ドン・ドラキュラ

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テンプレート:Sidebar with collapsible listsドン・ドラキュラ』は、手塚治虫秋田書店週刊少年チャンピオン』に連載した漫画。および漫画を原作にしたテレビアニメ

漫画の題名は『ドン・ドラキュラ』、アニメの題名は『手塚治虫のドン・ドラキュラ』(てづかおさむ-)である。

概要

現代社会に生きるドラキュラ伯爵の姿をコミカルに描く。『少年チャンピオン』での手塚漫画としては、『ブラック・ジャック』の次の連載となる。

コメディ色が強く、ラストシーンも殆どがギャグであり、この点はアニメでもそのまま表現されている。最終回も完結や特別な盛り上がりでなく、いつものドタバタで終了した。手塚自身も楽しく描いていたと「手塚治虫漫画全集」で語っている。

本作の連載中および後も『ブラック・ジャック』が不定期に発表され、お馴染みのスター・システムにより、ドン・ドラキュラがゲストで登場したエピソード(『B・Jそっくり』)が存在する。ブラック・ジャックの登場人物#セミレギュラー黒松の項を参照。

アニメ化に先立って、1979年の24時間テレビ 「愛は地球を救う」枠内の『海底超特急マリンエクスプレス』にドン・ドラキュラとチョコラが登場している。なお、担当した声優はアニメ版『ドン・ドラキュラ』とは異なる。

1980年代前半には東宝で実写映画化の企画が進行。大林宣彦監督、石坂浩二(ドラキュラ)、石坂の当時妻だった浅丘ルリ子(カーミラ)という布陣で桂千穂の脚本が雑誌発表されたが、結局中止となった。

登場人物

キャストはアニメ版のもの

ドン・ドラキュラ伯爵
- 内海賢二
その名も高きドラキュラ伯爵。かなりドジな性格である。練馬に屋敷を持っている。魔物として人間に恐れられる存在であろうとするが、文明社会である現代においては、ただの変わった人と道化扱いされてしまうのが悩みの種。人間を嫌ってはいるが美女には弱い。日光と水にも弱く、身体が消滅してしまう。灰を棺桶に納めた後、血、ニカワ、パウダーを入れて3分待つと復活する。ひょんな事から人助けをしてしまったりする事もある。娘のチョコラには厳しくあろうとするも、根本的には溺愛しているので、父としての威厳はいささか通用しない様である。本名を名乗りあげるシーンが二度あるが、二度とも名前が違う。
単行本の1巻の前書によると、ルーマニアにあった屋敷が日本の商社に買い取られ、屋敷と共に日本にやってきたが、それを描く前に打ち切られたとある。ドンの先祖として実在のドラキュラ公ヴラド3世自身をモデルにした「串刺し公」という凶暴な初代ドラキュラも登場した。アニメでは原作にない顔としてデフォルメ顔が頻繁に登場する。また、漫画版では主に悪党に対して容赦の無い態度を取っていたが、アニメ版では血を吸おうとして失敗してばかりいるなど、ギャグキャラの要素が強まっている。
チョコラ
声 - 島津冴子
伯爵の娘。人間社会に興味を持ち、高田馬場の人間の夜間中学に通っている。伯爵はそれを快く思っていないが、彼女のワガママに押し切られ渋々認めている。日のあたる場所に長くいられないが、つい長居をして灰になってしまい復活させてもらう事もしばしば。狼女の血も引くため父親と違い水に濡れても消滅しない。父親同様にマントをまとってコウモリに変身できる。
イゴール
声 - 大山高男
伯爵の召使のせむし男。醜い外見だが忠実でよく気の付く性格。馬車の運転、ドラキュラの灰からの復活などあらゆる事でサポートしている。イゴールのキャラクター自体はヘルシング教授と同様元ネタが存在するが、その外見は手塚のスターシステムにより、『ロストワールド』のグラターンとなっている。
ブロンダ
声 - 片岡富枝
伯爵が日本で初めて血を吸った外国人女性。かつてはスリムな美人だったが、今はラーメンの食べすぎで…その過去は漫画・アニメとも劇中で明らかになる。高血圧のため血を吸われても平気らしく、伯爵に血を吸ってもらおうと付きまとう。
リップ・ヴァン・ヘルシング教授
声 - 滝口順平
吸血鬼退治を使命とする、オランダから来た伯爵の永遠のライバル。イゴールとヘルシングは手塚のオリジナルでなく、ドラキュラを有名にした小説からの翻案である。持病のイボ痔による多量な出血で慢性の貧血に悩まされているので、人間から血を奪う吸血鬼を憎悪している。チョコラの通う中学校に教師として着任し、ドラキュラと戦おうとしては大体ドタバタで終わるが、後に伯爵がチョコラのために作ったカンニング道具を商品化しようとしたのがばれて学校をクビになる。
コウモリ安兵衛
声 - 肝付兼太
アニメ版オリジナルキャラの狂言回し役。場面転換時に登場するだけのキャラだが、作中のキャラとも何度か会話している。
村井警部
声 - 池田勝
ヘルシングの奇行を見るたび怪しいと思い、衝突する警察官。なお、村井警部のキャラクターは後にスターシステムで他の手塚作品に出演するようになる。
モデルは手塚の娘の学友で、「自分を漫画に出してくれ」と娘に無理に頼み込んで登場させたという経緯がある。
カーミラ
原作にのみ登場する狼女。伯爵の元妻で、チョコラの実母。次々に人間を殺してしまう彼女に対し、伯爵は「血こそ吸うが殺してはならない」と考えたため2人の価値観が食い違い、チョコラが赤ちゃんの頃の三百年前に離婚に至る。「自然破壊を進め、戦争を止めない人間こそが化け物だ」とチョコラに教えた。チョコラを取り返すために伯爵と対決するが、血を吸われて敗れる。
校長先生
声 - 大竹宏

サブタイトル(雑誌連載の漫画)

  1. ドラキュラ登場
  2. またもやドラキュラ
  3. やっぱりドラキュラ
  4. ドラキュラ・タンカー
  5. なんちゅうかドラキュラ
  6. もうひとつドラキュラ
  7. ドラキュラVSカミーラ
  8. もう一度ドラキュラ
  9. ドラキュラ半漁人にあう
  10. いとしのブロンダ
  11. そういえばドラキュラ
  12. どうしてもドラキュラ
  13. ドラキュラは夜にかげる
  14. あわやドラキュラ
  15. ドラキュラその変身
  16. もうひとりのドラキュラ
  17. 雨の中のドラキュラ
  18. かろうじてドラキュラ
  19. なぜかいまドラキュラ
  20. ドラキュラ帰る
  21. くるしまぎれのドラキュラ
  22. ドラキュラちがい
  23. ドラキュラ列車
  24. ジョーズ・オブ・ドラキュラ
  25. ドラキュラくずれ
  26. さんざんドラキュラ

単行本

アニメ版

タイトルは『手塚治虫のドン・ドラキュラ』。じんプロダクションによりアニメ化され、1982年4月5日-4月26日テレビ東京で毎週月曜日の19時-19時30分に放映された。

日本で最短で打ち切りになったアニメ番組と言われている。放送1年前から製作が開始され、脚本は21話まで完成していたものの、担当広告代理店が倒産したためスポンサーを集められずにテレビ局への電波料未払いにより、東京では第4話で終了している[1][2][3]。地方によっては完成していた8話まで放送された[4]

打ち切りが原因で放送の期間が1か月にも満たないというケースは、テレビアニメ全体でも稀である。実質的な最終話となった8話は、漫画版の第1話と最終話をベースに構成された。

広告代理店倒産により、構成を担当して完成脚本21話のうち18話分を執筆した小山高生は約50万円の不渡り手形でギャラの未払いが生じており[2]、制作を担当したグリーン・ボックスは同年に解散している[4]。脚本家の中弘子、園田英樹、照井啓治は本作で脚本家デビューのはずだったが打ち切りによって別作品でデビューする形になった[2]

なお、打ち切り理由は不人気によるものでは無いのでDVD化等はされている。

スタッフ

  • 原作:手塚治虫
  • 製作:池田公雄、木村一郎
  • 企画:手塚プロダクション、三京企画
    三京企画は放送の最中に資金繰りが行き詰まり、倒産している。
  • 構成・脚本:小山高男
  • チーフディレクター:落合正宗
  • 作画監督:内山正幸
  • 美術監督:下川忠海
  • 音楽:山本正之神保正明
  • プロデューサー:鳥海俊材、丹羽純一、由井正俊
  • 作画:グリーン・ボックス、アニメアール、樹林動画、スタープロダクション、シャフト
  • 背景:スタープロダクション、ポップ
  • 色指定:鈴木一海
  • 仕上:オスカー企画、スタジオ2001、ヤマトプロダクション、グリーン・ボックス、シャフト
  • 撮影:ティ・ニシムラ、上田雅英
  • 編集:坂本雅紀(井上編集)
  • 現像:東京現像所
  • 録音:東北新社
  • 音響監督:松岡裕紀
  • 調整:堀内勉
  • 効果:倉橋静男
  • 制作担当:神山千明
  • 制作デスク:田中信吾
  • 制作進行:皆川拓哉、鈴木元務、末広真己、今井広美
  • 演出助手:山崎友正
  • 協力(動画):グリーン・ボックス
  • 制作:三京企画、じんプロダクション

主題歌

オープニングテーマ - 『パラダイスドラキュラ』
作詞 - 高田ひろお / 作曲 - クニ河内 / 編曲 - 武市昌久 / 歌 - 内海賢二、こおろぎ'73
エンディングテーマ - 『お父さんは吸血鬼』
作詞 - 小山高生 / 作曲 - 武市昌久 / 編曲 - 武市昌久 / 歌 - 新倉よしみ、コロムビアゆりかご会、こおろぎ'73

各話リスト

全て原作からのエピソードで、アニメオリジナルは無い。ただし一部の話では展開が変更されている。

話数 サブタイトル 絵コンテ 演出 放送日
1 ドラキュラ殺しがやってきた あいただし 野村和史 1982年4月5日
2 ヤバイゼ!吸血鬼ツアー 笠原達也 1982年4月12日
3 悪魔に魂を売った巨人 横尾晃 平林淳 1982年4月19日
4 襲撃!ヌード怪人たち 野村和史 五月女有作 1982年4月26日
5 大成功!?カンニング大作戦 笠原達也 未放送
6 怪奇!学習塾にすむ悪霊 あいただし 二階堂主水
7 同じ命だパンダも虎も 岡田宇啓
8 にんにく・十字架・歯医者も怖い 野村和史 五月女有作

参考資料

アニメージュ』(1985年7月号、徳間書店) - 脚本とシリーズ構成を担当した小山高生の連載エッセイで、幻の名作として1回分を費やして紹介。

関連商品

放送時にボードゲーム「ドン・ドラキュラゲーム」が発売されており、原作掲載誌の読者プレゼントにもなっている。

ソフト化

1988年7月22日に大陸書房からビデオソフトが発売された。VHSのみで価格は1,980円。第1話から第8話までを90分に再編集した内容[5][6]

2002年4月25日には、8話全てを収録したDVDが「手塚治虫アニメワールド」シリーズのひとつとしてパイオニアLDCより税抜き5,800円で発売された[7]。パッケージ裏面は他の「手塚治虫アニメワールド」シリーズと異なり、現代の子供にも受け入れられるような易しい文章と漢字にルビが振られている。

インターネット動画配信

2007年からは、Yahoo!動画などのインターネットテレビサイト上の「手塚治虫アニメワールド」(手塚プロダクション)コーナーで全話が有料動画配信が行われている。

「日本で早く打ち切りになった―」とのリード要旨)が掲載されている。

脚注

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外部リンク

テンプレート:前後番組

テンプレート:手塚治虫
  1. 小山高生『霊もピチピチ生きている』リヨン社、1985年、p.95
  2. 2.0 2.1 2.2 小山高生「小山高生のだからギャグアニメはやめられない10 幻の名作ドン・ドラキュラ」『アニメージュ』1985年7月号、p.154
  3. 佐藤昭司『「赤毛のアン」がテレビアニメになった日』扶桑社、2010年、p.66
  4. 4.0 4.1 アニメージュ編集部編『TVアニメ25年史』徳間書店、1988年、p.121
  5. 天野ミチヒロ『放送禁止映像大全』三才ブックス、2005年、p.153
  6. 『アニメビデオ'89カタログ』玄光社、1989年、p.146
  7. ドン・ドラキュラ CDジャーナル