日曜喫茶室
日曜喫茶室(にちようきっさしつ)は、NHK-FM放送のトーク番組。放送開始は1977年4月10日。
放送時間
毎月最終週の日曜日(当該最終週が特番である場合はその前の週[1])12:15~14:00(NHK-FM放送)。番組放送開始から2007年3月までは、毎週日曜日に放送されていた。2007年4月からは「トーキング ウィズ 松尾堂」を放送することとなり、2008年4月からは毎月最終週、つまり月1回の放送に減らされることになった(それ以外は「トーキング ウィズ 松尾堂」を放送する)。
2006年3月まではNHKラジオ第2放送「NHKラジオライブラリー」=金曜日でも過去に放送された番組を再構成して放送されていた。
番組概要
NHKラジオスタジオに設えた喫茶店「なかま」を舞台に、マスターのはかま満緒(放送作家)と各界を代表する著名人が毎回ゲストとして来店する。はかま満緒、ウェイトレスに加えて3名(うち1名は「ご常連」)の計5名が、毎回季節の話題や最近の流行や話題などのトークをコーヒーを飲みながら展開する。
番組テーマ曲
「Save your kisses for me」(邦題・想い出のラスト・キッス)/レイモン・ルフェーブル・グランドオーケストラ。
出演者
常連客
- 安野光雅(画家)
- 轡田隆史(元・朝日新聞論説委員)
- 池内紀(ドイツ文学者、元・東大教授 現在の常連客の中では最古参)
- 荻野アンナ(作家・慶應義塾大学教授。常連客としては最も新しく、2004年6月6日より参加)
番組構成
番組の構成自体は至ってシンプルで、まずマスターはかま満緒と、常連客との会話から始まり(その日のテーマについてのざっくばらんな雑談が多い)、それが5分間ほど続いた後、本日の常連客のお薦めの1曲が流れる。次いで、最初のゲストが登場。ゲスト、マスター、常連客、ウェイトレスの会話が約30分ほど続いた後、最初のゲストのお薦めの1曲が流れる。それが終わると、次のゲスト登場。2番目のゲストとの会話が30分ほど続いた後、2番目のゲストのお薦め曲が流れる。それが終わると、1番目、2番目のゲストを含めて全員でのトークが始まり、やはり30分ほど続く。その後、また1曲音楽が流れ、残り15分ほどでマスターが本日のテーマについてのまとめに入り、ゲストの今後の予定を伺って番組を終える。この構成は、放送開始以来30年、殆ど変わっていない。
このようなシンプルな作りの番組であるのに、多くの聴取者を引きつけるのは、ひとえにマスターはかま満緒の人柄、人間に対する興味、旺盛な好奇心によるもので、またそれを助ける常連客の発言が、マスターとの間でうまく噛み合って番組が進行してゆくことにある。例えば、常連客の安野光雅は、ちょうど漫才のボケ、ツッコミのボケの役割を果たし(マスターはかま満緒がツッコミの役目を果たす)、横町の御隠居的な一言居士の轡田隆史、物静かな知識人の池内紀、ダジャレでその場を盛り上げたり、しらけさせるのが名人の荻野アンナと、それぞれが個性を発揮している。
番組のファン
文化人、政治家、経済人、大学教授などいわゆる知識人にファンが多く、他の番組には出演しないのに、この番組には出演したという著名人も多い。
この数年間に出演した有名人としては、
- 芸能人・俳優・声優として、黒柳徹子、美輪明宏、宍戸錠、小川宏、永六輔、小沢昭一、大山のぶ代、島田洋七、宮城まり子、萩本欽一、久米明、デーモン小暮閣下、岸田今日子、牧伸二、なぎら健壱、柳生博、滝田栄、
- 医師として、日野原重明、斉藤茂太、鎌田實、新谷弘実、
- スポーツ選手・冒険家として、三浦敬三、堀江謙一、野口健、クルム伊達公子、豊田泰光、
- 作曲家・作詞家・詩人として谷村新司、新井満、千住明、谷川俊太郎、冨田勲、姫神、池辺晋一郎、きたやまおさむ、アーサー・ビナード、林光、
- 音楽家として山下洋輔、寺内タケシ、谷川賢作、
- 画家・写真家として横尾忠則、荒木経惟、橋村奉臣、
- 映画監督として実相寺昭雄、新藤風、森田芳光、池谷薫、奥田瑛二、
- 漫画家・アニメーターとして楳図かずお、矢口高雄、松本零士、弘兼憲史、やなせたかし、柳原良平、
- 高級官僚として國松孝次、
- 大学教授として多湖輝、吉村作治、上野千鶴子、小泉武夫、
- ソムリエとして田崎真也、
- 作家・脚本家として阿刀田高、藤本義一、北方謙三、井沢元彦、市川森一、嵐山光三郎、山田太一、山本一力、小山内美江子、前間孝則、関川夏央、
- 落語家(噺家)・漫才師・講談師・浪曲師として桂米朝、桂米團治、柳家小三治、桂文珍、太田光、桂三枝(現・六代目桂文枝)、宮川大助・花子、喜味こいし、昭和のいる・こいる、一龍斎貞水、神田山陽、国本武春、春風亭昇太、パックン、橘家圓蔵、林家木久扇、林家正蔵
- 鑑定家として中島誠之助、北原照久、
- 評論家として江川紹子、山田五郎、
- CEOとして吉田準輝(ヨシダグループ会長兼CEO)、
など非常に多彩な人々が出演している。
なお、過去には北野武、金田一春彦、池田彌三郎、宮脇俊三、北杜夫、斎藤輝子、松本清張、沢村貞子、植村直己、阿久悠、河島英五、植木等、宮川泰、團伊玖磨、池田満寿夫、大藪春彦、福田繁雄、柳家小さん(五代目)、東山魁夷、赤塚不二夫、石ノ森章太郎、藤子不二雄A、寺田ヒロオ、ジョージ川口なども出演した。
しかし、このような有名人の他に、無名ながら一芸に秀でた人、長年一つの道に打ち込んできた市井の人(池内紀によると、「二番手を走り、トップになる実力があり周囲もやきもきしているのに、好きな事に打ち込むことに一生懸命で、二番手であることを気にしない人」)にスポットライトをあてるのも、この番組の特徴である。 このような出演者としては、
- 前田學(利き水名人)
- 木村嘉男(JTB時刻表編集長)
- 関根淳(元モンゴル野球ナショナルチーム・コーチ)
- 細井優範(砂金掘りインストラクター)
- 村瀬誠(墨田区地域振興部)
- ジョン・ギャスライト(ツリークライミングジャパン代表)
- 菊野屋〆松(ちんどん屋)
- 崎山克彦(NGO「南の島から」代表)
- 青井博幸(全国地ビール醸造者協議会顧問)
- 倉田喜弘(日本芸能史研究家)
- みさきたまゑ(書皮友好協会世話人)
- 平田俊清(ジーンズクリエーター)
- 関根眞一(苦情・クレーム対応アドバイザー)
- 平田進也(旅行会社添乗員)
- 松原仁(はこだて未来大学)
- 猪口ゆみ(通信販売サイト バイヤー・ライター)
- 小林宏之(日本航空機長)
などがいる。
備考
- 喫茶店の名称である「なかま(nakama)」は、「はかま(hakama)」とされるべきところ、誤って印字されたことが由来である。
- 喫茶店の所在地は、原宿の裏通りから徒歩で10分ほどのところ、と設定されている。
- 入口の扉は重厚なマホガニー製である。
- メニューに掲載されているのは、コーヒー、アイスコーヒー、紅茶、アイスティー、日本茶の5種類である。ゲストはそれ以外のメニューを注文しても構わないが実際に出されるのは基本的には上記の5種類のいずれかである。ただし、一度だけ注文に応じてチョコレートパフェ(チョコパフェ)が出てきたことがある(2007年9月2日放送「数字が気になって気になって 」の回。ゲストは橘家圓蔵(落語家)と新井紀子(国立情報学研究所教授)、常連客は安野光雅)。
- 以前はアルコールも出していたが、2時間近い録音の間に酔っぱらってしまい、はかま満緒にからみだしたゲストがいたので控えるようにした(2006年4月3日、日本経済新聞掲載のはかま満緒のエッセイによると、作家の有吉佐和子と、詩人の田村隆一とのこと)。
- この番組で紹介されたあとに爆発的ヒットになったものも多い。例えば以下のようなものがある。
- 電車運転シミュレーターソフトは、カシオペアキーボード奏者・向谷実の紹介の回(2003年10月12日「出発進行!列車は走る」)以降、中高年に爆発的ヒットとなった。
- 平原綾香の「ジュピター」:常連客の轡田隆史が、お気に入りの曲として紹介した(2004年6月13日「老いては不良になろう」)。
- 日本古来の古武道を利用した運動療法、リハビリ介助法は、古武道研究家・甲野善紀の紹介の回(2004年8月29日「舞と武術の間には」)以降、実際のリハビリテーションの場でも用いられるようになった。
- 「千の風になって」は、新井満がゲストの回に「最近翻訳した詩」という事で紹介された(2005年2月27日「わが人生にクラシックあり」)。
- 旭山動物園(園長の小菅正夫がゲストの回:2005年1月16日「見せます、びっくり、動物たち」)や、「佐賀のがばいばあちゃん」(島田洋七がゲストの回:2005年9月11日「がばいばあちゃんに乾杯!」)は、この番組で紹介された後に爆発的ヒットとなった。
関連項目
- はかま満緒の話のタネ - アール・エフ・ラジオ日本で放送されている番組。はかま、小泉両氏出演で雰囲気が似ている。