炊き出し
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炊き出し(たきだし)とは、避難者(被災者や難民)・貧窮者(ホームレス、失業者、孤児、その他を含む)等の、困窮した状況下にある多数の人を対象として、料理やその他の食料を無償提供する一連の行動である。英語では "soup kitchen"(en、スープキッチン)がこれに当たる。ボランティア活動の一形態。
戦争・紛争、規模の大きい災害や事故、経済恐慌等が発生したときに行われるものが目立つが、そのような有事の際に行われるものだけを指しはしない。 なお、英語のスープキッチンは仮設と常設を問わないが、日本語における炊き出しはより狭義で用いられ、常設されたものは通常は該当しない。また、英語では、パンやスープを求めて行列ができることから、その行列を指して "breadline"(ブレッドライン)、"soupline"(スープライン)[1]などと呼ぶが、これらはスープキッチンそのものを指すこともある。
概要
スープキッチン
日本の炊き出し
日本語の炊き出しは、元々、火災や震災・水害などで住む家を失った人や、その事後処理に協力した人に対して、周囲の人が飯(米飯)を「炊いて出す」行為を指す語であるが、近年テンプレート:いつでは様々な危機的状況下において飲食物を野外で提供する行為全般を指している。
災害発生時においては、主に避難所に移動してきた住民に対して、また渋滞中の車両のドライバーや同乗者に、運行停止中の鉄道の乗客などに対して行われる。移動可能なコンロを用いて煮炊きした物を、その場で提供することも多い。
提供される食料品は、菓子パンやおにぎりなど主食となるもの、コーヒーやジュースなどの飲料、飴やチョコレートなどの菓子類が無償で提供される。気温が低い状況下では温かい飲料(甘酒や豚汁など)が提供される場合もある。
炊き出しの現場
- 21世紀
主に地元住民や地方自治体(食料品の提供は自治体、配布は住民という例もある)・更には被災地域の商店などにより行われるボランティア活動・陸上自衛隊の野外炊具による大量炊き出しであるが、提供される側も心理的に追いつめられている場合も多いため、「当然の権利」と錯覚する場合もあり、炊き出しに協力する住民やボランティアまたは自衛隊員に冷たくあたる例もみられる。
地域コミュニティ(町内会など)への帰属意識の薄い人も増えていく中で、協力する地域・人が減少する傾向も見られる。炊き出し現場が混乱すれば、炊き出しを受けられない人が出る可能性もあり、警察官や自警組織などによる治安の確保が必要になる場合もある。
また路上生活者に対しても行われ、日本では釜ヶ崎や山谷等の労務者街で雑炊などがふるまわれることがある。日本国外でも失業者の多い地域では、温かいスープとパンが教会や宗教系ボランティア、慈善団体、善意の個人などによって振舞われるケースが聞かれる。
意義
これらでは食物を摂取する事でストレスを和らげたりする事ができる。大規模災害では、このような活動により秩序の維持も期待される。ある程度は治安が回復していないと行われない活動であるが、特に温かい食事は精神的ダメージを軽減させる効果があり、相互扶助という形で地域コミュニティの回復も期待できる。
これらは被災地域周辺の人々や、被災地域そのものにいる人によって行われるケースも多い事から、公的な支援が行われるまでの繋ぎとして、人々の餓えや渇きに早急に対処する上で重要な活動でもある。
一般に公的支援は2~3日から一週間程度の遅れが見られる。この間は被災者自身の備蓄食糧などによって購う事が求められる。
例えば東海地震の予想される関東から南海地域でも、最低3日分の食糧と水を備蓄する事が各家庭に求められている訳だが、住む家を焼け出されたりした場合には、折角の備蓄非常食・飲料水が失われる可能性も考えられる。これらの人を助けるためには、地域コミュニティの相互扶助が必要であろう。このため地域コミュニティへの関心の強い家庭では、3日分以上の食糧を常に用意して、この炊き出しに備える所もある。
相互扶助関係にある地域では、そうでない地域に比べ、人的被害は軽減されるとも考えられ、また実際問題として復興も早い傾向が見られる。サバイバル状況においても一般に複数の人が助け合う事で、生存確率が格段に向上、パニックや暴動も抑制される事も考えれば、この炊き出し行為を含む相互扶助関係は、非常に有意義な活動といえよう。
なお、これを受ける側にも、それ相応の配慮が求められる。
脚注
関連項目
- 炊き出し実行者