福島県立磐城高等学校
福島県立磐城高等学校(ふくしまけんりつ いわきこうとうがっこう)は、福島県いわき市平にある県立高等学校。
目次
概要
旧制磐城中学校を前身とする福島県の進学校。通称は「磐高(いわこう、ばんこう)」。
男子高時代は磐城女子(現:磐城桜が丘)と並び、ステータスの高い学校として認識されていた。その為、浪人をしてまで入学を希望する生徒が多く、いわゆる「中学浪人」が問題となった。[1]
2001年度より女子の受け入れを再開し、名実共にいわき学区最難関校となった。 2011年度、文部科学省よりスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定された。
沿革
- 1895年 - 福島県尋常中学校磐城分校が認可される。
- 1896年5月5日 - 福島県尋常中学校磐城分校として開校。
- 1898年 - 福島県第二尋常中学校と改称。
- 1899年 - 福島県第二中学校と改称。
- 1901年 - 福島県立磐城中学校と改称。
- 1924年 - 平高月台に新校舎竣工。
- 1948年4月1日 - 学制改革により、福島県立磐城高等学校となる。普通科、併設中学校を設置。
- 1951年4月1日 - 男女共学開始、女子生徒5名入学。火災により本校舎全焼。
- 1952年 - 第二校舎竣工。
- 1953年 - 図書館竣工。
- 1954年 - 第一校舎、講堂竣工。
- 1955年 - 女子生徒の募集中止、再び男子校となる。
- 1958年 - 史学部発掘の埴輪が重要文化財に指定。
- 1970年 - 講堂火災により全焼。
- 1971年 - 野球部全国選手権(夏の甲子園)準優勝。
- 1976年 - 同窓会館竣工。
- 1989年 - 講堂焼失。
- 1996年 - 創立100周年、「百年記念館」完成。
- 2001年4月1日 - 男女共学再開。
- 2007年 - 創立以来初めて新入生女子の生徒数が男子生徒数を上回る。 / 創立110周年記念館「ピークス110」完成。
校歌・校章・応援歌
- 『福島県立磐城高等学校校歌』 - 作詞:西村岸太郎、作曲:渡辺貞雄。全国的にも珍しい三拍子。
- 校章は、桜の花に「磐」の文字を配したもの。
- 応援歌『いわき節』は旧制中学のバンカラ学生の心意気を謳っている。
生徒会活動
- 生徒会は、毎年3月と9月に役員改選が行われる。選挙管理委員会の下、会長、副会長、書記、会計が選ばれ、1人の場合は信任投票を行うスタンダードなものである。また生徒会役員には部活動の部長は立候補できないということが、2005年度生徒会役員選挙で問題となったが、翌年改正された。
- 生徒総会は、毎年5月と10月に行われる。
部活動、委員会
39の部活動と同好会がある。部活動及び同好会への昇格は前述の生徒総会によって、生徒承認を得た後に校長以下教員の判断で決まる。近年の例としては、茶道部が挙げられる。また部活動のほか、8の委員会がある。
- 運動部(18部)※便宜上、男女両方の部活は1つと数えた
- 野球部、ウエイトリフティング部、ソフトテニス部、柔道部、バレーボール部、剣道部、バスケットボール部、山岳部、卓球部、テニス部、弓道部、ラグビー部、サッカー部、陸上部、テニス部、水泳部、女子ソフトボール部、体操部
- 文化部(18部)
- 文学部、吹奏楽部、史学部、美術部、数学部、視聴覚部、物理部、写真部、化学部、演劇部、天文地質部、英語部、生物部、将棋部、合唱部、書道部、茶道部、応援団
- 同好会(3会)
- チアリーディング同好会、バドミントン同好会、華道池坊同好会
- 委員会(8会)
- 出版委員会、保健委員会、放送委員会、美化委員会、ボランティア委員会、図書委員会、防火委員会、選挙管理委員会
全国大会出場経験のある部活が多く全国高等学校総合体育大会(インターハイ)、国民体育大会、全国高等学校総合文化祭、全日本吹奏楽コンクール、全日本アンサンブルコンテスト、全日本合唱コンクール等、各種大会で実績をあげている。古豪の野球部は夏7回、春2回甲子園に出場し、1971年の夏の甲子園では準優勝に輝いた実績を持つ。このほかラグビー部が全国高校ラグビー大会に17回、サッカー部が全国高等学校サッカー選手権大会に5回出場。さらにウエイトリフティング部は、1968年のメキシコシティ五輪代表(木村岳夫、明治大学を経て安田生命に所属)を輩出しており、木村は同大会ライト級7位。
近年では、運動部においては、陸上部や山岳部、剣道部、テニス部、水泳部が全国高等学校総合体育大会や国民体育大会に出場しており、山岳部は2003年、2004年と2年連続5位入賞し、2009年にはテニス部が28年ぶりに全国選抜高校テニス大会へ、ラグビー部が10年ぶりに全国高校ラグビー大会への出場を果たしている。
他方、文化部においては吹奏楽部の活動が顕著で、「“古豪”の磐城」と評される[2]ほどだ。また、勉学との両立がモットーのなか、1日の練習時間が放課後の2時間と短時間に集中力と効率が求められるが、練習はほぼ生徒に任せていること[3]が特徴的である。そうしたなか、音楽家としての道を選ぶ卒業生もおり、2003年度卒業生には黒金寛行(バストロンボーン奏者。東京藝大在学中、第23回日本管打楽器コンクール・トロンボーン部門第1位及び、2008年に安宅賞を受賞。東京藝大を首席卒業後、現在NHK交響楽団団員)、多田将太郎(トランペット奏者。第8回東京音楽コンクール金管部門第1位・聴衆賞を受賞)がいる。 1981年に初出場した全日本吹奏楽コンクールでは2001年以来、2004年、2008年、2012年の規定による不出場を除き、毎年全国大会に東北代表として出場。1981年、2001年、2006年、2007年、2009年(県勢初の3回連続、東北の高校では27年ぶり3校目)と最高賞の金賞を受賞している。さらに、これまでの全国大会出場回数も東北の高校としては、3番目の13回出場を誇る。 また、1984年に初出場した全日本アンサンブルコンテストにおいても、2010年までに10回全国大会に出場しており、2001年、2009年と最高賞の金賞を受賞している。さらに県勢初、東北の高校としては2校目の3年連続出場(2004年~2006年)を果たし、2007年の規定による不出場を除き、2004年以来毎年東北代表として全国大会に出場。
この他の文化部においても、将棋部囲碁班が全国高校囲碁選手権大会へ出場、写真部が全国高等学校総合文化祭へ参加、文学部が全国高等学校総合文化祭へ参加を始め、全国高等学校文芸コンクールで入賞、全国高校生文芸道場総合大会へ参加、委員会活動からは放送委員会がNHK杯全国高校放送コンテストで入賞など、各種競技会で実績を挙げている。
文化祭
高月祭
- 当初は毎年、現在は隔年9月初旬の土日の2日間に開催される文化祭。土曜日に仮装行列がいわき駅前や本町通りを練り歩き、日曜日に一般公開され、クラス展示や各部活による出店、合唱や吹奏楽による演奏を楽しむ事が出来る。2008年で第43回を数えるが、第42回は110周年事業との関係で7月下旬に行われた。
アセンブリー
- 当初毎年開催であった「高月祭」が隔年になった際、代によって経験できる回数に差があるのは不公平だとして、当時の生徒会長により提案された。高月祭のない年に開催される。現在は文化部による発表や芸術鑑賞会が行われる。
高月講習会
- 磐城高校正門そばにある同窓会館で行われる。創設は、1958年4月に開講された磐城高校卒業生の進学指導の補修科。
- 1976年4月、同窓会館の新築により、同窓会主催によって運営されてきた「卒業生講習会」を「財団法人高月育英会高月講習会」と改めた。その後、高月講習会への入会希望者が多く、同窓会館は教室不足を生じ、1979年7月に2教室を増築、現在まで地域社会の進学指導を担っている。
- 講習は、河合塾によるサテライトネットワーク及び派遣講師で行われ、一斉受講と個別受講があり、既卒生に限らず在校生も講習可能である。
著名な出身者
軍人
- 高木武雄 - 海軍大将 / 第六艦隊司令長官、サイパン島にて戦死
- 菊池朝三 - 海軍少将 / 海軍総隊参謀副長
- 吉田英三 - 海軍大佐 / 海将 / 海上自衛隊初代自衛艦隊司令官
- 八木沼丈夫 - 陸軍少佐 / 満州国にて宣撫官として情宣活動に従事
政官界
- 坂本剛二 - 衆議院議員
- 吉野正芳 - 衆議院議員
- 吉田泉 - 衆議院議員
- 岩城光英 - 元内閣官房副長官、参議院議員
- 木村守江 - 元福島県知事
- 櫛田一男 - 元いわき市長
- 上坂昇 - 元衆議院議員
- 鈴木久 - 元衆議院議員
- 菅波茂 - 元衆議院議員
- 戸田邦司 - 元参議院議員、元運輸省海上技術安全局長(1990~)
- 品川萬里 - 郡山市長、元NTTデータ副社長、元郵政審議官
- 清水敏男 - いわき市長
学界
- 江尻宏泰(物理学) - 大阪大学名誉教授、チェコ工科大学客員教授、第11回島津賞受賞
- 成瀬宇平(食品学) - 鎌倉女子大学名誉教授、小堺化学工業顧問
- 木田亮紀(医学) - 日本大学名誉教授、日本耳鼻咽喉科東京都地方部会会長
- 芳賀脩光(運動生理学) - 筑波大学名誉教授、元日本運動生理学会理事長、元全日本柔道連盟体力強化コーチ
- 山岸敬道(化学) - 首都大学東京名誉教授
- 今宮淳美(工学) - 山梨大学教授
- 渡辺則芳(法学) - 国士舘大学教授
- 北見正伸(生物学) - 東日本国際大学教授、いわき市学社連携・融合会議委員長
- 森則夫(医学) - 浜松医科大学教授、同大学子どものこころの発達研究センター・副センター長
- 遠藤隆俊(教育学) - 高知大学教授
- 櫛田民蔵 - 経済学者 / 東京・錦城中学へ転校
- 坂本義孝 - 磐城中学校第1期卒業生。上海・東亜同文書院、聖約翰大学で教授をつとめた
- 木村真一(物理学) - 大阪大学教授
芸術界
- 草野心平 - 詩人 / 慶應普通部へ転校
- 中村敦夫 - 俳優、作家、脚本家、元参議院議員 / 東京都立新宿高等学校へ転校
- 小林研一郎 - 指揮者、作曲家
- 黒金寛行 - NHK交響楽団、4 Bone Lines他 トロンボーン奏者
- 田口安男 - 画家、東京藝術大学名誉教授
- OKP-STAR - ミュージシャン(ロックバンド・Aqua Timezベーシスト)
- 大介 - ミュージシャン(ロックバンド・Aqua Timezギタリスト)
- 神永大輔 - 尺八奏者
- 鈴木俊一 - 洋画家
- 若松光一郎 - 洋画家
- 石河清 - 音楽家・合唱指導者
文化界
- 飯塚昭三 - 声優
- 川島啓志 - テレビドラマ監督
- 山口太一 - 漫画家
- 古内義明 - スポーツジャーナリスト・メジャーリーグアナリスト
- 菊池章夫 - 歌手(元・阿呆鳥・同メンバーの北郷勇一、金子透も同校出身)
- 高野貴裕 - TBSアナウンサー
- 今泉毅 - 福島放送アナウンサー
- 吉田太一 - 中京テレビ放送アナウンサー
- 渡辺文樹 - 映画監督
競技界
- 小野正一 - 元プロ野球選手
- 福田昌久 - 元プロ野球選手
- 田中裕康 - 元プロ野球選手
- 影山雅永 - 元サッカー選手
- 佐藤勝昭 - 空手家、第1回全世界空手道選手権大会優勝(初代世界チャンピオン) / 東京・錦城高等学校へ転校
- 木村岳夫 - 元重量挙げ選手、1968年メキシコシティ五輪代表
- 清野輝俊 - ラグビー選手、クボタスピアーズ所属
実業界
- 佐藤安太 - タカラ(現タカラトミー)創業者
- 矢内廣 - ぴあ創業者、現社長
- 江尻義久 - ハニーズ創業者、現社長
- 瓦葺利夫 - 松屋フーズ創業者、現社長
- 能勢秀幸 - 大東銀行社長
- 蛭田史郎 - 元旭化成社長、現最高顧問
交通
関連項目
脚注
- ↑ いわきインターネットニュース「Times」磐高・磐女男女共学に関するアンケート
- ↑ asahi.com(朝日新聞社):短時間に集中「イワコー」の個性 福島・磐城高 (2010年10月29日閲覧)
- ↑ 同上
外部リンク
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