NHK杯テレビ将棋トーナメント

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NHK杯テレビ将棋トーナメント(えぬえいちけいはいテレビしょうぎトーナメント)は日本放送協会(NHK)が主催する将棋棋戦であり、NHK Eテレで放送されているテレビ番組である。かつては「NHK杯争奪 将棋トーナメント」と称した。

対局者双方の持ち時間が少ない早指し戦であり、トーナメント方式で争われる。創設は1951年で、当時はラジオ番組であった。テレビ放送は第12回(1962年度)から行われている。なお、第60回以降の決勝戦についてはNHKラジオ第1放送でのラジオ放送もなされている[1]

優勝者には「NHK杯選手権者」(あるいは略して「NHK杯」)の称号が贈られ、次期の優勝者にその称号が贈られるまで主にNHKの将棋番組内や将棋講座テキスト(NHK出版)誌上で呼称される[注 1]

棋戦の仕組み

予選と本戦からなり、本戦には棋士49名と女流棋士1名の計50名が出場する。本戦の対局はNHKのテレビスタジオで収録され、その模様が毎年4月から翌年3月にかけて毎週1局ずつ放送される。

大会初期は参加者が8名であったが、第16回(1966年度)から16名に増え、第27回(1977年度)からは26名になり、第31回(1981年度)から現行の本戦出場50名となっている。

本戦シード

抽選時(前年12月末時点)において下記の条件を満たす者(32名)は予選が免除され、本戦シードとなる。またそのうち14名は本戦2回戦シードとなる。シード順は以下の通り(2013年度現在)。

  1. 前年度ベスト4(準決勝まで直接対決しないようにトーナメント表が組まれる)
  2. タイトル保持者
  3. 永世称号呼称者[注 2](「名誉NHK杯」を含む[2])および順位戦B級1組以上の棋士
  4. 公式棋戦優勝者
  5. 女流枠から出場する女流棋士(1名)
  6. 成績優秀による選抜者[注 3]

1回戦から登場のシード18名は1回戦で予選通過者18名とそれぞれ対局する。また、2回戦から登場のシード14名は2回戦で1回戦の勝者との対局となる。なお、シード権保持者の人数によっては永世称号棋士・順位戦A級棋士の一部が1回戦からの参加になったり、B級1組棋士の一部が2回戦からの参加になるなどの調整が行われる。

本戦の対局ルール

  • 先後(先手・後手)の決定は全局振り駒で行う[注 4]
  • 持ち時間は各10分(対局時計使用)で、それを使い切ると1手30秒未満となる。ただし、秒読みに入ってから1分単位で合計10回の「考慮時間」をそれぞれ使用できる[注 5]
  • 千日手となった場合は、他の棋戦と同様、先後を入れ替えての指し直しとなる。指し直し局は持ち時間なしで初手から1手30秒未満、考慮時間は千日手局での残り回数が引き継がれる。ただし、残りが4回以下であった対局者の考慮時間は5回とされる[注 6]

予選

  • 本戦シード以外の棋士は東西の将棋会館でトーナメント方式の予選を行い、通過した18名(関東12名、関西6名[注 7])が出場する。予選は持ち時間各20分・切れると一手30秒の早指し戦を1日3局(棋士によっては2局)行なう。
  • 女流棋士は前年12月末時点の女流タイトル保持者で予選を行い、1名が出場する(なお奨励会所属の女流棋士は出場資格が無いため除外となる)。女流予選の決勝は本戦と同じ対局場、同じ持ち時間で行われ、対局の模様は毎年3月にNHK Eテレで放送される。

優勝記録

最多優勝
第63回(2013年度)までの最多優勝は羽生善治の10回であり、次いで大山康晴が8回、加藤一二三が7回優勝している(下表を参照)。
連覇
最高記録は羽生善治の4連覇(第58回 - 第61回)。他に、大山康晴(第4回 - 第5回)・羽生(第47回 - 第48回)・佐藤康光(第56回 - 第57回)が2連覇を記録している。
最年長・最年少・最低段
最年長優勝は、大山康晴の61歳(第33回)。
最年少優勝は、羽生善治の18歳(第38回)。
最低段優勝は、櫛田陽一の四段での優勝(第39回)。

名誉NHK杯

通算10回優勝すると名誉NHK杯選手権者(名誉NHK杯)の称号が贈られる(タイトル戦の永世称号や名誉称号に類似)。第61回(2011年度)までにこの称号を得たのは羽生善治のみである[注 8]。なお、囲碁のNHK杯戦では通算11回優勝の坂田栄男(故人)が名誉NHK杯の称号を保持している。

なお、当棋戦では「永世」を「名誉NHK杯」と紹介するが、これは囲碁と同じくNHK杯のトロフィーをかけて行われているため、その囲碁のタイトルに合わせる形にしている(同例は王座戦<日本経済新聞社主催>の場合にもある)。

歴代決勝結果

称号・段位は当時のもの。かっこ内数字は、その時点での通算優勝回数。

年度 優勝 準優勝 備考
1 1951 木村義雄名人 升田幸三八段 ラジオ放送でスタート。8人制。
2 1952 升田幸三八段 丸田祐三八段
3 1953 塚田正夫九段 花村元司八段
4 1954 大山康晴名人 塚田正夫九段
5 1955 大山康晴名人(2) 灘蓮照八段
6 1956 原田泰夫八段 灘蓮照八段
7 1957 升田幸三名人(2) 灘蓮照八段
8 1958 灘蓮照八段 大山康晴王将
9 1959 丸田祐三八段 大野源一八段
10 1960 加藤一二三八段 大山康晴名人
11 1961 大山康晴名人(3) 加藤博二八段
12 1962 灘蓮照八段(2) 升田幸三九段 テレビ放送に移行。
13 1963 升田幸三九段(3) 加藤一二三八段
14 1964 大山康晴名人(4) 塚田正夫九段
15 1965 丸田祐三八段(2) 升田幸三九段
16 1966 加藤一二三八段(2) 二上達也八段 出場16名となる。
17 1967 大友昇七段 二上達也八段
18 1968 丸田祐三八段(3) 山田道美八段
19 1969 内藤國雄棋聖 関根茂八段
20 1970 大山康晴名人(5) 中原誠十段
21 1971 加藤一二三八段(3) 大内延介七段
22 1972 大山康晴九段(6) 米長邦雄八段
23 1973 加藤一二三九段(4) 内藤國雄棋聖
24 1974 中原誠名人 内藤國雄九段
25 1975 大内延介八段 二上達也九段
26 1976 加藤一二三九段(5) 米長邦雄八段 カラー放送となる。
27 1977 中原誠名人(2) 加藤一二三九段 出場26名となる。
28 1978 米長邦雄八段 真部一男六段
29 1979 大山康晴王将(7) 森雞二八段
30 1980 有吉道夫九段 中原誠名人
31 1981 加藤一二三十段(6) 伊藤果五段 本戦50名・予選制導入。毎週の放送となる。
32 1982 中原誠十段(3) 青野照市七段
33 1983 大山康晴十五世名人(8) 加藤一二三前名人 大山、最年長優勝。
34 1984 田中寅彦八段 加藤一二三王位
35 1985 谷川浩司前名人 内藤國雄九段
36 1986 前田祐司七段 森雞二九段
37 1987 中原誠名人(4) 中村修王将
38 1988 羽生善治五段 中原誠棋聖 羽生、最年少優勝。
39 1989 櫛田陽一四段 島朗前竜王 四段の棋士が優勝(初)。
40 1990 先崎学五段 南芳一棋王
41 1991 羽生善治棋王(2) 塚田泰明八段
42 1992 中原誠名人(5) 島朗七段
43 1993 加藤一二三九段(7) 佐藤康光前竜王 女流棋士出場枠が設けられる。
44 1994 中原誠永世十段(6) 米長邦雄前名人
45 1995 羽生善治竜王・名人(3) 中川大輔六段 決勝が初の公開対局
羽生が七冠達成だけでなくNHK杯戦でも優勝。
46 1996 森内俊之八段 屋敷伸之七段
47 1997 羽生善治四冠(4) 村山聖八段
48 1998 羽生善治四冠(5) 堀口一史座五段
49 1999 鈴木大介六段 郷田真隆八段 決勝が公開対局テント(2000)みんなの広場)。
50 2000 羽生善治五冠(6) 久保利明六段 決勝対局場が初の東京以外(関西将棋会館)。
51 2001 森内俊之八段(2) 佐藤康光王将
52 2002 三浦弘行八段 先崎学八段
53 2003 久保利明八段 羽生善治名人
54 2004 山崎隆之六段 羽生善治四冠
55 2005 丸山忠久九段 渡辺明竜王
56 2006 佐藤康光棋聖 森内俊之名人
57 2007 佐藤康光二冠(2) 鈴木大介八段 決勝がNHK杯囲碁・将棋を通じて史上初の生放送[3]
58 2008 羽生善治名人(7) 森内俊之九段
59 2009 羽生善治名人(8) 糸谷哲郎五段
60 2010 羽生善治名人(9) 糸谷哲郎五段 記念大会(女流枠2で総勢51名)、羽生が史上初の3連覇。
決勝戦のラジオ放送を実施。
61 2011 羽生善治二冠(10) 渡辺明竜王 羽生が4連覇
通算10度目の優勝で名誉NHK杯の称号を得る。
決勝戦のラジオ放送を実施。
62 2012 渡辺明竜王 羽生善治三冠 羽生の連勝記録が24でストップ。
決勝戦のラジオ放送を実施。
63 2013 郷田真隆九段 丸山忠久九段 11年ぶりに無タイトル者同士の決勝戦

女流棋士の出場枠

結果

女流棋士が本戦で勝ち星を挙げた場合は対局順に複数の対戦相手を表記。

年度 出場棋士 勝敗 対戦相手
43 1993 中井広恵 先崎学
44 1994 清水市代 平藤眞吾
45 1995 清水市代 畠山成幸
46 1996 清水市代 飯塚祐紀
47 1997 清水市代 深浦康市
48 1998 清水市代 北浜健介
49 1999 清水市代 石川陽生
50 2000 中井広恵 野月浩貴
51 2001 清水市代 畠山成幸
52 2002 清水市代 加瀬純一
53 2003 中井広恵 畠山鎮
青野照市
中原誠
54 2004 中井広恵 佐藤秀司
佐藤康光
年度 出場棋士 勝敗 対戦相手
55 2005 清水市代 川上猛
56 2006 千葉涼子 中田功
57 2007 千葉涼子 佐藤和俊
58 2008 清水市代 糸谷哲郎
59 2009 矢内理絵子 櫛田陽一
60 2010 里見香奈 小林裕士
清水市代 堀口一史座
61 2011 甲斐智美 島朗
62 2012 甲斐智美 野月浩貴
63 2013 上田初美 西川和宏
64 2014 香川愛生 熊坂学

第53回(2003年度)では中井広恵女流三冠が畠山鎮六段を破り、NHK杯での女流棋士の初勝利を果たしている。さらに2回戦で当時A級棋士であった青野照市九段をも倒した(3回戦で中原誠永世十段に敗れる)。中井は翌54回にも出場し、1回戦で佐藤秀司六段に勝利。2回戦で佐藤康光棋聖を相手に優勢な局面に持ち込んだが、逆転負けを喫した。

女流予選

第55回(2005年度)より奨励会員を除いた女流タイトル保持者による女流予選が行われるようになった。予選出場資格者が3名以上の場合はトーナメント戦。第60回(2010年度)は記念大会のため出場枠が2名となり、負け残りのトーナメント戦で勝利した女流棋士2名が本戦出場。称号は当時のもの。

年度 勝者(本戦出場) 決勝敗退 1回戦敗退(対戦相手)
55 2005 清水市代 女流名人女流王位倉敷藤花 中井広恵 女流王将 -
56 2006 千葉涼子 女流王将 清水市代 女流名人・女流王位・倉敷藤花 -
57 2007 千葉涼子 女流王将 清水市代 女流王位 斎田晴子 倉敷藤花(千葉)
矢内理絵子 女流名人(清水)
58 2008 清水市代 女流王将・倉敷藤花 矢内理絵子 女流名人 石橋幸緒 女流王位(矢内)
59 2009 矢内理絵子 女王 石橋幸緒 女流王位 清水市代 女流名人・女流王将(矢内)
里見香奈 倉敷藤花(石橋)
60 2010 里見香奈 女流名人・倉敷藤花
清水市代 女流王位・女流王将
矢内理絵子 女王(1回戦里見、2回戦清水)
61 2011 甲斐智美 女王・女流王位 里見香奈 女流名人・女流王将・倉敷藤花 -
62[注 9] 2012 甲斐智美 女流王位 上田初美 女王 -
63[注 9] 2013 上田初美 女王 他の女流タイトル保持者2名がともに奨励会員のため予選免除
64[注 10] 2014 香川愛生 女流王将 甲斐智美 女流王位・倉敷藤花 -

上記の対局以外にも、第50回(2000年度)で女流棋士6名による女流予選が行われている。第50回の女流予選決勝(清水 - 中井戦で中井勝ち)と第55回以降の女流予選全対局の結果は(女流棋戦ではなく)「男性棋戦」の公式記録となっている[4]

テレビ放送・ラジオ放送

2012年4月以降は、NHK Eテレで毎週日曜日に、「将棋フォーカス」から引き続く10:30 - 12:00に放送している。

2010年3月までは「将棋の時間」(日曜10:00 - 12:00)の第2部(10:20 - 12:00)として放送されていた[注 11]。2010年4月-2012年3月は「囲碁・将棋フォーカス」放送に伴い、「将棋講座」(10:00 - 10:15)から引き続く10:15 - 11:45に放送されていた。高校野球の開催時期には放送時間が変更になることがある。

  • 対局はの敷かれた和室を模したスタジオセットの対局場で行われる。対局者は座布団正座で対局に臨む(椅子に着席して対局するNHK杯テレビ囲碁トーナメントとは異なる)。この対局場には上座と下座の区別がなく、将棋盤を挟んで画面向かって左側に先手、右側に後手が着座する[注 12]
  • ラジオ放送から始まったため、司会(女流棋士)、大盤解説(棋士)、記録係(通常は奨励会員)のほか棋譜読み上げ(女流棋士)が加わる[注 13]
  • は、初代光匠作の彫埋駒を使用している。書体は初代書(一字書)。彫埋駒を使っている理由は、テレビに駒が映った時にが光らないようにするためである。
  • 録画放送だが放送日以降にならないと、日本将棋連盟のホームページや「将棋世界」等に結果は掲載されない。棋譜はNHK出版のテキスト「将棋講座」に掲載される(概ね放送月の2ヶ月後に発行されるテキスト)。
  • オープニング映像ではBGMとともに複数の有力棋士の静止画が流れ、最後に前年度NHK杯選手権者が初手を指すシーンで終わる。
  • オープニング映像に続く司会者の挨拶で番組が始まる。司会者によってトーナメント表の勝ち上がりの状況が示されて[注 14]、その後に両対局者の紹介[注 15]と解説者の紹介が対局前に行われる。また、序盤の段階で両対局者のこれまでの対戦成績も紹介される。
  • 入玉、千日手、その他の事情などで指し直し等長時間の将棋になった場合、途中を省略して手順のみを放送することがある。また、短時間で終わって放送時間が余りすぎた場合は過去の名勝負や棋界情報などを紹介する臨時番組(将棋の時間 を参照)が放送されることがあった。一般的には感想戦を放送して丁度良い程度に時間が余ることが多い。
  • プロ対局としては異例なほど、詰みの数手前まで指されるのが一般的。通常のプロ対局では、中盤までに形勢逆転不能と判断した時点で投了することも珍しくはない。
  • 第60回からは1回戦から毎回、対局者へのインタビューが放送されている。司会者(聞き手)による対局者一人ずつのインタビューであり、内容は、対局相手の印象、対局に当たっての抱負などである。放送映像では対局者のみが映り、聞き手は声のみである。

歴代の司会者

現在、司会は毎週同じ女流棋士が務め、解説は毎週異なる棋士が担当する。1991年に女流棋士が司会となってからは3年ごとに司会者が交代しているが、矢内理絵子は2009年から5年連続で担当した。

年度 司会
? - 30 ? - 1980 二代目神田山陽講談師
31 - 40 1981 - 1990 永井英明近代将棋会長)
41 - 43 1991 - 1993 谷川治恵
44 - 46 1994 - 1996 山田久美
47 - 49 1997 - 1999 藤森奈津子
50 - 52 2000 - 2002 中倉彰子
53 - 55 2003 - 2005 千葉涼子
56 - 58 2006 - 2008 中倉宏美
59 - 63 2009 - 2013 矢内理絵子
64 - 2014 - 清水市代
  • 第59回の2009年7月26日と8月2日放送分は、収録される対局に矢内理絵子が出場する分が含まれていたため、千葉涼子が代わりに司会をつとめた。
  • 1970年代中頃には、講談師の田辺一鶴が司会(聞き手)を務めていた時期がある。
  • ラジオ放送時代には倉島竹二郎作家観戦記者)が聞き手を務めていた時期がある。
  • 2014年5月18日、25日放送分は、清水が女流王位決定戦に出場するため、代役として矢内が司会を務めた。

決勝戦

決勝戦の放送では、冒頭で対局者へのインタビューなどが放送され、また、最後に表彰式が放送されるため番組構成が若干異なる。これらのコーナーについては司会進行役をNHKアナウンサーが務める。まず、番組の冒頭の部分では、対局室とは別のスタジオに決勝戦の対局者・解説者・聞き手が集まり、対局者に対しては今期のトーナメントで印象に残っている対局や決勝戦への意気込み、解説者や聞き手に対しては決勝戦の見所などについてインタビューがなされる。それに引き続いて、決勝戦では振り駒の様子やNHK杯将棋トーナメントの歴代優勝者など放送される。また、最後の部分では表彰式が放送され、優勝者に対してはNHK杯(優勝カップ)と賞状及び「NHK杯選手権者」の称号が贈られる(「NHK杯選手権者」の称号を贈ることは賞状に記されている)。また、準優勝者に対しては賞状が授与される。なお、第60回と第61回の決勝戦についてはNHKラジオ第1放送でのラジオ放送も行われ、NHKオンラインでも公開されている[5]

テレビ放送
年度 対局者 放送日 司会者 聞き手 解説者
60 2010年度 羽生善治 対 糸谷哲郎 2011年3月27日 矢内理絵子 森内俊之
61 2011年度 羽生善治 対 渡辺明 2012年3月18日 関口泰雅 矢内理絵子 森内俊之
62 2012年度 羽生善治 対 渡辺明 2013年3月17日 堀伸浩 矢内理絵子 藤井猛
ラジオ放送
年度 対局者 放送日 司会者 解説者
60 2010年度 羽生善治 対 糸谷哲郎 2011年5月5日 村上信夫 米長邦雄、渡辺明、佐藤康光
61 2011年度 羽生善治 対 渡辺明 2012年3月20日 村上信夫 米長邦雄、谷川浩司、橋本祟載
62 2012年度 羽生善治 対 渡辺明 2013年5月3日 関口泰雅 島朗、木村一基、橋本祟載

特別番組

歴代優勝者が選ぶ名勝負十局

2010年12月25日に『NHK杯将棋トーナメント60周年記念 歴代優勝者が選ぶ名勝負十局』を放送。ゲストは羽生善治、矢内理絵子。司会は長野亮

順位 年度 放送 回戦 対局者 備考
1 38 1988 1989年2月 準々決勝 加藤一二三九段 羽生善治五段 羽生の▲5二銀が炸裂。
2 44 1994 1995年3月 決勝 米長邦雄前名人 中原誠永世十段 長年のライバルが決勝で戦う(この対局前まで中原97勝、米長77勝)。
3 47 1997 1998年3月 決勝 羽生善治四冠 村山聖八段 村山、これが人生最後の出場。最終盤で錯覚して逆転負け。村山は局後に「優勝したはずだったんですが・・・」とこぼした。
4 38 1988 1989年3月 決勝 中原誠NHK杯 羽生善治五段 羽生、大駒2枚を切る攻めで初優勝。
5 39 1989 1990年3月 決勝 島朗前竜王 櫛田陽一四段 四段の棋士が優勝(初)。
6 54 2004 2005年3月 決勝 羽生善治四冠 山崎隆之六段 山崎、初優勝。
7T 53 2003 2003年7月 1回戦 畠山鎮六段 中井広恵女流三冠 女流棋士の勝利(初)。
7T 57 2007 2008年2月 準々決勝 羽生善治王座・王将 長沼洋七段 本戦初出場の長沼が羽生を下してベスト4。
7T 57 2007 2007年10月 2回戦 羽生善治王座・王将 中川大輔七段 羽生が大逆転勝利(1歩も余らない詰みで中川玉がトン死)。
10 29 1979 [注 16] 3回戦 大山康晴十五世名人 加藤一二三王将 勝勢にあった加藤が指した悪手▲8八金を見て、大山が電光石火のアクションで△同角成。

エピソード

テンプレート:出典の明記 段位、称号は当時のもの。

新鋭羽生五段 名人経験者をすべて破る
  • 第38回(1988年度)の羽生善治五段は当時現役だった名人経験者4人(大山康晴加藤一二三谷川浩司中原誠[注 17]を全て撃破して初優勝した。3回戦で羽生が大山を下した直後、当時司会を務めていた永井は「あーすごいですね、いやーたいしたもんですねー、勝率8割1分8厘からまた上がりましたよ」と驚嘆していた。また、準々決勝の加藤戦での▲5二銀は伝説の一手と言われ、この手が指された瞬間に解説の米長邦雄は、「おぉー、やった!」とマイクの音が割れる大声をあげた。解説室は対局場とは別の部屋であったにもかかわらず、その大声は対局場の羽生に聞こえたようで、解説の声が対局場まで届いたのは後にも先にもこれが初めてだという[6]テンプレート:信頼性要検証
反則負け
駒が取れない
  • テレビスタジオのライトの熱により、駒に塗られたワックスが時間とともに溶けてしまい、盤に貼り付いてしまうという、テレビ棋戦ならではのトラブルも発生した。それに遭遇した森安秀光は、秒読みに追われる中、次の指し手を大声で発し、切れ負けをしのいだ[7]テンプレート:信頼性要検証
「ノータイム指し」糸谷哲郎の活躍
  • 第59回の準決勝・渡辺明竜王対糸谷哲郎五段では、糸谷が得意の超早指しに渡辺も超早指しで対抗した結果、糸谷が勝利。感想戦の放送も早く終了し、久々に臨時の番組が後ろに挿入された(NHK杯将棋名局選)。
  • 第60回の準決勝(2011年3月20日放送分)において、糸谷が丸山忠久九段に39手で勝利した[8]。これは、本戦での最短手数記録[9]テンプレート:信頼性要検証。このときも前述の渡辺竜王との対戦時同様時間が余ったが、臨時の番組が挿入されることなく番組終了まで感想戦が放送された。
高齢者・熟年者の健闘
  • 第42回(1992年度)では丸田祐三九段が73歳で予選を突破し、本戦1回戦で勝利した。
  • 第43回(1993年度)では加藤一二三が54歳で12年ぶりの優勝、現在までの史上最長間隔優勝記録である。なお最高齢優勝は大山康晴の61歳。
  • 第60回(2010年度)は、順位戦C級2組からの陥落により引退が決まっていた有吉道夫九段が74歳で予選を突破。本戦出場の最年長記録を更新した。1回戦で敗れたため、前記した丸田祐三の持つ最年長勝利記録は更新できなかった。この件がきっかけとなり、日本将棋連盟の引退日の規定が「引退が決まった年度末(3月31日)」から「引退が決まった年度に勝ち残っていた棋戦の最終対局日。但し、テレビ棋戦の場合は、対局の放映日」に変更された。
最後の決勝
  • 第47回(1997年度)の決勝では、最終盤で村山聖にミスが出て羽生に逆転負けをする。準優勝のインタビューでは、村山らしく笑顔で「優勝したはずだったんですが」とおどけてみせた。村山は病気のため明くる4月から全ての棋戦を休場し、復帰を果たせないまま8月に死去する。
ファッション・パフォーマンス
  • 橋本崇載四段が第54回(2004年度)の本戦に出場し、対松尾歩五段戦では金髪、パンチパーマ、紫のシャツというファッションで対局した。また、第57回(2007年度)での対阿部隆八段戦でのカメラを意識した目線は話題を呼んだ。
  • 吉田正和四段は本戦初出場となった第60回(2010年度)の第1回戦(屋敷伸之九段戦)に剃髪をして登場した。
  • 第62回(2012年度)では佐藤紳哉六段がカツラをつけて登場し、豊島将之七段との対局前インタビューで、格闘技やプロレスの煽りのような受け答えをして話題となった[10]。その後橋本崇載八段が羽生善治三冠との対局前インタビューでこのパフォーマンスを真似る。
喫煙
  • かつては喫煙しながらの対局もあったが、現在は見られない。
同じ4人
  • 第60回(2010年度)では、前回ベスト4によってシードされた棋士がまたも準決勝に進出し、2年連続で全く同じ顔ぶれとなった(羽生善治・渡辺明・丸山忠久・糸谷哲郎)。さらに、決勝戦も2年連続で同一カードとなった(羽生対糸谷)。この様な例は史上初。
2回連続千日手
  • 第61回(2011年度)の1回戦第10局、佐藤康光九段対永瀬拓矢四段の対局は、NHK杯戦史上初[11]の2回連続千日手となった。再指し直し局で永瀬が佐藤を破った。
解説者がトイレに
  • 晩年の升田幸三実力制第4代名人が解説時、途中でトイレに行き解説者一時不在となった。その間司会の永井が1人で間をつないだ。
一年で二敗
第34回(1984年度)で大山康晴が急病で休場となり、穴埋めとして谷川浩司名人と米長邦雄王将の特別対局が行われた。この勝負は米長の勝利に終わる。ところがこの対局がエキシビションではなく「公式戦」の扱いとなってしまったため、本戦トーナメントで青野照市に敗れた谷川は、NHK杯において1年で2敗を喫すると言う珍記録を作ってしまった[12]

備考

  • 第54回の決勝戦の放送(2005年3月20日)は福岡県西方沖地震発生のニュースで中断し、そのまま1週間後の3月27日10:05に延期された。その時間に放送される予定だった女流予選(第55回)の放送は同日13:30からに変更された。
  • 第57回(2007年度)の女流予選は、大会史上初めて女流4タイトルを分け合う4名によるトーナメント戦となった。この模様は女流棋士出場者決定戦として2007年3月25日 10:05からの放送予定であったが能登半島地震の報道の為延期となり、同年3月30日 23:00および4月21日 15:00(再放送)からの放送となった。
  • 2011年3月11日に発生した東日本大震災の影響で、第60回(2010年度)の準決勝・第2局(当初放送予定2011年3月13日)と決勝(同3月20日)は、それぞれ1週間先に放送日が延期された[13][14]。また、決勝は4月17日にも再放送がされた[15]。また、第60回記念として2011年3月21日に放送予定だったNHKラジオ第1放送「復活!ラジオNHK杯将棋トーナメント」(決勝戦の模様を放送。解説は米長邦雄永世棋聖・渡辺明竜王・佐藤康光九段[16]。司会は村上信夫アナウンサー。)も、放送日が5月5日(17:05分ごろ-18:50)に変更された。なお、NHKワールド・ラジオ日本では本番組は同時放送せず、FM放送・デジタルラジオ実用化試験放送の音楽番組に差し替えた(18:00からのニュースのみ通常通りラジオ第1と同時放送)。
  • CSの囲碁将棋チャンネルでは『NHK杯テレビ将棋トーナメント選』として1980年代のNHK杯テレビ将棋トーナメントの対局を放送している(2012年10月現在、金曜日22:00~)。

脚注

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出典

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参考文献

関連項目

外部リンク

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  1. 「復活!ラジオNHK杯トーナメント」(NHK)
  2. テンプレート:Cite web
  3. 『NHK杯 伝説の名勝負』 p.194 千日手などのアクシデントに備え、放送枠は3時間40分がとられた。
  4. 女流棋士成績一覧:日本将棋連盟」も参照のこと。他の「男性棋戦」でも複数の女流棋士出場枠が設けられている場合、上位まで勝ち上がれば女流同士の対局があり得るが過去に対戦した例はない。
  5. 「復活!ラジオNHK杯トーナメント」(NHK)
  6. 2010年12月25日放送「NHK杯60周年記念 歴代優勝者が選ぶ名勝負十局」(NHK教育テレビ)で羽生が証言。
  7. 『NHK杯将棋トーナメント60周年記念 もう一度見たい! 伝説の名勝負』での蛸島彰子の証言。
  8. 『NHK杯 伝説の勝負』 p.204
  9. 翌週3月27日放送の決勝戦冒頭で、この39手での勝利は、トーナメント本戦においては史上最短手数であると紹介された(予選会を含めるとどうなるかは不明)。
  10. 将棋・佐藤紳哉六段は新スター? Ameba News
  11. 放送(2011年6月5日)にて司会・聞き手の矢内理絵子談。
  12. 『NNK杯 伝説の名勝負』 p.90
  13. 2011年3月の全対局(日本将棋連盟)
  14. 第60回NHK杯テレビ将棋トーナメント決勝戦放送時間のお知らせ(日本将棋連盟・2011年3月24日)
  15. 「第60回NHK杯将棋トーナメント」「将棋講座」再放送のお知らせ(日本将棋連盟・2011年4月1日)
  16. 「復活!ラジオNHK杯トーナメント」のお知らせ(日本将棋連盟)


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