航空路管制
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航空路管制(こうくうろかんせい)は計器飛行方式 (IFR) で主に航空路を飛行中の航空機に対する航空交通管制である。
日本
日本が管轄する飛行情報区(福岡FIR)において航空路管制業務を実施する管制機関は、4つの管制区管制所(ACC)と航空交通管理センター(ATMC)であり、以下の4ヶ所の航空交通管制部で業務を行っている。(横田ラプコンはアメリカ軍の管轄で航空路管制業務は実施していない)
- 札幌航空交通管制部 (札幌ACC、北海道札幌市)
- 東京航空交通管制部 (東京ACC、埼玉県所沢市所沢航空記念公園内)[1]
- 福岡航空交通管制部 (ATMCと福岡ACCを併設、福岡県福岡市雁ノ巣)
- 那覇航空交通管制部 (那覇ACC、沖縄県那覇市)
このうち、ATMCは太平洋上空の洋上管制区を管轄している。それぞれの管制部は、管轄空域をさらに細分化したエリア(セクター)ごとに業務を行っている。最もセクター数が多い東京航空交通管制部の場合は、22のセクターに分けて業務を行っている。
航空路管制業務は1セクター毎に「対空席」「地区席」「調整席」の3人体制で行われる。「対空席」はいわゆる「レーダー席」と呼ばれ、航空機と直接無線交信を行い、上昇や降下、進入許可等の管制指示や管制許可を出す。「地区席」は、自己のセクター管轄下にある空港からの出発機に対しての管制承認の発出や、隣接する外国FIRと入域・出域機の移管情報等の送受を専用回線の電話により行ったりする。「調整席」は、対空席と地区席との間に入り、レーダー席の業務量、負担を考えながら他セクターと調整をするなどして業務の円滑化をはかる。
2005年と2006年に種子島宇宙センターから打ち上げられた運輸多目的衛星(MTSAT)「ひまわり6号」および「ひまわり7号」を使って、洋上やVHF通信のブラインドエリアを飛行している航空機との間で、各種データ通信を行う事ができるようになった[2]。そのため、レーダーでの監視ができない洋上において、運航本数を増やす事ができる[3]ようになった。
脚注
- ↑ 隣接する公園内には航空博物館が設置されている。
- ↑ MTSATの機能国土交通省航空局
- ↑ MTSATを利用することで一飛行経路あたりの管制縦間隔(前後間隔)や飛行経路間隔(左右間隔)の短縮が見込まれる。また、(RVSM: Reduced Vertical Separation Minimum) によって垂直管制間隔(上下間隔)を狭く、航法精度要件(RNP: Required Navigation Performance)を満たす航空機の場合であれば広域航法(RNAV: area-navigation route)により飛行経路の保護空域の縮小により並行経路間隔を狭くして運航本数を増やすことができる。現在、正確に言うとRNPとRNAVは異なる概念であるが、便宜的にこの用語を使っている。
関連項目
- 航空交通管制
- 飛行場管制 - 進入・ターミナルレーダー管制 - 航空路管制 - 着陸誘導管制
- 飛行情報区
- 航空管制官テンプレート:Aviation-stub