレート:Infobox Film 『シェーン』(Shane)は、1953年、パラマウント映画製作のアメリカの西部劇映画。カラー。原作は1949年に書かれたジャック・シェーファーの小説。
1953年のアカデミー作品賞、監督賞、脚色賞ノミネート、撮影賞(カラー部門)を受賞。また、助演男優賞にブランドン・デ・ワイルドとジャック・パランスがノミネートされた。
さらに同年の英国アカデミー賞作品賞(総合)ノミネート。また、男優賞(国外)にヴァン・ヘフリンがノミネートされた。
この作品の格闘描写は、当時では画期的な暴力的で激しいものであり、発表当時はその描写が話題となった[1]。
あらすじ
流れ者のガンファイター、シェーンがたどり着いたワイオミング州ジョンソン郡の開拓地は、悪徳牧畜業者のライカー一味の暴虐に苦しめられていた。シェーンは、当初ジョー・スターレットらの開拓農民たちから疎まれるが、やがて和解する。
ジョーやその息子ジョーイと友情を結ぶシェーンだったが、ジョーの妻マリアンは彼に惹かれ、またシェーンも彼女に惹かれてゆく。
ライカー一味たちの弾圧はエスカレートし、ライカーは殺し屋のウィルソンを雇う。彼らは開拓農民の一人を殺害するが、その暴虐に、農民達は結束して立ち向かうことを決意する。この抗争に終止符を打つため、ライカーに独りで会いに行こうとするジョーだったが、シェーンはこれを力ずくで止め、独りライカー一味の元へ向かう。
ライカー一味やウィルソンとのガンファイトに、シェーンは勝利する。物陰から彼を狙い撃とうとしたライカーの弟は、追いかけて来たジョーイのとっさの一言で、シェーンに返り討ちにされる。しかし、シェーンもまた撃たれていた(詳しくはシェーン死亡説の項で解説)。
「シェーン!!カムバック!!」必死でひきとめるジョーイの叫びを背景に、シェーンはワイオミングの山へと去っていった。「グッバイ!シェーン…」[2]。ジョーイの最後の別れの声に送られるように。
シェーン死亡説
この映画を紹介する際、一般的には「少年に見送られて馬で去った」とされることの多いラストシーンだが、「この時の馬上のシェーンは実はすでに死んでいる」という解釈が存在している。その根拠は以下の通りである。
- 決闘の撃ち合い中、シェーンが撃たれていること。
- ジョーイの必死の叫びにまったく反応しなかったこと。
- 走り去ったシェーンの片手が力なく伸びていること。
- ラストシーンでシェーンがいる場所が墓場であること。
ただし、墓場を通るシーンの映像(僅か数秒ではあるが)を見る限りでは、シェーンは馬上でしっかりと体を起こして手綱を取り、馬の歩行に合わせてバランスを取る動作をしているため、死んでいるとは解釈し辛い。映画『交渉人』には、登場人物がこのラストのシェーンの生死について議論するシーンがある。
キャスト
役名 | 俳優 | 日本語吹替 | |||
---|---|---|---|---|---|
日テレ版 | テレ朝版 | テレ東版 | PDDVD版 | ||
シェーン | アラン・ラッド | 石田太郎 | 中田浩二 | 佐々木功 | 大塚智則 |
マリアン・スターレット | ジーン・アーサー | 中西妙子 | 池田昌子 | 並木のり子 | |
ジョー・スターレット | ヴァン・ヘフリン | 下川辰平 | 小林昭二 | 田中信夫 | 矢嶋俊作 |
ジョーイ・スターレット | ブランドン・デ・ワイルド | 伊東永昌 | 松田辰也 | 大友大輔 | 渡辺つばさ |
ルーフ・ライカー | エミール・メイヤー | 小松方正 | 大塚周夫 | 柴田秀勝 | |
ウィルスン | ジャック・パランス | 小林清志 | 麦人 | 木村裕二 | |
日本語版制作スタッフ | |||||
演出 | 小林守夫 | 伊達康将 | 椿淳 | ||
翻訳 | 木原たけし | ||||
調整 | 小野敦志 | 恵比須弘和 | |||
効果 | リレーション | ||||
制作 | 東北新社 | テレビ東京 東北新社 |
高砂商事 (CROSS-GATE) |
- 日テレ版初回放送:1974年4月3日(水)日本テレビ『水曜ロードショー』
- テレ朝版初回放送:1979年1月14日(日)テレビ朝日『日曜洋画劇場』
- テレ東版初回放送:1990年10月11日(木)テレビ東京『木曜洋画劇場』
- 主題曲『遙かなる山の呼び声』(The Call for Far-away Hills、作曲:ビクター・ヤング、歌:ドロレス・グレイ)
DVD
日本では東北新社が配給権を持つことから、東北新社が正規版DVDを発売すべきところ、パラマウント社が異議を唱えたことから、どちらがDVDを出すかが決まらないため、日本では正規版DVDが発売されていない(VHSはCIC・ビクタービデオ(法人としては現在のパラマウント ジャパン)から発売されたことがある)。
日本においては、1953年の作品は『2003年12月31日に著作権の保護期間が終了したもの』と考えられたことから、幾つかの会社から格安DVDとしてリリースされた。しかし、東北新社とパラマウント社は著作権存続を主張した。2007年12月18日に最高裁で著作権保護期間終了の確定判決が下りたことで「シェーンの著作権は消滅した」と言う事が公に認められた。詳細は1953年問題を参照。
脚注
関連項目
- 天国の門 - 同じく「ジョンソン郡戦争」(en:Johnson_County_War)をモチーフとしている映画。
- 遙かなる山の呼び声- 山田洋次映画でタイトルは主題曲から。
- ペイルライダー- クリント・イーストウッドの映画で『シェーン』と同じように遥かなる山の呼び声が聞かれる。
- ウィリアムソン師円 - この映画が好きだった父によって、師円(シェーン)と名付けられた。