駐車
テンプレート:国際化 駐車(ちゅうしゃ)は、車両等を継続的に停止させること。
日本においては、道路交通法において道路上に一時的に車を停める停車とは区別される。また、自動車を保有する際には、それを運行しない場合の保管場所としていわゆる車庫を必要とする。
以下は、日本の道路交通法による駐車に関する規制について詳述する。
目次
[非表示]駐車とは
- 車両等が次の理由により継続的に停止すること。
- (運転者が運転中や乗車中、または車両等を離れず直ちに運転できる状態であっても駐車となる。)
- (ただし、人の乗降のための停車は、駐車には該当しない。)
- 客待ち・人待ち・荷待ちなど
- 五分を超える荷物の積みおろし(ただし、道路交通法上は「(貨物の積卸しのための停止で五分を超えない時間内のもの及び人の乗降のための停止を除く。)」という表現)
- 故障
- その他の理由
- 運転者が車両を離れて直ちに運転することができない状態にあること(放置駐車)
- (停止の理由や時間を問わず駐車となる。)
駐車場などの入場待ちの列で停止する場合や、赤信号で止まる場合は、追突する危険を防止するため等の一時停止と解釈されるので、駐車には該当しない。
停車は、駐車に該当しない車両等の停止を言う。詳細は同項目を参照。
駐車および停車を合わせて「駐停車」と言う。
駐車の禁止
駐車は道路交通の阻害、交通渋滞、交通事故の原因となることがある。そのため法令で定められた一定の場所については駐車が禁じられている。
駐停車違反の際に、
には、そうではない場合に比べてそれぞれ、交通違反の罰則や反則金、行政処分の基礎点数が加重されている。
放置駐車の「放置」については具体例として、運転者が放置車両から数メートル離れた公衆電話ボックスの中に居るような場合、(停止車両の運転者を即時に誰何できる訳ではないため、)「車両等を離れて直ちに運転することができない状態」である(判例)。
また、放置駐車車両については2006年6月より放置違反金制度の対象となった。 日本における2008年度に取り締まられた駐車違反は、275万件[1]である。
駐車を禁止する場所
車両が、以下のような場所において駐車した場合は、駐車違反となる(道路交通法 第四十五条および第四十六条)。
- 駐車禁止の道路標識・道路標示により駐車が禁止されている場所
- 車庫または自動車用の出入口から三メートル以内の部分
- 道路工事が行なわれている場合における当該工事区域の側端から五メートル以内の部分
- 消防用機械器具の置場若しくは消防用防火水槽の側端またはこれらの道路に接する出入口から五メートル以内の部分
- 消火栓、指定消防水利の標識が設けられている位置または消防用防火水槽の吸水口もしくは吸管投入孔から五メートル以内の部分
- 火災報知機から一メートル以内の部分
- (駐車余地)次章の「駐車の方法」に従い駐車した場合に、当該車両の右側の道路(車道)上に三・五メートル(「駐車余地」の道路標識等により距離が指定されているときは、その距離)以上の余地がないような場合(荷物の積みおろしを行なう場合で運転者がその車両を離れないとき、もしくは運転者がその車両を離れたが直ちに運転に従事することができる状態にあるとき、又は傷病者の救護のためやむを得ないときを除く)。
駐車の方法
車両が、法定の駐車の方法に従って駐車しなかった場合は、駐車違反となる。詳細は、駐停車の方法を参照。
時間制限駐車区間
時間制限駐車区間においては、車両が、以下の方法に従って駐車しなかった場合は、駐車違反となる。
- パーキングメーターが車両を感知した時、またはパーキングチケットの発給時から、道路標識等により表示されている時間を超えて継続駐車しないこと。
- 時間制限駐車区間において道路標示等により指定されている駐車の方法に従い駐車する。
- 駐車後速やかに、パーキングメーターを作動させ(通常、硬貨を投入する)、またはパーキングチケットの発給を受けて車両の前面ガラスの内側の見やすい場所に掲示する。
なお、時間制限駐車区間においては、前2項の駐車を禁止する場所、場合の項および駐車の方法の項は適用されない。
また、駐車場法に基づく路上駐車場が時間制限駐車区間にある場合で、その路上駐車場にパーキングメーターやパーキングチケットの設備が無い場合には、同設備に関する規制は適用されない。
駐車禁止の適用除外
以下のような場所、方法や場合等においては、駐車を禁止する場所、場合の項にかかわらず駐車ができ、駐車禁止とはならない。なお、その場合でも原則は、駐車の方法および時間制限駐車区間の項には従わなければならない。
- 路線バス・トロリーバス・路面電車がその属する運行系統に係る停留所等で運行時間を調整するため駐車するとき(※時間制限駐車区間の項は適用除外となる)
- 「駐車可」の道路標識により駐車可とされている場所
- 警察署長に駐車可の許可を受けた場合において、その条件および方法に従って駐車する場合
- 公安委員会の規則により、駐車禁止や時間制限駐車区間等の指定から除外されている場合。この場合は、それらの道路標識・道路標示による効力が及ばないだけである事に注意が必要である(例えば、道路標識等が無くとも駐車禁止となるような場合など(法定駐車禁止場所など)には、依然として駐車禁止である)。
- 以下は東京都の場合の例(東京都道路交通規則、昭和46年11月30日東京都公安委員会規則第9号)
- 災害救助、人命救助、水防活動又は消防活動のため使用中の車両
- 人の生命又は身体に危害の生ずるおそれがある緊急の事態における関係者に対する警告のため使用中の車両
- 交通の取り締まり、交通事故調査、被疑者の逮捕、犯罪の捜査、検証又は警備活動のため使用中の車両及び当該目的のため現に停止を求められている車両
- 郵便物の集配又は電報の配達のため使用中の車両
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく廃棄物の収集のため使用中の車両
- 道路及び付属物並びに信号機、パーキング・メーター、パーキング・チケット発給設備及び道路標識等の維持管理のため使用中の車両
- 公職選挙法に基づく選挙運動用又は政治活動用の自動車で、街頭演説又は街頭政談演説に使用中のもの
- 次に掲げる車両で、所定の標章(公安委員会に基づく警察署長の許可を要する)を掲出しているもの
- 電気、ガス、水道、電話又は鉄道の各事業について緊急修復を要する工事のため使用中の車両
- 報道機関の緊急取材のため使用中の車両
- 食品衛生法に基づく臨検検査のため使用中の車両
- 法定の、国又は地方公共団体が公害調査のため使用中の車両
- 裁判所の執行官が民事執行法に基づく強制執行等を迅速に行う必要がある場合に、その執行のため現に使用中の車両
- 区市町村の長と歯科医師会会長との歯科訪問診療に関する委託契約に基づき、歯科医師会から指定された歯科医師が往診に使用中の車両
- 法定の、電波の監視及び電波の質の是正並びに不法に開設された無線局及び不法に設置された高周波利用設備の探査のため使用中の車両
- 急病者等に対する医師の緊急往診のため使用中の車両
- 次に掲げる者が現に使用中の車両で、所定の標章を掲出しているもの
- 色素性乾皮症患者が、昼間(日の出から日没までの時間をいう。)、現に使用中の車両で、所定の標章を掲出しているもの
駐車禁止除外標章掲示車両の駐車違反
駐車禁止除外標章は、歩行困難者が現に利用している場合に限り定められた方法で駐車することに限られるにも関わらず、悪用がされることが多く、特に都市部においては社会問題化し逮捕者がでているが、氷山の一角である。駐車監視員は駐車禁止除外標章の不正使用を取り締まらないことが多く、駐車禁止除外標章の不正使用の疑惑があれば110番通報することが必要である。
駐車禁止除外標章を掲示していても、道路交通法により定めらた駐車禁止の適用を受ける場合は、路上駐車した場合には、違反となり反則金を支払うこととなる。駐車禁止除外標章を掲示していても駐車違反となる場所・方法を下記に示す。
- 交差点やその前後5メートル以内
- 横断歩道やその前後5メートル以内
- 自転車横断帯やその前後5メートル以内
- 踏切やその前後10メートル以内
- まがりかどから5メートル以内
- 安全地帯の左側やその前後10メートル以内
- バス停などの停留所から10メートル以内
- 自動車用出入口から3メートル以内
- 道路工事区域から5メートル以内
- 消防用器具庫から5メートル以内
- 消火栓から5メートル以内
- 火災報知器から1メートル以内
- 駐停車禁止標識
- 道路の右側余地が3.5メートル未満
- 歩道上駐車や右側駐車
- 二重駐車
- 斜め駐車
- 駐停車禁止路側帯内や歩行者専用路側帯内の駐車
- 駐停車禁止路側帯(白の実線と破線)、歩行者専用路側帯(白の実線日本)、0.75m余地確保違反等の路側帯設置場所で法定方法に従わない駐車
- パーキングメーター(チケット)での指定部分・方法に従わない駐車
駐車禁止除外標章掲示車両の駐車違反の対応策
路上に駐車禁止除外標章を掲示して駐車違反を繰り返す車両の問題は、地域の警察官が法律的に十分な知識が無いことや、駐車監視員が取締りできないことから、都市部で社会問題になっている。この問題を解決するためには、して路上駐車している車を110番通報して、上述の右側駐車や路側帯の無余地等の道路交通法の法定駐車禁止及び、長時間駐車や反復継続車庫法により、警察の交通課の警察官に対応を依頼する方法が必要となる。
具体的な、摘発事例を下記に示す。
- 神奈川県警暴力団対策課などは2014年6月4日、偽計業務妨害容疑で、指定暴力団稲川会系組長、砥川(とがわ)隆司容疑者(67)=横浜市中区長者町=と、砥川容疑者の送迎をしていた稲川会系組員の男2人を逮捕した。逮捕容疑は、身体障害者や介護者らが使う「駐車禁止除外指定車標章」の偽造品で、同市内の駐車禁止場所に駐車。駐車監視員の取り締まり業務を妨害した[2]。
- 兵庫県警の2013年の「駐車禁止除外指定車標章」を不正に使った駐車違反の取り締まり件数は、167件[3]。
- 神奈川県警戸部署は2013年8月15日、偽造有印公文書行使の疑いで、横浜市中区松影町2丁目、中国籍で指定暴力団稲川会系幹部の男(31)を逮捕した。逮捕容疑は、横浜市西区で、偽造された障害者用の駐車禁止除外指定車標章を掲示し、乗用車を違法駐車した[4] 。
- 愛知県警は2012年3月13日、「駐車禁止除外標章」を偽造し、駐車監視員の業務を妨害したとして、名古屋市内に在住する男3人を偽計業務妨害容疑で逮捕した。逮捕された3人は、名古屋市内の繁華街でクルマを路上駐車した際、偽造した駐車禁止除外標章を提示。取り締りを行う駐車監視員の確認を妨害した[5]。
- 大阪府警駐車対策課と曽根崎署は2011年3月9日、障害がある父親の「駐車禁止除外指定車標章」を悪用し、 通勤で路上駐車を繰り返したとして自動車保管場所法違反で、 旅行大手「阪急交通社」社員青山幸嗣容疑者(38)=大阪府吹田市山田東=を逮捕した。青山容疑者は勤務先近くの路上にマイカーを駐車し通勤。容疑は、腎臓機能障害で歩行困難の父親が交付された標章を自分の乗用車に掲げ、大阪市北区野崎町の路上に駐車し、道路を車の保管場所に使用した[6]。
- 大阪府警南署などは2007年5月29日までに、車庫法違反などの 疑いで、大阪市中央区島之内、 梅沢利昭 容疑者を逮捕した。梅沢容疑者は、身体障害者である父親の駐車禁止除外指定車の標章を、実際には介護していないのに自分の乗用車に掲示し、自宅近くの路上に駐車した。父親とは別居しており、不正使用を繰り返していた[7] 。
- 大阪府警は2006年10月30日、日本生命テレコミュニケーション推進室営業部長(現、三井住友海上プライマリー生命勤務)の陶山典保(すやま・のりやす)容疑者=大阪市阿倍野区阪南町=を車庫法違反の疑いで逮捕した。同推進室の48歳 と46歳の女性社員2人も同容疑で書類送検する方針。 御堂筋を担当していた駐車監視員が「標章を置いた車3台が毎日止まっている」と府警に連絡して発覚した。 陶山容疑者は、御堂筋に面した勤務先に私有車で出勤した際に標章を車内の運転席前に置き、仕事が終わるまで違法駐車を 繰り返した。知人女性から標章を借りて使っていた [8]。
車庫法による駐車違反
自動車の保管場所の確保等に関する法律により、道路を保管場所として使用した場合は、駐車禁止除外標章を掲示していても違反であり、20万円以下の罰金、反則金3点減点、前科一犯となる。道路を保管場所として使用する例を下記に示す。
- 道路上の場所を自動車の自宅や勤務先に継続反復して駐車する行為
- 自動車が道路上の同一の場所に引き続き十二時間以上駐車することとなるような行為
- 自動車が夜間(日没時から日出時までの時間をいう。)に道路上の同一の場所に引き続き八時間以上駐車することとなるような行為
高速道路等における駐車
高速自動車国道および自動車専用道路においては、原則として駐停車禁止である。詳細は高速道路等における駐停車を参照。
駐車禁止の理由
時間制限駐車区間(駐車場法に基づく路上駐車場を含む)がある場合以外には、出来る限り道路上に駐車をすることは避けるべきである。
特に法令により駐車が禁止されているような場合などに駐車することは駐車違反、違法駐車と呼ばれ、それらの違法行為は、道路の交通機能を低下させるばかりか、横断する歩行者や車両にとっては通行車両との相互間で見通しを悪くし、また、他の通行する歩行者や車両にとっては駐車車両を回避しようとして車道もしくは道路の中央の方に出たり、または進路変更しもしくは道路の中央より右側にはみ出したりするなど、他の交通を危険に曝し、交通事故の原因となっているものであり、警察によって取り締まりの対象となる。
駐車車両に走行車両が衝突する交通事故のうち、特に多発ケースとしては、幹線的な道路において、自転車・原付・バイク・自動車が、四輪以上の車両に衝突し死傷するケース(バイク→四輪、普通車→貨物車など)がある。特に夜間、駐車車両が駐車時の法定の灯火をしてなかったケースが多い。
なお、多発ケースの状況でないからとか、法定の灯火をしているからと言って、違法駐車をして構わないと言うのは法的な理由にはなりえず、衝突車両の運転者等が事故の責任を追及されるのと同様に、違法に車両を駐停車させた者等も事故の責任を問われるケースもある。
また、駐車禁止等の規制とは別に、道路を自動車の保管場所として使用したり、長時間駐車(12時間以上、または夜間に8時間以上)をした場合は、自動車の保管場所の確保等に関する法律により処罰される(二輪を除く)。駐車禁止等の規制とは関係ないため、駐車禁止でない場所や場合等でも同法は適用される。なお適用除外としては、上記の「公安委員会の規則により、駐車禁止や時間制限駐車区間等の指定から除外されている場合」に類似した場合などがある(詳細は法令参照)。
また、常態として多く見られるが、歩道に乗り上げたり歩道上に駐停車した場合は、法定の駐車場所として道路標示等により指定されている場合を除き、駐停車の理由や時間を問わず駐停車方法違反となる。一般道路で路側帯を全部塞ぐように駐停車している場合も同様である。(なお、車道外側線の左側部分であって路側帯に該当しないものは、道路交通法上は車道である)
駐車場の利用
女性警察官と駐車監視員
(2006/9/4秋葉原にて撮影)
役所や鉄道駅などの公的施設、商店やショッピングモールなどの商業施設、一般家庭などでは、その敷地内に来客用の駐車場を用意している場合があり、それらの駐車場を利用する場合、無料・有料の別、利用時間の制限、利用できる車両の種類などの利用条件を守ることで駐車を許可される。また、都市部など専用の駐車スペースを確保しにくい地域では、時間貸しの有料駐車場が存在する場合がある。
詳しくは駐車場を参照
駐停車違反に対する措置
日本におけるレッカー移動第一号
駐車違反によるレッカー移動第一号は、1960年12月26日に東京都中央区築地の交差点で摘発された「4-に-5081」というナンバーを持つライトバンである。なお、警察側も不慣れなことから移動には30分もかかった。
無断駐車
公道上、私道上、公有地、私有地、いずれの場合でも無断駐車は、日本国の法律の道路交通法または、刑法の住居侵入罪または業務妨害罪、または、自動車の保管場所の確保等に関する法律の構成要件に該当する犯罪行為である。
関連項目
- 駐車場
- 停車
- 無断駐車
- 道路交通法
- 刑法
- 自動車の保管場所の確保等に関する法律
- 放置違反金
- 駐車監視員
- 縦列駐車 (Parallel parking)
- もしもしピット
- wonderful parkings pictures 駐車 : 写真
脚注
- 元の位置に戻る ↑ YOMIURI ONLINE 2009年7月8日21時閲覧
- 元の位置に戻る ↑ 2014.6.4産経ニュース
- 元の位置に戻る ↑ 神戸新聞
- 元の位置に戻る ↑ カナココロ2013年8月15日
- 元の位置に戻る ↑ レスポンス2012年3月16日
- 元の位置に戻る ↑ 産経ニュース 2011/03/10
- 元の位置に戻る ↑ 日刊スポーツ 2007年5月29日
- 元の位置に戻る ↑ 朝日新聞2006年10月30日版
- 元の位置に戻る ↑ テンプレート:Cite web