地球防衛軍 (宇宙戦艦ヤマト)

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地球防衛軍(ちきゅうぼうえいぐん)は『宇宙戦艦ヤマトシリーズ』に登場する架空の軍隊

概要

西暦2192年、ガミラス帝国の遊星爆弾の攻撃を受け、国際連合の元に地球防衛軍が結成される。その名称通り地球を防衛する組織であるが、防衛上の必要性から敵の母星に侵攻する敵基地攻撃・敵地攻撃能力も保有している。戦争において敵の本拠地を攻撃することは鉄則であるが「侵攻」に対しての視聴者の抵抗感から「重核子爆弾の爆発を防ぐには母星を攻撃するしかない」等の侵攻理由が設定される。

対侵略者邀撃用の宇宙艦隊として地球防衛艦隊(略して地球艦隊と呼ばれることが多い)を保有する。地球防衛艦隊も国連軍のように多数の国から成り立ち、国別に艦隊を編成したようである。その後も『宇宙戦艦ヤマト2』では 連合艦隊という呼称が使用され、『宇宙戦艦ヤマトIII』に登場する戦艦は地球連邦政府に参加する各国で独自に建造されている。

なお、漫画版や小説版によれば、先進国の中で領土が小さく比較的被害が小さかったため、地球防衛艦隊司令部が日本に設置されているとされる。初期作品の地下都市東京の地下に存在している設定となっている。「さらば宇宙戦艦ヤマト」以降の首都「メガロポリス」は旧地下都市に近い海に面した場所に敷設された。

なお、『宇宙戦艦ヤマトIII』において、相原義一に届いた緊急動員令電報の文面(文章は全てカタカナで書かれている)に発信者として「チキュウ セイカン ボウエイグン」と書かれていることから、少なくともこの時代(23世紀初頭)の組織の正式名称は「地球星間防衛軍」と思われる。

実写映画版『SPACE BATTLESHIP ヤマト』では、UNITED NATIONS of SPACE ADMINISTRATION、略してUNSAなる英称が存在し、司令部には上記の名称に加えてGENERAL HEADQUARTERSが付属している。また、軍章は現実の国際連合のそれに近いデザインである。

組織

上位組織として大統領直属の地球防衛会議が存在する。この組織が艦船の建造計画や艦隊配備等の重要事項に対する決心を行う。

シリーズ第1作から完結編まで、藤堂平九郎が司令長官を勤めた。制度上、指揮権は地球連邦大統領にあるものの、しばしば隷下の司令長官の独断で作戦を進めている。 技術局や、中央病院、宇宙戦士訓練学校などの関連組織を持つ。

防衛軍の兵員は「宇宙戦士」と呼ばれる。現実の軍隊のような階級は存在せず、指揮系統は組織内の役職によって決まっている。敬礼は右拳を左胸に当てる形式が基本だが、挙手の礼をする場合もある(答礼)。

ヤマト乗組員とそれ以外の艦および地上勤務者は制服が違うが、錨マークが入っているのは共通している。

復活篇に於いて上条了が古代に「地球防衛軍一等空佐」と名乗っていることから、西暦2220年頃には航空自衛隊のような階級制度ができていたものと思われる。

戦歴

西暦2192年に発足後、圧倒的な科学・技術力の差があるガミラス帝国の侵略に対して、約7年間に渡る防衛戦を行うも、西暦2199年8月21日、冥王星宙域にて沖田提督率いる地球防衛軍艦隊とガミラス帝国艦隊との最後の決戦が行われ、最後の地球防衛艦隊は壊滅。

敗色濃厚の中、国連宇宙局ではヤマト計画本部が発足(地球防衛軍司令長官が兼任)。選ばれた人類が脱出するためのヤマト建造も進行していた。イスカンダルからの救援のメッセージと波動エンジンの設計図供与により、地球脱出からイスカンダルへの航海へと計画は急遽変更される。

戦後、地球連邦が発足し、地球防衛軍も再建される。イスカンダルからもたらされた技術により戦闘力は飛躍的に向上した。全艦が波動エンジンを搭載、波動砲や拡散波動砲も標準装備され、ワープ航行も可能になっている。

以下は当時の艦隊編制[1]

  • 太陽系外周艦隊
    • 第1〜第7艦隊(ヤマトは第3艦隊旗艦)
  • 内惑星防衛艦隊
    • 火星・木星・土星防衛艦隊
    • 系内遊動艦隊
  • 冥王星圏防衛艦隊
  • 地球本星防衛艦隊

しかし、西暦2201年の対白色彗星帝国戦役で、バルゼー艦隊に勝利するも白色彗星により壊滅。再度多数の人員、艦艇を失う。

白色彗星帝国戦役後、対ガミラス帝国・白色彗星帝国と度重なる戦役で人員不足に陥っていた地球防衛軍は、無線コントロールによる無人艦隊を採用し再建する。西暦2202年、太陽系外から進入してきた暗黒星団帝国重核子爆弾により、各惑星基地は全滅。その後、地球本土への襲撃を受け、瞬く間に要衝が制圧され、邀撃に出た無人艦隊も黒色艦隊の奇襲を受けた上、自律制御機能を持っていなかったために、コントロールセンターが破壊されて機能を停止し壊滅する。

最終的に地球全土が占領されるが、地球防衛軍は旧地下都市の防衛軍司令部を利用し、パルチザンとして抵抗活動を続ける。

対暗黒星団帝国戦役後、再建された地球防衛艦隊の艦艇は、白色彗星帝国戦役時の巡洋艦、駆逐艦、パトロール艦(警備艇に艦種変更)が再度、就役している。 また地球連邦に所属する各国により独自色の強い戦艦が建造されている。

ボラー連邦ガルマン・ガミラス帝国の星間戦争で使用された惑星破壊プロトンミサイルの流れ弾が太陽に命中。核融合の異常増進で、人類は存亡の危機に陥る。

太陽エネルギー省による太陽の核融合の抑制が失敗に終わると大統領は、新惑星探査計画の拡大を決断、宇宙開拓省を中心に宇宙移民移本部が発足。藤堂が兼任で本部長に就任。この時点で、人類滅亡までに残された期間は約7か月となっていた。

  • 探査計画
    • アジア、アフリカ、ヨーロッパ、南/北アメリカの5州が各ブロックの探査を行う。不測の事態に備えて護衛戦艦を同行させる。移民船団の航続距離を考慮して、地球を中心に半径1万5千光年の範囲とする。
  • 移住惑星の条件
    1. 地球と同様な大気を有する。
    2. 人類生存に必要な水・植物・鉱物が豊富であること。
    3. 全人類が可及的速やかに移住できること。
    4. 気候・自然が人類に適する事、重力が地球に近い事。
    5. 母星である恒星がGか又はK型であること。
    6. 知的生命体が存在しない事。

なお、ヤマトも宇宙移民移本部に所属となり、アジア州が担当するブロック担当艦として、引き続き探索を続ける[2]。新惑星探査計画は、ボラー連邦によりアリゾナが撃沈されるなど困難を極め、移住可能な惑星を発見できずに頓挫する。

西暦2203年の対ディンギル帝国戦役ではハイパー放射ミサイルの攻撃により、月面基地に駐留していた9隻を除いて艦隊はほぼ全滅し、残存艦9隻も冥王星会戦でヤマトと冬月を残して全滅した。

その後、17年の間に再編され、数百隻規模の艦隊を保有するまでに戦力を回復する[3]。西暦2220年に移民船団護衛の任務に就くが、第一、二次移民船団についていた第1~6護衛艦隊は星間国家連合艦隊の襲撃を受け、わずかな艦艇を残して全滅する。第三次移民船団についていたヤマト率いる第7~9護衛艦隊は善戦して多数が生き残る。その後、移民船6隻を引き連れ地球への帰途についたドレットノート級2隻を除く艦隊がアマール艦隊と連合艦隊を組織し、星間国家連合艦隊及びSUS超巨大要塞との決戦に臨む[4]が、最終的にヤマトを残して全滅する。

なお、2220年時点においても旧型艦艇は現役の模様で、太陽系内における残存地球人類の救助活動に当たっている。

軍事基地・施設

地球上の基地・施設

司令本部
対ガミラス戦役時には地下都市に、以降はメガロポリスにある。
宇宙戦士訓練学校
地球防衛軍の艦艇乗組員(機関部、戦闘部、砲術部、航海部)、飛行科、技術士官の養成機関。卒業後、新乗組員養成期間を経て正式乗組員となる。
対ガミラス戦役時は土方竜が、それ以降は山南が校長を勤めている。
中央病院
佐渡酒造アナライザー森雪が平時に勤務している。
関東方面基地
  • 『宇宙戦艦ヤマト』
    宇宙戦士訓練学校を卒業後の古代守の所属基地。小学生の古代進は地下都市に家族で避難することを伝えるため、会いに行く。母の手作りの寿司を食べながら交わされた会話の中で、守は進に2度の実戦を経験したことを語り、宇宙戦士へ志願しないかと誘うが、進は首を横に振る。心優しい弟の性格を思い出した守は笑いながら、その代わりに父と母を頼むことを語る。
自宅への帰宅途中、三浦半島に落下した遊星爆弾の影響で進の乗車していた列車が横浜駅で脱線事故を起こすが、無傷であった。しかし、自宅近くのバス停に迎えに来ていた両親は死亡する。この出来事はその後の進の人生を大きく左右する(第13話)。
第三ドック
  • 『宇宙戦艦ヤマト』
    富士山麓にあり、真田志郎が技術長を勤めていた。古代守の宇宙駆逐艦ゆきかぜは、このドックで整備後、地球艦隊の最終決戦である冥王星会戦に向け出航する。
九州沖の秘密ドック
  • 『宇宙戦艦ヤマト』
    254年前に沈没した戦艦大和の真下に作られ、大和をヤマトへ改造した。
英雄の丘
戦死した宇宙戦士たちを慰霊・顕彰するための記念施設。ヤマト初代艦長沖田十三の像と、戦没者の名が刻まれた石碑がある。首都メガロポリスを見下ろす高台にある。
  • 『さらば宇宙戦艦ヤマト』・『宇宙戦艦ヤマト2』
冒頭で、沖田艦長の命日に地球にいる旧ヤマト乗組員が集合し、近況を語り合っていた。訓練航海を終えて地球へ帰還するアンドロメダが英雄の丘の頭上を通過した際には一人の乗組員(恐らく太田)が「バカヤロー」と叫ぶ姿が見られた。
  • 『宇宙戦艦ヤマト-新たなる旅立ち-』
    白色彗星帝国との戦いで死んでいった徳川彦左衛門加藤三郎山本明空間騎兵隊斉藤始のレリーフが加えられていた。
    冒頭で、徳川太助が亡き父である彦左衛門にヤマト配属を志願した事を報告に来ていた。
  • 『ヤマトよ永遠に』
    暗黒星団帝国の奇襲を受け、焦土と化した地球を救うべく、旧ヤマト乗組員たちがこの地に集まってきた。この際、防衛軍司令部で通信を担当していた相原義一が背負い式の通信機を持ってきたことで、イカルス天文台の真田と連絡をとることが出来た。
技術局
  • 『さらば宇宙戦艦ヤマト』・『宇宙戦艦ヤマト2』
    真田志郎が勤務している(『さらば宇宙戦艦ヤマト』では局員、『宇宙戦艦ヤマト2』では局長)。
海底ドック
  • 『さらば宇宙戦艦ヤマト』・『宇宙戦艦ヤマト2』
    ヤマトが入渠していた。
無人艦隊コントロールセンター
暗黒星団帝国の地球侵攻軍の攻撃により破壊される。コントロールセンターの喪失により、制御不能となった無人艦隊も壊滅する。
日本アルプスの秘密ドック
  • 宇宙戦艦ヤマトIII
    ヤマトを第二の地球探しの特務艦として改造した。ドック正面が大きな雪原になっており、ヤマトはそこを滑走して発進した。

地球以外の基地・施設

テンプレート:Main

  • 月面基地(『さらば宇宙戦艦ヤマト』、『宇宙戦艦ヤマト2』)
  • 火星基地(『宇宙戦艦ヤマト』、『宇宙戦艦ヤマトIII』)
  • アステロイドベルト基地(『宇宙戦艦ヤマトIII』)
  • 木星空域
  • 土星空域
    • タイタン基地(「土星基地」とも呼ばれる)(『宇宙戦艦ヤマト2』)
  • 天王星基地(『宇宙戦艦ヤマト2』)
  • 海王星基地(『宇宙戦艦ヤマト2』)
  • 冥王星基地(『宇宙戦艦ヤマト2』)
  • 第11番惑星基地(『宇宙戦艦ヤマト2』、『宇宙戦艦ヤマトIII』)
  • アルファケンタウルス第4惑星基地(『宇宙戦艦ヤマトIII』)

艦船

艦形名称のみ記載。固有艦名があっても同型艦は除外(ネメシス、冬月等)。

波動エンジン非搭載艦

戦艦(波動エンジン非搭載)

駆逐艦(波動エンジン非搭載)

波動エンジン搭載艦

戦艦

  • ヤマト(全作品)
  • アンドロメダ級(『さらば宇宙戦艦ヤマト』、『宇宙戦艦ヤマト2』、『宇宙戦艦ヤマト復活篇(DC版)』)
  • 主力戦艦(『さらば宇宙戦艦ヤマト』、『宇宙戦艦ヤマト2』)
  • アリゾナ級(『宇宙戦艦ヤマトIII』、『宇宙戦艦ヤマト復活篇(DC版)』)
  • プリンス・オブ・ウェールズ(『宇宙戦艦ヤマトIII』)
  • ビスマルク(『宇宙戦艦ヤマトIII』)
  • ノーウィック(『宇宙戦艦ヤマトIII』)
  • 戦艦(『宇宙戦艦ヤマト完結編』)
  • スーパーアンドロメダ級戦艦(『宇宙戦艦ヤマト復活篇』)
  • ドレットノート級主力戦艦(『宇宙戦艦ヤマト復活篇』)

空母

  • 地球側空母(『宇宙戦艦ヤマト2』)
  • 宇宙空母ブルーノア(『宇宙戦艦ヤマト復活篇』)

巡洋艦

  • 巡洋艦(『さらば宇宙戦艦ヤマト』、『宇宙戦艦ヤマト2・III』)
  • パトロール艦(『さらば宇宙戦艦ヤマト』、『宇宙戦艦ヤマト2・III』、『宇宙戦艦ヤマト復活篇(DC版)』)
  • 巡洋艦(『宇宙戦艦ヤマト 完結編』)

駆逐艦

  • 波動砲搭載艦
    • 護衛艦(『さらば宇宙戦艦ヤマト』、『宇宙戦艦ヤマト2』)
  • 波動砲非搭載艦
    • 駆逐艦(『さらば宇宙戦艦ヤマト』、『宇宙戦艦ヤマト2・III』)
    • 駆逐艦(『宇宙戦艦ヤマト 完結編』)

無人艦

輸送船・特殊艦船

航空機・宇宙艇

陸上兵器・地上部隊

衛星兵器

兵器・関連技術

プレイステーション2用ゲームソフト

艦船(ゲーム)

航空機・宇宙艇(ゲーム)

『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』以降の防衛軍

地球連邦の結成に伴い、地球連邦軍となっている。

ヤマトの名を継ぐ戦艦が地球の象徴とされているのが、OVA『YAMATO2520』劇中で確認されている。

『宇宙戦艦ヤマト2199』における防衛軍

第一作(以下、「旧作」)のリメイクである『宇宙戦艦ヤマト2199』では、国連の元に国連統合軍が存在している[5]。国連統合軍には、国連宇宙軍(英称:UNITED NATIONS COSMO FORCE〈略称:UNCF〉)と国連地上軍の2種類が存在している。さらに国連宇宙軍の傘下には、国連宇宙海軍(英称:UNITED NATIONS COSMO NAVY〈略称:UNCN〉)が存在しているが、劇中ではヤマトの映写ルームの壁にUNCFとCOSMO NAVYと表記される等、両軍の組織としての境界線は曖昧になっている。

また、本作ではガミラス来襲に際して結成されたものではなく、ガミラス来襲以前から存在している。

組織(2199)

極東管区における国連宇宙軍の作戦名や階級の呼称や用語などに、海上自衛隊のそれに準えた設定が追加されている。また、敬礼は海上自衛隊と同じ、右肘を体から大きく伸ばさずに右手を斜めに立てる様式に改められている。

制服はヤマト乗組員とそれ以外の一般将兵とでは艦長職の人間を除いて区別されており[6]、一般将兵は青や茶、緑を基調とする制服を着用している[7]。ヤマトに乗艦する以前の古代進を含む面々もこれらの制服を着用しており、ヤマトに乗艦してから新たな制服へ着替えている。

復活篇同様「宙将(提督)」「一等宙尉」などの階級が設定されており、肩章で見分ける。

階級区分
区分 将官 佐官 尉官 准士官
階級 司令長官たる宙将 宙将 一等宙佐 二等宙佐 三等宙佐 一等宙尉 二等宙尉 三等宙尉 准宙尉 宙曹宙士長 宙士
階級章</br>(肩章)

上記の階級章は基本的にヤマトのものであるが、ヤマト以外では佐官や尉官に銀線、准士官や下士官に線なしの場合もある。

部署・部隊(2199)

幕僚監部作戦部9課
真田志郎と森雪がヤマト乗艦以前に所属していた部署。ヤマト計画を立案し、中枢を担った。
戦略作戦部6課
藤堂行政長官直属の部署。星名透が所属しており、ヤマト艦内のイズモ計画派の動向を内定するためにヤマト保安部へ送り込まれた。
情報部
伊東真也と新見薫がヤマト乗艦以前に所属していた部署。ヤマトの保安部は情報部出身者が多い。
第一艦隊
国連宇宙海軍・連合宇宙艦隊所属の艦隊。旗艦は金剛型宇宙戦艦キリシマ。メ号作戦に辺り集結された艦隊で、以前の所属により艦隊のカラーリングが異なっている。メ号作戦に出撃する際は30隻以上が確認できるが、冥王星宙域でメ号作戦に臨んだのは22隻であり、他の艦は冥王星にたどり着く前に脱落した模様。
第7航宙団空間戦術科
古代進がヤマト乗艦以前に所属していた部隊。
第101航宙挺団航宙運用科
島大介がヤマト乗艦以前に所属していた部隊。
第7航空団第810飛行隊
加藤三郎がヤマト乗艦以前に所属していた飛行隊。
第343航空団第4偵察飛行隊
山本明生が所属していた飛行隊。
空間海兵隊
劇中には登場しない。ヤマト以前の艦艇には保安部が設置されておらず、艦内の保安は海兵隊が担っていた。

技術(2199)

旧作同様ガミラスに対して劣っているが、兵器に関しては8年に亘る戦争の中で独自に技術向上を為しており、2199年時点では三式融合弾や空間魚雷[8]など、ガミラス艦に有効なダメージを与えることが可能な兵器を有しているほか、2199年に制式化されたコスモファルコンや2200年に制式化予定のコスモゼロはガミラス航空機に対して互角の性能を有している。

一方で、推進機関技術に関しては2199年時点でもガミラスに対して大きく遅れているのが実情で、ヤマト以前の旧型艦は速力・機動性ともにガミラス艦に大きく劣っている。また、ショックカノンはガミラス艦に対して有効な兵器にも関わらず、旧型艦には機関の出力不足の問題から1門しか搭載できない上に連射もできないなど、機関技術の遅れが他部門の大きな制約となっている点が多くあった。

しかし、イスカンダルから技術供与された次元波動エンジンにより、推進機関に関するガミラスとの技術格差はなくなり、波動エンジンを搭載したヤマトは、射撃機構に波動エネルギーを組み込み小型化を実現することでショックカノンを多数搭載し、さらにエンジンの高出力により連続射撃も可能になっている。また、波動エンジンの基礎となっている次元波動理論を応用することで、ガミラス艦に対して大きな優位性を得ることが可能な、「波動砲」という武器と「波動防壁」という盾を手にしている。

地球の最新技術やイスカンダルの技術を盛り込んで建造されたヤマトは、攻防速いずれにおいても旧型艦を圧倒する性能を持ち、ガミラス艦相手にも十分に渡り合うことができる。

通信技術に関しては旧作同様ガミラスに大きく遅れており、地球と太陽系内との超空間通信は可能であるが、ヤマトがヘリオポーズを超えて太陽系外へ出て以降は通信不能になっている。しかし、終盤では開発中の超空間リレーにより、地球と太陽系外との超空間通信も一応は可能となった。また、ガミラスの通信がモニターに画像が映る通信や立体通信が全てカラー映像となっているのとは対照的に、メ号作戦でのキリシマとユキカゼの通信でモニターに映っているのは白黒映像な上、ノイズも入っている[9]。これはガミラスとのファーストコンタクト時におけるキリシマやムラサメと地球との通信でも同様であるが、ヘリオポーズ付近におけるヤマトと地球との通信にはカラー映像となっていたところから、ヤマトの通信機には何らかの改良が施されている模様。

慣性制御技術はガミラス来襲以前から有していた模様[10]で、キリシマやユキカゼなどはスラスターをほとんど吹かさずに地表からの垂直離着陸が可能だが、艦内に人工重力を発生させるまでには至っておらず、宇宙空間を航行中の艦内は無重力状態のため、乗組員は磁力靴を履いて体を固定している。ヤマトは艦内に人工重力を発生させることが可能となっており、艦内は地球上とほぼ同じ環境になっている。

なお、旧地球艦艇はガミラス艦に比べサイズが一回り小さく、ヤマト進宙以前の基準ではガミラス重巡洋艦を「戦艦」と識別している。

戦歴(2199)

西暦2191年4月1日、天王星の監視ステーションが太陽系に侵入してくる異性文明の宇宙船と思わしき存在(ガミラス艦隊)を映像で捉える。これを受け、国連宇宙軍は内惑星艦隊を召集し、史上初の太陽系外からの敵に対する防衛行動に出る。

冥王星軌道においてガミラス艦隊と最初に接触したのは、沖田十三率いる日本艦隊だったが、地球側のあらゆる呼びかけに全く応答しないガミラス艦隊へ中央司令部は先制攻撃を決定し、軍務局長の芹沢が日本艦隊に命令する。沖田は「人類初の異性文明との接触。(攻撃は)性急にすぎる」として攻撃命令を拒否するが、芹沢は沖田を解任し、先遣艦を務めていた巡洋艦ムラサメに攻撃を直接指示する。その後、ムラサメはガミラス艦隊との交戦で撃沈。さらにその後の交戦により、地球側は艦隊の8割を喪失するという大敗北を迎える。この一連のファーストコンタクトより、地球・ガミラス間に戦争が勃発するが、地球側は先制攻撃に関して緘口令を敷き、ガミラスのことを卑劣な侵略者と報道した上で徹底抗戦を唱える[11]

開戦後、ガミラスは瞬く間に外惑星系の制宙権を掌握し、内惑星系へ侵攻してくる。国連宇宙軍は艦隊を再編し、アステロイドベルトに絶対防衛線を敷く[12]が、これも突破され、開戦からわずか2年近くで火星軌道付近まで侵攻してくる。

2193年、国連宇宙軍は火星を絶対防衛線とし、艦隊を集結させ「カ号作戦」を発動。物量をもってガミラス艦隊を押し返そうとするが、逆に大損害を受ける。その後、陽電子衝撃砲を搭載した村雨型が補充され、国連宇宙軍は次なる反抗作戦「カ2号作戦」を立案し、第二次火星沖海戦が勃発する[13]。進撃してくるガミラス艦隊を囮の艦隊で陽動し、デブリ群に隠れていた艦隊が陽電子衝撃砲による集中砲火を加え、辛うじてガミラス艦隊を食い止めることに成功する。これが地球側の唯一の「勝利」となるが、地球艦隊も多大な犠牲を出し事実上壊滅してしまう。

海戦後、ガミラスは艦隊による直接攻撃を控え、冥王星基地から遊星爆弾によるロングレンジ爆撃に戦略を切り替える[14]。地球の地表は遊星爆弾により瞬く間に壊滅するが、人類は内惑星戦争時に建設された地下シェルターを改造した地下都市へ逃れ、開戦から8年の歳月を辛くも生き延びる[15]

戦争中、地球では地球脱出計画が進行していたが、2198年にイスカンダルから次元波動エンジンの技術供与を受けたことにより、極東管区で進められていた「イズモ計画」が、イスカンダルへ汚染浄化システムの受け取りに行く航海を目的とした「ヤマト計画」に転換される。

2198年12月25日[16]、極東管区所属の第一艦隊が、陽動によるイスカンダルからの2人目の使者「コードネーム:アマテラス」の太陽系進入の支援を目的とした「メ号作戦」[17]のために出撃。2199年1月17日[16]、冥王星宙域に到達した第一艦隊はガミラス艦隊と交戦。艦隊は旗艦キリシマを残して全滅するが、陽動作戦自体は成功する。

キリシマの地球帰還後、「ヤマト計画」が発令され、2199年2月12日、宇宙戦艦ヤマトが地球を抜錨。木星圏での戦闘や「メ2号作戦」により、太陽系内のガミラス戦力は壊滅し、地球への遊星爆弾攻撃も止む。

軍事基地・施設(2199)

国連宇宙軍極東管区司令部
極東管区に所属する宇宙軍の司令部。
ヤマト特設ドック
坊の岬沖に存在するドック。元は地下都市と連結した海底造船ドックの跡地。ヤマト発進後は再び廃墟になった模様。
近くには地下シェルターも存在し、ガミラスが来襲した際にはヤマトの本来の責任者候補が避難したが、ポルメリア級のレーザーで破壊され、責任者候補全員が死亡した。
富士宇宙港
富士山の麓に位置する宇宙港。ガミラス艦隊が最初に観測された際、キリシマをはじめとする日本艦隊が出撃した。2198年時点では地下ドックが使用されており、国連宇宙海軍第一艦隊がメ号作戦へ出撃した。
宇宙防衛大学
古代守、真田志郎、新見薫が通っていた大学。
航宙軍士官候補生学校
古代進と島大介が通っていた学校。
地下都市内格納庫
地下都市に存在する格納庫。地表からはほど近い深さに位置する。コスモゼロの試験機が駐留されており、空襲警報が出た際、古代と島が無断で発進させた。
兵員輸送ターミナル
ヤマトクルーがヤマト特設ドックに向かう兵員輸送車へ乗り込むため、立ち寄ったターミナル。島次郎がここで兄に航宙安全お守りを渡した。

艦船(2199)

戦艦(2199)

巡洋艦(2199)

駆逐艦(2199)

航空機・宇宙艇(2199)

兵器・関連技術(2199)

  • 次元波動超弦跳躍機関(次元波動エンジン)
  • 次元波動爆縮放射機(波動砲)
  • 次元波動振幅防御壁(波動防壁)
  • 陽電子衝撃砲(ショックカノン)
  • 三式融合弾
  • 光線砲
    • 高圧増幅光線砲
      • ヤマト以前の地球艦艇の主兵装。緑色の光線を発射する。小説版の描写によると、ショックカノンが開発されるまでは地球最強だった兵器であり、ガミラスとの遭遇以前は、村雨型巡洋艦に搭載されているものでも6門の斉射で敵艦の轟沈を確信できるほどであった。しかし、ガミラス艦の装甲に対しては完全に威力不足で、傷一つすらつけられずに弾かれてしまう[18]
    • 速射光線砲
      • 対空迎撃に使用される砲。高周波をかけられたガスを熱電子でプラズマ化し、超伝導リニアで誘導して発射する。光弾の色は赤。戦艦キリシマに装備されている対宙機銃[19]も同一原理であり、小説版の表現では毎分千発の速射性能を持っている。また、航空機の機銃もほぼ同一原理である模様で、ガミラス航空機・ミサイルに対しても有効であった。
  • 空間魚形宙雷(空間魚雷)
    • 大量の高性能炸薬を搭載したロケット推進弾。ビームより弾速に劣るが破壊力は大きい。ミサイルとの明確な違いは不明だが、概ね劇中では艦に対し水平方向へ発射するものを「魚雷」、垂直方向へ発射するものを「ミサイル」と呼称しているのが確認できる[20]
  • 超空間通信
  • 慣性制御
  • 亜空間ソナー

脚注・出典

  1. 『[宇宙戦艦ヤマト2』より。
  2. 『宇宙戦艦ヤマトIII』第12話より。
  3. アマールに到着した古代が地球へ送った現況を伝えるメッセージの中で、第三次移民船団の護衛艦の生還数を162隻と言っている。
  4. 護衛艦隊司令である古代の決断であり、防衛軍司令部が関知していたかは不明。
  5. 『「ヤマト計画」記録集』P115より。
  6. ヤマトの制服は「艦内常装」であるが、他の艦は艦内外ともに同じ制服を着用している(一部の人物はスカーフの有無等の違いがある)。
  7. 余談であるが、軍関係者以外ではミレーネル・リンケがミーゼラ・セレステラの命を受けてヤマトの乗組員へ精神攻撃を加えた際、青い制服姿で軍関係者に成りすましていた。
  8. ガミラス艦の装甲に施されている帯磁性特殊加工(ミゴウェザー・コーティング)を解析し、それを散らして装甲に直接打撃を与える二重構造をした弾頭をもつ魚雷を開発した。メ号作戦において試作型がユキカゼに搭載され、小型ながら2発でクリピテラ級を撃沈する戦果を上げている。
  9. 小説版では、ガミラス側の電波妨害によるものということになっている。
  10. 第六章劇場パンフレットP18、19の宇宙コラムや「公式設定資料集[Earth<アース>]」でその存在が語られている。
  11. 第四章劇場パンフレットP16より。
  12. 第11話の公報映像より。
  13. 『「ヤマト計画」記録集』P110より。また、第17話劇中の回想シーンでも7年前の回想から6年前の回想の間に起きたことが語られているが、正確な年月日は不明(6年前の回想では、雪が降っている描写があるため、少なくとも2193年冬より前と思われる)。なお、勃発した年代に関しては、2190年代後半に起きたことを示唆する設定や劇中描写もいくつか存在しており、矛盾が生じている。
  14. 遊星爆弾の投下開始時期は、劇中での描写や各種資料によって異なっており、第1話でカ2号作戦以前から投下していたような描写がある一方、第17話ではカ2号作戦後に投下を始めたような描写となっている。「モデルグラフィックス2014年3月号」P9では、遊星爆弾の投下はカ2号作戦後に始まったと明言されており、地球側は当初ただの隕石だと思っていたということも語られている。
  15. 第1話の雪の解説より。
  16. 16.0 16.1 第12、15話で登場した島の経歴書より。
  17. 表向きは地球最後の艦隊による最終決戦であり、陽動であることはごく一部の人物を除いて知らされていなかった。
  18. そのときの音は、第1話オーディオコメンタリーでは「金属バットのような音」、小説版では「ドアノック」と表現されている。
  19. TV版では、メ号作戦における戦闘中、キリシマが上方からクリピテラ級駆逐艦の襲撃を受けた際、応戦に使用された。クリピテラ級の発射した魚雷はキリシマに命中していないが、コントロールを失って逸れた(このクリピテラ級は魚雷発射直後、ユキカゼに撃沈されている)ものか、キリシマの対宙機銃により撃墜されたものかは不明。
  20. その他、「公式設定資料集[EARTH]」P20では、「高機動なミサイルに対し、空間魚雷は重量感をもって推進する」という描写に関する記述がある。

参考文献

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