帽子

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帽子(ぼうし)は、防暑、防寒、防砂、装飾を主な目的としてにかぶる衣類の一種[1]

概要

一般に製で、つば(帽子の頭に密着する部分から外に向かって広がる日差し除けとなる部分)の有り無しがある。頭にかぶるものとしては他にターバンヘルメットカツラなどがある。主に頭部の保護やファッションの目的で用いられる。歴史的には特定の頭部の装身具は、その人物の社会での身分を示すこともある。詳しく用途を記すと次のとおりになる。

各部の名称

  • クラウン:帽子の山の部分
  • 天(天井):クラウンの頭頂部分。
  • 腰:クラウンの基部。制帽・軍帽・官帽などでは「鉢巻」と呼ばれることもある。
  • 天玉:天とジガミとの境に入る玉縁縫込み。
  • ジガミ(マチ・ヨツ):天と腰とをつなぐ部位。4枚の生地を縫い合せて作る。
  • 庇(鍔):目の前に入る日除け。製が多い。制帽のうち高位幹部対象の物では樫などの飾りの刺繍が入れられることもある。水兵帽ではこれがない。
  • 縁(へり)(帯・帽帯・周章):腰の上に巻かれる帯布。ななこ織の布などである。これが付かずに腰のままとされることもある。
  • 顎紐(あごひも):革製が多いが布製やビニール製、ゴム製などもある。制帽(軍帽・官帽)の顎紐には縞織の金線・銀線が付されることもある。
  • 耳章:顎紐を腰に留める付属品。主に金属製で、無装飾の場合と、団体の徽章が入る場合がある。
  • 天張り(パッキン):天を整形するために天の端に一周する形で入る細い芯。主にプラスチック製か製で、学生帽などでは入らないこともある。
  • 帽章:主に制帽として用いられる帽子につける徽章。

帽子のエチケット

帽子に関するエチケットは、単純化すると屋外でかぶり、屋内で脱ぐとなる。屋内に入ったときは外套と一緒に帽子を脱ぎ、再び外に出るときに身に着ける。このエチケットは軍隊のそれに準じており、入隊教育の中で新兵は帽子の取り扱いについて、講義を受ける。軍隊では戦闘中でなければ、屋内だけでなく艦船の中でも脱いでいなくてはならない(逆に旧ドイツ国防軍の様に、上官に対面する時の無帽は軍規違反になる軍隊もある)。また、敬礼の一つとして帽子を取ることがある。

これ以外の状況では、葬式国歌斉唱、食事などが帽子を脱ぐべき状況である。男性の挨拶として帽子にを当て軽く前に傾ける・一瞬だけ持ち上げ掲げるという方法がある。女性の場合、帽子は正装の一部と見做されている為この挨拶をする必要は無く(というより絶対帽子は脱いではならず)、小さくお辞儀をする・スカートをつまみ、小さく身を沈める(右脚を引いて屈む)などで十分である。

キリスト教の教会では男性は帽子を取ることが求められるが(女性は帽子を取らないのがエチケット)、シナゴーグでのユダヤ教徒やモスクでのイスラム教徒など帽子を取る必要が無い宗教もあり、帽子に対する態度は様々だが、いずれもへの敬虔さを示すという点で一致している。キリスト教徒が帽子を脱ぐのはをつくことや頭を下げることと同じ意味で、神に対する敬虔さからである。

ユダヤ教徒はタルムードにより独特のキッパーをかぶることが決められている。これも唯一神の偉大さと人の矮小さを被る者に認識させるためである。

ファッション

19世紀から20世紀にかけて、山高帽紳士礼装として認識されていた。当時のヨーロッパでは以下のように言われていたという[2]テンプレート:Quotation しかし現在では特定の帽子を身につけるように求められる状況は限られている。代わって、ファッションとして帽子の必要性が認識されるようになった。特定の被り方や、帽子が所属するサブカルチャーを示す他、擬似的に制服に近い意味合いを持つものもある。一般的に野球帽は特定のチームへの支持を示すものだが、斜め向き、逆向きにかぶるとヒップホップストリートファッションのアイテムとなる。

白いトックブランシェテンプレート:Lang-fr-shortコック帽[3]は、白い上下のシェフの制服(テンプレート:Lang-en-short)と共に一目で洋食料理人と認識されるアイテム[4]である。ベレー帽画家を、麦藁帽農村を連想させるものである。

帽子の種類、名称

Category:Hatsも参照

脚注

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関連項目

外部リンク

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テンプレート:被服 テンプレート:Fashion-stub

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  1. 意匠分類定義カード(B2) 特許庁
  2. ハットの予備知識(帽子専門店・文二郎帽子店)
  3. トック=高い、ブランシェ=白。18世紀の名シェフアントナン・カレームが山高帽から思いついたとの説あり)
  4. トックブランシェには大体3段階の高さがあり、料理長クラスの40cm、普通のコックの30cm、そして見習いクラスの15cmで本来は髪の毛が料理に落ちるのを防ぐために被られていたものが地位の象徴となった訳である。ただ規定があるわけではなく、暗黙の了解として背の高い帽子が権威づけられている。