富士通杯達人戦

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富士通杯達人戦(ふじつうはい たつじんせん)は、日本将棋連盟週刊朝日編集部が主催、富士通の協賛で行われる将棋棋戦で、非公式戦である。1993年創設。

40歳・八段以上から規定によって選ばれた棋士が参加する、プロ将棋界唯一のシニア棋戦である。

決勝だけが早指しの公開対局であり、例年9月頃に行われる。

しくみ

4月1日を基準とする以下の優先条件で選ばれた棋士によるトーナメント戦である[1]

出場資格の前提
40歳以上の現役棋士のうち八段以上またはタイトル獲得または順位戦A級経験者[2]
選考順位
  1. 前年優勝者、準優勝者[3]
  2. タイトルホルダー
  3. 永世称号呼称者
  4. タイトル獲得経験者または達人戦複数回優勝経験者
  5. 達人戦優勝経験者または複数回準優勝者
  6. 竜王戦1組通算5年以上および順位戦A級通算5年以上在籍者
  7. タイトル挑戦経験者
  8. 竜王戦1組ならびに順位戦A級在籍者

ただし、新たに出場資格を得た棋士は、その年に優先的に出場できる。その場合は選考順位にかかわらず、出場するはずだった者のうち最年少の者が外れる[4]

第1回・第2回は年齢制限が50歳以上で、8名が出場した。年齢制限は第3回から40歳以上に引き下げられた。また、第3回から第5回までは出場者が12名であった。第6回から第20回までは出場者が10名で行われていた。第21回では出場者が6名となった。

1回戦から準決勝までの対局は東西の将棋会館で行われ、持ち時間は各3時間である。

決勝戦は有楽町朝日ホールにおいて公開対局で行われる。決勝戦の持ち時間は各15分(対局時計使用)で、さらに1分単位で10回の考慮時間がある。使い切ると1手30秒未満の秒読みとなる。

各対局の棋譜観戦記は、『週刊朝日』で1局分を2週に分けて連載される。

歴代決勝結果

段位、称号は対局当時のもの。

対局日 優勝 準優勝
1 1993年9月18日 米長邦雄名人 内藤國雄九段
2 1994年9月17日 米長邦雄前名人 内藤國雄九段
3 1995年9月9日 中原誠永世十段 有吉道夫九段
4 1996年9月7日 米長邦雄九段 田丸昇八段
5 1997年9月20日 中原誠永世十段 加藤一二三九段
6 1998年9月19日 米長邦雄永世棋聖 加藤一二三九段
7 1999年9月18日 内藤國雄九段 米長邦雄永世棋聖
8 2000年9月9日 青野照市九段 有吉道夫九段
9 2001年9月8日 中原誠永世十段 高橋道雄九段
10 2002年9月14日 中原誠永世十段 高橋道雄九段
11 2003年9月13日 青野照市九段 米長邦雄永世棋聖
12 2004年9月11日 谷川浩司棋王 中原誠永世十段
13 2005年9月3日 谷川浩司九段 中原誠永世十段
14 2006年9月9日 谷川浩司九段 加藤一二三九段
15 2007年9月1日 谷川浩司九段 加藤一二三九段
16 2008年8月31日 島朗九段 青野照市九段
17 2009年9月12日 南芳一九段 塚田泰明九段
18 2010年9月4日 佐藤康光九段 谷川浩司九段
19 2011年9月3日 羽生善治二冠 佐藤康光九段
20 2012年9月1日 羽生善治二冠 森内俊之名人
21 2013年9月7日 谷川浩司九段 羽生善治三冠

脚注

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関連項目

外部リンク

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  1. 以下の出場条件は、『週刊朝日』2009年5月29日号64 - 65ページの第17回富士通杯達人戦特集記事による。
  2. 例えば、第17回(2009年)の出場者選考時点では23名が該当した。
  3. ただし、第4回に1度だけ出場して準優勝した田丸昇は、それ以後出場していない。
  4. 富士通ウェブサイトでは以下の優先順位となっている。前掲の記事と比べて、達人戦優勝・準優勝経験と新出場棋士に関する記述がなく、タイトル獲得経験者の順位が低い。
    1. 前回優勝者および準優勝者
    2. タイトル保持者
    3. 永世称号者
    4. 竜王戦1組通算5年以上在籍者および順位戦A級通算5年以上在籍者
    5. タイトル獲得経験者
    6. タイトル挑戦経験者
    7. 竜王戦1組ならびに順位戦A級在籍者