FN MAG
テンプレート:Infobox FN MAGは、1950年代にベルギーのFN社で開発された汎用機関銃である。名前の由来は、フランス語で汎用機関銃を意味する"Mitrailleuse d'Appui General"の頭文字を取ったもの。英語の"General purpose machine gun"(GPMG)の語源とも言われている。
1958年より製造が開始され、7.62x51mm NATO弾を使用する汎用機関銃として、NATO加盟諸国など80ヶ国以上で広く採用されている。
概要
運用思想としては、第二次世界大戦中のドイツ製MG34/MG42によって証明された汎用機関銃の有効性を受け継ぐものである。
FN MAGのメカニズムは、ブローニングBARのロッキング機構を基礎としたが、ベルト給弾機構とロッキング・ボルト機構との組み合わせはMG42が参考にされた。また、引き金まわりの機構や、プレス加工を多用することにより生産性を向上している点も、MG42の影響を受けている。ただし、NATOはベルトリンクも規格化したので、正確にはMG42と同じものではない(1968年に再設計されたMG3がMG42の直系)。
FN MAGは全ての状況下において非常に信頼できる機関銃であることが判明した。アメリカ陸軍におけるテストでは、動作不良(部品故障含む)の頻度は26,000発に1回というもので、弾詰まりによる射撃停止はさらにそれよりも低かった。
この機関銃の特筆すべき点は、銃身を非常に素早く交換できるという点である。よく訓練された兵士は、およそ3秒以内に新しい銃身に交換することができる。機構的な過熱を防ぐため、継続射撃を行う際にもベルトリンクは100連に制限されている。訓練の際にはこの制限がしばしば省略されるが、それでも継続して射撃を行うことができる。
たとえば、フォークランド紛争におけるグース・グリーンに対する攻撃の際、イギリス軍空挺(エアボーン)部隊の兵士は、交換用の銃身なしで5,000-8,000発もの弾丸を発射しなければならなかった。結果的に、銃身が白くなるほど過熱したが、それでもこの機関銃は作動し続けることが証明された。
運用国
FN MAGは、80ヶ国以上で採用されている。下記に五十音順で列挙する。また、アメリカ、イギリス、アルゼンチン、エジプト、インド、シンガポール、台湾ではライセンス生産されている。
- M240機関銃として制式採用。陸軍ではM240Bとして、海兵隊ではM240Gとして採用している。陸軍は1977年から戦車の同軸機銃として搭載し、海兵隊は1980年代からハンヴィーなどの車載機銃として搭載している。さらに、陸軍は1990年代から、海兵隊は1991年(湾岸戦争)から、それぞれM60E4の後継機関銃として歩兵部隊への配備を始め、あらゆる部隊・作戦でM60の代替機関銃として使われている。
- M240Bには反動吸収装置を内蔵し、他にも若干の改修を加えたモデルや、部品の一部にチタン合金を使用した軽量モデルが存在する。M240と一部のM249、残存しているM60は、21世紀初頭には新軽量機関銃に交換する計画がある。
- 砂漠地帯における信頼性の高さ故に採用された。歩兵用機関銃としての役割はイスラエル国産のIMI ネゲヴ軽機関銃に代替されたが、メルカバやマガフ、ショット、アチザリット、ナグマホンなどの車載用機関銃として現役である。特に近年のイスラエル国防軍は戦車の対人戦闘力強化のために車長用キューポラと装填手用ハッチに1挺ずつ、合計2挺のFN MAGを装備させている。
- Pindad SPM2-V2 GPMGとしてライセンス生産。
- オーストラリア国防軍に採用された。特に陸軍はMAG 58として制式採用した。
- 歩兵部隊において長期間運用され続けている。
- C6 GPMGとして制式採用。一般的に、1個ライフル小隊につき1挺が割り当てられている。
- GPMGとして歩兵部隊に配備されている。新兵に対する教練では「汎用 General Purpose」という単語について、「何に対しても撃つことができる」という意味で教えている。車載機銃としても採用されており、トラックや装甲戦闘車両などに搭載されている。
- Ksp 58として制式採用。初期のKsp 58は6.5×55mmのスウェーデン軍標準弾だった。これらは後に7.62x51mm NATO弾が使用できるよう、Ksp 58Bとして改修された。短銃身の派生形があり、ミニミ・パラのように折りたたみ型銃床を備え、Ksp 58Dとして制式化された。
- CSF(Combined Service Forces、旧Hsing-Hua Arsenal)が74式としてライセンス生産している。
- 特殊部隊が運用している。
登場作品
- 終盤の戦闘で、ミャンマー陸軍のパ・ティー・ティント大佐の要請を受け、火力支援のため現れたミャンマー海軍の哨戒艇が前部甲板に装備。主人公のジョン・ランボー達傭兵グループや彼らと共闘していたカレン族反乱軍に対して機銃掃射を行い、ランボーの哨戒艇への銃撃にも素早く反撃して左腕を負傷させるが、スクールボーイの狙撃で機銃手を倒され、無力化された。