河口俊彦
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河口 俊彦(かわぐち としひこ、1936年11月23日 - )は、将棋棋士。2002年、引退。将棋ライター。神奈川県横須賀市出身。小堀清一九段門下。棋士番号95。
棋歴
- 奨励会に16年在籍し、30歳でようやく四段に昇段しプロ棋士となった。これを機に奨励会在籍に年齢制限が設けられたこともあり、長い間ワースト記録となっていた(奨励会の在籍年数は、1992年に伊藤能の17年という新記録がこれを超えた)。
- 河口には棋戦優勝・タイトル挑戦など、秀逸した実績はないものの、順位戦では参加10期目となる1976年度(第36期)昇降級リーグ戦4組(現在のC級2組に該当)で8勝2敗(33名中2位)の好成績を修め、41歳の高齢で昇級を決める。以降19期に亘りC級1組に在位し続けた。
- C級1組在位2期目で迎えた1978年度(第38期)順位戦では、前期からの連続昇級を遂げた谷川浩司に当期順位戦における唯一の黒星を喫させた。
- 1971年度(第13期)王位戦予選では、当時A級に在位していた加藤一二三を、1975年度(第8回)早指し戦予選では元名人の塚田正夫を、第1回(1982年度)全日プロ2回戦では名人失冠直後で王位のタイトルを有していた中原誠を、それぞれ破る殊勲を挙げた。
- 難関と言われた十段戦の予選準決勝まで進んだことが2回ある(第14期、第18期)。
棋戦本戦出場歴
- 第4回早指し将棋選手権(1回戦で北村昌男に勝利)
- 第1回オールスター勝ち抜き戦
- 第12回早指し将棋選手権(1回戦で丸田祐三に勝利)
- 第6回名将戦
- 第3回オールスター勝ち抜き戦
- 第14回早指し将棋選手権
- 第31回NHK杯テレビ将棋トーナメント(1回戦で小林健二に勝利)
- 第8回オールスター勝ち抜き戦
- 第10回オールスター勝ち抜き戦
- 第40回NHK杯テレビ将棋トーナメント
著述活動
- 現役棋士時代から将棋観戦記、エッセイなどで活躍。一般に報道されない日々の対局の模様を将棋棋士の生きかたを含めて活き活きと描いた「対局日誌」をペンネーム・川口篤(当時)で「将棋マガジン」誌に1978年2月の創刊号から連載を開始し注目される。その後、いったん連載を中止するが、「将棋世界」誌に1995年1月から「新・対局日誌」として再度掲載、2006年7月号まで30年近くにわたる連載となった。文章は自然でありながら、対局場面や心理描写が的確にかつ詳細に記述されており、連載が長期間続いたことからも分かるとおり、高い評価を得ていた。
- 2002年3月に現役を引退し、将棋関係の著述に専念。棋士や将棋記者からは「老師」と呼ばれることがある。
- 将棋の著述活動の功績により引退後に将棋大賞(東京記者会賞)を受賞している。また大山康晴と周辺の人物を描いた「大山康晴の晩節」で将棋ペンクラブ大賞を受賞した。
人物
- 趣味は囲碁で、真部一男によると将棋界でもかなりの打ち手とされている。アマチュアの神奈川県代表となったこともある(ちなみに囲碁の強い棋士としては河口、真部の他、花村元司、大山康晴、升田幸三、北村文男、丸田祐三、二上達也らが挙げられる。現役では土佐浩司の他、囲碁部が結成され活動している)。
昇段履歴
- 1951年 6級 = 奨励会入会
- 1956年 初段
- 1966年10月1日 - 四段 = プロ入り
- 1973年11月3日 - 五段(贈五段 : 表彰感謝の日表彰)
- 1984年4月1日 - 六段(勝数規定)
- 2000年4月1日 - 七段(フリークラス規定)
- 2002年3月31日 - 引退
主な成績
- 通算成績 367勝563敗
将棋大賞
- 第32回(2004年度) 東京記者会賞
その他
- 1991年 現役勤続25年表彰
- 第15回(2002年度)将棋ペンクラブ大賞を「大山康晴の晩節」で受賞
著書
- 『つよくなるぼくらの将棋入門』(1981年、新星出版社)
- 『勝ち将棋鬼のごとし プロ将棋の勝負師たち』(1982年、力富書房) - 初期(昭和52年度~)の「対局日誌」
- 『のこぎり詰 伊藤宗看の将棋無双より』(1983年、山海堂)
- 『けむり詰 伊藤看寿の将棋図巧より』(1983年、山海堂)
- 『勝負の読み方 第40期将棋順位戦より』(1985年、力富書房)- 昭和56年度の「対局日誌」
- 『決断の一手 第42期将棋名人戦各級順位戦』(1985年、力富書房)- 昭和58年度の「対局日誌」
- 『勝機を待つ 第43期将棋名人戦各級順位戦』(1985年、力富書房)- 昭和59年度の「対局日誌」
- 『勝因と敗因 第44期将棋名人戦各級順位戦』(1987年、力富書房)- 昭和60年度の「対局日誌」
- 『プロ将棋ワンポイント講座』(1987年、力富書房)
- 『将棋対局日誌集』(1990年、力富書房) - 昭和52年度~昭和60年度の「対局日誌」
- 『一局の将棋一回の人生』(1990年、新潮社)のち文庫
- 『将棋界奇々快々』(1993年、日本放送出版協会)のちNHKライブラリー
- 『覇者の一手』(1995年、日本放送出版協会)のちNHKライブラリー
- 『人生の棋譜 この一局』(1996年、新潮社)のち文庫
- 『新・対局日誌』(全8集、河出書房新社) - 昭和61年度~平成3年度、平成6年度~平成7年度の「対局日誌」
- 『大山康晴の晩節』(2003年、飛鳥新社)のち新潮文庫
- 『盤上の人生 盤外の勝負』(2012年、マイナビ)