オバケのQ太郎
テンプレート:Redirect テンプレート:特殊文字 テンプレート:Sidebar with collapsible lists 『オバケのQ太郎』(オバケのキューたろう)は、藤子不二雄(藤子不二雄Ⓐ、藤子・F・不二雄)とスタジオ・ゼロによる日本のギャグ漫画作品、およびそれを原作としたテレビ・劇場アニメ作品。
概要
ごく普通の家庭に住み着いた、1匹の間の抜けたオバケが引き起こす騒動を面白おかしく描く。藤子流生活ギャグ漫画の原点にして、初の大ヒット作で代表作。スタジオ・ゼロのメンバーである石ノ森章太郎らが手伝った。『オバQ』と省略されて呼ばれることも多い。3度にわたってアニメ化された。また藤子漫画は、それまでシリアス志向の強い作品が多かったが、これを機に『ギャグ漫画の藤子不二雄』として広く認知されるようになっていく。
『オバケのQ太郎』の5年後に主に藤子・F・不二雄(藤子F)が描いた『新オバケのQ太郎』[1]や、オバケのQ太郎の後日談的な話の『劇画・オバQ』(藤子Fの単独作)という作品もある。
2人の藤子は、オバQ以前から合作をする一方で、いずれかの単独作も藤子不二雄名義で発表してきたが、両人の作風や絵のタッチの違いが次第に明確になってきたため、『オバケのQ太郎』が藤子不二雄の最後の合作作品となった。
作品の歴史
雑誌連載の開始
『週刊少年サンデー』編集部に出入りしていた子供[2]の持ち込んだ自筆のお化け漫画「ケバ男くん」を見た編集者はお化け漫画を連載することを提案し[3]、藤子Fが怪談やオバケ好き[4]と聞いてオバケを主人公にした漫画を依頼した。
藤子Fと藤子Ⓐは当時作ったアニメスタジオ「スタジオ・ゼロ」へ小田急線で通勤中に小田急→オバQ→「オバケのQ太郎」というタイトルを思いついた。以上は藤子Fの描いたマンガ『スタジオ・ボロ物語』やTBSにて2008年4月12日放送の番組『ブロードキャスター』における藤子Ⓐのインタビュー発言によるものだが、タイトルの由来については、これとは異なる説明もある。それは藤子Fと藤子Ⓐが共同で執筆した自伝『二人で少年漫画ばかり描いてきた』によるもので、まず最初に『オバケの○太郎』というタイトルが決まり、○の部分にはめる言葉を探していたとき、小説家の安部公房の本をパラパラとめくっていたら、Qという文字が目に止まり、愛敬のある文字だという理由でQ太郎になったというものである。『アサヒ芸能』2002年9月5日号の藤子Ⓐへのインタビュー記事やNHKラジオでも同様のことが本人の口から語られていたことがある。連載1回目の「忍者ごっこ」のストーリーは、ゼロの事務所のそばで、忍者ごっこをしている子供達を見てそのまま決めた。
無事タイトルも決まり、スタジオ・ゼロの財務を支えるスタジオ・ゼロ雑誌部の仕事として、スタジオ所属のメンバーが手伝い、『週刊少年サンデー』誌上で1964年にスタートした(1964年6号からスタート。同号発売が1月22日、誌面クレジットの発行日は2月2日)が、読者の反応がまったくなく、連載は9回でいったん終了した。連載中は藤子もスタジオ・ゼロを救うための仕事としてあまり力が入らず、周囲の期待もなかったというが、連載終了後読者から再開を求める手紙が殺到し、3か月後に連載が復活。再開後は藤子Fがストーリーを全て担当し、他のゼロメンバーは作画協力に留まることになる(この体制は『週刊少年サンデー』での連載が終了する1966年末まで続いた。また、それ以外の雑誌は藤子不二雄の二人が描いている)。当初は、藤子FがQ太郎、藤子Ⓐが正太、赤塚不二夫が背景、石ノ森章太郎とつのだじろうがその他の人物を描いていた。オバケのQ太郎の漫画の中で石ノ森や赤塚の作品のキャラクター(『おそ松くん』の六つ子やチビ太など)が度々登場していたのはこのためである。
1960年代 最初のアニメ化とブームの到来
翌1965年になって、連載は小学館の他の雑誌にも広がり、さらにアニメ化もされ、「オバQブーム」と呼ばれる社会的現象にまでなった。
『鉄腕アトム』以来、それまで主流だったSFヒーローものが飽きられて視聴率が低下した中で、生活ギャグアニメ『オバケのQ太郎』は登場。TBS系「不二家の時間」枠で放送された。初回から視聴率30%以上の人気を得て、アニメ主題歌の『オバケのQ太郎』はミリオンセラーを記録[5]し、1966年第8回日本レコード大賞童謡賞を受賞。また声優の曽我町子が歌う『オバQ音頭』はレコード200万枚、スポンサーの不二家が行ったプレミアムキャンペーンでソノシート400万枚の大ヒットとなり[6]、レコードはジャケットと価格に若干の変更がなされつつ、1980年代まで生産され続けるというロングラン商品となった。そしてアニメソングにおける音頭曲の先駆けとなり、現在でも子供向け音頭曲の定番のひとつとして親しまれている。
本作の商品化業務は、放映局であるTBSテレビから「オアシのないものがオアシ(銭)を稼ぐはずがない」と否定的な見解が下されたため、原作を掲載していた小学館が行うことになった。この観測は関係各社でも共有され、放映当初は商品化する会社がほとんどいなかった。しかし放映開始半年ほどで人気が爆発し、商品化収入は巨額に昇り、小学館を潤した。1967年に建築され、2013年に解体される予定の小学館の本社ビルはオバQビルの異名を取っていた[7]。またこの小学館ビルが2013年に解体を控えた際、壁に漫画家たちが落書きをしたイベントでは、本来Q太郎の作画を担当した藤子F(既に他界)に代わって藤子ⒶがQ太郎のイラストを書きサインを添えていた。[8]
本作で培った小学館のキャラクタービジネスのノウハウは、後年の『ドラえもん』や『ポケットモンスター』でも生かされている[9]。
1966年末に『週刊少年サンデー』の連載は終了し、1967年3月にはテレビアニメも最終回を迎えた。円谷プロ制作の『ウルトラQ』『ウルトラマン』と共に爆発的な人気番組となり(TBSの日曜夜7時台は、他局から「恐怖のQQタイム」と呼ばれていた)、放送終了の時点で依然30%を超える視聴率を誇っていたものの、スポンサーの不二家から「オバQ商品の売れ行きはピークに達した。これ以上の売上は見込めないので、新しいキャラクター(の番組)にしてくれ」という強い要望が出たためである[10]。後番組は、原作者・制作会社ともに同じ『パーマン』となった。
1969年、『「オバケのQ太郎」あれから四年…』と題して『ビッグコミック』に後日談のエピソードが掲載された。
1970年代 『新オバQ』の連載と2回目のアニメ化
前作の連載終了後も、「もう一度Qちゃんを見たい」という読者の要望が多く寄せられていた。その声に答える形で、小学館の学習雑誌にて新キャラクターのO次郎が登場する『新オバケのQ太郎(雑誌掲載時は『オバケのQ太郎』)』の連載が1971年から1973年まで続けられた。このとき同時にアニメ『新オバケのQ太郎』も放送された。
1973年、『ビッグコミック』誌上で、15年振りに人間界にやって来たQ太郎と、大人になった正太のすれ違いと別れの様を描いた異色作『「劇画」オバQ』が掲載された。その後1976年、『月刊少年ジャンプ』に読み切り作品が掲載された。藤子本人が手がけた『オバQ』は事実上これが最後の作品となった。
1977年、『コロコロコミック』が創刊。他の藤子作品とともに『オバケのQ太郎』も掲載される。ただし、新作は描かれず過去の作品の再収録のみだった。1979年には藤子・F・不二雄がネームを担当し、しのだひでおの作画による番外編『ドラ・Q・パーマン』も描かれ、翌年には『ドラえもん』の特番でアニメ化される。
1980年代 3回目のアニメ化
1985年から『ドラえもん』以来の藤子アニメブームに乗り、シンエイ動画により3度目のアニメ化がなされる。この際に新作連載の依頼が作者の下に来たが、「もうオバQのようなタイプのギャグ漫画を描くのは難しい」と、この申し出を断っている。結局、作者が示した新設定のキャラクターイラストの描き下ろしと、単行本(てんとう虫コミックスの傑作選全6巻と新オバQ全4巻)のカバーをリニューアルし、『コロコロコミック』(当時『コロコロ』での再掲載は終了していたが、再び復活する形で)や学習雑誌に過去の作品を再掲載する形が採られた。
掲載誌
- 週刊少年サンデー:1964年6号 - 14号、1964年24号 - 1966年51号
- 別冊少年サンデー:1964年秋季号・12月号、1965年1月号
- 少年サンデー増刊:1965年正月号 - 1967年正月号
- よいこ:1965年1月号 - 1967年6月号、1971年4月号 - 1973年4月号
- 幼稚園:1965年1月号 - 1967年3月号、1971年4月号 - 1973年2月号
- 小学館の学習雑誌
- 小学一年生:1965年1月号 - 1967年2月号、1971年4月号 - 1973年3月号
- 小学二年生:1965年1月号 - 1967年2月号、1971年4月号 - 1973年2月号
- 小学三年生:1965年1月号 - 1966年10月号、1971年4月号 - 1973年2月号
- 小学四年生:1965年1月号 - 1966年11月号、1971年4月号 - 1973年3月号
- 小学五年生:1965年1月号 - 1966年10月号、1971年4月号 - 1973年3月号
- 小学六年生:1965年1月号 - 1966年10月号、1971年4月号 - 1973年3月号・6月号
- 小学館コミックス:1965年夏季号 - 1966年春季号
- マドモアゼル:1965年12月号 - 1966年10月号
- 女学生の友:1966年1月号 - 12月号(番外編『オバケのP子日記』)
- ボーイズライフ:1966年3月号
- ビッグコミック:1969年3月号(『「オバケのQ太郎」あれから四年…』)、1973年2月25日号(『劇画・オバQ』)
- めばえ:1971年4月号 - 1974年3月号
- ベビーブック:1971年4月号 - 1973年3月号
- 小学館ブック:1966年7月号(創刊号) - 1967年2月号
- 月刊少年ジャンプ:1976年5月号
長期にわたる絶版
本作は人気が高いにもかかわらず、1988年を最後に単行本の増刷が停止。その後も『21エモン』や『エスパー魔美』と異なり、文庫版や新装版が出版されることもなかったため、古本の価格は高騰した。この絶版状態は、本作を再び収録した「藤子・F・不二雄大全集」(第1期)が刊行される2009年7月まで、20年以上も続くこととなった。
この間に新刊で購入可能だったものは、SF短篇集に収録された後日談である『劇画オバQ』と『新 - 』の一編「サテハラタカ」(小学館ワンダーライフ・スペシャル『藤子・F・不二雄の世界』)、赤塚不二夫との合作である『オハゲのKK太郎』(竹書房文庫 『おそ松くん』22巻)、藤子不二雄、赤塚不二夫、つのだじろうの3人の合作『ギャハハ三銃士』(赤塚不二夫漫画大全集 オンデマンド版 1960年代 その2 Web注文のみ)、2007年5月25日発売の『熱血!!コロコロ伝説』で、文庫版サイズの単行本別冊付録として復刊された『新オバケのQ太郎』[11]だけであった。
絶版の理由はこれまで明確にされたことがなく、さまざまな説がある。以下は、ライターの安藤健二が著書に記している情報を中心に、それを解説する。
著作権説
本作は藤子不二雄の2人のほかに、石ノ森章太郎やスタジオ・ゼロが関わっている。藤子不二雄がコンビを解消し、さらに石ノ森、スタジオ・ゼロが関わっているため、四者の間で著作権料の割合で揉めていたのではないかという説。
ただし、台湾や香港では1997年頃までは公式に単行本が発売されていたし、アニメ(3作目)は、絶版中もコンビ解消以前の「藤子不二雄」とクレジットが入った上でCSなどで再放送されていたり、石ノ森が参加しているのは『少年サンデー』版のみで、それ以外の雑誌でのよっちゃん、ゴジラは藤子Fが描いているため漫画の単行本が出ない理由とするにはこの説は弱い。また、石ノ森・藤子Ⓐ合作(風田朗とスタジオ・ゼロ名義。藤子F他スタジオ・ゼロ系の漫画家も一部手伝っていた)の作品『レインボー戦隊』は、現在石森プロ(石ノ森のプロダクション)に権利があるが、「石ノ森章太郎萬画全集」でいち早く復刊された。この場合はメインが石ノ森、藤子Ⓐがアシスタントという立場で、本作の場合はその逆、というような形で捉えることもできるため、権利問題が原因ならレインボー戦隊が出版された時点で矛盾が生じていると言える。
安藤は『新潮45』(新潮社)2004年11月号でこの問題を取り上げ、追加取材を行なって『封印作品の謎2』として2006年に出版。それによると、スタジオ・ゼロからコンビ解消前の藤子不二雄と藤子スタジオへ著作権は戻され、石森プロも「『オバケのQ太郎』の著作権に関して主張したことはない」として、石ノ森やスタジオ・ゼロとの著作権問題という説は否定されている。小学館では「作者サイドが表に出さないことにしている」と主張。原作者サイドの藤子スタジオは「藤子プロに任せている」、そして藤子プロは「権利問題ではなく作者の意志を守りファンを優先に活動している」、「遺された作品が膨大なので今はたまたま出していないだけ」という見解であった。
遺族の意向説
藤子Fの遺族(藤本夫人は藤子プロの現会長でもある)は、当時と現在の価値観の違い(差別描写説参照)から作品が誤解されたり非難されたりすることを恐れてか、故人の作品が表に出ることをかなり警戒している(漫画コラムニストの夏目房之介も同様の見解をしている)。そのためか、藤子F本人が他界してから『藤子・F・不二雄大全集』が出版されるまでの間は、短編集や一部の児童向け作品が出版されたのみであった。また、全集『藤子不二雄ランド』も、Fの没後はⒶの作品だけを集めた『藤子不二雄Ⓐランド』として復刊され、Fの作品は復刊が見送られた。
また他にも、藤子両人はコンビ解消後も仲が良かったものの、Fの遺族とⒶの家族が実は不仲であり、権利の取り分で揉めていたという説もある。安藤も『封印作品の謎2』において「藤子両人の周囲で起きている感情の問題が、封印の理由の1つではないか」と指摘している。
差別描写説
1980年代半ばより始まった差別表現への抗議やそれに対しての自主規制が原因だとする説。黒人差別が原因だとする説と差別用語が原因とする説、またはその両方が原因だという説もある。
実際、1980年代に「黒人差別をなくす会」という団体が黒人の描写について差別的だと多くの出版社に抗議をした際、本作もその対象となり、てんとう虫コミックスと藤子不二雄ランドのうち「国際オバケ連合」の話を含む巻が回収された。これは、該当話に登場する「バケ食いオバケ」が人食い人種を思わせると抗議を受けたためである。そしてこれ以降、オバQの増刷は全面的に停止した。
なお同様にして一時絶版になった藤子作品に『ジャングル黒べえ』がある。きっかけとしてはこの「黒人差別をなくす会」による抗議が原因と考えられるが、『封印作品の謎2』によると、この時回収されたのは「国際オバケ連合」が収録された巻のみで、作品全てを封印する理由には繋がらないとしている。
また本作には、「きちがい」「こじき」などの放送禁止用語が多く使われている。これらについて出版社の圧力は避けたいということなかれ主義で出版を止めているという説がある。だが、同様の表現がされている作品としては『パーマン』や初期の『ドラえもん』もあるものの、それらについては差別表現を修正したり、該当する話を削除した上で単行本が発売されているため、作品の全面封印の理由としては根拠が薄い。
さらには、Q太郎が無芸大食なのが教育上良くないという説もあるが、ギャグ漫画においてこの見解は、信憑性に乏しい。
総括
この様に「FとⒶの間で起きた権利問題」と、「その周囲の人々で起きている問題」で出版が見送られていたとの説が最も有力である。
2007年、安藤の『封印作品の謎2』が『封印作品の闇』と改題の上文庫化された際、小学館の元幹部への追加取材がなされた。それによると、Ⓐの側は再版の許諾を早くから出していたが、F夫人が「FとⒶが共同で著作権を持つ作品を出したくない」との意向を持っていたためそれを拒否していた、と安藤は結論づけている。
そして2009年7月、『藤子・F・不二雄大全集』においてFとⒶの共著扱い(コンビとしての『藤子不二雄』統一名義ではなく、FとⒶ、両者の名前が記載されている)という形で、再び出版がなされた[12]。21年におよぶ休刊にいかにして決着がついたのかは不明だが、安藤の取材が事実であれば権利問題は和解に至ったと考えられる。
キャラクター
オバケ
- Q太郎(キューたろう)
- 声 - 曽我町子(第1作)、堀絢子(第2作)、天地総子(第3作)
- 通称:Qちゃん。竹藪で生まれた(実際はQ太郎のタマゴだけ竹藪に落っことしたらしい。誕生直後は3本の毛ではなかった)オバケ。大原家に居候し、いつも正太と行動を共にしている親友の仲。大飯食らい(電気釜を空にして「おかわり」と催促してママに怒られるなどしている。インスタントラーメンはカッポレ一番を愛好する)でお人よし、鈍くさくて頭はあまり良くないが、意外と繊細で落ち込んだり傷ついたりすると、時々家出を企てては、腹を空かせるなどの理由であっさり帰って来る。身長111cm。犬が大の苦手だが、逆に何度か子犬を守ってやったこともある。また犬から逃げるために、動物園にいるライオンの口の中に隠れたこともある。空を飛び(最高時速40km、一度に50kmまで飛べる。 )、オバケだけに姿を自在に消し、壁を抜け、力も割と強く、口の中に何でも放り込め(大量に放りこむと壁をすり抜けられなくなる)、動物と会話ができる特技を持つが、変身だけは苦手で靴になることくらいが限度(原作では苦手な犬に化けたことがある)。他に、四角い容器の中に入っていると体が四角に固まる、眼球を飛び出させることができる(「書類に目を通してくれ」と言われて紙束に眼球を通す場面がある)といった「特技」もある。また、音楽のセンスは皆無であり歌唱力、楽器の演奏共に聞いた者が気持ち悪くなってしまったり頭が痛くなるほどだが、逆にこれが功をなすことも。腹の中にはポケットがあり、口や服の下からどんな物でも出し入れができる。一枚布(バケトロン・バケミロンという架空の素材、マジックなどで字や絵をかくことが可能)に目・口用の穴を開けた白い服(同じ物が何枚もあり、他所行き用もある)を頭から被っており、実際に見えているのは服を除くと、3本の毛と、足、目、口だけである。また、服の中を見られることは「オバケの国での御法度だ」と言って頑なに嫌う。よって中身がどうなっているのかは不明。
- U子に対して好意を抱くものの、非常にシャイで好意の伝達方法を間違えてU子を怒らせてしまったこともある。作者曰くQ太郎のモデルは、ペンギンとベビー服であるという。『週刊少年サンデー』で『オバケのQ太郎』の連載が開始した1964年2月28日が誕生日と設定されている。連載当初は毛が10本以上あったが、次第に減って行き「台風Q号」から3本に落ち着いた。これは作画の手間から都合がいいということである。ちなみに毛の長さは約15cm。最初のシリーズ最終回では単身オバケの世界へと帰って行った。作画は藤子Fが担当。『ドラえもん』でも「ほんもの図鑑」、「なんでも空港」や「のび太のドラビアンナイト」に特別出演している。
- P子(ピーこ)
- 声 - 水垣洋子(第1作)、沢田和子(第2作)、三田ゆう子(第3作)
- Q太郎の妹。オバケの世界から人間界へ留学、河合家に居候している聡明で可憐なオバケ。Q太郎より頭の出来が良く、化けるのも得意で「グロな化け方」も可能。料理や裁縫は苦手で、ジェンダーに無頓着なところがある(ユカリに自分の役立ちようをアピールする際、「自分が暴漢に化けてボーイフレンドを脅し、ユカリが助けて仲を深める」策を提案するなど)。姿は白の上半身に赤いチェックのスカート、頭の毛は1本で蝶型の飾りを付けている。身長はO次郎とほぼ同じ。P子とユカリがメインのエピソード『オバケのP子日記』というスピンオフ作品もある。作画は藤子Fが担当。
- O次郎(オーじろう)
- 声 - 高坂真琴→桂玲子(第2作)、横沢啓子(第3作)
- Q太郎、P子の弟。『新オバケのQ太郎』で登場したキャラクターで、オバケの国へ一度帰っていったQ太郎が、再び人間界へ戻って来た際に連れてきた。Q太郎とともに大原家に居候している。まだ赤ん坊のオバケなので、「バケラッタ(この言葉は「オバQ音頭」の歌詞から来ている)」しか言えないが、「ナニラッタ?」「バカラッタ!」「ダメラッタ」「アホラッタ」など、多少のバリエーションがある。このため、意思伝達にはQ太郎の翻訳(テレパシー?)が必要。大原家の人々がQ太郎から「バケラッタ」ごとのニュアンスの違いを教わるエピソードがある。また「ボム!」または「パァ!」と叫ぶことで目の前のあらゆる物を爆発させる特技の持ち主(ライオンを退けたこともある)。手先が器用で、自分で壊した電話を直したり新聞紙で靴下を作ったりできるが、画力は幼稚園児と大差ない(O次郎の絵が漫画のキャラクターのベースになったことはある)。世界中の多くの国名を言えるほど頭はよい(但し全てバケラッタになる)。化けるのも上手で、クジ運もいい。なかなかの兄思いである。作画は藤子Fが担当。
- U子(ユーこ)
- 声 - 丸山裕子(第2作)、増山江威子(第3作)
- 人間の世界に憧れてやって来た、小泉家に居候しているおてんば娘のオバケ。柔道に入れ込んでいるが、がさつで乱暴、家事が一切できない。Q太郎が好意を寄せているが、逢うたびにQ太郎を柔道の稽古相手にしたり、家事を任せてしまっている。しかし、内心ではQ太郎に想いを寄せている部分も。ギャング映画を愛好したり足で襖を開ける、茶道を習いに行った席でシェーをしてふざける、箏をエレキギターのように弾いたりするなど、典雅、可憐に対する理解がない。太ることを著しく気にしており、それを指摘されると烈火の如く怒りを現にする。化けることもできるが余り上手ではない。また歌も下手である。作画は藤子Fが担当。アニメ版の『新――』では、作画の都合からか原作と口のデザインが異なる。
- ドロンパ
- 声 - 喜多道枝(第1作)、山本嘉子(第2作)、白石冬美(第3作)
- アメリカ・テキサス出身のオバケ。神成家に居候している。アメリカでは大地主の家に住んでいた。頭が良くて運動神経がいい上、さまざまな物・人に化けられる。いつもQ太郎のことをバカにしている。少々ニヒルなひねくれ者だが、実際は寂しがり屋で心優しい。Q太郎がオバケの国へ帰っていた時期には、Q太郎に化けて悪戯をしていたこともあった。体は薄桃色の一体型で、Q太郎と異なり脚もきちんと分かれている。お腹にある赤い星型(脱着可能)が能力の源(直下にある青の三本線で星条旗を象徴している)。一度、その星型が危うくなったことがあったが、Q太郎によって取り返された。登場オバケの中で唯一、犬を苦手としないが、糠味噌のにおいが大の苦手。シュークリームも苦手と言っているが、「見てると怖いから食べてやる」とたくさん食べていた(まんじゅうこわいのパロディ)。好物はハンバーガー。P子に思いを寄せているが、デートの際には、P子の身を案ずるQ太郎に、いつも邪魔されている。話のまとめ役が多く、演劇や新聞製作など色々と挑戦するが、Q太郎が引っ掻き回してしまうため長続きしないことが多い。誕生日は3月27日。尚、藤子・F・不二雄大全集版では4巻から登場しているが、掲載ごとに分かれている為、初登場する巻は10巻である。作画は藤子Fが担当。
- ペロンパ
- ドロンパの妹。クリッとした大きな目と、ポニーテール、ペロッと出した舌が特徴。O次郎の初恋相手。まだ幼児であるせいか、「ペケポコ」としかしゃべらない。O次郎と会話をする時は、ドロンパからQ太郎と二重通訳。ドロンパと同じく犬を怖がることはない。登場は1回のみ。この時は、趣味の切手集めのために来日した。
- X蔵(エックスぞう)
- Q太郎、P子、O次郎の父親。Q太郎からは「オバケの国のパパ」と呼ばれている。やや細身で毛が4本、口ひげがある以外はQ太郎にそっくり。Q太郎に似て少々常識外れのオバケ。時折子供達を預かってもらっている大原家へお礼にと、妻のおZと共にやって来ては騒動を起こす。作画は藤子Fが担当。他人の服装を変化させる、新しいステレオを出すなどの力を使ったことがある。
- おZ(おゼット)
- Q太郎、P子、O次郎の母親。Q太郎からは「オバケの国のママ」と呼ばれている。間の抜けたX蔵を支える。基本はしっかり者だが、おっちょこちょいな所も。尚、父母、妹ともに犬が苦手である。作画は藤子Fが担当。
- Y助(ワイすけ)
- Q太郎の叔父。Q太郎にチャップリンの髭を生やしたような外見をしている。X蔵と同じくガチャ目。登場は1回だけ(FF新4巻)。この時は、Q太郎を探しに人間界にやってきた。珍しい物を見るとすぐに化けたがり、マシンガンに化けたりしていた。作品中では一度も名前が出てくることはなかったが、小学六年生の1971年6月号の「オバQ一家とそのなかま」というカットの中に「おじ Y助」と書かれていたことから名前が判明。
- Q助(キュウすけ)
- Q太郎の祖父。実際は話に上るだけで、未登場(FF17巻)。外観はQ太郎と瓜二つ。約100年程前に人間界に降りてきており、田舎の兄さんからの郵便で大原家の実家の蔵から古い写真(Q助本人とドロンパの祖父ボロンパと曾曾祖父の大原正右衛門)が出てきたことから、確認できた。Q太郎が見た夢の中で、1860年に正右衛門とその家来と一緒に咸臨丸に乗って、アメリカに渡った。
人間(メイン)
- 大原 正太(おおはら しょうた)
- 声 - 田上和枝(第1作)、太田淑子(第2作)、三輪勝恵(第3作)
- 通称:正ちゃん。大原家の次男。小学生。身長135cm。弱虫で成績も余り良くなく、一時はクラスで下から2番目だった。ある日、友人達と忍者ごっこをして遊んでいるところ、竹藪の中でQ太郎の卵を偶然見つける(掲載誌によって最初の出会いの設定がやや異なる。アニメ版も同様で下記の『#アニメ版』を参照のこと)。卵から孵ったQ太郎に付きまとわれ初めは困惑するが、色々と世話を焼かれ次第に友情を深めていくようになり、いつもQ太郎と行動を共にしている。当初はQ太郎のことを家族に隠して住まわせていたため、何とか家族の一員として認めてもらおうと苦戦するが、やがてQ太郎の誠実さに家族も次第に打ち解けていくようになっていった。作画は藤子Ⓐが担当。名前の由来は石ノ森章太郎から。
- アニメ第3作では『ドラえもん』ののび太との差別化を図るため、ガキ大将のゴジラとは前2作よりもやや対等な関係に変更されている。『劇画オバQ』ではサラリーマンに就職。結婚し1児の父親になったが、よっちゃんとは結ばれることはなかった。
- 大原 伸一(おおはら しんいち)
- 声 - 野沢雅子(第1作)、白川澄子(第2作)、水島裕(第3作)
- 通称:伸ちゃん。大原家の長男で正太の兄。中学生で三枚目キャラクター。弟と違い、学業成績はそこそこ良好。当初は猫を連れて来て飼いたいと切り出し、正太の連れて来たQ太郎と猫、どちらが役に立つかを競わせていた。オーディオマニアで、自宅にいる時は大抵音楽を聴いて過ごしているが、持っているレコードはビートルズやプレスリーばかりらしい。好きな女の子ができるとすぐに告白するが、だいたいフラれている。『新オバQ』では、同級生の河伊伊奈子にアプローチしているが、いつも空回りに終わっている。正太とQ太郎のセッティングで嫌々デートしたバケ寺ベソ子とは友人関係となった。『劇画オバQ』では仕事の都合で北海道に転勤したことになっている。作画は藤子Ⓐが担当。名前の由来は鈴木伸一から。
- 小泉 美子(こいずみ よしこ)
- 声 - 向井真理子(第1作)、野村道子(第2作)、室井深雪(第3作)
- 通称:よっちゃん。正太のクラスメートで優等生。身長140cm。アップにした髪のリボンがチャームポイントの優しい少女。正太やゴジラ達が憧れているが、本人は友達程度としか思っていない節がある。長電話の悪癖がある。作画は石ノ森(学年誌版は藤子F)が担当。藤子作品では定番の紅一点キャラクターであるが、高原に別荘を構えるなどかなりのお嬢様でもある。『劇画オバQ』では結婚し、2児の母親になっている。
- 西郷 強(さいごう つよし)
- 声 - 肝付兼太(第1、2作)、竹村拓(第3作)
- 通称:ゴジラ。学校、町内でのガキ大将。大柄な正太のクラスメート。身長150cm。実家は酒屋を営んでいる。いつもキザオ、イナリ、タヌキを子分として引き連れている。正太に意地悪をはたらくことも多いが、基本的には互いに良き友人として接している。妹がいる。作画は石ノ森が担当。
- 名前の由来は、東宝の有名怪獣「ゴジラ」から。『劇画オバQ』では乾物屋の店主になっている。
- 木佐 キザオ(きざ キザオ)
- 声 - 山岸比呂美(第1作)、沢田和子(第2作)、龍田直樹(第3作)
- 正太のクラスメート。裕福な家庭で、名の通り気障で新しい物を買っては自慢する癖がある。ゴジラを「親分」と呼んでいたこともあった。身長127cm。『ドラえもん』のスネ夫にも通じるキャラクターだが対抗心を露にすることもあり、必ずしもおべっかばかり使っているわけではない。眼鏡がないと殆ど何も見えず、『ギャハハ三銃士』で眼鏡が壊れてしまった際には失敗ばかりしていた。なお、同名のキャラクターが藤子Ⓐ作品の『怪物くん』、『フータくん』、『オヤジ坊太郎』にも登場する。また、この顔のキャラクターは藤子Ⓐによって『ミス・ドラキュラ』の上司に受け継がれる。ただし、この作品の作画は藤子Fが担当。『劇画オバQ』では外見が変わっているが、Q太郎は一目でキザオだと見抜いた。
- 「ドラえもん」で、骨川スネ夫の家の表札が「木佐」になっていたことが一回だけあった(10巻「お天気ボックス」)
- ハカセ
- 声 - 麻生みつ子(第1作)、白川澄子(第2作)、肝付兼太(第3作)、龍田直樹(第3作での代役)
- 正太のクラスメート。姓は「博勢」(テレビ朝日版アニメでは「湯川」)。頭脳明晰で博識かつ発明好き。ただしお人好しな上、学術関係以外では間の抜けたところがある。小柄な体格で若ハゲ。眼鏡を着用し、いつも袖がダブダブの学生服を着ている。頑固者のお祖父さんと二人暮らしで、祖父を非常に慕っている。乗り物に極端に弱く、バスの絵を見ただけで乗り物酔いを起こす。
- 連載途中より、両の眉毛が「ハ」、右目が「カ」、左目が「セ」の字を模したような特徴的な顔立ちとなる。テレビ朝日版アニメでは普通の顔立ちになった。『劇画オバQ』では失敗続きの実業家となり、眼鏡をかけた普通の顔立ちになっている。
- 小池さん(こいけ)
- 声 - 大竹宏(第1作)、島田彰(第2作)、広森信吾(第3作)
- 近所のおじさん。インスタントラーメンが好物で、いつもQ太郎に食事中を邪魔されている。職業はアニメーター。作画は藤子Ⓐが担当。他の藤子作品にも多く登場している。連載中に結婚し、子供も2人いる。
- 大人でありながら頭はあまり良くないらしく、正太から「頭のていどが子どもなみ」と言われたことがある。また、『ギャハハ三銃士』では守備隊の隊長でありながら、火攻めと燃やすことが一緒であると分からなかった。
- 神成さん(かみなり)
- 声 - 野本礼三(第1、2作)、兼本新吾(第3作)
- 本名:神成雷蔵。大原家の隣に住んでいる老人男性。その名の通り短気で頑固だが、根は寂しがり屋で情け深い。妻とは死別しており、ドロンパが来るまでは一軒家で一人暮らしをしていた。ドロンパに住み着かれそうになり最初は追い出そうとしたが、やがて意気投合し居候させることに。そしてドロンパを実の子供のようにかわいがっている。
- 他の藤子作品(藤子・F・不二雄)にも登場する。『劇画オバQ』内の正太とQ太郎の会話において、死去したことが確認できる。
- 大原 正助(おおはら しょうすけ)
- 声 - 松岡文雄 →田の中勇(第1作)、永井一郎(第2作)、大山高男(第3作)
- 正太、伸一の父親で、少々太り気味の大黒柱。Q太郎からは「パパ」と呼ばれている。トレードマークはチョビ髭にメガネだが、一度床屋で居眠りをしている間に髭を落とされ、子供達に八つ当たりしたこともあった。メガネは『旧オバQ』では丸いフレーム、『新オバQ』では四角いフレーム。「びっくりしたなぁ、もう」のような当時の流行語を多用したり、ハナ肇とクレージーキャッツの歌の替え歌を頻繁に歌うようなユーモラスな一面を持つ。ヘビースモーカーで、吸っているタバコは「ハイライト」。禁煙にチャレンジするも挫折する。いつも飲む酒はビール。落第を3回経験したことがある。商事会社に勤務し、作中で課長に昇進。日曜大工が趣味だが、手先が不器用で下手の横好きに近い。Q太郎を実の子供のように思っている。田舎に90歳を超える母親と兄一家が、近隣に弟数名が住んでいる設定になっている。『新オバQ』ではてんとう虫コミックス第2巻128ページの「うちのアパート」という正太の台詞から、アパートのオーナーであることが伺える(「うらの」と原稿に書いてあった所を「うちの」と植字業者が読み違えた単純ミスであるという解釈もある)。『劇画オバQ』では定年退職後、故郷に帰郷したということになっている。
- テレビ朝日版アニメでは、正太郎という名であった。
- 大原 節子(おおはら せつこ)
- 声 - 北浜晴子(第1、2作)、塚田恵美子(第3作)
- 正太、伸一の母親で、美人かつ優しき専業主婦。Q太郎からは「ママ」と呼ばれている。Q太郎の大食らいにはいつも頭を抱えているが、夫・正助と同様、Q太郎とO次郎のことを実の子供のように思っている。
- ユカリ
- P子が居候している家に住む女子高生。『オバケのP子日記』では正太的な役回り。作画は藤子Ⓐが担当。
- テレビ朝日版アニメでは「河合ユカリ」(声 - 麻上洋子)という名の中学生。河伊伊奈子の設定が組み込まれ、伸一の憧れるクラスメートという設定となる。
人間(サブ)・その他
- イナリ
- ゴジラの子分。キツネ顔。自宅はクリーニング店を経営。作画は石ノ森が担当。
- ブンブク・タヌキ
- ゴジラの子分。タヌキ顔。作画は石ノ森が担当。
- 河伊 伊奈子(かわい いなこ)
- 『新オバQ』のみに登場した伸一のクラスメート。休日のたびに何人もの男子から誘われるほどのモテモテぶりで、伸一も好意を寄せているが本人は友達感覚でしかない。伸一がスイカを丸呑みできるというのを止めもせず、けしかけたこともある。ミミズとオバケが苦手だったがQ太郎、O次郎とは仲がよい。将来の夢はイラストレーター。
- 先生
- 声 - 島香裕(第3作)
- 正太達の通う小学校のクラス担任。容貌がカバそっくりの中年男性教員。「 - だっちゅうに」、「 - ってな」などが口癖。あだ名は"威張り豚"、"ヒネブタ"。
- ヒョーロク
- 大原家の隣人。チョビ髭を生やしている成人男性。いわゆる変人でトラブルメーカー。語尾は「~ニィ」「~だネィ」。C調なエセ紳士のキャラクターは『おそ松くん』(赤塚不二夫)のイヤミに似ている。『新オバケのQ太郎』で登場。作画は藤子Fが担当。
- 岩見(いわみ)さん
- ユカリのボーイフレンド。『オバケのP子日記』のみ登場。
- 青山 ミドリ(あおやま ミドリ)
- 神成さんの家に下宿してくる20歳前後の女性。美人で心優しく、Q太郎を弟のようにかわいがるが、Q太郎はそんな彼女に対して淡い恋心を抱く。マドモアゼルに連載された作品にのみ登場。なお彼女が出る一連の作品にドロンパは登場しない。
- エジサン
- 本名は江地三助。発明家を自称するが失敗ばかり。貧乏であるが、昔は金持ちだった。『ウメ星デンカ』にも登場している。
- ネコ
- 『新オバQ』幼年誌版にたびたび登場する大原家の飼い猫。
上記で言及した作画の分担は『オバケのQ太郎』においてのものを記した。学年誌版『オバケのQ太郎』や『新オバケのQ太郎』では石ノ森は参加しておらず、藤子不二雄の2人で描かれている。ただし、『新オバケのQ太郎』における絵の分担は明らかにはされていない。絵柄の違いから、正太と伸一以外の大部分が藤子Fとされており、中には全てFによる執筆の作品もある。
アニメ版
3作とも1回目の放送での内容が異なっている。1作目ではQ太郎が大原家に既に住んでいるところから始まっている(この本放送前には、前夜祭のような特番『オバQ誕生』が組まれた。ここでは、舞台劇としてQ太郎誕生のエピソードが放送されている。公開は杉並公会堂で行われた)。2作目からはQ太郎誕生から描かれたが、忍者ごっこをしているという部分は省かれ、正太がQ太郎の卵を拾い、自宅に持ち帰り孵したという設定になった。3作目では、正太が野球をしている最中にボールを追いかけて転び、草むらに落ちていたQ太郎の卵を偶然割って孵したというもの。
キャラクター設定の変遷
1作目では正太やP子など、キャラクター設定が原作と大幅に異なっている。2作目は原作よりの絵に近づいたが、U子の口元がドロンパのような口に修正された。3作目はほぼ原作に近い顔付き(どちらかというと『新オバQ』)だが、ハカセの目が縦長の藤子調の黒目にされている。他にもキャラクターの服装や、美術設定などが時代に合わせてリニューアルされた。
オバケのQ太郎
- 放映期間
- 初回視聴率(ビデオリサーチ調べ)
- 関東地区 - 31.5%
- 関西地区 - 34.6%
- 最高視聴率(ビデオリサーチ調べ)
- 関東地区 - 36.7%(1966年4月24日放送)
キャスト
- Q太郎 - 曽我町子
- 正太(正ちゃん) - 田上和枝
- 伸一(伸ちゃん) - 野沢雅子
- ドロンパ - 喜多道枝
- P子 - 水垣洋子
- U子 - 未登場
- ゴジラ - 肝付兼太
- ハカセ - 麻生みつ子
- キザオ - 山岸比呂美
- よっちゃん - 向井真理子
- パパ - 松岡文雄 → 田の中勇
- ママ - 北浜晴子
- 小池さん - 大竹宏
- 神成さん - 野本礼三
- 百栗 三太夫 - 関敬六
スタッフ
- 監督 - 大隅正秋
- 脚本 - 吉田史郎、田代淳二、岡本欣三、花島邦彦、木下蓮三、吉田進、松元力、おおいひさし、大森施工、吉田秀子、Aプロダクション、辻真先、若林一郎、松岡清治、東京ムービー企画部、中野健次、塩沢朝子、富沢耕己、島修司
- 演出 - 大隅正秋、長浜忠夫、岡部英二 他
- 作画 - 楠部大吉郎、芝山努、小林治、富永貞義、中村英一、谷口守泰 他
- 音楽 - 筒井広志
- 製作 - 東京ムービー
- 製作協力 - Aプロダクション
主題歌
- オープニングテーマ
- 『オバケのQ太郎』(前期)
- 作詞 - 東京ムービー企画部 / 作曲・編曲 - 広瀬健次郎 / 歌 - 石川進
- この歌は石川進の歌唱によって数社から発売されたが、現在発売中のCDで比較すると「オリジナル版 懐かしのアニメソング大全(1)」(EMIミュージック・ジャパン)に収録されているものは「テレビまんが懐かしのB面コレクション」(コロムビアミュージックエンタテインメント)のものよりもテンポが速い等、微妙な違いがある。
- 『オバQ音頭』(後期)
- 作詞 - 藤子不二雄 / 作曲・編曲 - 広瀬健次郎 / 歌 - 石川進&曽我町子
- エンディングテーマ
- 『オバケのQ太郎』(放送開始直後)
- 作詞 - 東京ムービー企画部 / 作曲 - 広瀬健次郎 / 歌 - 石川進
- 『ぼくとQちゃん』(前期)
- 作詞 - 遠藤隆智 / 作曲 - 広瀬健次郎 / 歌 - 吉田亜矢
- 『オバQ音頭』(後期)
- 作詞 - 藤子不二雄 / 作曲・編曲 - 広瀬健次郎 / 歌 - 石川進&曽我町子
「アニメ主題歌大全集」に収録されているのは、前期OPと放送開始直後EDのみ。
劇場版
新オバケのQ太郎
- 放映期間
- 最高視聴率
- 関東地区 - 25.8%(1972年3月1日放送)
キャスト
- Q太郎 - 堀絢子
- 正太 - 太田淑子
- 伸一 - 白川澄子
- O次郎 - 高坂真琴→桂玲子
- P子 - 沢田和子
- ドロンパ - 山本嘉子
- U子 - 丸山裕子
- ゴジラ - 肝付兼太
- ハカセ - 白川澄子
- キザオ - 沢田和子
- よっちゃん - 野村道子
- パパ - 永井一郎
- ママ - 北浜晴子
- 小池さん - 島田彰
- 神成さん - 野本礼三
スタッフ
- 原作 - 藤子不二雄
- 作画監督(総作画監督) - 椛島義夫
- 撮影監督 - 三沢勝治
- 美術監督 - 小林七郎
- 音楽 - 山本直純
- 録音監督 - 山崎あきら
- 効果 - 片岡陽三
- 演出(監督) - 長浜忠夫
- プロデューサー - 川口晴年、藤井賢祐(日本テレビ)
- 脚本 - 山崎晴哉、伊東恒久、松元力、竹内泰之、金子裕、鈴木良武、吉田秀子、辻真先、柴山達雄、小川洋三、高際和雄、城山昇、井上和士、長浜忠夫、吉田喜昭、小田健也、奥村武弘
- 絵コンテ - 富野喜幸、近藤英輔、出崎哲、小華和ためお、平田敏夫、森下圭介、他
- 作画監督補佐 - 中村英一、北原健雄、須田紋太
- 演出助手 - 上山憲二、佐伯俊道
- 原画 - 竹内大三、鈴木欽一郎、三重野要一、富永貞義、山田幸一、酒井あきお、他
- 動画 - 高木三枝子、高野一枝、紺野政子、西加代子、田中とも子、矢田部順、他
- 制作進行 - 森克彦、熊崎哲夫、他
- 進行 - 石津晴夫、南正時、他
- 撮影 - 高崎正満、八巻磐、他
- 背景 - 内田好之、坂本信人、他
- 編集 - 越野寛子
- 仕上検査 - 山名公枝
- 仕上 - 山浦浩子、保田道世、片野尋、鈴木早苗、高野マチ子、中谷三枝子、他
- 制作協力 - Aプロダクション、東京アニメーションフィルム、映音、東洋現像所
- 製作 - 東京ムービー、日本テレビ(ノンクレジット)
主題歌
- オープニングテーマ - 『オバケのQ太郎』
- 作詞 - 東京ムービー企画部 / 作曲・編曲 - 山本直純 / 歌 - 堀絢子&ニューロイヤル
- エンディングテーマ - 『オバQえかきうた』
- 作詞 - 東京ムービー企画部 / 作曲・編曲 - 山本直純 / 歌 - ザ・グリンピース
藤子不二雄劇場 オバケのQ太郎
- 放映期間
キャスト
- Q太郎 - 天地総子
- 正太 - 三輪勝恵
- 伸一 - 水島裕
- ゴジラ - 竹村拓
- ハカセ - 肝付兼太(喉の手術のため、1985年11月 - 12月はキザオ役の龍田直樹が代役を務めた)
- キザオ - 龍田直樹
- よっちゃん - 室井深雪
- 小池さん - 広森信吾
- 神成さん - 兼本新吾
- パパ - 大山高男
- ママ - 塚田恵美子
- 先生 - 島香裕
- ユカリ - 麻上洋子
- ドロンパ - 白石冬美
- U子 - 増山江威子
- P子 - 三田ゆう子
- O次郎 - 横沢啓子
- ヤスベエ - 山本圭子
- ゴン - 八奈見乗児
スタッフ
- 監督 - 原田益次
- 監修 - 鈴木伸一
- 総監督 - 笹川ひろし
- 総作画監督 - 富永貞義、森下圭介
- 脚本 - 桜井正明、岸間信明、菅良幸、丸尾みほ、桶谷顕、茂木仁史、深見弘、杉原めぐみ、渡辺麻実、松下幹夫、山本優、山田隆司、水出弘一、並木敏、田口成光、中弘子、麻尾るみこ、佐々木裕之、岡かすみ、立花遊、小川あさ美、吉田進、八木良一、安藤豊弘、片平圭子 他
- コンテ・演出 - 笹川ひろし、原田益次、須永司、やすみ哲夫、棚橋一徳、中村喜則、吉永尚之、青山弘、原恵一、平井峰太郎、長尾粛、白石邦俊、竹内大三、小松和彦、棚橋正人、永樹凡人、天海ひろし、棚沢隆、塚田庄英、大谷正弘、前園文夫、パクキョンスン、石崎すすむ、小林真理、津野明朗、木暮輝夫、遠藤克己、近藤英輔、高柳哲司、松島明子、細谷秋夫、北原健雄、山崎友正、槌田幸一、殿勝秀樹、渡辺はじめ、遠藤徹哉、北爪宏示 他
- 美術設定 - 河野次郎
- 美術監督 - 徳重賢→沼井信朗、今林美紀→増田直子
- 撮影監督 - 斎藤秋男、角原幸枝
- 録音監督 - 浦上靖夫、大熊昭
- 色指定 - 森千草
- 背景 - アトリエローク、スタジオユニ
- 撮影 - 旭プロダクション、東京アニメーションフィルム
- 編集 - 岡安プロモーション
- 効果 - 松田昭彦(フィズサウンドクリエイション)
- 整音 - 中戸川次男、大城久典
- 録音 - オーディオプランニングユー
- スタジオ - APUスタジオ
- 現像 - 東京現像所
- 音楽 - 菊池俊輔
- 制作担当 - 茂木仁史
- 制作デスク - 上田真一郎
- 文芸 - 桶谷顕
- プロデューサー - 木村純一、小泉美明(テレビ朝日)、加藤良雄、児玉征太郎(シンエイ動画)、萩野宏(旭通信社)
- 製作 - シンエイ動画、テレビ朝日、旭通信社
主題歌
- オープニングテーマ
- エンディングテーマ
- 『BELIEVE ME』(前期)(第1話 - 第134話)
- 作詞 - 阿木燿子 / 作曲 - 宇崎竜童 / 編曲 - 青木望 / 歌 - 浜田良美
- 『あいうえオバQ』(後期)(第135話 - )
- 作詞 - 麻尾るみこ / 作曲・編曲 - 菊池俊輔 / 歌 - 天地総子
- テレ朝チャンネルでの放送は、134話以前の作品も後期のOP/EDで放送されている。
- 日曜枠でエンディングテーマの直前に流されていた曲
ビデオソフト
劇場版
1985年からのテレビシリーズ放送中に作られた、15分程の短編映画。アナグリフ立体方式。入場特典として、作品観賞用のメガネが配布された。
※これらは未だDVD化されていない。
- オバケのQ太郎 とびだせ! バケバケ大作戦(1986年)
- 総監督 - 笹川ひろし
- 監督 - 原田益次
- 脚本 - 桜井正明
- 作画監督 - 森下圭介
- 美術 - 宮野隆
- 撮影 - 三沢勝治
- 編集 - 岡安肇
- 音楽 - 菊池俊輔
- 協力 - 藤子スタジオ
- 同時上映 - 『ドラえもん のび太と鉄人兵団』、『プロゴルファー猿 スーパーGOLFワールドへの挑戦!!』
- オバケのQ太郎 進め! 1/100大作戦(1987年)
- 総監督 - 笹川ひろし
- 監督 - 塚田庄英
- 脚本 - 桜井正明
- 作画監督 - 森下圭介
- 美術 - 宮野隆
- 撮影 - 三沢勝治
- 編集 - 岡安肇
- 音楽 - 菊池俊輔
- 同時上映 - 『ドラえもん のび太と竜の騎士』、『プロゴルファー猿 甲賀秘境!影の忍法ゴルファー参上!』
ゲーム
- オバケのQ太郎 ワンワンパニック
- 1985年12月16日、バンダイより発売。ファミリーコンピュータ用ソフト。アクションゲーム。
エピソード、こぼれ話
アニメ関連
- 1作目の放送後半からスタジオ・ゼロがアニメ制作協力として関わっているとされていることがあるが、鈴木伸一によると制作したのは『オバQ』のパイロットフィルムのみで、現場では能力不足と言われ関われなかったということである。このパイロットフィルムの内容は、『鉄腕アトム』風の未来的な街に住んでいるという設定にされた。その映像を見た藤子両人は内容の改変に違和感を覚えたという。後に東京ムービーで制作が決まり、原作通りの設定で作られた。ヒーローものアニメがまだ全盛期の時代であったため、放送初期はQ太郎の性格が多少好戦的なものになっていた。
- アニメ第1作の「不二家の時間」枠での最終回には、次の新番組である『パーマン』の宣伝としてパーマン1号がゲスト出演をしている。Q太郎と正太がギャング団に誘拐され、Q太郎が助けを求めると、パーマンが駆けつけて2人が助け出されるという内容。この時のQ太郎とパーマンの会話は「君は来週からじゃないか」「僕、あわてんぼうだから1週早く出てきちゃった」というものである。『TVジェネレーション』、『決定!これが日本のベスト100』、『大胆MAP』等、懐かしのアニメ特集番組で映像が流れることがある。
- 『新 - 』のQ太郎役は当初、初代の曽我町子に演じてもらう予定であったが、曽我が多忙であったこと、TBS系であった初代との差別化(『新オバQ』は日本テレビ系)などで堀絢子に決まったという。
- 劇場短編アニメ『パンダコパンダ』のラスト近くのモブシーンで、Q太郎が登場する。
- シンエイ版では1980年に『ドラ・Q・パーマン』で共演の他、特番などで他の藤子キャラクターとしばしば共演を果たしている。
歌・レコード
- 初代Q太郎の声を演じた曽我町子は、コロムビアのスタジオで『オバQ音頭』のレコーディングの際、風邪をこじらせていたのでスケジュールの延期を申し出ていた。しかしデュオ相手の歌手、石川進のスケジュールの都合と、スタッフ[13]がやる気満々でその熱意に押され曽我は渋々歌ったという。これら主題歌、挿入歌はコロムビア盤と朝日ソノラマなどのソノシート盤でカバーやテイク違いが数多く存在しており、この『オバQ音頭』も例外ではない。
- 本作のアニメ(1作目)は不二家が一社独占のスポンサーに付いたため、本作を含む一連の藤子アニメは、オープニングとエンディングでペコちゃん(声:斉藤尚子)と共演していた(『東京ムービー主題歌大全集』収録の映像はペコちゃん登場部分がカットされたものであるため見ることはできない)。エンディングで使用された『オバQ音頭』のシネテープでは共演していることが伺える。また、次作『パーマン』のED、次々作『怪物くん』でも共演した。
- なお、現在残っている『オバQ』のオープニングフィルムでは、ラストシーン(犬に驚いたオバQが木の枝に頭をぶつけて気絶)がズームアウトして、テレビの中にオープニングフィルムが映っている所で終わっている。その後がどうなっているかは不明。
- 2000年頃、ファンクラブのイベントで上映されたエンディングにはペコちゃんとの共演シーンは存在していた。エンディングに引き続き予告編があり、最後にペコちゃんとの共演がなされている。
- 1966年暮れには『オバQクリスマス』というレコードが発売された(P子や正太も登場するコロムビア盤と、Q太郎のみが歌う勁文社盤がある)。スポンサーの不二家がオバQを通じて自社のケーキを買ってもらおうというタイアップ企画でもあった。ペコちゃんとQ太郎がクリスマスソングを歌う、景品のソノシートも制作された。このクリスマス企画は『怪物くん』でも行われた。
- 『新オバケのQ太郎』の絵描き歌は、口を葉っぱに見立てて書き始めて、途中で上下をひっくり返すという、型破りな絵描き歌だった。2番のO次郎まではエンディングとして放映された。レコードバージョンの3、4番はP子とドロンパであるが、いずれも途中の同じフレーズで紙をひっくり返す必要があった。これに対し3作目のオバQでは、体全体をロケットに見立て、腕を羽として書き足すという着想で新たに絵描き歌が作られた。
- モダンチョキチョキズ(ボーカル:濱田マリ)のメジャーデビュー曲は、『新オバケのQ太郎』の主題歌のカバーだった。この曲のミュージック・ビデオには犬の着ぐるみが登場して踊っている。
キャラクター商品・懸賞
- アニメ第1作では不二家の一社提供のため、不二家からオバQのお菓子が発売、当初はアニメ開始前に風船ガム「オバQフーセンガム」が発売されたが、アニメ開始と同時に板チョコ「オバQチョコレート」や、「オバQキャンディー」を追加発売、やがてキャラメルを始め、ピーナッツチョコ(板チョコ、チョコボール)や糖衣チョコも発売、いずれのお菓子にも、様々なおまけが付いていた。
- また懸賞も盛んに行われ、1965年から1966年にかけて、オバQお菓子の包み紙を贈ると、オープンリールテープレコーダーやオバQラジコン人形が当たる懸賞が行われていた。更に1966年にはオープン懸賞として、「オバQといっしょにケニヤに行こう!」「Qちゃんとオトギの国デンマークへ行こう」が行われた(インド航空協賛)。これは葉書にオバQ(「デンマーク」ではP子でも良い)の似顔絵を描いて応募すると、抽選でケニア旅行やデンマーク旅行が贈られるもので(「ケニヤ」の時は8ミリカメラが副賞)、海外旅行がまだ「高値の花」と言われたこの時期では、一際注目を浴びた。なお原作者の藤子不二雄は双方の審査員を担当し、旅行に同行した。
- アニメ第2作では再び不二家がスポンサーに付き、新たなオバQお菓子を発売、更にかつての「ケニヤ(デンマーク)へ行こう」と同様の似顔絵懸賞を行ったが、アニメ開始1ヶ月後の1971年10月よりオープン懸賞の上限は百万円まで」となったため、賞品は海外旅行ではなく、ギフト旅行券となった。
- またアニメ第2作では、新たにプリマハムがスポンサーに加入し、「オバQウインナー」などのキャラクターソーセージを販売した。なおプリマハムは1972年9月限りで任天堂と交代したが、その後も番組終了まで販売した。
- アニメ第3作では不二家は参加せず、同業者のロッテがスポンサーに付いた。
- また第2作と第2作の間の1976年には、ポピー(現:バンダイ)の「超合金」のシリーズ企画で、懐かしの漫画キャラ・アニメキャラ・おとぎ話キャラをフィギュア化した「名作シリーズ」の一貫して、オバQの「超合金」が発売。オバQを立てる台座やP子人形が付属しており、P子を背中に乗せたり、背中のボタン操作で口が開き、舌が出るギミックが付いていた。後年、『ドラえもん』『怪物くん』『パーマン』といったシンエイ動画版藤子アニメが放送された時は、ポピー→バンダイから「超合金」人形が発売されたが、本作のシンエイ版が放送された時は、オバQの「超合金」は発売されず、「名作シリーズ」版が唯一の「超合金」となった。
パロディ作品・客演
- 1960年代から1970年代に製造された観光バスで前面がQ太郎に似ている(特にヘッドライト周りがQ太郎の唇に似ているという)理由で「オバQ」の愛称が付いた車がある(詳細は「いすゞ・BU」の項参照)。
- 映画『喜劇 駅前漫画』(1966年、東京映画)では、Q太郎とP子らがアニメと着ぐるみで登場。劇中に登場する玩具工場では当時のオバQグッズが作られている。その工場の社長(伴淳三郎)の息子は久太郎(頭師佳孝)という名で、いつもオバQの「Q」の字と唇をモチーフにした白いトレーナーを着ている。この作品に登場する漫画工房で描かれている漫画は『おそ松くん』である。
- 映画『日本一のゴリガン男』(1966年、東宝・渡辺プロダクション作品)では主演の植木等がオバケのQ太郎の着ぐるみを着る。
- 映画『哀愁の夜』(1966年、日活)では、和泉雅子扮する美沙緒が経営するアニメ制作プロダクション「Qプロダクション」では『オバケのQ太郎』のテレビアニメを製作している。劇中で主演の舟木一夫と二人でスライドで『オバケのQ太郎』を見るシーンがあり、従業員一同で『オバケのQ太郎』の主題歌を合唱するシーンなどがある。
- 岡本喜八監督作品『殺人狂時代』(1967年東宝)では、「オバQ」という名の殺し屋が登場する。
- 『週刊少年サンデー』でオバQと人気を二分していた『おそ松くん』ではたびたび登場してきたが、竹書房文庫版22巻の巻末で「オハゲのKK(ケケ)太郎」という題でチビ太と共演をし、言葉をしゃべった(赤塚不二夫との合作)。この話は、「藤子・F・不二雄大全集」の『オバケのQ太郎』第5巻のラストにも収録されている。
- 逆に原作版『オバQ』では、『おそ松くん』をネタにした作品が何作かある。
- オバQと正太がカミナリじいさん(神成さんとは別人)の飼っていた九官鳥を捕まえようと、罠を仕掛けるが、罠の餌にチビ太が食いついて、オバQが「こら、ぼくのまんがへ出るな」と抗議。
- 正太が巨人軍に入団した時の話で、国松彰(当時の巨人軍外野手)が打ったシーンに、国松ならぬおそ松が登場。
- 魚拓ならぬ「顔拓」コレクションに凝り出したオバQが、イヤミの顔拓を取ったが、出っ歯しか取れず、オバQは「いかさない」と一喝し、イヤミは「シェー」となる。
- オバQ一家が初登場したとき、X蔵が『週刊少年サンデー』を見て、正太のママに六つ子の服や『ブラック団』の可藤骨蔵の服を着せる(だがオバQは「あんなのだめ!」「なおさらだめ!」と否定)。
- ドロンパが初登場した時、ドロンパが化けるときのポーズを教えるふりをして、シェーをしている。
- 物思いに耽る様になったオバQが「何かになりたい」と思い、「ゆかいなまんがの主人公のように…」と思うと、おそ松やイヤミの顔が浮かんでシェーをやり、ハタ坊になって「ダジョー」と叫び、ダヨーンになって「ビローン」とやる。
- オバQがテレビ局へ行き、「電波!!電波!!」とうろついていると、スタジオにいたイヤミが「デッパデッパというな!!」とシェーをしながら叫ぶ。
- リンゴを持ったオバQとおでんを持ったチビ太が、取り合いをする。
- 水木しげるの漫画『ゲゲゲの鬼太郎』の『妖怪大戦争』で、西洋妖怪を倒すために集まった日本の妖怪達の中にQ太郎がいる。
- 『ドラえもん』の『なんでも空港』(てんとう虫コミックス32巻)の回にQ太郎が登場している。ジャイアンとスネ夫はQ太郎のことを知っているようで、「オバケなんかに用はないんだ」と語っている(逆にQ太郎は用もないのに呼び出され「おりたくておりたんじゃないぞ」と憤慨している)。また、『ほんもの図鑑』(てんとう虫コミックス6巻)の回では、「オバケ」の図鑑からしずかが出してしまったオバケ達の中にQ太郎がいる。『ドラえもん のび太のドラビアンナイト』でも、オバケ達の中にQ太郎が登場し、ランプの精を見て「オバケ怖い」と言って逃げ出している。ランプの精には「そっちだってオバケのくせに」と返されている。『おりたたみハウス』(てんとう虫コミックス24巻)、『ジャイアンよい子だねんねしな』(てんとう虫コミックス27巻)、『カチンカチンライト』(てんとう虫コミックス38巻)、『ジャイ子の新作まんが』(てんとう虫コミックス44巻)では、テレビ番組として、Q太郎が登場している。また『ポスターになったのび太』(てんこみ33巻収録)では冒頭のスネ夫のコレクションにQ太郎がある。中にそのほかには『不運はのび太のツヨーイ味方!?』(てんとう虫コミックス『ドラえもんプラス』1巻)に登場し、ドラえもんがくれた空中シューズでのび太が空を歩いているときに、Q太郎とぶつかりQ太郎が「どこ見て歩いてんだ」と言っている。
- 小学館の学習雑誌『小学一年生』の1974年版には毎月、なぞなぞを出す漫画が連載され、付録にも漫画絵形式でなぞなぞを載せた豆本がついて来た。この漫画及び豆本の主役は「なぞえもん」と言う、ちょんまげ頭の小学生であるが(首から下は現代の普段着、舞台も現代で、通っている小学校でちょんまげは彼一人だけ)、なぜかQ太郎が同居しており、仲間のオバケ達もなぞなぞを出す話の都合上出演している。大原家は全く登場せず、パラレルワールドと解釈できる。作画はドラえもん関係の協力執筆が多い元アシスタントのヨシダ忠。
- フジテレビのバラエティ番組『ダウンタウンのごっつええ感じ』で1994年から1995年にかけて、本作のパロディーアニメ「きょうふのキョーちゃん」というアニメが放送された。また同番組では、東野幸治(Q太郎)とほんこん(O次郎)が扮する『リアルQさん』というコントも披露された。
- 日本テレビのバラエティ番組『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』の人気企画「七変化」の笑い飯西田幸治の回において、西田の同僚ネゴシックスが全裸の上からQ太郎を模した着ぐるみを着て登場してわざと中身の下半身を露出させ、西田がほかのネタでガキ使メンバー達の笑いをあまり取れずに苦戦する中で、唯一メンバー達の爆笑をさらった。
- 香港でも人気は高いようで、周星馳主演の映画『魔界ドラゴンファイター』では着ぐるみで登場している。
- 『週刊少年ジャンプ』の漫画・アニメの『銀魂』、『珍遊記 -太郎とゆかいな仲間たち-』でもQ太郎に似たキャラクターが存在する。また、『ジョジョの奇妙な冒険』の第3部『スターダストクルセイダース』の主人公である空条承太郎が宿に泊まった際に、敵をあざむく目的で、宿帳に「空条Q太郎」と書いたことがある。
- 『週刊少年ジャンプ』で連載された澤井啓夫の漫画『ボボボーボ・ボーボボ』ではQ太郎に酷似した、かぶり物をしている「サービスマン」なるキャラクターが登場している。被り物の下は全裸で、登場するたびに「サービス」と称して股間を見せ付ける強烈なキャラクター。アニメ版ではデザインが変更され、Q太郎とは似ても似つかない外見になった。
- 海藍の漫画『トリコロ』では、犬が苦手な人物が犬に怯えている際に「頭頂部の髪の毛の一部が3本放射状に逆立つ」という描写がある。
- コミック版『機動警察パトレイバー』ではシリアスなシーンであるにもかかわらず車体にQ太郎が描かれた「オバQ運輸」なる運送会社のトラックが登場する。
- 原作版『サザエさん』では、カツオがサザエのエプロンにいたずらでオバQを書き、追い回される回があった。
- テレビアニメ『日常』の「日常の96」に犬が怖いはかせに対し、「オバQか!」と、笑うシーンがある。
- テレビアニメ第1作『ど根性ガエル』第189話「恐怖の宿直」にて南先生を驚かそうとしたひろしがQ太郎に似た被り物を着ている。
人物
- シドニー五輪女子マラソン金メダリストの高橋尚子は、「Qちゃん」のあだ名で呼ばれている。その由来は、リクルート(当時)の陸上部新入部員歓迎パーティーで、全身にアルミホイルを巻き、カラオケで『新オバQ』の主題歌を歌ったことによる。
- 大洋ホエールズの中心打者だった田代富雄(現・東北楽天ゴールデンイーグルス二軍打撃コーチ)は、プロ入りした1973年に間の抜けたような受け答えをしたことから、当時の2軍コーチだった沖山光利に「オバQみたいなヤツだな」と言われたことが「オバQ」と呼ばれた始まりだった。それまで言われていた、その風貌や「オバケのように打球が遠くへ飛んでいく」などの説は違うという[14]。当時、打席に立つ時にアニメのテーマ曲がエレクトーンで演奏された時期もあった。
- 元大相撲力士の栃乃和歌(現・春日野親方)は、その風貌と厚い唇から兄弟子の舛田山(現・千賀ノ浦親方)から「Qちゃん」と呼ばれていた。後に、そのあだ名が広まり「角界のオバQ」と呼ばれるようになった。
- 西川のりおがフジテレビのバラエティ番組『オレたちひょうきん族』で時々Q太郎に扮装していた。逆にオバQ(第3作)「Qちゃんのニューファッション」の話にてドロンパがタケちゃんマンに化けていた。
その他
- 藤子不二雄Ⓐは犬好きで、昔飼っていた秋田犬の名を「Q太郎」と名づけたこともある。
- テレビアニメ版HAPPY★LESSONに登場する八桜はづきは大食い道の免許皆伝に当たる「オバ級」の称号を保持している。
- 1966年、本作のヒットにより、白いビニール袋を被って遊ぶ「オバQ」ごっこが流行。しかし、女児がこれを行い窒息死するという事故が起きている。当時の関係者らはこの遊びに関して注意を呼びかけた[15]。
- 1967年公開された東映動画(現:東映アニメーション)制作の長編アニメ版『ひょっこりひょうたん島』で、ライオン君(声:滝口順平)のノミで犬がパニックになったのを見た博士(声:中山千夏)が、「そうだ!ナメクジは塩に弱い、オバQは犬に弱い、そして犬はノミに弱い」なるセリフを言っている。
- 1975年公開の草刈正雄主演『がんばれ!若大将』(監督:小谷承靖)では、青大将(湯原昌幸)率いる空手部が「オバQ音頭」を歌っていた。
- 1969年に刊行された虫コミックス版は、原作者ですら全巻持っていないといわれる。(藤子Fによると、うちには1冊しか残っていないとのこと)[16]。
書籍情報
- 『オバケのQ太郎』 虫プロ商事〈虫コミックス〉全12巻
- 『オバケのQ太郎』(傑作選) 小学館〈てんとう虫コミックス〉全6巻
- 『オバケのQ太郎』(藤子不二雄自選集)小学館 全2巻(1巻は旧、2巻は新より収録)
- 『新編集オバケのQ太郎』 中央公論社〈藤子不二雄ランド〉全20巻
- 『新オバケのQ太郎』 小学館〈てんとう虫コミックス〉全4巻
- 『新オバケのQ太郎』 中央公論社〈藤子不二雄ランド〉全7巻
- 『Q The Spook』(オバケのQ太郎 英訳版) ラボ教育センター
※以上の単行本シリーズは2010年現在、全て絶版。
- 熱血!!コロコロ伝説 『新オバケのQ太郎』(別冊付録)2007年5月25日発売
- 藤子・F・不二雄大全集 『オバケのQ太郎』2009年7月24日より刊行開始
脚注
- ↑ コンビ解消後、『新オバQ』は著作権上、藤子Fの単独作となっているが、研究者の間では旧作と同様、藤子Ⓐも関わっていたとするのが定説である。
- ↑ のちの小山田つとむ。
- ↑ NHK『ザ・ライバル「少年サンデー・少年マガジン物語」』
- ↑ 藤子Fの結婚披露宴におけるつのだじろうの発言によるとされるが、つのだ自身は覚えていないという
- ↑ 長田暁二『昭和の童謡アラカルト - 戦後編』ぎょうせい、1985年、253頁。ISBN 4-324-00124-3
- ↑ 曽我町子コレクション・ステラ(インターネット・アーカイブのミラー)
- ↑ 小学館ビル:漫画家25人が落書き…建て替え、別れ惜しみ、毎日新聞、2013年8月13日
- ↑ ありがとう! 小学館ビル ラクガキ大会
- ↑ ポケモンの成功法則
- ↑ 太田出版「うしおそうじとピープロの時代」101ページ(1999年)。洋泉社「封印作品の憂鬱」91 - 92ページ(2008年)
- ↑ 『新 - 』は著作権上、Fの単独作品ということになっているため、復刊が容易であるとの見解がある。
- ↑ FとⒶの共著扱いという体裁は、2011年に小学館から刊行された『UTOPIA 最後の世界大戦』(復刻版)でも踏襲され、別冊の「UTOPIA読本」にはⒶのコメントも掲載されている。
- ↑ 当時のコロムビアの社員がストライキを起こしていたために、立ち会ったスタッフのほとんどが管理職であったという。
- ↑ ついに明かす『オバQ』命名秘話(『夕刊フジ』2009年5月23日)
- ↑ 『週刊昭和タイムズ』(デアゴスティーニ・ジャパン刊)より。
- ↑ 『文藝春秋』1994年2月増刊号でのよしもとばななとの対談より。
関連書籍
- 藤子不二雄『二人で少年漫画ばかり描いてきた -戦後児童漫画私史』(文藝春秋社、1980年)
- 月刊「創」編集部編『音羽vs一ツ橋』(創出版、1983年) - 小学館本社ビルがオバQビルと呼ばれているとの記述。
- 中野晴行編『鉄腕アトムワールド』(ぴあ、1993年) - マーチャンダイジングの歴史。オバQブームと怪獣ブーム。
- 米澤嘉博『藤子不二雄論 FとⒶの方程式』(河出書房新社、2002年)
- 安藤健二『封印作品の謎2』(太田出版、2006年) ISBN 4-7783-1006-3 - 絶版の真相について関係者の取材を行っている。
関連項目
- 壊れたファイルへのリンクがあるページ
- 漫画作品 お
- 週刊少年サンデーの漫画作品
- 別冊少年サンデー
- 小学館の学年誌の漫画作品
- 幼稚園 (雑誌)
- 少年漫画雑誌掲載漫画
- 女性誌掲載漫画作品
- 児童・幼年雑誌掲載漫画作品
- めばえ
- 月刊少年ジャンプの漫画作品
- コロコロコミックの漫画作品
- アニメ作品 お
- TBS系アニメ
- 不二家の時間
- 日本テレビ系アニメ
- テレビ朝日系アニメ
- 1965年のテレビアニメ
- 1971年のテレビアニメ
- 1985年のテレビアニメ
- 日本の3D映画作品
- ギャグアニメ
- 東京ムービー
- シンエイ動画
- 藤子不二雄原作のアニメ作品
- 週刊少年サンデーの漫画を原作とするアニメ作品
- 小学館の漫画を原作とするアニメ作品
- フィクションの妖怪
- 藤子不二雄
- オバケのQ太郎