グランドひかり

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テンプレート:列車名

グランドひかりは、東海旅客鉄道(JR東海)と西日本旅客鉄道(JR西日本)が1989年から2002年まで東海道・山陽新幹線で運転していた「ひかり」の一種の車両列車愛称

導入の背景

1987年国鉄分割民営化直後、1985年に登場した新型車両である100系はJR東海のもつX・G編成しかなく、JR西日本は0系しかないという状況だった。そこで、旅客サービスの向上と到達時分の短縮を目的に東京駅 - 博多駅の「速達ひかり」(通称Wひかり)用として、JR西日本は独自の100系を製作することとなった。その車両を使用して運転されたのが「グランドひかり」である。

車両・編成

車両設備

ファイル:Grand-shokudo.jpg
「グランドひかり」食堂車(1999年9月19日)
ファイル:100 V restaurant car 19990714.jpg
「グランドひかり」食堂車全景(1999年7月14日)

東京駅 - 博多駅の長距離運用につくことを念頭に、G編成で省略された食堂車を設定すると共に、G編成と同等のグリーン車3両を確保するため、2階建て車両をX・G編成に比べ2両増やし、計4両連結した事が大きな特徴である。

2階建て車両はモータを積まない付随車であるため、X・G編成では付随車となっている先頭車を電動車とすることで、編成出力を同等に確保している。また、さらなる速度向上のため、各部の構造が見直されている(新幹線100系電車#V編成を参照のこと)。

1 - 6・11 - 16号車は平屋建て車両普通車である。7 - 10号車は2階建て車両であり、1階は7・9・10号車が普通車指定席で8号車は売店、2階は車窓からの展望が良いことや乗客の通り抜けがないことから、7・9・10号車がグリーン車、8号車が食堂車に設定された[1]。食堂車にはデジタル速度計も設置された。

普通車(1 - 6・11 - 16号車と7・9・10号車の1階)は直接照明が採用されたが、グリーン車と食堂車(7 - 10号車の2階)は間接照明が採用された。

2階建て車両の場合、通常の平屋建て車両と比較して特に1階の居住性や車窓が劣るため、オーディオサービスとビデオサービス(JR東海とのサービス格差が生じない山陽新幹線区間のみ)が実施されるほか、座席も通常の2列+3列のものではなく、「ウエストひかり」で実績のあるゆったりした2列+2列のものを採用した。X・G編成と同じく、11号車には車椅子対応設備が設置された。

前述のビデオサービスは、4次車であるV5編成から新たに5インチの液晶テレビが搭載され、1990年11月1日から使用を開始した[2]。V1 - V4編成にも搭載され、1991年3月16日から全編成で放映を開始している[2]テンプレート:-

編成

100系3000番台V編成16両で、「100N系」とも呼称される。最高速度は東海道区間220km/h、山陽区間230km/hである。

100N系 グランドひかり
テンプレート:TrainDirection
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16
  G D G G  
K
15px 15px     15px 15px 15px   15px   15px 15px 15px 15px    
記号凡例
編成 組成月日 製造会社 編成名削除日 廃車日 備考
号車
1 - 8 9 - 10 11 - 12 13 - 16
V1 1989年3月7日 川崎重工業 近畿車輛 日立製作所 2000年7月3日 (8号車)2000年8月25日[4]
(7,9,10号車)2000年12月1日[4]
(3号車)2003年5月21日[5]
 
V2 1989年2月10日
(2002年10月1日)
川崎重工業 近畿車輛 日立製作所 2002年11月25日 (7 - 10号車)2002年12月3日[6]
(5号車)2004年6月7日[7]
(3号車)2005年3月22日[7]
2002年10月1日に7 - 10号車をV9編成のものと差し替え。
7 - 10号車の廃車日は当初V2編成に連結されていたもの。
V3 1989年6月29日 川崎重工業 近畿車輛 日立製作所 2002年5月27日 (7 - 10号車)2002年5月27日[6]
(5号車)2003年11月9日[5]
3,4号車のみ1989年6月13日落成
V4 1989年12月28日 川崎重工業 近畿車輛 2002年6月25日 (7 - 10号車)2002年6月25日[6]
(5号車)2003年11月9日[5]
(3号車)2004年10月29日[7]
 
V5 1990年7月5日 近畿車輛 日立製作所 2002年2月12日    
V6 1990年12月14日 日立製作所 近畿車輛 2000年8月24日 (7 - 10号車)2000年12月1日[4]
(5号車)2000年12月28日[4]
 
V7 1991年2月26日 川崎重工業 近畿車輛 日立製作所 2001年11月9日    
V8 1991年7月5日 川崎重工業 近畿車輛 日立製作所 2001年9月30日    
V9 1991年12月12日 川崎重工業 日立製作所 近畿車輛 2002年9月25日 (9,10号車)2002年12月3日[6]
(7,8号車)2010年7月30日[8]

停車駅と所要時間

  • 速達タイプ 東京駅 - 博多駅 : 5時間47分(1992年3月14日以降は最速5時間44分) 新大阪駅 - 博多駅 : 2時間49分(所要時間は小郡通過の場合)
  • その他 途中停車駅は様々な種類があり、これらの駅の中に停車しない列車もある。カッコ内は停車頻度の少ない駅
    • 東京駅 - (新横浜駅)- (静岡駅) - 名古屋駅 - 京都駅 - 新大阪駅 - 新神戸駅 - 姫路駅 - 岡山駅 - 福山駅 - 広島駅 - (徳山駅) - 小郡駅 - 小倉駅 - 博多駅
    • グランドひかりが運転していた当時は品川駅が未開業だった。
    • 当初は京都駅または岡山駅 - 広島駅間各駅停車となる東京駅 - 広島駅間「ひかり」(通称 : Aひかり、Bひかり)にも使用されていた。
    • 山陽新幹線区間(新大阪駅 - 博多駅)の「ひかり」や、東京駅 - 姫路駅、名古屋駅 - 博多駅などの「ひかり」にも使用された。

運用の変遷

東海道・山陽新幹線内を走破する、すべての定期「ひかり」および、臨時扱いだが毎日運転する「ひかり」として運転された。時刻表にも、1989年5月から"「グランドひかり」・2階建て4両"と記載された。

1989年3月11日

「グランドひかり」が東京 - 博多間2往復で運転を開始。山陽新幹線区間での最高速度を230 km/hとし、東京 - 博多を5時間47分で走破。途中、名古屋・京都・新大阪・岡山・広島・小郡(ひかり29号のみ)・小倉に停車。 テンプレート:Col

1990年3月10日

100系X編成が充当されていた1往復を「グランドひかり」に変更。所要時間の短縮が行われた。 テンプレート:Col

1991年3月16日

上り1本を「グランドひかり」から別編成に変更の上、2.5往復を「グランドひかり」に変更して5往復の運用に。上り1本(ひかり10号)が新神戸に初停車。 テンプレート:Col

1992年3月14日

上り1本を「グランドひかり」から別編成に変更の上、東京 - 博多間の2往復と広島始発の上り1本を「グランドひかり」に変更し、山陽新幹線内完結の1往復を追加して8往復体制に。福山・徳山に初停車(ひかり150号)。東海道区間で所要時間の短縮が行われた。 テンプレート:Col

1999年3月13日

新幹線における食堂車の営業列車は東京 - 博多間4往復のみとなる。 テンプレート:Col

2001年10月1日

  • 下り
    • ひかり201号 東京7:30 → 新大阪10:23
  • 上り
    • ひかり240号 新大阪19:56 → 東京22:50

このほか、多くの臨時列車に充当された。

テンプレート:節stub

「グランドひかり」引退へ

1992年300系と最速達列車「のぞみ」がデビューした。当初は早朝深夜時間帯のみだったが、その後に行われた、「のぞみ」の昼間時間帯の運転実施や増便によって、300系より40 - 50km/hも遅い100系は[9]ダイヤ作成時の足かせとなり、従来の最速達であった「ひかり」よりも「のぞみ」のほうが所要時間が短縮されたため、「のぞみ」に客足が向くようになった。

2000年3月でまず利用率の良くなかった食堂車営業を休止。その後も「ひかり」を中心に活躍したが2002年5月18日をもって定期運用から離脱。そして2002年11月23日新大阪駅 - 博多駅のさよなら運転をもって「グランドひかり」は消滅した。

「グランドひかり」さよなら運転

2002年10月8日に、JR西日本から同年11月23日に以下の1往復でさよなら運転が行うことが発表された[10]。同列車では食堂車の復活や「グランドひかり」の最速運転を行うなど、全盛期を彷彿させるものだった。ただし、食堂車の利用に関しては事前の予約が必要とされた[11]

さよなら運転にはV2編成が充当された(新幹線100系電車#V編成参照)が、2階建て車両は状態の良いV9編成のものと差し替えられていた。

列車名 運転区間(始発・終着時刻) 停車駅 使用
編成
備考
ひかり568号 博多 10:33発 → 新大阪 13:22着 小倉広島岡山 V2 「グランドひかり」最速の2時間49分で運行
ひかり563号 新大阪 17:14発 → 博多 20:25着 新神戸姫路・岡山・広島・小郡・小倉 V2
  • 「ひかり563号」新大阪駅発車時に「出発式」が、博多駅到着後に「引退式」が取り行われた。

編成表

さよなら「グランドひかり」
  テンプレート:TrainDirection
号車 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16
形式 121
(Mc)
126
(M')
125
(M)
126
(M')
125
(M8)
126
(M')
179
(Tsd)
168
(T'dd)
179
(Tsd)
178
(T'sd)
125
(M7)
126
(M')
125
(M)
126
(M')
125
(M)
122
(M'c)
座席 普通車 テンプレート:Bgcolor
普通車
テンプレート:Bgcolor テンプレート:Bgcolor
普通車
普通車
定員 65 100 90 100 80 100 74 0 74 74 73 100 90 100 90 75
編成番号:V2 車両番号 3002 3006 3004 3007 3802 3008 3009 3009 3109 3009 3702 3009 3005 3010 3006 3002
  • 定員1285名。全席指定席で運行。8号車は食堂・売店のため定員設定なし。

沿革

  • 1989年平成元年)3月11日 : 「グランドひかり」デビュー。東京 - 博多間1日2往復の設定。新大阪 - 博多間を当時の最速である2時間49分で駆け抜けた。
  • 1990年(平成2年)3月10日 : 東京 - 博多間1日3往復に増便。
  • 1993年(平成5年)3月18日 : 東京 - 博多間1日5往復、東京 - 広島間1日1往復、東京 - 岡山間1日1往復、東京 - 新大阪間1日1往復の計8往復に増便[12]
  • 2000年(平成12年)
    • 3月10日 : 「ひかり127号」(東京 → 博多・V4編成充当)の運行をもって、食堂車の営業を休止。
    • 3月11日 : 「のぞみ」の運行が増加するにともない、定期運行区間を東京 - 広島間に短縮。広島 - 博多間の運転は臨時扱い。
    • 12月31日 : 「時をかける旅、メモリアルトレインツアー ひかり号食堂車リバイバル」が実施され、1日のみ食堂車営業が復活(ひかり559号・新大阪 → 博多・V7編成充当)[13]
  • 2001年(平成13年)9月30日 : 山陽新幹線の定期運用を終了。
  • 2002年(平成14年)
    • 5月18日 : 「ひかり201号」(東京 → 新大阪・V4編成充当)をもって東海道新幹線の定期運用から離脱[12]
    • 11月23日 : 新大阪駅 - 博多駅間で1往復のさよなら運転を実施。「グランドひかり」は引退。

運用終了後

運用終了直前の2000年から2005年までにかけて、「グランドひかり」用のV編成は徐々に6両K編成、4両P編成に組み換えが進行していた。X・G編成と違い、先頭車が電動車であることから短編成化が容易(ユニット構成が0系と同じになったため)であった。P編成とK編成の車両数は108両(4両編成が12本と6両編成が10本)である。V編成の電動車の数も108両(12両が9本分)である。V編成の電動車は(一部G編成の車体にV編成の電装品を搭載したり、中間車が先頭車化されたものもあるが)なんらかの形ですべてK・P編成に流用された。また、7 - 10号車のグリーン車と普通車の座席もK・P編成に流用された。

食堂車の写真に写っている電光掲示板は0系WR編成に利用された。

関連項目

テンプレート:日本の新幹線
  1. テンプレート:Cite book
  2. 2.0 2.1 テンプレート:Cite book
  3. テンプレート:Cite book
  4. 4.0 4.1 4.2 4.3 テンプレート:Cite book
  5. 5.0 5.1 5.2 テンプレート:Cite book
  6. 6.0 6.1 6.2 6.3 テンプレート:Cite book
  7. 7.0 7.1 7.2 テンプレート:Cite book
  8. テンプレート:Cite book
  9. 100系の設計最高速度は275km/hであるが、騒音基準を満たせなかった事により、東海道新幹線や山陽新幹線におけるスピードアップに対応できなかった。
  10. さよなら「グランドひかり」インターネット・アーカイブ) - 西日本旅客鉄道プレスリリース 2002年10月8日
  11. 食堂車のリバイバル営業!インターネット・アーカイブ) - 西日本旅客鉄道プレスリリース 2002年10月8日
  12. 12.0 12.1 テンプレート:Cite book
  13. テンプレート:Cite book