東根市

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ファイル:Higashine city center area Aerial photograph.1976.jpg
1976年(昭和51年)撮影の東根市中心部付近の空中写真。画像右上の山麓から画像中央にかけて広がる市街地が、古くからの東根市の中心地である。画像下部の区画造成工事が行われているエリアは、今日の東根市役所のある『東根都市圏』一帯である。1976年撮影の10枚を合成作成。
国土交通省 国土画像情報(カラー空中写真)を基に作成。

東根市(ひがしねし)は、山形県中央部にある人口約4万7千人の。県内で人口が増加している唯一の市町村である。サクランボリンゴをはじめとする果樹の栽培が盛んで、果樹王国として全国的に知られ、サクランボの生産量は日本一。自衛隊や空港、鉄道網、新興住宅が相次いで設置され、県内では唯一多くの労働力を必要としている自治体である。出生率は1.66、市民所得は324.6万円といずれの数値も県内自治体では最も高い。

県内の周辺市町村などからの移住者を中心に同市への定住者を増やしており、県内で唯一人口増加している。1999年12月に新設されたさくらんぼ東根駅周辺を中心に新たな『東根都市圏』を中心に、新市街地ができており、農、工、商ともに発展を続けている。なお、サクランボの主要品種である「佐藤錦(さとうにしき)」は東根市で生まれている。

村山地方の北部の北村山に位置し、北は村山市、南は天童市と接し、東は奥羽山脈があり、それを越えると宮城県仙台市である。明治以前は 出羽国(後の羽前国村山郡であった。


地理

山形盆地の北部に位置し、山形盆地で最大の乱川扇状地の扇端に市街地がある。

市街地は平地部を南北に貫く奥羽本線に沿い、南北に集積している。市の南西部には山形空港があり、中央部には山形新幹線延伸にともなって作られた「さくらんぼ東根駅」(旧蟹沢駅)と、その周辺地域に出店した「イオン東根店」や「ヨークベニマル東根店」といった大型ショッピングセンターエリアを中心とした新興商業地帯が形成されている。多くの商業施設が集積していることから、同地区では東根市の新たな中枢市街地として労働力、集客が見込まれている。また、山形臨空工業団地、大森工業団地・大森西工業団地(旧山形県畜産試験場跡地とその周辺の果樹園地帯)などの工業地帯や陸上自衛隊神町駐屯地などでは東根市内以外の周辺の市町村からも多くの労働力を集めている。東根市では子育てに力を置いており、人口構成は若年人口が多くの割合を占めている。合計特殊出生率は1.66で、県内13市町で最も多い。いずれの産業も盛んであることから、一人当たりの所得は324.6万円(平成19年現在)で市町村単位では、県内一位の数字となっている。

県内でも整備されている市街地のインフラ環境や商工業地帯、東北地方の中心都市である宮城県仙台市に隣接しているという地理的環境を生かして、近年には市が積極的にそれまでは主に(サクランボリンゴラ・フランスなどの)果樹園が点在していたさくらんぼ東根駅周辺の農業地帯の農地を大規模な工業地帯や商業施設、更には宅地開発によって新興住宅地区に区画整理をして分譲している。そのため、急速に市街地の風景が以前に比べ著しく変化しており、県内の周辺市町村などからの移住者を中心に同市への定住者を増やしており、さくらんぼ東根駅周辺を中心に新たな『東根都市圏』をしている。 そんな市の急激な人口増加に合わせるため市は「さくらんぼタントクルセンター」や旧東根市立第一中学校跡地に新たに「東根市立東根中部小学校」、神町地区に「東根市立大森小学校」などを新設し、市内の子育ての教育環境を急速に充実させている。現状では急増する生徒数に対して現存する市内の小中学校では既存の校舎では到底間に合わず「東根市立神町中学校」では、プレハブの仮校舎で辛うじて間に合わせている。

市の東部は奥羽山脈があり、市の東半分ほどが山地となっている。とくに北東部には黒伏山、御所山があり、御所山県立自然公園が置かれている。

関山峠に至る国道48号線付近では、大掛かりな砕石事業所が多く点在し、国道から見えない山間部も含めて山林が伐採され土壌が流出し、自然破壊が進んでいる。西部は最上川の河川付近を市境とし、大小の河川が東から西へと流れる平地がある。羽入地区にある湧水の小見川は、環境庁(現環境省)の選定した名水百選に定められている。

「イオン東根店」などの大型商業店舗がさくらんぼ東根駅周辺への店舗移転を機に相次いで撤退した「さくらんぼ東根温泉」(旧東根温泉)がある「東根駅」周辺地域などのように近年のさくらんぼ東根駅周辺を中心とした大規模な土地区画整理事業からは取り残されている地区がある。こうした地域では、住民の急速な高齢化が進んでいる。市内の人口が急増傾向であるにも関わらず、市内には交番(東根交番・神町交番) や派出所(山形空港警備派出所)、駐在所(大富駐在所・東根温泉駐在所・高崎駐在所)はあるものの、当市内警察署に警察署はない(当市は隣の村山市にある村山警察署の管轄)。さくらんぼ東根駅構内に簡易の図書館(東根市立さくらんぼ図書館)が整備されているものの、いわゆる独立した形での公立図書館美術館といった一般的な文化施設はなく、市は図書館や文化施設の建設を検討しており、2017年度を目標に新しい施設を作る動きがある。

また、市内の一部地域では、全国でも採用例がほとんどない道路方式の住居表示が採用されている[1]



人口

テンプレート:人口統計

隣接している自治体・行政区

山形県

宮城県

歴史

  • 東根市内の沖積平野には遺跡が多く残されており、古代から人が住んでいた。
  • 天童市成生から当市郡山にかけては条里制の地割が見られる。延喜式に記述がある「村山駅」は、郡山にあったのではないかと推定されている。
  • 戦国時代には、はじめに天童氏、天童氏滅亡後に最上義光に仕えた国人東根氏が支配した。現在の東根小学校を中心とした場所に、東根城(小田島城)が存在した。
  • 江戸時代には米津氏長瀞藩により長瀞陣屋が置かれた。大手門が現存移築されている。また、東根代官陣屋が置かれた。また享保年間には田畑の質流れ禁止令をめぐり長瀞騒動がおきている。
  • 1889年明治22年)4月1日 - 町村制施行に伴い北村山郡に以下の5村が成立。
    • 東根村 ← 東根村,六田村,神町村,板垣新田,中島新田,大林新田
    • 東郷村 ← 猪野沢村,沼沢村,野川村,白水村,万善寺村,太田新田,幾右衛門新田
    • 高崎村 ← 観音寺村,関山村,大江新田,名和新田
    • 大富村 ← 荷口村,羽入村,藤助新田
    • 小田島村 ← 蟹沢村,野田村,郡山村,島大堀村
    • 長瀞村 ← 長瀞村,松沢村,伝兵衛長右衛門新田
  • 1896年(明治29年)6月15日 - 東根村が町制施行して東根町となる。
  • 1954年昭和29年)8月1日 - 東根町、東郷村高崎村大富村小田島村長瀞村が合併して東根町となる。
  • 1956年(昭和31年)11月1日 - 天童町(現天童市)と境界変更。
  • 1957年(昭和32年)11月1日 - 大字猪野沢・東根・六田・沼沢・長瀞の各一部を村山市へ編入。
  • 1958年(昭和33年)11月3日 - 東根町が市制施行して東根市となる。
  • 1966年(昭和41年)4月1日 - 村山市と境界変更。
    • 東根市大字長瀞の一部を村山市へ,村山市大字大久保の一部を東根市へ編入。
  • 1967年(昭和42年)4月1日 - 一部を天童市へ編入。
  • 1969年(昭和44年)5月1日 - 河北町と境界変更。
    • 東根市大字松沢・長瀞・島大堀の各一部を河北町へ,河北町大字谷地の一部を東根市へ編入。
  • 1971年(昭和46年)5月1日 - 河北町と境界変更。
  • 1980年(昭和55年)9月1日 - 村山市と境界変更。
    • 東根市大字東根・六田・長瀞の各一部を村山市へ,村山市大字楯岡・河島の各一部を東根市へ編入。
  • 1989年平成元年)8月 - 中央地区に新市庁舎落成。
  • 2001年平成13年)10月17日 - 国際環境規格ISO14001の認証を山形県内の市町村で初めて取得。
  • 2001年(平成13年)11月6日 - 天童市の飛地を編入。
  • 2008年(平成20年)5月30日 - レジ袋有料化を実施。実施は山形県内初で、東北では仙台市に次いで2番目。

市名の由来

大昔、村山盆地の真ん中に「藻が湖(もがうみ)」という大きな湖があり、この湖の東に連なる奥羽山脈の麓に最も早く拓けたところを東根と呼び、この地名が付けられたといわれている。ちなみに、寒河江市には西根という地名もある。

市政

市議会

  • 東根市議会は、条例定数18人
  • 現在の任期は、平成23年8月1日-平成27年7月31日
  • 議長 青柳安展(平成23年8月3日就任)
  • 副議長 清野忠利(平成23年8月3日就任)
市議会の組織

議会運営委員会の他、常任委員会3つと、特別委員会が1つが設置されている。

  • 議会運営委員会:定員7名
  • 常任委員会
    • 総務文教:定員6名
    • 経済建設:定員6名
    • 厚生:定員6名
  • 議会広報特別委員会:定員7名

行政機構

2011年平成23年)4月1日現在の市職員数(短期契約職員を除く)は365人である。

  • 市長:土田正剛(1998年~:4期目)
  • 副市長
  • 市民生活部-市民課・生活環境課
  • 健康福祉部-福祉課・子育て健康課
  • 経済部-農林課・商工観光課
  • 建設部-建設課・都市整備課・区画整理課
  • 総務部-総合政策課・庶務課・財政課・プロジェクト推進課

公共機関

国・県の施設

警察
消防

自治体交流

都市宣言

  • 交通安全都市東根の宣言
  • 東根市非核平和都市宣言
  • 暴力のない明るい都市宣言
  • 東根市健康づくり都市宣言
  • 果樹王国ひがしね宣言

市民憲章

  • 自然を愛し 環境をととのえ美しいまちをつくります。
  • 奉仕と感謝の輪を広げあたたかいまちをつくります。
  • からだをきたえ 楽しく働き豊かなまちをつくります。
  • 教養を深め香り高い文化のまちをつくります。
  • きまりを守り 進んで力をあわせ住みよいまちをつくります。

産業

農業

  • さくらんぼ生産量全国1位 (3,600t)
  • 1戸当たり果樹農家所得全国3位(300万円)
  • 果実の産出額全国5位(96億円)
  • りん一人当たりの所得は324.6万円(平成19年現在)ご生産量山形県1位
  • もも生産量山形県1位
  • ラフランス生産量山形県2位

工業

主な企業

金融機関

郵便

  • 東根郵便局(集配局)
  • 神町郵便局
  • 東根一日町郵便局
  • 長瀞郵便局
  • 大富郵便局
  • 羽前高崎郵便局
  • 東郷郵便局
  • 小田島郵便局
  • さくらんぼ東根温泉簡易郵便局

教育

中学校

小学校

自動体外式除細動器

学校給食

  • 東根市学校給食センターで作っている。なお、2008年平成20年)4月より民営化。施設を移転新築し、ごはん給食の回数を原則週4回に増やすなどより充実した給食を出している。また学校で割り箸を使用する生徒をゼロにするため、箸もセンターで準備する。

公民館

  • 東根公民館
  • 神町公民館
  • 東郷公民館
  • 高崎公民館
  • 大富公民館
  • 小田島公民館
  • 長瀞公民館

その他施設

  • 東根市立さくらんぼ図書館(さくらんぼ東根駅内タント館1階2階部分)
  • 東の杜資料館 650種類、約1000点の民俗資料が展示されている。
  • さくらんぼタントクルセンター(東根市休日診療所も併設されている)

体育施設(市立)

屋内スポーツ施設
  • 東根市民体育館
  • 東根市屋内ゲートボール場
屋外スポーツ施設
  • 市民プール
  • ゲートボール場
  • 大森山緑地公園野球場
  • 大森山テニスコート
  • 大森パークテニスコート
  • 大森山公園多目的広場
  • 大森山公園芝公園

交通

空港

山形空港が東根市神町にある。

  • 東京(羽田)から、55分(1日2便) ※2014年4月より1便増加
  • 大阪(伊丹)から、75分(1日3便)

(開港当時は神町空港だったが、直後に山形空港に変更された。)

道路

東北中央自動車道 東根ICがある。これは東北中央自動車道の開通区間の北端で、山形空港付近に接続する。しかし、開通区間の南端は上山市北部にある山形上山ICであり、一般道を走ってもさほど苦ではない距離のため利用者は少ない。国道13号は周辺市町村との連絡としてよく利用される。国道48号は仙台市周辺で買い物をする人や、山形宮城の両県間への観光に行く人に利用される。大半が片側1車線のため、休日などには渋滞することがある。

高速道路
一般国道
県道(主要地方道)

タクシー

  • 東根交通
  • 神町タクシー

以上2社が東根市に本社を置く会社で、市内の医療機関などにはタクシー会社直通の電話機が備えられているところもある。

バス路線

鉄道路線

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JRさくらんぼ東根駅

山形新幹線のさくらんぼ東根駅は、果物の名前を冠した駅で、山形新幹線の山形〜新庄間開通に合わせて既存の蟹沢駅を廃止し、1999年平成11年)12月4日に新設された。

観光

自然
歴史・文化
  • 普光寺(龍興寺)の鐘((正平11年(1356年)在銘、山形県指定有形文化財)
  • 大森山の磨崖仏(大森山南麓にある、県内最古の磨崖仏。鎌倉時代末期の作と推定されている。)
  • 仏心寺の大仏(沼沢の仏心寺にある木造釈迦如来坐像。正徳5年(1715年)作。山形県指定有形文化財)[2]
  • 長瀞城跡 (特に指定なし。城郭ファンが訪れる)
イベント
  • 東根元旦マラソン (毎年1月1日開催。8km、3km、歩いて3kmコースがある。)
  • さくらんぼマラソン大会 (毎年6月上旬に陸上自衛隊神町駐屯地周辺その他で開催)
  • ひがしね祭 (毎年8月10日11日市役所周辺その他で開催)
  • 最上川舟唄全国大会(毎年9月に開催)
  • ひがしね湯けむり映画祭 (毎年秋に開催。場所「さくらんぼ東根温泉」)
  • 東根市総合文化祭 (毎年秋に開催。場所「さくらんぼタントクルセンター )

東根市が舞台となっている作品

出身有名人

脚注

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外部リンク

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  1. 「通り名で道案内」のねらい 国土交通省、2011年8月10日閲覧。
  2. 木造釈迦如来坐像(i 山形)