真田志郎

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テンプレート:Pathnav 真田 志郎(さなだ しろう)は、アニメ宇宙戦艦ヤマトシリーズ』の登場人物。声優青野武、『宇宙戦艦ヤマト2199』では大塚芳忠、実写映画版『SPACE BATTLESHIP ヤマト』での俳優は柳葉敏郎

概要

宇宙戦艦ヤマト工場長兼技師長。『宇宙戦艦ヤマトIII』及び『宇宙戦艦ヤマト2199』では副長も兼任する。2171年生まれ。シリーズを通して様々な場面で名参謀ぶりを発揮する。

宇宙戦艦ヤマト

小学生の時、家族で遊びに行った遊園地での事故で、姉の命と自らの手足を失う(補償があったか否かは描写されていないので不明)。以来、彼にとって科学は屈服させるべき傲慢な敵となり(もっとも、「やはり科学ってヤツは素晴らしい、恨むのはやめにした」と後に自ら言っている)、絵画好きの少年は長じて科学畑のプロになった。ビス一本抜くだけで取り外し可能な義手義足には曰く「切り札」の爆弾を組み込んでおり、腕のジョイントから現れるプルスイッチ(白い紐)で起爆出来る。

宇宙戦士訓練学校を経て、地球防衛軍の技術士官となる。古代進の兄、古代守と同期で親友、後には守の弟である進を本当の弟のように思い、彼を公私にわたって手助けする。地球艦隊にとって最終決戦である冥王星会戦の時は富士山麓の地球防衛艦隊基地・第三ドックの技術長を務めていた。古代守が艦長のミサイル艦「ゆきかぜ」を整備したが、この時同艦に地球への帰還性能を保証できなかったと悔やみ、後に古代進にそのことを謝罪した。このシーンは後に、イスカンダルで古代守が生存していた事を知らされ、「古代守が生きていたって!?」と喜び勇んで艦長室に駆け付けて来る場面に繋がる。普段沈着冷静な彼には珍しく、親友の無事に驚きかつその喜びを全面に出したシーンであった。

イスカンダルへ向かう航海では、ヤマトの工場長に就任。科学技術全般に精通していて、波動エンジンを活用した新兵器である波動砲の開発をはじめ、アストロバイク、シームレス戦闘機、空間磁力メッキ等、色々なものを密かに開発した。また、ガミラス冥王星基地反射衛星砲破壊工作隊指揮、アステロイドシップ計画、デスラー機雷排除、無人宇宙要塞爆破、ドリルミサイル逆転、そしてイスカンダルのスターシアより部品の形で受領したコスモクリーナーDの艦内最終組立てなど、多くの場面でその類稀な独創力と行動力を発揮しヤマトをたびたび危機から救った。

なお、一見年長者風ではあるが意外に若く、当時まだ28歳であった。

さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち

地球防衛軍科学局に勤務。古代進が持ち帰った謎のメッセージを解析、接近中の白色彗星との関連を危惧して古代と共に防衛会議で調査・救済を提案するが却下され、古代と共に旧乗組員に呼びかけて廃艦処分となったヤマトで旅立つ。この作品内ではヤマトの「元技師長」と自称している。

白色彗星帝国に侵入しての決戦で、艦長である古代をヤマトに帰還させ、自らは斉藤始と共に動力炉へ辿り着き、斎藤に庇われながら爆弾を仕掛ける。最後は無数の銃弾を受けて立往生した斎藤の亡骸を抱え、点火スイッチを押して任務完遂、動力炉と運命を共にした。死地に赴くにあたって古代に向かって「(古代を)実の弟のように思っていた」旨の台詞があるが、これは真田が古代の兄・古代守と親友であったことに端を発した台詞である。

宇宙戦艦ヤマト2

地球防衛軍科学局局長。全自動化された最新鋭の宇宙戦艦アンドロメダを始めとする地球防衛軍の新型宇宙艦艇に対し、戦いは人間がするものとの考えから、戦艦ではなく戦闘マシーンと呼び、この船では敵に勝てないと続けたが、実際、白色彗星の前ではアンドロメダを含む新型宇宙艦艇は歯が立たなかった。

白色彗星観測とメッセージ解析は『さらば』とほぼ同様であるが、本作では改造途中のヤマト発進へとはやる古代を「俺たちだけでヤマトは動かせんぞ」と抑えて冷静な判断をするよう落着かせる役回りであり、シリーズを通じて艦長代理の古代を補佐し精神的に導いている。

主砲をはじめとするヤマトの装備をチューンナップしていたが、戦争のために新兵器が役に立つことには複雑な心境をのぞかせる。

都市帝国での戦いでは、義肢である左脚を撃ち抜かれて(撃たれたのが関節部だったため義足の仕込み爆弾は爆発していない)動力炉までは同行せず、コスモガンで敵と銃撃戦展開して食い止めつつ、古代と斉藤に動力部の爆破を指示して、最後は古代と共にヤマトへ生還したため、「弟」云々の台詞はなくなった (代わりに斉藤が、自分より年下の古代を兄貴のように思っていたとの趣旨の台詞を吐いている)。古代にデスラーにならって、地球が星としての機能を停止してしまうとしても何としてでも生き延びるべきだと語り、古代に負ぶってもらい救命艇でヤマトを退艦する。

『さらば』と本作ではデスラーの語る白色彗星の弱点に変更があったため (『さらば』では「渦の中心核」、本作では「都市帝国の真上と真下」)、弱点を探す役目だった真田のセリフも変更された。

宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち

ガミラス星の爆発の影響で暴走したイスカンダルを救助するために出航したヤマトに乗り組み、親友である古代守に、イスカンダルを脱出するよう必死に呼びかけた。

また、真田がコスモタイガーIIを駆って出撃し、大ピンチに陥った古代守を援護する場面があったが、これはテレビ放映時にはカットされた。 この時には、実質的にヤマト副長の地位を確立しつつあった。

ヤマトよ永遠に

地球防衛軍司令長官藤堂平九郎の命により、小惑星イカルス天文台にて秘かにヤマトを保管・改造する一方、宇宙戦士訓練学校校長山南の下で生徒の訓練に務めていた。暗黒星団帝国との戦いでは敵の謎の超大型ミサイルをハイペロン爆弾と見破り、起爆装置は敵母星にあると推測した。

また、古代守とスターシャの娘サーシャを姪の真田澪として預かり教育していた。このため、サーシャに対しては自身の娘のような感情を抱いている。この作品前半で、サーシャの実父かつ自分の長年の親友であった守が藤堂を救うために殉職したことを知らされるが、それについての真田の想いはあまり描かれていない。

デザリアム本星攻撃の際、サーシャがデザリアムに残っていることで新波動砲の発射を躊躇している古代進を怒鳴りつける一方、たった1年だが親代わりにサーシャを育てた自身にも耐え難い葛藤があることを吐露している。

宇宙戦艦ヤマトIII

航海班長島大介と共にヤマトの副長に任命され、艦長となった古代を補佐して「第二の地球探し」に努める。

アルファ星でのダゴン艦隊の襲撃に際し、古代艦長・島副長の両名以下の主要な乗組員が不在であるなか、生活班・工作班などを指揮してヤマトを死守した。

次元潜航艇との戦闘時、巨大な亜空間ソナーを24時間以下で組み立てた。その後ガルマン・ガミラス東部方面軍移動要塞に捕獲された際、周囲の壁面に施されていたメッキ状の物質を、一見で反重力メッキの類と看破し、要塞からの脱出が不可能に等しい事を悟る。

ガルマン・ガミラス帝国フラウスキー少佐とともに太陽核融合異常増進を制御に向かうが、失敗。自決しようとするフラウスキーに翻意を促そうとしたが、フラウスキーは真田と部下を脱出させた後、船ごと太陽に突入した。

シャルバート星の神殿地下に封印された超兵器類を一見しただけで、シャルバート人の科学力が非常に卓越したものである事を理解した。

宇宙戦艦ヤマト 完結編

ディンギルの最終兵器「ハイパー放射ミサイル」に対し、防御装置を開発。見事ヤマトの危機を救う。都市衛星ウルクでの戦いでは、考古学の知識を活用し「古い地球文明を受け継いでいるなら都市神殿を中心に構成されている」と進言し、敵中枢部の位置を特定する。

都市衛星ウルクからの脱出時に、航海班長の島が直前の戦いで負傷していたことが明らかになった際には、沖田艦長から島に代わって操艦するよう命じられる(ただし、この際、島は交代を拒否し、後の劇中では島に代わってアナライザーが操艦している)。このことから、ヤマトの操艦技術をも有していることが推測される。

宇宙戦艦ヤマト 復活篇

地球連邦科学局長官。史上初の移動性ブラックホールを観測。地球を飲み込む事が確実になったことにより開始された人類移民計画を進める。第3次移民船団護衛のために、宇宙戦艦ヤマトを復活させ、古代進をヤマト艦長・第3次移民船団指令に任命する。

地球から脱出せず、科学者として地球の最期を見届けようとする。終盤では、英雄の丘にて沖田の像に敬礼し、その後発進していくヤマトを見て口元に笑みを見せた。

ヤマトの六連発のトランディッション・波動砲のエネルギーを一度に発射したらどうなるかなど、それに対するセキュリティロックをかけ、計算したらロックが解けるようするなど、先見の明は衰えていない。

宇宙戦艦ヤマト2199

MITを主席で卒業し、その後宇宙防衛大学に進学。卒業後国連宇宙軍に志願、作戦部9課に所属し「ヤマト計画」の中枢に関わる。29歳。身長180cm。

ヤマトにおける役職は技術長兼副長、階級は三佐(三等宙佐)。沖田の懐刀であり、科学解析・情報分析・開発・工作を統括するほか、沖田が持病の悪化等で艦の指揮を取れなくなった際は、代理で臨時に指揮を執る。第一艦橋の席が太田と入れ替わり(前方の窓から見てより奥になった)、『復活篇』と同様の並びになっている。

科学的な面では極めて優秀であり、敵や事象の分析・解析等に多大な功績を挙げている。反面、戦闘指揮は不慣れであり、対次元潜航艦戦や対ドメル艦隊戦において臨時指揮を執った際は、いずれも敵の罠に嵌ってしまっている。

「無駄なカロリー摂取は愚かな行為」と言い、食事もカロリーメイトのようなもので済ませている。

『宇宙戦艦ヤマト』(以下、旧作)以上に冷静沈着で、感情を表に出すことが少なく、古代からは「コンピューター人間」と評された。口数も少なく新見に自分の意思を代弁させることもある。しかし、中原中也の詩集を読む、岬百合亜のラジオに寓意あふれる幻想小説の朗読をリクエストする、対次元潜航艦戦では古代の熱意(それに守への引け目)に押されて独断専行を許すなど、単なる知性派ではない深い情の持ち主でもある。

先述の通り、艦内ラジオ「YRAラジオヤマト」のリスナーであり、ラジオネームシロシンタ」を使用して、「文学館」のコーナーに21世紀末の名作文学の「観測員9号の心」をリクエストしている。なお、聴取には木製のアナログラジオ風のモノを使用している。

科学的な会話に夢中になることがあり、ユリーシャに憑依された百合亜に波動砲の原理について尋ねられた際には熱心に応えていたが、彼女の髪型や言動が変わっていたこと(特にそのタメ口ぶり)には全く気付いていなかった。

第9話でのオルタの事件の際には、オートマタであるオルタを「機械に心はない」と断言して破壊しようとする伊東に対し、「オートマタの処理系統に人間と同じ意識が芽生えないと証明する方法はない」と言った。伊東からオルタに心があると思っているのかと聞かれた際には、「私には君に心があるのかどうかさえ分からない」と返している。

第1話で土方竜から「古代は残念だった」と言われている。また、第4話でエンケラドゥスの氷原に横たわるユキカゼに敬礼をしていたり、第5話で古代にユキカゼの生存者について再度確認していたり等、ユキカゼの事を気にしている描写が存在する。

実は古代守と宇宙防衛大学からの親友であり、中原中也の詩集も彼から譲り受けたものである。メ号作戦が陽動であることを知っていながら、極秘であったためそのことを守に告げることができず、ずっと悔やんでいた。亜空間ゲートのシステム衛星を再起動する際に大量の中性子が放出されることを知って進と雪を制御区画から閉め出した時に、そのことを進に告げ、罪滅ぼしも兼ねて自分一人だけ犠牲になろうとする。システム衛星が再起動し中性子が放出され、真田の生存は絶望的と思われたが、真田は進の言葉で考えを変えて、中性子を通しにくい水の中に潜り九死に一生を得た。ヤマトに戻った後、詩集を兄の形見として進に渡そうとしたが、進は遠慮し再び譲り受けることになる。

七色星団海戦では第三艦橋のコンバーターが損傷して波動防壁の展開が不可能になったた際、復旧作業のため第三艦橋に移動、第一艦橋には交代要員の桐生が着く。海戦終盤、ドメルはヤマト艦底部に取りつき自爆するが、真田は直前にコンバーターの修理を完了させ、間一髪で波動防壁の展開が間に合ったため、ヤマトは撃沈を免れた。また、特殊削岩弾が波動砲口に侵入してきた際は、第三艦橋で復旧作業に務める自身に代わって、営倉にいる新見に対処させるよう沖田に意見具申した。

第26話では、コスモリバースの波動パターンがイスカンダルの科学力によって保存された古代守の記憶であると推測し、艦内に出没する幽霊もコスモリバースシステムそのものとなった古代守本人であるとも推測する。この際、イスカンダルの科学力に対して「『十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない』か」と評した。

コミック版
ヤマトの波動エンジンの始動に必要不可欠な大電力の調達にあたって、世界中から電力を集めるのに役立つ案を出すなどの活躍を見せている。また、赤道祭において乗組員の地球にいる家族・知人との交信を沖田に進言した人物は、新見ではなく真田ということになっている。その赤道祭に真田は参加していないが、太田からコスプレ用品としてウルトラマンに似たお面が渡されている。

その他

  • 各種媒体で「こんなこともあろうかと」という台詞が多用されているが、これはパート2の第10話「危機突破!吠えろ波動砲」で何の伏線もなくヤマトのエネルギーを回復させた時の台詞、「たぶんこんなこともあろうと思って、アステロイドリングにエネルギー吸収装置を仕掛けておいた」に由来している。なお、『こんなことも~』という台詞は、実際には全シリーズを通じてこれ一度のみである。『宇宙戦艦ヤマト2199』の小説版では、終盤で「こんなこともあろうかと」の台詞が登場する。
  • 新兵器やアイテムの開発の際にはテストなしに、というより時に開発していたという説明もなくいきなり実戦投入している。空間磁力メッキは何の伏線もなく登場し、波動カートリッジ弾は「まだテストしていない」といいながらゴルバ型要塞でいきなり使用、対ハイパー放射ミサイル艦首ビーム砲では「テストは?」と聞いた古代進に「そんな暇あるか」と間髪入れずに返答している。ただし、パート1の最終話で森雪がコスモクリーナーDを始動させる際に「まだ試運転もしていない」と一度は制止している。
  • 新米俵太、板東平次といった新人の部下は登場したものの、全シリーズを通して固定された副班長が一度も登場しなかった部署は彼の受け持つ技術班だけである。
  • シリーズ全体を通じて、彼のロマンス、ないし恋愛感情についての明確な描写は皆無である。
  • ヤマト乗組員の命名(特に苗字)は、戦国武将や幕末の人物、新撰組隊士など歴史上の人物をモデルに採ったものが多く、彼の苗字も武将の真田氏真田幸村)をモデルとしている。
  • 初期設定では49歳であり、科学万能主義で人より機械を信じる性格だった。また、航海途中で反乱を起こす予定だったが、スタッフが徳川と間違えたため、反乱の首謀者ではなくなる(宇宙戦艦ヤマト#未使用設定参照)。
  • アニメ版本編中の名前は「真田志郎」となっているが、豊田有恒原案・石津嵐作の小説版『宇宙戦艦ヤマト』では、名前は「真田佐助」となっている(これは『真田十勇士』に登場する幸村の家来である「猿飛佐助」の名を真田姓に付けたものである)。「真田佐助」は、後のテレビ・映画作品と同様に「ヤマト技師長」の立場であるが、性格は全く正反対の「傲慢で科学第一主義者、人間より科学を信じる」人物として描かれている(1977年7月発売の映画版『宇宙戦艦ヤマト』の劇場公開と合わせて発売された、主題歌とドラマの一部を収録したLPレコード盤『宇宙戦艦ヤマト』での人物紹介でも名前、性格とも豊田・石津版小説と同様になっている)。
  • 『宇宙戦艦ヤマト2199』では真田に細いながらも眉が描かれているが、それ以前のシリーズでは眉が描かれたことは一度しかない。
  • 劇場版第一作の字幕などでは「真田志」の表示が見られることがある(ゲームPS、PS2では「真田志」で統一されている)。

テンプレート:宇宙戦艦ヤマトシリーズの登場人物