アル・パチーノ
テンプレート:複数の問題 テンプレート:ActorActress アル・パチーノ(Alfredo James “Al” Pacino, 1940年4月25日 - )は、アメリカ合衆国の俳優・映画監督・脚本家。日本語では当初、「アル・パシーノ」と表記されていた[1]。ニューヨーク市ブロンクス出身。イタリア系アメリカ人。身長167cm。
映画『ゴッドファーザー』シリーズ、『スケアクロウ』、『狼たちの午後』、テレビドラマ『エンジェルス・イン・アメリカ』、シェイクスピア作品をはじめとする演劇などで、複数の受賞をしている。
目次
経歴・人物
シチリア移民の子として生まれるが、2歳の頃に両親が離婚し[2]、少年時代は非常に貧しく不憫な生活を送る。若い頃はニューヨーク市内で自転車便やビルの清掃稼業、映画館のアルバイトなど様々な職業を渡り歩いていた。この頃に後々名コンビとして知られるジョン・カザールと親交を結んだ。26歳からリー・ストラスバーグ主宰のアクターズ・スタジオで演技を学んだ[3]。オーディションに行くためのバス代もないほど貧しかった時もあったが、次第に演劇で活躍していく。
1969年の映画『ナタリーの朝』でデビュー。1971年の『哀しみの街かど』でヘロイン中毒の青年を演じて注目され、フランシス・フォード・コッポラの『ゴッドファーザー』で、かねてから尊敬していた俳優であるマーロン・ブランドと親子役で共演。マイケル・コルレオーネ役は多くの俳優に衝撃と影響を与えており、パチーノに触発されて俳優を志した者は多く、ブルース・ウィリスは自身もその一人であることを表明している。『セルピコ』と『狼たちの午後』で主演を務める傍ら『ゴッドファーザー』の続編となる『ゴッドファーザー PART II』に主演。この頃、コッポラは岡田茂に「千葉真一とアル・パチーノの共演による映画を製作したい」とオファーしていたが、岡田は断っている[4]。
1972年から1975年にかけて4年連続でアカデミー賞にノミネートされるが、アカデミー主演男優賞を獲得できなかった。賞狙いの過剰な演技が目立ち始め、業界関係者の反感を買い、『スカーフェイス』も、公開当時は大失敗作と評され、興行成績も振るわなかった。『スター・ウォーズ』のハリソン・フォードが演じたハン・ソロや、『クレイマー・クレイマー』においてダスティン・ホフマンが演じたテッド・クレイマーの打診を断っており、フォードは一躍トップスターへ、ホフマンはアカデミー主演男優賞を獲得し、一方のパチーノは1970年代後半から1980年代にかけ、その人気は下降。活動の場を演劇へ戻り、ウィリアム・シェイクスピアについての知識は極めて豊富で、その作品に数多く出演。『リチャード三世』の映像化の過程を記録したドキュメンタリー映画『リチャードを探して』を監督・主演した。
1989年に『シー・オブ・ラブ』で映画に復帰すると、『ディック・トレイシー』、『ゴッドファーザー PART III』に出演したが、それぞれの作品が評価されず、興行成績も振るわなかったものの、1992年の『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』で盲目の退役軍人を演じ、第65回アカデミー賞ではアカデミー主演男優賞と『摩天楼を夢みて』でのアカデミー助演男優賞と2つにノミネートされ、悲願であった主演男優賞を獲得した。
55歳を超えてからも『フェイク』、『インサイダー』などに出演。1994年にはヴェネツィア国際映画祭の経歴賞を、還暦を迎えた2001年には、ゴールデングローブ賞において生涯功労賞に相当するセシル・B・デミル賞を受賞。共演したジョニー・デップ、ラッセル・クロウ、ジェイミー・フォックス、コリン・ファレルへも多大な影響を与え、2007年公開の『オーシャンズ13』ではジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、マット・デイモンらとは対照的に助演に徹し、ホテルのオーナーを演じた。
初監督作品の『リチャードを探して』以降、自身の監督作も発表している。2000年には『チャイニーズ・コーヒー』、2011年にはオスカー・ワイルド作の戯曲「サロメ」の舞台制作の過程を描いたドキュメンタリー映画『ワイルド・サロメ』にて、ヴェネツィア国際映画祭Jaeger-LeCoultre Glory to the Filmmaker Award(監督・ばんざい!賞)[5]とクィア獅子賞を受賞した。
2012年には、『摩天楼を夢みて』がブロードウェイにて舞台化され、1992年の同作映画版で演じたリッキー・ローマではなくシェリー・レーヴィン役を演じ話題となった。また同年、全米芸術勲章(National Medal of Art)を授与された[6]。
役作り
パチーノ自身がインタビューで、『セルピコ』は、モデルとなった実在の人物と3週間一緒に生活を共にしたり、『狼たちの午後』では、逆に脚本を徹底研究し、モデルとなった実在の人物とは一切面会せず、独自に役を作りあげると話し、「あなたが今まで演じてきた役の中で、どの役が一番自分に似合っていますか?」という質問に、「どの役が一番自分に似合うということはない。すべて私の一部なのだ」と語った。
ロバート・デ・ニーロとの関係
ロバート・デ・ニーロとは様々な焦点から比較対象にされる。具体的な理由と経緯は不明であるが、世代が近いこと、ニューシネマで名をはせたこと、『ゴッドファーザー PART II』で父子役を務めたこと、さらに共にイタリア系アメリカ人である事が推測される。
デ・ニーロとは第67回アカデミー賞授賞式において作品賞のプレゼンターを務めた。その際二人は『ゴッドファーザー』の「メインテーマ」に乗って壇上に登場した。奇遇だが、パチーノの母方の祖父は『ゴッドファーザー PART II』の中でロバート・デ・ニーロ扮するビトー・コルレオーネの出生地としているコルレオーネ村の出身であることを、パチーノ本人が明かしている。
一時は共演作がない(『ゴッドファーザー PART II』では直接の共演はなかった)ことや、メディア及びファンが2人を最大のライバルであると捉えた影響から不仲と噂されたが、1995年公開の『ヒート』における初共演は大きな話題を呼び、大ヒットを記録。その後も公の場でツーショット写真が撮影されるなど仲は良い。その後、2008年公開の『ボーダー』で再共演した。
私生活・エピソード
- 21歳の時に武器密輸に関与し逮捕されたことがある。
- ダイアン・キートン[7]やペネロープ・アン・ミラーなどと交際していたが、結婚歴はない。一般の女性との間に2人の娘を儲けている。
- 2001年、60歳を越えて、女優ビヴァリー・ダンジェロとの間に双子を儲けるが、結婚はしていない[8][9]。
- 2011年のヴェネツィア国際映画祭にて「監督ばんざい!賞」を受賞した際は、40歳年下の恋人であるアルゼンチン出身の女優ルシア・ソラを伴って授賞式に参加した[5]。
- 極度のヘビースモーカーであったが、過度の喫煙により肺を患って以降は禁煙している。
- 『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』のDVD収録のオーディオコメンタリーで、監督と製作、脚本、主演を兼任したベン・スティラーは「彼にまつわるパロディキャラ(アルパ・チーノ)の使用許可を得た」と発言している。
- 娘のジュリー・パチーノは映画の制作に携わっている。
出演作品
公開年 | 邦題 原題 |
役名 | 備考 |
---|---|---|---|
1969 | ナタリーの朝 Me, Natalie |
トニー | |
1971 | 哀しみの街かど The Panic in Needle Park |
ボビー | |
1972 | ゴッドファーザー The Godfather |
マイケル・コルレオーネ | 全米映画批評家協会賞主演男優賞 受賞 |
1973 | スケアクロウ Scarecrow |
フランシス・ライオネル(ライオン)・デルブッキ | |
セルピコ Serpico |
フランク・セルピコ | ゴールデングローブ賞 主演男優賞 (ドラマ部門) 受賞 | |
1974 | ゴッドファーザー PART II The Godfather Part II |
マイケル・コルレオーネ | |
1975 | 狼たちの午後 Dog Day Afternoon |
ソニー | 英国アカデミー賞主演男優賞 受賞 |
1977 | ボビー・デアフィールド Bobby Deerfield |
ボビー | |
1979 | ジャスティス ...And Justice for All |
アーサー・カークランド | |
1980 | クルージング Cruising |
スティーヴ・バーンズ | |
1982 | 喝采の陰で Author! Author! |
イヴァン・トラヴァリアン | |
1983 | スカーフェイス Scarface |
トニー・モンタナ | |
1985 | レボリューション めぐり逢い Revolution |
トム・ドブ | |
不名誉なローカル The Local Stigmatic |
グラハム | ||
1989 | シー・オブ・ラブ Sea Of Love |
フランク・ケラー捜査官 | |
1990 | ディック・トレイシー Dick Tracy |
ビック・ボーイ・キャプリス | |
ゴッドファーザー PART III The Godfather Part III |
ドン・マイケル・コルレオーネ | ||
1991 | 恋のためらい/フランキーとジョニー Frankie and Johnny |
ジョニー | |
1992 | 摩天楼を夢みて Glengarry Glen Ross |
リッキー・ローマ | |
セント・オブ・ウーマン/夢の香り Scent of a Woman |
フランク・スレード中佐 | アカデミー主演男優賞 受賞 ゴールデングローブ賞 主演男優賞 (ドラマ部門) 受賞 | |
1993 | カリートの道 Carlito's Way |
カリート | |
1995 | 天国の約束 Two Bits |
おじいちゃん | |
ヒート Heat |
ヴィンセント・ハナ | ||
1996 | リチャードを探して Looking for Richard |
本人/リチャード3世 | 兼監督・脚本・製作 |
訣別の街 City Hall |
ジョン・パッパス | ||
1997 | フェイク Donnie Brasco |
“レフティー”ベンジャミン・ルッジェーロ | |
ディアボロス/悪魔の扉 Devil's Advocate |
ジョン・ミルトン | ||
1999 | インサイダー The Insider |
ローウェル・バーグマン | |
エニイ・ギブン・サンデー Any Given Sunday |
トニー・ダマト | ||
2000 | Chinese Coffee | ハリー・レヴィン | 兼監督 |
2002 | インソムニア Insomnia |
ウィル・ドーマー | |
シモーヌ S1m0ne |
ヴィクター・タランスキー | ||
ニューヨーク 最後の日々 People I Know |
イーライ・ウーマン | ||
2003 | リクルート The Recruit |
ウォルター・バーク | |
エンジェルス・イン・アメリカ Angels In America |
ロイ・コーン | テレビ・ミニシリーズ | |
ジーリ Gigli |
スタークマン | ||
2004 | ヴェニスの商人 The Merchant of Venice |
シャイロック | |
2005 | トゥー・フォー・ザ・マネー Two For The Money |
ウォルター・エイブラムス | |
2007 | 88ミニッツ 88 Minutes |
ジャック・グラム | |
オーシャンズ13 Ocean's Thirteen |
ウィリー・バンク | ||
2008 | ボーダー Righteous Kill |
ルースター | |
2010 | 死を処方する男 ジャック・ケヴォーキアンの真実 You Don't Know Jack |
ジャック・ケヴォーキアン | テレビ映画 |
2011 | 陰謀の代償 N.Y.コンフィデンシャル The Son of No One |
スタンフォード警察委員長 | |
Wilde Salome | 本人/ヘロデ | 兼監督・脚本 | |
ジャックとジル Jack and Jill |
本人役 | ゴールデンラズベリー賞 最低助演男優賞 受賞 | |
2012 | ミッドナイト・ガイズ Stand Up Guys |
ヴァレンティン "ヴァル" | |
2013 | Phil Spector | フィル・スペクター | テレビ映画 |
怪盗グルーのミニオン危機一発 Despicable Me 2 |
声の出演 |
受賞歴
アカデミー賞
- ノミネート
- 1973年 アカデミー助演男優賞:『ゴッドファーザー』
- 1974年 アカデミー主演男優賞:『セルピコ』
- 1975年 アカデミー主演男優賞:『ゴッドファーザー PART II』
- 1976年 アカデミー主演男優賞:『狼たちの午後』
- 1980年 アカデミー主演男優賞:『ジャスティス』
- 1991年 アカデミー助演男優賞:『ディック・トレイシー』
- 1993年 アカデミー助演男優賞:『摩天楼を夢みて』
英国アカデミー賞
- 受賞
- 1976年 主演男優賞:『狼たちの午後』、『ゴッドファーザー PART II』
ゴールデングローブ賞
- 受賞
- 1974年 主演男優賞 (ドラマ部門):『セルピコ』
- 1993年 主演男優賞 (ドラマ部門):『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』
- 2001年 セシル・B・デミル賞
- 2004年 男優賞 (ミニシリーズ・テレビ映画部門):『エンジェルス・イン・アメリカ』
- 2011年 ミニシリーズ・テレビ映画演技賞:『死を処方する男 ジャック・ケヴォーキアンの真実』
- ノミネート
- 1973年 主演男優賞 (ドラマ部門):『ゴッドファーザー』
- 1975年 主演男優賞 (ドラマ部門):『ゴッドファーザー PART II』
- 1976年 主演男優賞 (ドラマ部門):『狼たちの午後』
- 1978年 主演男優賞 (ドラマ部門):『ボビー・デアフィールド』
- 1980年 主演男優賞 (ドラマ部門):『ジャスティス』
- 1983年 主演男優賞 (ミュージカル・コメディ部門):『喝采の陰で』
- 1984年 主演男優賞 (ドラマ部門):『スカーフェイス』
- 1990年 主演男優賞 (ドラマ部門):『シー・オブ・ラブ』
- 1991年 主演男優賞 (ドラマ部門):『ゴッドファーザー PART III』
- 1991年 助演男優賞:『ディック・トレイシー』
- 1993年 助演男優賞:『摩天楼を夢みて』
- 2014年 ミニシリーズ・テレビ映画演技賞:『Phil Spector』
ニューヨーク映画批評家協会賞
ナショナル・ボード・オブ・レビュー
ヴェネツィア国際映画祭
エミー賞
- 受賞
- 2004年 主演男優賞 (ミニシリーズ・テレビ映画部門):『エンジェルス・イン・アメリカ』
- 2010年 主演男優賞 (ミニシリーズ・テレビ映画部門):『死を処方する男 ジャック・ケヴォーキアンの真実』
- ノミネート
- 2013年 主演男優賞 (ミニシリーズ・テレビ映画部門):『Phil Spector』
トニー賞
- 受賞
- 1969年 助演男優賞 (演劇部門):『Does a Tiger Wear a Necktie?』
- 1977年 主演男優賞 (演劇部門):『The Basic Training of Pavlo Hummel』
- ノミネート
- 2011年 主演男優賞 (演劇部門):『The Merchant of Venice』
AFI賞
- 受賞
- 2007年 生涯功労賞
脚注
外部リンク
テンプレート:Normdatenテンプレート:Link GA- ↑ 榊原郁恵のシングル「アル・パシーノ+(たす)アラン・ドロン<(より)あなた」は、1977年発売。
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ Grobel; p. xix
- ↑ テンプレート:Cite book
- ↑ 5.0 5.1 テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ Then Again, Diane Keaton's autobiography, 2011.
- ↑ テンプレート:Cite web
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