鉄道の歴史
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テンプレート:出典の明記 鉄道の歴史(てつどうのれきし)では、鉄道の創始以来の主要な歴史について述べる。
鉄道技術の歴史年表
ここでは、主要な項目を列挙し、詳細は別にゆずる。
- 馬車道上の切石を用いた軌道を牽引される最初の車両は、少なくとも2000年前にギリシャ、マルタとローマ帝国の一部に登場した。
- 16世紀半ば 木製のレールが使用されはじめる。
- イギリスの炭鉱で車の轍(わだち)のあとに丸太を設置して、その上に車を走らせた。また、ドイツの鉱山でも木製レールが使用され、ポイント(分岐)も備えていた。
- 鉱山などで鉄製のレールを使った運搬が行われた。馬や人の力で運搬する。
- 19世紀初頭 蒸気機関を用いた鉄道の研究・開発がはじまる。
- トレビシックが1804年に鉄製レール上を走る蒸気機関車の走行に成功したが、この頃は馬車鉄道用のもろい鋳鉄レールを使用していたため線路が折れやすく、本格的な実用化までには至らなかった。その後、ナポレオン戦争による軍馬の需要の増加で馬の価格が高騰し、運搬の代替手段としてレールと蒸気機関車を用いた鉄道の研究が一段と進んだ。
- イギリスのストックトン・ダーリントン間を結ぶ鉄道が開業した。これが世界初の商用鉄道とされている。以後、欧米各地で鉄道の建設が活発になり、1827年にアメリカ、1832年頃にフランス、1835年にドイツで鉄道が開業した。また、当時、イギリスの植民地化が進んでいたインドでも1853年に鉄道が開業した。
- 蒸気機関車を用いた地下鉄。
- ベルリン博覧会で公開運転を行った。
- 1881年 ドイツのベルリンで世界初の電車の営業運転を開始。
- 1910年 アメリカで色灯式信号機が製造される。
- 1912年 ドイツでディーゼル機関車が製作される。
- 1955年 フランス国鉄が当時の標準軌での速度記録を樹立。331km/h。
- 1960年 日本、狭軌での速度記録を樹立。175km/h。
- 1964年 日本、東海道新幹線が営業運転を開始。当時営業速度では世界最速の210km/h運転を行った。
- 1981年 フランスでTGVが運行開始、最高速度270km/hで世界最速に。
- 2003年 中国、上海でトランスラピッド開業。最高速度430km/h。
- 2007年 日本、小海線で世界初のハイブリッドシステムが使用される。
鉄道建設の歴史年表
ここでは、世界各地域の主要な項目を列挙し、詳細は各地域の鉄道の説明にゆずる。
イギリスで初めて登場した鉄道は、すぐにその有用性が認められ、北アメリカやヨーロッパ各地でも鉄道建設がはじまった。地域によっては猛烈な勢いで総延長距離を伸ばす時期もあり、鉄道狂時代あるいは鉄道建設狂時代と呼ばれる時期もある。たとえば、アメリカの場合、1880年代頃から年間1万kmのペースで鉄道が敷設され、1920年頃までに総延長は40万kmにも達した。
また、19世紀半ばには、当時進行していたヨーロッパの植民地政策と歩調をあわせるようにヨーロッパの影響の大きい地域から鉄道が敷設されていった。インド(英領インド帝国)や中近東でも比較的早い時期から鉄道の建設が始まっている。
日本でも明治時代の1870年代に入って鉄道の建設が始まり、やや遅れて中国(清)や朝鮮半島(大韓帝国)でも鉄道建設が活発化した。ロシア(ロシア帝国)からもシベリア鉄道の延長が進み、20世紀初頭には極東地域とも結ばれるようになった。
19世紀前半
- 1803年 イギリスで世界初の公共目的の馬車鉄道であるサリー鉄道が開業。
- 1807年 イギリス(ウェールズ)で世界初の旅客輸送を行なう馬車鉄道が開業(Swansea and Mumbles Railway)。
- 1825年 イギリスに世界初の蒸気機関を用いる公共鉄道が現れる。
- 1830年 アメリカ初の鉄道開業
- ボルチモア・オハイオ鉄道。1846年にはアメリカの代表的な鉄道会社の一つであるペンシルバニア鉄道が開業した。
- 1840年代頃からイギリスで鉄道の建設が一段と活発化した。アメリカでも1848年に西部のカリフォルニア州がアメリカ領となり、同時期にはじまる金採掘ブーム(ゴールドラッシュ)を機に鉄道建設が一段と活発化した。
19世紀後半
- 1850年代 中近東地域で鉄道が開業。
- ヨーロッパ列強の中近東地域進出とともにこの地域でも鉄道が建設されるようになった。1855年にエジプト初の鉄道が登場した。イギリス資本で建設され、アレクサンドリア・カイロ間を結んだ。1858年にはカイロ・スエズ間が開通した。この頃、スエズ運河の建設の動き(こちらはフランス資本)も進行している。また、1858年にはトルコ(オスマン帝国)初の鉄道(イズミル・セイディキョイ間)が開業した。
- 1850年代後半 南米で鉄道が開業。
- 中米のパナマでは1850年からパナマ・コロン地峡横断鉄道の建設が始まり、1855年に完成した。
- オセアニア初の鉄道となる。
- 1857年8月29日アルゼンチン初の鉄道開業。出発駅は現在のコロン劇場の側で全長9.6Kmの鉄道線。
- 1863年 イギリスの首都ロンドンで世界初の地下鉄が開業(当時は蒸気機関車牽引)。
- 1869年 アメリカ、大陸横断鉄道が開通。
- アメリカの東海岸と西海岸が結ばれた。開通より少し前の1865年頃(当時、南北戦争の時代でもある)には、アメリカではすでに約56,000kmの鉄道網があったという記述も見られる。
- 新橋・横浜間を結んだ。日本では、1854年にペリーが蒸気機関の鉄道模型を紹介し、その後、明治時代に入ってイギリスの指導で鉄道の建設が始まった。旧新橋駅は現在の汐留にあり、昭和時代には広大な貨物ターミナル駅があったが現在は高層ビル群となっている。また、旧横浜駅は現在の桜木町にあり、現在の横浜駅はまだ海で、沖に堤が築かれ線路が敷設されていた。
- 1876年 中国にも鉄道が敷設される。
- 1880年代 日本、各地で鉄道の建設が進む。
- 1880年代 モノレールの開発が進む。
- 1888年 ドイツがアナトリア(トルコ)鉄道の建設を開始。
- 1893年に開通した。また、1899年にはバグダート鉄道敷設権を獲得し、イラク地方への鉄道建設を進める。バクダード鉄道敷設権の獲得は、ヨーロッパの植民地主義政策(3B政策、3C政策)でしばしば取り上げられる項目である。→ヒジャーズ鉄道
- 1896年 ハンガリー(オーストリア=ハンガリー帝国)の首都ブダペストで世界2番目の地下鉄が開業。
- 初の電化式地下鉄。以後、西欧や北米を皮切りに世界の各都市で地下鉄建設が進行。
- 1896年 スイスで世界初の交流電化鉄道が開業。
- その後の開発は難航し、高速運転の実用化は1950年代以降。
- 1899年 韓国初の鉄道開業。
- 鷺梁津(現・ソウル特別市・鷺梁津)と濟物浦(現・仁川広域市)を結ぶ京仁鉄道が1899年創業した。最初はアメリカ人が朝鮮より鉄道敷設権を得て着工したが、途中で日本人の合資会社が敷設権を引受、完成した。
20世紀前半
- 南米は北米に続いて2つ目の横断鉄道が開通した大陸となる(現在は廃線)。
- この頃がアメリカにおける鉄道の最盛期で、その後、次第に成長してくる自動車に押されることになった。
- 1917年 オーストラリアで初の大陸横断鉄道が開業。
- イギリスの直轄植民地時代に建設された規格がまちまちで、特に軌間が異なる各州境では台車交換が必要だった。大陸の東西が標準軌で結ばれたのは1969年。
20世紀後半
- 新交通システム(AGT方式)では日本初の営業路線。以後、同種の軌条式中量輸送機関の建設が世界各国で進行。
- 最高時速260kmで新幹線を上回る。以後、世界各国での超高速鉄道開発競争が進行。
- 1984年 ソビエト連邦でバイカル・アムール鉄道(バム鉄道)が開業。
- シベリア鉄道の北方、より酷寒の悪条件の地域に建設、全長約4300km。
- 1984年 イギリスで世界初の磁気浮上式鉄道の商用路線、バーミンガムピープルムーバが開業。
- バーミンガムで空港と駅を結ぶ交通機関として開業。最高時速54km。1995年廃止。
- 全長53.85km、うち海底部分は23.30km。最深部は海抜マイナス240m(海底下100m)で、当時世界最長の海底トンネル。
- 全長50.5km、うち海底部分は37.9kmで、海底部分の延長では世界最長。
21世紀
- 2003年 中国(中華人民共和国)で上海トランスラピッドが開業。
- 世界初の超高速磁気浮上式鉄道の営業路線。最高時速430km。