寺内貫太郎一家

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テンプレート:基礎情報 テレビ番組 テンプレート:Sidebar with collapsible lists寺内貫太郎一家』(てらうちかんたろういっか)は、1974年TBS系列水曜劇場枠で放送され、平均視聴率31.3%を記録した人気テレビドラマ昭和の東京下町石屋を営む一家とそれを取り巻く人々との人情味溢れる毎日を、コメディータッチで描いた。『時間ですよ』、『ありがとう』と共に1970年代を代表する国民的ホームドラマである。向田邦子脚本、久世光彦プロデュース、小林亜星主演。

概要

東京・下町(谷中)で三代続く石屋「寺内石材店(石貫)」の主人・寺内貫太郎を中心とし、家族や近隣の人との触れ合いを描いたホームドラマ。家族に手をあげ、何か気に入らないことがあるとすぐちゃぶ台をひっくりかえすような、頑固で短気で喧嘩っぱやいが、どことなく憎めずむしろ共感してしまう昔ながらの下町の親父を小林亜星が演じている。一貫してコメディーであるものの、その中に「」や「孤独」、「老い」といったテーマ、家族の生活の中に潜む「闇」の部分も描かれており、単なるコメディーでは終わらない。

ドラマなのになぜかレシピが出たり、お決まりの会話が飛び交うユーモアたっぷりの食事シーンや、貫太郎と長男の周平(西城秀樹)との大喧嘩(西城はこのシーンの撮影で実際に腕を骨折して入院)、きん(悠木千帆)婆さんが沢田研二のポスター[1]を見て身悶えしながら「ジュ〜リ〜」と叫ぶシーンなどが話題になった。また、職人のタメとイワが石を削りながら掛け合うシーンも見どころ。

平成になってからも、主な出演者が『東京電話』(東京通信ネットワーク)のCMに起用されたり、舞台で公演されたり、新たにTVドラマスペシャルも3本作られており、その人気の根強さがうかがえる。また、寺内貫太郎の役柄そのままに小林亜星が全優石のCMに起用された。

シリーズ作品

水曜劇場・寺内貫太郎一家

放送期間

  • 1974年1月16日 - 1974年10月9日、全39話

出演

主人公。50歳。寺内家の主人・頑固親父。
貫太郎の妻。48歳。和服姿でいつもてきぱき働いている。
寺内家の長男。19歳。浪人中で父と激しく喧嘩する。原作では西城秀樹に似ていると書かれている。
貫太郎の実母。70歳。元々は寺内家のお手伝いだったが、二代目貫太郎に見初められて結婚。新潟県出身。沢田研二の大ファン。
いつも自分の部屋に飾っているポスターに向かって、「ジュリー~!!」と叫んでいる。
寺内家のお手伝い。17歳。新潟からやってきた。
高校3年の5月に母を亡くして親戚に引き取られたが、その親戚の家の金銭事情を察して高校を中退している。これらの設定は、『時間ですよ 第3シリーズ』の相馬ミヨコとほぼ同様である。
役名の「相馬」は、当時の所属事務所で西城と浅田のマネージャーを務めていた相馬一比古から命名。
「石貫」の職人で、職人暦50年のベテラン。山形出身で大阪に息子夫婦がいる。
若い頃、きんに想いを寄せて求婚したこともあった。
「石貫」の職人。29歳。貫太郎に啖呵を切っては、毎回必ず痛い目に遭う。
独身でアパートに一人暮らしをしており、家族の温かさに憧れたこともあった。
「石貫」の職人で、花くまの知り合い。第18話より登場。
「石貫」の向かいにある花屋「花くま」の主人。独身。
寺内家の長女。24歳。4歳の頃の事故で左足が不自由。
静江の恋人。子持ちでバツイチ。
上条の連れ子。フィンガー5のメンバー・玉元妙子のファン。
上条と別れた元妻。上条とは嫁姑問題のもつれから離婚、姑の希望から、マモルとは引き離された。その後姑が他界したこともあり、上条やマモルには未練を抱いている。しゃぶしゃぶ屋で働いている。
ひと月に一度、マモルと会えることになっているが、我が子恋しさから上条の留守に約束を破ってさつき荘を訪れ、静江を困惑させたこともあった。
貫太郎の腹違いの弟。豆腐屋を営んでいる。第26話で豆腐屋が火事となり登場。
貫次郎の妻。第26話より登場。
貫次郎の長女。第26話より登場。
貫次郎の長男。第26話より登場。
居酒屋「霧雨」のおかみ。
居酒屋「霧雨」の常連客。岩さん、タメなどからは「だんまり兄さん」と呼ばれている。
居酒屋「霧雨」の常連客。
居酒屋「霧雨」の常連客。洋服屋を営む。
周平の恋人。
居酒屋「霧雨」の従業員。
さつき荘(上条の住むアパート)の管理人。上条と静江の仲を応援してはいるが、付き合いの長さから幸子との付き合いのほうに重点を置いている。甘いもの好きで、ポケットには常に菓子が入っている。
ゲスト出演者
第1話
第2回
第3回
第5回
第6回
第7回
第9回
第10回
第11回
岩さんの大阪にいる息子。岩さんを老人ホームに入れると貫太郎に申し入れるも断られる。
第12回
第13回
第14回
第16回
きんの友人。花くまと見合いをし、第36回でも行商しに寺内家にやってくる。
第17回
第18回
第19回
第20回
第21回
第22回
第23回
第24回
第25回
第27回
第29話
第30回
第31回
第32回
第33回
第34回
第35回
第36回
第38回
第39話
挿入歌

水曜劇場・寺内貫太郎一家2

放送期間

  • 1975年4月16日-1975年11月5日、全30話

出演

寺内家の次男(前作では長男だったが、家族構成の設定が変わったため次男となった)。
寺内家の長男。強姦で執行猶予が言い渡されたが、被害者と付き合っている。
寺内家の長女。
大助の恋人。
居酒屋「花ぢょうちん」のおかみ。
居酒屋「花ぢょうちん」の主人。トミコの父親。
居酒屋「花ぢょうちん」の常連。

挿入歌

新・寺内貫太郎一家

放送時間

出演

寺内貫太郎一家98秋スペシャル

放送時間

出演

寺内貫太郎一家2000スペシャル

放送時間

出演

舞台公演

オールスタッフ

エピソード

脚本を執筆した向田邦子は当時多かったひらがなの軽いドラマ・タイトルに反して、「四角ばって漢字の多い(中略)左右対称で末広がりに落ちついた」タイトルを望んでいた。しかし『寺内貫太郎一家』はやくざ一家の物語のようなタイトルである、墓石屋は縁起が悪い、親の過失で身体障害者となった娘という設定はまずい、主役の小林亜星は演技経験がない、など諸方面から反対意見が出ていた。また向田自身が、向田の父親をモデルにした貫太郎役に、当時長髪でサングラスをかけていた小林を起用することに大変難色を示した。プロデューサーの久世光彦は、小林の髪を坊主にして、黒い丸縁めがね印半纏裁付袴、毛糸の腹巻水天宮守り札を身に着けさせて向田にひき合わせたところ、ようやく向田は納得して起用に承諾した[2]。この時から小林は「タレント作曲家」と呼ばれるようになる[3]。また本人の話では、当時太っている俳優は少なく、高木ブーフランキー堺は多忙で断られ、その中で小林に白羽の矢が立った[4]

後に小林亜星がアニメ『∀ガンダム』(フジテレビ)の主題歌ターンAターン』を担当した際、歌手として西城秀樹を指名(この時期、ちょうど西城がレコード会社との契約が切れていた“空白の時期”であり、起用しやすかったという点もある)し、作曲者と歌手という形ながら、久々にコンビの復活となった。

1975年4月3日、赤坂のスタジオでの番組収録中に貫太郎役の小林亜星が次男役の西城秀樹を突き飛ばすシーンで小林が勢いよく突き飛ばしたところ実際に西城がセットの縁側から外へ転落してしまい左肘を脱臼し全治3週間の怪我をした。この一件について西城側は小林側を訴えることなどせず、むしろそれ以前より2人は心が通い合って本当の親子喧嘩のようにお互いに演技できるようになったという。

『新・寺内貫太郎一家』においてのみ、寺内きんは既に亡くなった設定になっている。1979年、久世の女性問題を樹木がドラマ「ムー一族」の打ち上げパーティーにおけるスピーチで明かしたことから、一大スキャンダルに発展して以降、1996年放送のドラマ「坊ちゃんちゃん」まで絶縁状態にあったためである。

ネット局について

DVD

  • BOX 第1弾(2006年2月24日):水曜劇場「寺内貫太郎一家」第1話-第12話
  • BOX 第2弾(2006年3月24日):水曜劇場「寺内貫太郎一家」第13話-第24話
  • BOX 第3弾(2006年4月28日):水曜劇場「寺内貫太郎一家」第25話-第39話
  • BOX 第4弾(2006年11月22日):水曜劇場「寺内貫太郎一家2」第1話-第15話
  • BOX 第5弾(2006年12月20日):水曜劇場「寺内貫太郎一家2」第16話-第30話

追悼特番

  • 2006年3月2日、このドラマの演出・プロデュースを手掛けた久世光彦が急死した。TBSでは同年3月13日21:00 - 22:54に久世の追悼特別番組として、『久世光彦追悼特別企画・寺内貫太郎一家傑作選』を放送(通常の『月曜ミステリー劇場』の枠)。特番では、『寺内貫太郎一家』(1974年)の第1回と最終回を再放送。スタジオには小林亜星、樹木希林が出演し、在りし日の久世を偲んだ。司会進行は三雲孝江が務めた。

パロディー・同作を引用

参考書籍

  • 『あの日、夢の箱を開けた!―テレビ黄金時代の立役者12人の告白』(小学館) ISBN 4093437017

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

テンプレート:前後番組

テンプレート:水曜劇場 (TBS) テンプレート:西城秀樹

テンプレート:浅田美代子
  1. LP『JULIE VI ある青春』の購入特典用のポスターである
  2. 『寺内貫太郎一家』 向田邦子著 ISBN 978-4101294018 久世光彦による解説(1983年3月)
  3. 本業は作曲家である小林の俳優・タレントデビューでもある
  4. 『あの日、夢の箱を開けた!―テレビ黄金時代の立役者12人の告白』 - 182ページ
  5. 餌食役には松本人志遠藤章造