照り焼き
照り焼き(てりやき)とは日本料理の調理法。醤油を基本にした甘みのあるタレを食材に塗りながら焼く。タレの糖分により食材の表面がツヤを帯び、「照り」が出るのが名前の由来。日本では魚、または肉の調理に使われる技法である。日本以外の国では主に肉の調理に使われる。
日本の照り焼き
食材
照り焼きに用いられる食材には、ある程度身が締まりつつも脂のあるものが用いられる。照り焼きの材料としてもっとも有名なものにブリと鶏肉があげられる。ブリ以外の魚では、カジキマグロ、カツオ、サケ、マス、サワラ、ハモなどが用いられる。最近ではメロ(銀ムツ)もよく用いられる。鶏肉はムネ肉でもモモ肉でも美味しく作れる。鶏肉以外に豚肉や牛肉で作られることもある。変わった食材としては、コンニャク、イカ、つくね、肉詰めレンコン、ハンバーグなども照り焼きの調理法が使われる。
調理法
タレは醤油、日本酒、砂糖を等量ずつ併せたものが基本で、好みや素材により配分は変わる。日本酒の代わりにみりんを使うことも多い。砂糖の代わりに蜂蜜を使う人もいる。食材の臭みを消したい場合にはショウガをすったものを加えてもよい。このタレはあらかじめ煮立ててとろみをつけておく。目安として液量が半分になるくらいまで煮詰める。
食材は軽く塩を振っておくなどして、水分を出し身を引き締めておく。これをフライパンや網で焼いた後、上記の煮詰めたタレを両面に塗りながら焼き仕上げる。焦がさないように加熱し、ツヤがよく出るように何度かタレを重ね塗りする。特に網で焼く場合には遠火にして焼くときれいに焼ける。
魚の照り焼きも肉の照り焼きも基本的には同じ作り方であるが、鶏肉の場合、最初にフォークで穴を数カ所に空けてから下味をつけておくと美味しい。また皮の方から焼くと形よく仕上がる。
フライパンで焼く場合タレをつける前の下焼きの段階で食材から脂がしみ出るが、この脂はタレ焼きをする前に取り除いておいた方がよい。タレが食材に乗り易くなり、食材の臭みを除く効果がある。脂を少なくすることによってより健康的な料理となる利点もある。フライパンで作る照り焼きを区別して「鍋照り焼き」と呼ぶ場合もある。
照り焼きは冷めてもそれなりに美味しいことが多い。このため弁当のおかずとしてもよく用いられる。
日本以外の地域のテリヤキ
照り焼きは米国でも人気があり、"teriyaki"が辞書に載るほど定着している。しかし、アメリカ合衆国などでは"teriyaki"とはテリヤキソース(teriyaki sauce)を用いて下味付けをした肉料理を指す。日本の照り焼き調理法と異なり、料理に照りを出す調理法ではない。予め食材をテリヤキソースに漬け込んで調理したり、グリルで焼いた肉類にテリヤキソースをかけたりして食する方法が一般的である。このため日本語でこれらの料理を指す場合には「テリヤキ」とカタカナで表記されることが多い。
特段に日本料理に傾倒しているレストランでなくても肉類の照り焼き料理を供する所があり、また、スーパーマーケットなどでは瓶詰めされたテリヤキソースが販売されている。しかし日本人の感覚からすると甘過ぎたり余分な香辛料が入っていたりすることが多く、「照り焼き」と"teriyaki"は違うものであると考えられているが、海外ではその事実が知られておらず、純粋な「日本料理」だと思われている場合が多い。
テリヤキソース
米国でも日本のように醤油と調味料で調合しタレを作る場合もあるが、ほとんどのレストランや一般家庭では既製品のテリヤキソースを使用する。テリヤキソースには味醂、日本酒など日本独自の調味料は使用されず、 頻繁に洋酒、ニンニク、ゴマなど本来の「照り焼きのタレ」と違う原料で製造されている。醤油と砂糖以外には照り焼きのタレとの共通点は少ない。単に甘口のバーベキューソースを指してテリヤキソースと呼ぶ場合もある。
米国でテリヤキソースが生まれたきっかけは、日本の醤油メーカーキッコーマンが1957年に米国内初の醤油販売を開始した事にある。販売を始めてみたが醤油の使用法が当時のアメリカ人には理解されておらず、まだ日本料理も一般的でなかったため販売が伸び悩んでいた。キッコーマンの日系二世のセールスマン、タム吉永が彼の母親の調理した和食、魚の照り焼きをヒントに、肉料理に合う醤油ベースの料理法「テリヤキ」を発案した[1]。テリヤキソース調理法はキッコーマン主催の料理教室や販売促進用の小冊子などで、ゆっくりとアメリカに定着し現在の地位を確立してきた。現在でも米国で消費される醤油の殆どは、このテリヤキ調理法に費やされており、純粋な日本料理に消費される醤油の割合は極めて少ない[2]。
テリヤキバーガー
テンプレート:Main テリヤキバーガーはテリヤキソースで味付けしたハンバーグを挟んだ日本生まれのハンバーガーであり、アメリカ資本のハンバーガー店の本国のチェーン店では販売されてはいない。元祖モスバーガーは1980年代にアメリカに進出したが、その後撤退している。
参考資料
テンプレート:Sister- ↑ NHKプロジェクトX制作班「プロジェクトX挑戦者たち〈20〉未踏の地平をめざせ」日本放送出版協会 ISBN 978-4140808313
- ↑ キッコーマン株式会社社長 茂木友三郎 市民立法機構第2回総会の基調講演