ラジオドラマ
ラジオドラマ(テンプレート:Lang-en; テンプレート:Lang-de)は、ラジオで放送され、主に俳優または声優が演じるドラマのことである。放送劇・オーディオドラマ・サウンドドラマ・声劇とも言われる。
目次
概要
テンプレート:出典の明記 世界最初のラジオドラマは、リチャード・ヒューズの作品であるとされている。
ラジオドラマの脚本は、既に発表されている小説などを原作としているものと、最初からラジオドラマ用に書き下ろされるものとある。
映像がなく、音声のみでリスナー(聴取者)に対して情景イメージを起こさせるかが問われるため、声優の能力もさることながら、各種効果音の作り方・出し方(いわゆる音作り)などの表現が重要になる。臨場感を出すためにバイノーラル録音が利用されることもある。
テレビが普及していない時代(1960年代まで)には、ラジオドラマがよく放送されていたが、現在では減少傾向にある。
日本において
日本では、1925年のラジオ放送の開始と同時にその歴史が始まった。この当時は、映画台詞劇、放送舞台劇、ラジオ劇とも言われたという。日本初のラジオドラマは、舞台中継をスタジオで再現した『桐一葉』(1925年7月12日放送)とも、イギリスのBBCのラジオドラマの台本を翻訳して制作された『炭坑の中』(1925年8月13日)とも言われ、何をもってラジオドラマと定義するかで諸説がある。NHKではラジオドラマ専門の俳優を養成して、東京放送劇団を発足させ、これが声優の始まりとされている。
1950年代には、中村真一郎や花田清輝のような、いわゆる純文学に属する作家たちが多くラジオドラマを手がけ、単なるセリフを語るのではなく、音楽も含めた抽象的な表現の可能性を探った。この試みは外国からも注目され、東ヨーロッパ諸国の放送局では、中村たちの脚本を翻訳して、放送したり、研究材料にしたという。
1993年に、テレビアニメ魔神英雄伝ワタルシリーズの続編として『ラジメーション・魔神英雄伝ワタル3』が、またゲーム原作のツインビーPARADISEが放送開始し、漫画やアニメーション、ゲームなどを原作としたメディアミックス展開の一つとして認知されはじめ、新ジャンルのラジオドラマが普及し始める。
2000年代中期以降の傾向として、漫画やゲームを原作としてのアニメ化の前段階として、ラジオドラマが制作されることが多く、さらにネット声優の増加に伴い、ネット上限定でのオリジナルラジオドラマなども増えている。
商品化
商品化される際には、「ドラマCD」という名目で発売されている。現在は商品化を当初から前提として企画される作品が多く、実質的にラジオ放送がドラマCDの発売前先行オンエアともいえる。
商品化の際に、ラジオで先行公開されたドラマ(シナリオの加筆修正が加えられるケースもある)をラジオ(ドラマ)CD、ラジオで公開することなく発売されるものをドラマCDと区別して呼ぶ事もある。ビクターは商品化の際「絵のない映画」だとしてCDシネマの名称を用いているケースがある。
ただし、ドラマのないラジオDJコーナーを集めたCDもラジオCDと呼ばれているので注意が必要。
種類
- 小説、漫画やライトノベルなどを原作とし制作されたラジオドラマ
- 企業のCM用に制作されたラジオドラマ
- アニメやゲームのサブストーリーやアニラジのコーナーとして制作されたラジオドラマ
- 主にWeb上で公開されている個人制作のラジオドラマ(Webドラマ)
現在放送されているラジオドラマ
- 青春アドベンチャー(NHK-FM)
- FMシアター(NHK-FM)
- AKB48の"私たちの物語"(NHK-FM)
- 新日曜名作座(NHK第1)
- NISSAN あ、安部礼司〜BEYOND THE AVERAGE(TOKYO-FM)
- ミッドナイト劇場〜杉崎智介ドラマ〜(TOKYO-FM)
- ラジオシアター〜文学の扉(TBSラジオ)
- 青山二丁目劇場(文化放送)
- シアター130(ラジオ日本など)
- 交通戦争あなたの場合(四国放送)
- 杉崎智介のle Salon(Inter FM)
- 黒い館(FMヨコハマ)
- le Salon(FM NACK5)
- 杉崎智介アワー(FM-FUJI)
- VOMIC(Web配信・テレビ番組『サキよみ ジャンBANG!』枠)
- 卍の城物語(青森放送)
過去の著名なラジオドラマ
- 夜のドラマハウス(ニッポン放送)
小説作品
- 宇宙戦争 - アメリカで放送時、実際に火星人が侵攻していると聴取者が思い込み、パニックになったことで知られる。
- エディプスの恋人
- 君の名は - NHK第1、「放送が始まると、(この番組を聞く為に)銭湯の女湯から客が消えた」という逸話がある。
- 少年探偵団
- 羆嵐 - TBSラジオ
- 明日の記憶 - TBSラジオ、毎日放送、2006年9月11日。
- 女王の百年密室
- 世界の中心で、愛をさけぶ
- 百器徒然袋 - ABCラジオ制作。
- 遠い海から来たCOO
- ぼんくら・日暮らし
- 日曜名作座 - NHK第1
- ラジオ図書館 - TBSラジオ
漫画作品
- 赤胴鈴之助
- アドルフに告ぐ
- イズァローン伝説
- 王家の紋章
- カムイ外伝
- 恐怖新聞
- Compiler - 本放送時は「電脳天使COMPILER・FX」と改題。
- サザエさん
- SHADOW SKILL
- 沈黙の艦隊
- 低俗霊DAYDREAM
- 地球へ…
- Dr.スランプ
- ドン・ドラキュラ
- 成恵の世界
- 万能文化猫娘 - 原作漫画の方は僅か三話で打ち切られていたが、ラジオドラマ化をきっかけに人気が出る。後にアニメ化。
- 墓場の鬼太郎 - 「ゲゲゲの鬼太郎」の主題歌として有名な歌は、もともと本番組のテーマ曲だった。
- 火の鳥
- リボンの騎士
- 流星倶楽部 - ラジオドラマ部分と、ゲストと鳥越俊太郎との対談する部分との二部構成となっている。
- 夕凪の街 桜の国 - NHK-FM。平成18年度文化庁芸術祭優秀賞受賞
- わたしは慎吾
- OZ (樹なつみ) - NHK-FM青春アドベンチャー
- BANANA FISH - NHK-FM青春アドベンチャー
アニメ作品
- 宇宙戦艦ヤマト
- 魔神英雄伝ワタルシリーズ
- NG騎士ラムネ&40シリーズ
- DearS
- キディ・グレイド
- ギャラクシーエンジェル
- くじびきアンバランス
- 無責任艦長タイラー (アニメ)
- ポケットモンスターシリーズ
- 銀河鉄道999
テレビゲーム作品
- ツインビーシリーズ
ライトノベル作品
- ゴクドーくん漫遊記
- キノの旅
- セイバーマリオネット
- 星界の戦旗
- それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ
- 灼眼のシャナ - ラジオ番組電撃大賞にて2003年放送。
その他の作品はドラマCD化されたライトノベル一覧を参照。
リスナー公募作品
- 知ってる?ストーリー - (楠野一郎脚本で、ハロー!プロジェクトメンバーが出演、知ってる?24時。で2003年〜2004年3月放送)
- Fri-date 〜魅せます!ドキュン〜 「ラジオドラマでドキュン、ラジドラ・ドキュン」 - リスナー制作脚本をDJが読む。FM AQUAで毎週金曜20:00〜
- タンポポ編集部 OH-SO-RO!(番組全体を編集部と見立て、フリーペーパーを発行していこうというコンセプトで放送された)
- ハロー!プロジェクトラジオドラマ - 一部は公募作。
- マイ・ストーリー - MBSラジオ
原作の無い作品
- ローン・レンジャー
- グリーン・ホーネット
- クリック&デッド NETWAYスイーパーズ
- THE FANTASTIC HOTEL - 実在するホテルを舞台に展開するラジオドラマ(ただしストーリーはあくまでフィクション)
- トラブルチョコレート - 後にアニメ化
- MAICO2010 - ラジオドラマを原作としたメディアミックス企画
- みぶ真也の深夜のみぶ - ヒロノツトムの走れタコ番組内で毎週放送されるオリジナル・ナレーションドラマ
- ラジオコメディ みんな大好き - NHK第1
- チャッカリ夫人とウッカリ夫人 - TBSラジオ
- 鐘の鳴る丘 - NHK第1
- オヤカマ氏とオイソガ氏 - 文化
- ドラマの風 - MBSラジオ
- 由起子 - NHK第1
- 忘却の花びら - NHK第1
- さくらんぼ大将 - NHK第1
- えり子とともに - NHK第1
その他
- 火星物語 - リスナーのハガキを元に司会の広井王子が脚本を書く読者参加型ラジオドラマ。上記の「リスナー公募作品」と「原作の無い作品」の中間的存在。
ラジメーション
「ラジメーション」の名称は、「ラジオ」と「アニメーション」を合わせた造語である。 1991年の「魔神英雄伝ワタル3」のラジオ放送で初めて用いられたとされるため
- ワタルシリーズ固有のモノ
- 文化放送やビクター発売のアニメ系ドラマ固有のモノ
と思われることがあるが、そのようなことはない。 実際、他作品や他ラジオ局でも使われており、商標登録はされていない。
脚注
参考文献
- Hans-Jürgen Krug (ドイツ語): Kleine Geschichte des Hörspiels. 2nd edition. Konstanz: UVK, 2008. ISBN 978-3-86764-076-3