泉北高速鉄道
テンプレート:Infobox 泉北高速鉄道株式会社(せんぼくこうそくてつどう、英称:Semboku Rapid Railway Co.,Ltd.)は、大阪府下で流通センターや泉北高速鉄道線を運営している会社である。本社は大阪府和泉市いぶき野五丁目1番1号(和泉中央駅内)にある。
2014年6月30日までは大阪府都市開発株式会社と称し(後述)、大阪府都市開発株式会社とそのグループ会社を合わせて、「OTKグループ」と称していた。
歴史
- 1965年(昭和40年)12月24日 大阪府都市開発株式会社として設立。
- 1968年(昭和43年)2月15日 東大阪トラックターミナル開業。
- 1969年(昭和44年)
- 1971年(昭和46年)4月1日 泉北高速鉄道線 中百舌鳥 - 泉ヶ丘間開業。
- 1973年(昭和48年)12月7日 泉北高速鉄道線 泉ヶ丘 - 栂・美木多間開業。
- 1974年(昭和49年)
- 1977年(昭和52年)8月20日 泉北高速鉄道線 栂・美木多 - 光明池間開業。
- 1988年(昭和63年)3月24日 鉄道事業法による第一種鉄道事業免許を取得。この後1993年(平成5年)4月まで段階的に直営化を行う。
- 1991年(平成3年)2月14日 光明池 - 和泉中央間の第一種鉄道事業免許を取得。
- 1993年(平成5年)4月1日 駅業務・技術部門を直営化。南海電気鉄道への業務委託解消。
- 1995年(平成7年)4月1日 泉北高速鉄道線 光明池 - 和泉中央間開業。
- 2001年(平成13年)
- 2005年(平成17年)2月1日 グループ会社大阪りんくうホテル株式会社が全日空ゲートタワーホテル大阪の経営(運営は全日空ホテルズへ委託)開始。
- 2006年(平成18年)7月1日 泉北高速鉄道の新しいサービスとして、「PiTaPa」を導入。
- 2007年(平成19年)4月1日 泉北高速鉄道の新しいサービスとして、「PiTaPa定期券」を導入。
- 2014年(平成26年)7月1日 南海電気鉄道が大阪府などから株式を取得し、南海の子会社となる[1]。社名を泉北高速鉄道株式会社に変更し[2]、代表取締役社長に南海電気鉄道副社長の福田順太郎が就任[3]。
事業概要
鉄道事業は、泉北高速鉄道線として南海高野線の中百舌鳥駅から分岐して和泉中央駅までを営業している。大阪府は泉北ニュータウンへの連絡路線建設にあたり、地元を走る南海電気鉄道に新路線建設を打診した。しかし南海は、1960年代後半に立て続けに大事故を起こし当時の運輸省(現:国土交通省)から厳重注意を受けていたため、新車両の購入や線路の復旧などへの投資を最優先しなければならなかった。そのため、多額の投資が必要で採算が当分見込めない新路線の建設にまで手が回らず、やむを得ず大阪府が、既存の第三セクター会社(当時)を活用して鉄道運営にあたることになった。
また、本来の事業として流通センター事業を行っており、長距離を走る大型路線トラックと市内を走る小型集配車を中継する役目などを持つトラックターミナル、荷物の一時保管を行う流通倉庫などが併設された流通センターを下記の2箇所に有している。
また、泉佐野市で関西国際空港発着の航空貨物との中継を行う物流拠点として設けられた、りんくう国際物流センター(RILセンター)の運営会社にも出資していた。
2004年、りんくうタウンに所在の「全日空ゲートタワーホテル大阪」の経営会社ゲートタワーホテル株式会社の経営不振や、その親会社の第三セクター会社りんくうゲートタワービル株式会社も債務超過状態に陥ったため(2005年4月に経営会社は特別清算、親会社は会社更生法を申請)、大阪府主導で大阪府都市開発傘下に「大阪りんくうホテル株式会社」を2004年11月29日に設立し、ゲートタワーホテル社の負債を切り離した上でりんくうホテル社へ無償で施設と一部の未収金を譲渡させ、従業員の再雇用を行い、2005年2月1日より経営を引き継いだ。
民営化問題
当社は、大阪府などが出資する第三セクター、大阪府都市開発株式会社として1965年に設立された。
2008年4月、当時の大阪府知事橋下徹が大阪外環状鉄道とともに大阪府都市開発の大阪府の保有する株を放出する意向を明らかにした。この動きに対し、南海電鉄が株式の取得に意欲を見せた[4]。しかし、売却には他の株主との調整が必要な上に、大阪府都市開発は府に対して年間1億2000万円の配当を出す黒字企業であることから、府議会から異論が出ていた。
2009年4月9日、大阪府は知事の橋下徹を本部長とする戦略本部会議を設置し、大阪府都市開発の分割民営化を行う方針を固めた[5]。しかし、2010年9月17日、府は採算性の低い鉄道事業を、収益性の高い物流事業で補う方が経営が安定すると判断し、鉄道事業と、物流事業など鉄道以外の事業を分割せず、一体のまま民営化することを決めた[6]。
2013年6月6日、大阪府は大阪府が保有する株式一括売却の公募を発表。2013年度内に売却するスケジュールが示された。大阪府以外の株主も同一時期・同一価格で売却するとし、他株主保有分を含めた売却総額は670億円を見込んでいた[7][8]。
2013年11月、アメリカ合衆国の投資ファンド、ローンスターが優先交渉権を獲得し、781億400万円で売却されることになった[9][10]。
しかし、売却先が外資系企業だったということもあり、この動きについては、沿線住民から異論が出た。堺市議会では、2013年12月4日に開かれる本会議で「市民の利便性を考慮していない」という理由で、大阪府に対して株式売却の白紙撤回を求める決議を公明党、自民党など4会派が共同提案する方針を示した。また、橋下が代表を務める大阪維新の会の堺市議団もこれに同調した[11][12]。
そもそも今回の問題では、株式の売却先を公募することで始まり、最終候補として南海電鉄とローンスターの2者が残り[13]、株式の買い取り価格が南海電鉄よりも60億円高いという理由で、ローンスターが選ばれたという。ローンスターは泉北高速鉄道との乗り継ぎ運賃を10円値下げするとしていたが、南海電鉄は乗り継ぎ運賃を80円値下げする提案をしていた[12]。仮に2013年12月時点の運賃から80円値下げされれば、難波 - 和泉中央間 (27.1km) は540円になる。ちなみに、難波 - 和泉中央間とほぼ同程度の距離である難波 - 河内長野間 (27.5km) の運賃は540円(2013年12月当時)である。
そうした中、泉北高速鉄道の沿線にキャンパスがある帝塚山学院大学、プール学院大学、桃山学院大学の3大学が、南海電鉄の他の路線と均衡の取れた運賃設定とし、通学定期券の大幅値下げの実現を求める松井一郎知事宛ての要望書を大阪府に提出[14]する形でローンスター側への売却の動きに対する不快感を示した。3大学の学生は、通学に泉北高速鉄道を一番よく利用しているが、運賃や通学定期券の割高感に不満を訴える保護者の声が依然として根強いという。
また、大阪府がローンスターへの株式売却を正式に決定するためには、大阪府議会の議決を得なければならないが、その大阪府議会では、2015年の統一地方選挙を控えており、大阪維新の会に所属する議員からも、「沿線住民の反対を押し切ってまでローンスターへの株式の売却を強行採決するのは如何なものか。」や、「そもそも、泉州地域は南海電鉄のエリアなのだから、株式の売却は、公募ではなく、南海電鉄との随意契約でも良かったのではないか。」といった意見が出始めていた。
2013年12月5日には、堺市と同じく泉北高速鉄道の沿線自治体である和泉市でも、大阪府に向けて堺市議会と同様の趣旨の決議を出すことに市議会の各会派が同意[15]。12月11日の市議会本会議では、「ローンスターへの売却は、鉄道事業の安定的な経営や安全輸送に危惧がある」として、交渉相手の再検討を視野に鉄道利用者の利便性向上(大幅な運賃値下げ)を求める決議案を全会一致で可決した[16]。
大阪維新の会所属の議員が(欠員をのぞいて)過半数(55名)を占める大阪府議会では、同年12月16日の都市住宅常任委員会および本会議で、大阪府都市開発の株式売却に関する議案の採決を実施。午前中に開催の都市住宅常任委員会では、大阪維新の会から沿線地域(堺市南区)選出の密城(みつぎ)浩明府議が反対に回ったことから、この議案は反対多数で否決された[17]。午後に開かれた本会議では、大阪維新の会所属議員のうち、密城、西恵司(堺市中区選出)、奥田康司(高石市選出)、中野雅司(大阪市住吉区選出)の4名が議案に反対。その結果、反対票53、賛成票51の反対多数で否決された[18]。
なお、大阪府では、前述の採決前に、府議会で議案が否決された場合には再度公募を実施する意向を示していた。ただし、少なくとも1年程度の準備期間を要するうえに、今回と同等以上の条件を提案する者が再度現れるという保証はないとされていた[19]。結局、松井は2014年2月21日開催の大阪府議会・2月定例議会で、大阪府都市開発が発行する株式を随意契約によって750億円(全株式数800万株、1株9375円、大阪府保有分367.5億円、その他の企業保有分382.5億円)で南海電鉄及び子会社・関連会社7社に売却する方針を表明し[20][21]、同年5月15日に売却契約が締結され、7月にも売却される見通しとなった[22][23][1]。その後、2014年6月6日に大阪府議会で出されていた売払いに関する議案が可決されたため、2014年7月1日にその他企業保有分を含め全株式が譲渡されることになった[24]。これにより、同日から第三セクターでなくなるため自治体名を含まない「泉北高速鉄道株式会社」に社名を変更し、南海グループの一員となった[2]。
鉄道路線
路線・車両などについては以下の項目を参照。
- 泉北高速鉄道線 中百舌鳥駅 - 和泉中央駅 14.3km
グループ会社
かつて存在していたグループ会社
- りんくう国際物流株式会社 - りんくうタウンで輸出入通関、集配送、一時保管、流通加工
- 大阪りんくうホテル株式会社 - りんくうタウンで「全日空ゲートタワーホテル大阪」を経営
- 泉北鉄道サービス株式会社 - 定期乗車券の発売
脚注
外部リンク
グループ会社
テンプレート:Navbox テンプレート:大手私鉄 テンプレート:南海グループ
テンプレート:Asbox- ↑ 1.0 1.1 テンプレート:PDFlink - 南海電気鉄道、2014年5月15日
- ↑ 2.0 2.1 テンプレート:PDFlink - 泉北高速鉄道、2014年7月1日
- ↑ テンプレート:PDFlink - 南海電気鉄道、2014年6月11日、欄外に社名変更予定が記載
- ↑ 大阪府三セク「都市開発」株、南海電鉄が取得に意欲 - - 直通の泉北鉄道、利便性向上もテンプレート:リンク切れ - 日経ネット関西版、2008年4月11日。
- ↑ 泉北高速鉄道の「大阪府都市開発」を分割民営化へテンプレート:リンク切れ - 産経新聞、2009年4月9日。
- ↑ 3セクの泉北高速鉄道 大阪府が一括売却 完全民営化へ(Internet Archive) - 産経新聞、2010年9月17日
- ↑ 大阪府都市開発株式会社(OTK)の株式売却の公募について - 大阪府報道発表資料、2013年6月6日
- ↑ 大阪府都市開発株式会社(OTK)の株式売却の公募について - 大阪府公式サイト、2013年6月6日
- ↑ 泉北高速鉄道 米企業に売却へ - NHK、2013年11月26日
- ↑ 大阪府都市開発株式会社(OTK)株式売却の優先交渉権者の選定結果等について - 大阪府報道発表資料、11月26日
- ↑ 読売新聞2013年11月29日の33面「堺・泉州」コーナー
- ↑ 12.0 12.1 【泉北高速株】「10円値下げ」で満足せず 松井知事に〝身内〟も反旗 - 産経新聞、2013年11月28日
- ↑ 大阪府の鉄道・物流施設会社売却、TPGなど6社最終入札に関心 (1) - 今回の入札には、南海電鉄とローンスター以外にも4者が参加していたが、TPGキャピタルやCVCキャピタル・パートナーズなど、いずれも外資系ファンドだったという。(ブルームバーグ・ニュース情報 2013年9月6日 16時51分)
- ↑ 読売新聞2013年12月4日の29面「堺・泉州」コーナー
- ↑ 読売新聞2013年12月6日の33面「堺・泉州」コーナー
- ↑ 「【泉北高速株】和泉市議会も売却再検討を求める 大幅運賃値下げなど決議」『msn産経ニュースwest』2013年12月11日付記事
- ↑ 「【泉北高速株】維新、大激震! 府議1人が初造反 委員会で株売却案否決『msn産経ニュースwest』2013年12月16日付記事
- ↑ 「【泉北高速株】維新4府議が造反 外資へ株売却案 本会議でも否決」『msn産経ニュースwest』2013年12月16日付記事
- ↑ 読売新聞2013年12月11日の35面「堺・泉州」コーナー
- ↑ 松井知事が泉北高速鉄道の株式売却を表明 - 共同通信、2014年2月21日
- ↑ 【泉北高速株】南海電鉄へ750億円で売却へ 大阪府知事が表明 - MSN産経ニュース、2014年2月21日
- ↑ 泉北高速株 大阪府が南海と750億円で売却契約 公募から随意契約転換で - 産経新聞、2014年5月15日
- ↑ 大阪府都市開発株式会社(OTK)の株式売却について - 大阪府、2014年5月15日
- ↑ テンプレート:PDFlink - 南海電気鉄道、2014年6月6日