東海交通事業城北線
|} 城北線(じょうほくせん)は、愛知県春日井市の勝川駅から愛知県清須市の枇杷島駅に至る東海交通事業の鉄道路線である。
旧日本鉄道建設公団(鉄建公団)主要幹線(C線)[1]建設線の瀬戸線の一部を完成させて開業した路線である。全線が高架線で、勝川駅 - 小田井駅間では名古屋第二環状自動車道の高架の南側に沿って走る。なお2011年時点では県内の旅客線では武豊線(2015年に電化予定)と同様に数少ない非電化路線である。
なお、正式な起点は勝川駅だが、列車運行上は枇杷島駅から勝川駅へ向かう列車が下り、逆方向が上りとなっている。
路線データ
- 管轄(事業種別)
- 路線距離(営業キロ):11.2km
- 軌間:1067mm
- 駅数:6駅(起終点駅含む)
- 複線区間:全線(ただし、勝川駅構内と枇杷島駅構内の一部は単線)
- 電化区間:なし(全線非電化)
- 閉塞方式:自動閉塞式
- 保安装置:ATS-ST
運行形態
すべて線内折り返しのワンマン運転列車で、日中は1時間間隔、平日の朝夕は約20分間隔(土曜・休日は40分間隔)と大都市近郊の路線としては運転本数が少ない。
元日には「初日の出号」として途中初日の出がよく見えると予想される箇所で初日の出時刻前後に一時停車する臨時列車も運行される(1往復)。これに乗車するとその年の干支の陶器製置物がプレゼントされる。また、この列車に限らず元日は一日中、ヘッドマークの上に日章旗が掲示される(ただし、2013年はヘッドマークのみ掲示された)。
2010年より、年末年始の夕方以降には側面にイルミネーションを施した車両が定期運行されている。
また、利用促進策として、2012年から他の路線よりも上に立体交差する高架線の特性を活かし、交差する3路線の車両を撮影する「とれいんWatchingトレイン」[2]や、車内でコーヒーとサンドイッチで眺望を楽しむ「カフェトレイン」[2][3]、車内をビアホール(夏季)・居酒屋(冬季)に見立てた「ビアトレイン[4]」・「熱燗トレイン」の運行を実施している。
車両
テンプレート:See also キハ11形200番台が単行(1両編成)で使用される。開業時には、JR東海から借り入れたワンマン運転仕様のキハ40形が使用されたが、1993年に自社所有のキハ11形が4両新製されうち2両が城北線に投入された後も定期検査による車両不足等の際に、JR東海所有のキハ40形や美濃太田車両区に貸し出しているキハ11-203がステップを埋めた上で代走することがある(キハ11-204も貸し出しているが、城北線の運用に就いたことがない)。キハ40にはトイレが設置されているが、城北線代走運用時はトイレが使用できない。城北線用には2両しか車両が配置されておらず、利用者も少ないため増結は行われない。
歴史
瀬戸線は改正鉄道敷設法に「愛知県瀬戸ヨリ稲沢ニ至ル鉄道」として挙げられ、東海道本線と中央本線を結ぶ貨物主体の路線として計画された。1962年の鉄道建設審議会で敷設予定鉄道路線となり、名古屋方面と直通できるよう枇杷島駅との分岐線が追加され、瀬戸 - 高蔵寺間、勝川 - 枇杷島間が1976年に着工された。その他、中央本線高蔵寺 - 勝川間を複々線とする構想もあったためこの区間の用地買収も行われた。その後、財政難などから工事は中断され、国鉄分割民営化後は瀬戸 - 高蔵寺間を愛知環状鉄道が、勝川 - 枇杷島間を東海旅客鉄道が第1種鉄道事業路線として承継することになった。しかし、同社の路線として開業させた場合、約40年もの間(2032年に終了予定)年間49億円程度の借損料(借りた物の消耗分の賃料。独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令第7条により規定)を鉄道建設・運輸施設整備支援機構に支払わなければならない[5][6]ことから、同区間を子会社の東海交通事業に運営させることとした。小田井 - 尾張星の宮間において、稲沢方面の線路と立体交差させる構造で高架橋を建設したため、該当区間の勝川方面の線路が上昇し、高々架となる。この分岐点予定地から稲沢までは一部用地の買収は行われたが工事着工には至らなかった。また、中央本線高蔵寺 - 勝川間で一部取得していた複々線化用の用地も売却されている。
なお、城北線の勝川駅は中央本線の高架化事業に関連して仮駅営業となっており、中央本線の同駅とは500mほど離れた場所にある。高架化事業は中央本線のみが対象であり、2009年11月に完成した中央本線の勝川駅は単式ホーム(2面2線)だが、島式ホーム(2面4線)化し城北線の乗り入れに対応するスペースは確保されている。ただし、実際に城北線の勝川駅が中央本線の同駅と統合される時期は未定である。
また、味美駅付近で名鉄小牧線、小田井駅付近で名鉄犬山線および名古屋市営地下鉄鶴舞線とそれぞれ高々架(多重高架)で交差するが、城北線の味美駅と小牧線の味美駅、及び小田井駅と犬山線・鶴舞線の上小田井駅はともに離れている上に連絡通路なども設置されていないため、乗換駅としては機能していない。
前述のように本数の少なさや運賃の高さ、また他路線との接続の不便さから、2010年(平成22年)度の輸送密度は約490人/日[7]、2011年(平成23年)度は472人/日[8]と、利用者数は伸び悩んでいる。東海道本線および中央本線との相互乗り入れ開始も未定である。
駅一覧
全駅愛知県に所在。城北線の駅は枇杷島駅を除いて無人駅である。
駅名 | 駅間営業キロ | 累計営業キロ | 接続路線 | 所在地 |
---|---|---|---|---|
勝川駅 | - | 0.0 | 東海旅客鉄道:中央本線 | 春日井市 |
味美駅 | 1.8 | 1.8 | ||
比良駅 | 2.7 | 4.5 | 名古屋市 西区 | |
小田井駅 | 2.2 | 6.7 | 名古屋鉄道:犬山線(上小田井駅) 名古屋市営地下鉄:15px 鶴舞線(上小田井駅:T01) | |
尾張星の宮駅 | 2.6 | 9.3 | 清須市 | |
枇杷島駅 | 1.9 | 11.2 | 東海旅客鉄道:東海道本線 |
- 枇杷島駅の城北線のホームは東海道本線の貨物専用の別線である稲沢線上に設けられている。
- ホームにある駅名標は親会社のJR東海と同様の形式を取っているが、オレンジのラインが二本線(テンプレート:Color)になっている。
JR乗車券の利用について
JR東海のICカード「TOICA」や、名古屋鉄道・名古屋市交通局などが導入した「manaca」(およびこれらと相互利用が可能な各種ICカード)は城北線で利用できず、導入する計画もない。枇杷島駅はJRと改札口を共有しているが、改札内にICカードリーダーなどはない。そのため、TOICAで枇杷島駅までJRを利用後城北線に乗り換える旅客は、一旦改札を出て改めて城北線の乗車券で入場し直す必要がある。なお枇杷島駅とJR勝川駅のTOICA対応券売機ではTOICA(相互利用カードを含む)を利用して城北線の普通乗車券を購入することができるが、城北線の勝川駅ではこの取り扱いはできない。
またJR各社の青春18きっぷやJR東海の青空フリーパスなどの企画乗車券についても、他社線となるため利用はできず、城北線の乗車券が必要となる。
枇杷島駅での扱い
枇杷島駅は城北線唯一の有人駅であるが、あくまでJRの業務を行うだけである。城北線各駅からの運賃精算は駅の窓口では行わず、下車時に車内で支払う。その際、近距離乗車券型の「降車証明書」を乗務員から受け取り、自動改札機に通して出場する。そのままJR線に乗車する場合は、降車証明書を車掌または下車駅の窓口に提示するか、自動精算機に通して枇杷島→下車駅の運賃を支払う(TOICAなどのICカードで精算も使用できる機種に限り可能)。
輸送・収支実績
年度 | 旅客輸送人員(千人) | 一日1Km平均通過人員(人) | 鉄道業営業収入(千円) | 鉄道業営業費(千円) |
---|---|---|---|---|
1991 | 42 | 204 | 11,858 | 92,275 |
1992 | 125 | 184 | 40,588 | 233,420 |
1993 | 356 | 434 | 107,743 | 243,300 |
1994 | 374 | 460 | 116,977 | 238,825 |
1995 | 391 | 471 | 154,453 | 266,643 |
1996 | 388 | 464 | 166,454 | 282,650 |
1997 | 368 | 453 | 164,033 | 283,630 |
1998 | 375 | 460 | 177,105 | 291,310 |
1999 | 358 | 444 | 180,975 | 330,035 |
2000 | 353 | 454 | 187,131 | 336,083 |
2001 | 357 | 468 | 197,730 | 359,074 |
2002 | 343 | 435 | 204,467 | 340,762 |
2003 | 318 | 399 | 193,458 | 401,309 |
2004 | 303 | 382 | 200,407 | 358,200 |
- 民鉄主要統計『年鑑日本の鉄道』鉄道ジャーナル社、1994年-2007年