山田正紀
テンプレート:Infobox 作家 山田 正紀(やまだ まさき、1950年 1月16日 - )は、日本の作家。
愛知県名古屋市生まれ。子供時代は漫画家を目指していた。明治大学政治経済学部卒業。日本推理作家協会会員。本格ミステリ作家クラブ会員。
日本SF作家クラブでは第12代会長を務めたが[1]、2014年現在は退会している。
人物
同人誌『宇宙塵』で作品を発表していたが、編集人であった柴野拓美に託した中編小説が柴野によって『SFマガジン』に手渡されることになり、1974年、中編「神狩り」が『SFマガジン』誌に掲載され作家デビューすることになる。『SFマガジン』には、立て続けに「流氷民族」(単行本化時に『氷河民族』に改題)を連載して、大物新人SF作家としての地位を固めた。かんべむさし、堀晃らとともに、星新一、小松左京、筒井康隆らの日本SF第一世代に続く、第二世代と呼ばれる。その後、冒険小説、ミステリなどにも発表ジャンルを広げる。
SFにおいては、骨太なアイデアで構成する難解で本格的な作品(デビュー時から「想像できないことを想像する」ことが信条であると発言している)からエンターテイメントに徹した作品まで幅広い。またロストワールドもの(「魔境物語」など)や、ジョン・W・キャンベルへのオマージュ「物体X」など、古典的な題材を取り上げることも多く、マニアックなファン層にもアピールしている。学生時代に中近東を放浪した経験があり、作品世界にも影響を与えている。
デビュー当初は『神狩り』『弥勒戦争』『神々の埋葬』など神をテーマにした作品が多く、これらは「神シリーズ」と呼ばれる。
SF系の作品では未完のものが多いが、『機械獣ヴァイブ』のように、17年の空白期間を経て完結した作品もある(『機械獣ヴァイブ〈4〉獣転生篇』が1988年6月刊行、改題・増補された『未来獣ヴァイブ』が2005年8月刊行)。
ミステリ界での「新本格」胎動後は、ミステリに大きく軸足を移し、近年はミステリ作品を数多く発表している。
略歴
- 1974年 - 『SFマガジン』1974年7月号にて『神狩り』でデビュー。
- 1975年 - 『神狩り』で第6回星雲賞日本短編部門を受賞。
- 1977年 - 『火神(アグニ)を盗め』で 78回直木賞候補
- 1978年 - 『地球・精神分析記録』で第9回星雲賞日本長編を受賞。
- 1980年 - 『宝石泥棒』で第11回星雲賞日本長編を受賞。
- 1982年 - 『最後の敵』で第3回日本SF大賞を受賞。
- 1995年 - 『機神兵団』で第26回星雲賞日本長編を受賞。
- 2002年 - 『ミステリ・オペラ』で第2回本格ミステリ大賞と第55回日本推理作家協会賞を受賞。
作品リスト
長編
- 神狩り 早川書房、1975 のち文庫、角川文庫、ハルキ文庫
- 弥勒戦争 早川書房、1975 のち文庫、角川文庫、ハルキ文庫
- 流氷民族 ハヤカワ文庫、1976 「氷河民族」角川文庫、原題でハルキ文庫
- 化石の城 二見書房、1976
- 襲撃のメロディ ハヤカワ文庫、1976 のち角川文庫
- 崑崙遊撃隊 二見書房、1976 のち角川文庫、講談社文庫、ハルキ文庫
- 謀殺のチェス・ゲーム 祥伝社、1976 のち角川文庫、徳間文庫、ハルキ文庫
- 火神(アグニ)を盗め 祥伝社、1977 のち文春文庫、ハルキ文庫
- 神々の埋葬 角川書店、1977 のち文庫
- 地球・精神分析記録 エルド・アナリュシス 徳間書店、1977 のち文庫
- チョウたちの時間 角川書店、1979 のち文庫、徳間文庫
- 竜の眠る浜辺 双葉社、1979 のち徳間文庫、ハルキ文庫
- 50億ドルの遺産 光文社カッパノベルス、1979 のち徳間文庫
- 宝石泥棒 1-2 早川書房、1980-89 のち角川文庫、早川文庫、ハルキ文庫
- ツングース特命隊 講談社、1980 のち文庫、ハルキ文庫
- デッド・エンド 奇想天外社、1980 のち文春文庫
- アフロディーテ 講談社、1980 のち文庫
- 孔雀王 角川文庫、1981
- 虚栄の都市 東京を襲った悪夢の48時間 祥伝社、1982 「三人の『馬』」ノンポシェット
- 風の七人 講談社、1982 のち文庫
- 最後の敵 モンスターのM・ミュータントのM 徳間書店、1982 のち文庫
- 裏切りの果実 文藝春秋、1983 のち文庫
- 宿命の女 徳間ノベルス、1983 のち文庫
- 神獣聖戦シリーズ
- 『神獣聖戦I 幻想の誕生』(中編集)徳間ノベルス 1984 のち文庫
- 『神獣聖戦II 時間牢に繋がれて』(中編集)徳間書店 1984 のち文庫
- 『魔術師』徳間書店 1986
- 『神獣聖戦III 鯨夢! 鯨夢!』(中編集)徳間書店 1986
- 『神獣聖戦 Perfect Edition』上下巻 徳間書店 2008
- 『神獣聖戦』は、背面世界においての新たな人類である「鏡人(M)=狂人(M)」と「悪魔憑き(デモノマニア)」の闘争を描くという、高度な空想性、抽象性を持つ野心的な作品として構想された。当初は中編集3冊と、長編『魔術師』『舞踏会の夜』の全5冊で完結する予定とされたが、『舞踏会の夜』が完成しないままとなっている一方、既刊を増補・改訂した『神獣聖戦 Perfect Edition』が2008年に刊行された。
- 闇の太守 全4冊 講談社ノベルス、1984-90 のち文庫
- たまらなく孤独で、熱い街 徳間文庫、1984
- 殺人契約 殺し屋・貴志 光文社文庫、1984
- 機械獣ヴァイブ ソノラマ文庫、1985-1988
- 獣黙示編
- 獣地底編
- 獣誕生編
- 獣転生編
- 未来獣ヴァイブ、2005
- 『機械獣ヴァイブ』を改題、1冊にまとめ、未完だった結末部を加筆したもの。
- 顔のない神々 角川ノベルズ、1985 のち文庫
- 魔境密命隊 双葉ノベルス、1985 のち文庫
- 幻象機械 中央公論社、1986 のち文庫
- 魔空の迷宮 中央公論社、1986 のち文庫
- 謀殺の弾丸特急 祥伝社、1986 のち徳間文庫
- スーパーカンサーシリーズ
- 破壊軍団 徳間ノベルス、1987 のち文庫
- 超人軍団 同 のち文庫
- 幽霊軍団 同 のち文庫
- 鏡の殺意 双葉ノベルス、1987 のち文庫
- エンジェル・エコー 新潮文庫、1987
- 人喰いの時代 徳間書店、1988 のち文庫、ハルキ文庫
- 24時間の男 一千億円を盗め 祥伝社、1988
- 延暦十三年のフランケンシュタイン 徳間書店、1988
- 七面鳥危機一発 双葉ノベルス、1988 のち文庫
- 赤い矢の女 徳間ノベルス、1988
- 天動説 角川ノベルズ、1988-1989
- ブラックスワン 講談社、1989 のち文庫、ハルキ文庫
- 美しい蠍たち 徳間ノベルス、1989
- 第四の敵 双葉社、1989 のち文庫
- 謀殺の翼747 中央公論社、1989 のち文庫
- ゐのした時空大サーカス 中央公論社、1989
- ジュークボックス 徳間書店、1990
- 血と夜の饗宴 広済堂ブルーブックス、1990
- 蜃気楼・13の殺人 光文社カッパノベルス、1990 のち文庫
- 宇宙犬ビーグル号の冒険 早川書房、1990
- 金魚の眼が光る 徳間書店、1990 のち文庫
- 機神兵団 全10冊 中央公論社、1990-94 のちハルキ文庫
- 仮面戦記 1-3 徳間ノベルス、1991
- ジャグラー 徳間書店、1991 のち文庫
- 弔鐘の荒野 双葉社、1991
- 影の艦隊 全7冊 徳間ノベルス、1992-1995
- 恍惚病棟 祥伝社、1992 のちハルキ文庫
- 愛しても、獣 双葉社、1993
- 装甲戦士 1 祥伝社、1993
- 装甲戦士 2 戦艦奪還指令OZ 祥伝社、1994
- 電脳少女 アイドロイド・ユイ 光風社ノベルス、1993
- 天保からくり船 光風社出版、1994
- エイダ 早川書房、1994 のち文庫
- 妖虫戦線 1-4 中央公論社、1995
- 郵便配達は二度死ぬ 徳間書店、1995
- 花面祭 MASQUERADE 中央公論社、1995 のち講談社文庫
- 女囮捜査官 全5冊 徳間ノベルス、1996 のち幻冬舎文庫、「おとり捜査官」朝日文庫
- 別名「五感推理シリーズ」。初出では「触姦」等の表記だった。『おとり捜査官・北見志穂』のタイトルで「土曜ワイド劇場」枠でドラマ化された。
- デッドソルジャーズ・ライヴ 早川書房、1996
- 螺旋の月 宝石泥棒II ハルキ文庫、1997
- 阿弥陀(パズル)幻冬舎、1997 のち文庫
- 神曲法廷 講談社ノベルス、1998 のち文庫
- 長靴をはいた犬 神性探偵・佐伯神一郎 講談社ノベルス、1998 のち文庫
- 仮面(ペルソナ)ハルキ文庫、1998 のち幻冬舎文庫
- 氷雨 ハルキ・ノベルス、1998
- 妖鳥(ハルピュイア)幻冬舎文庫、1999
- SAKURA 六方面喪失課 徳間ノベルス、2000
- ナース ハルキ・ホラー文庫、2000
- 螺旋(スパイラル)幻冬舎文庫、2000
- 篠婆 骨の街の殺人 講談社ノベルス、2001
- 日曜日には鼠を殺せ 祥伝社文庫、2001
- ミステリ・オペラ 宿命城殺人事件 早川書房、2001 のち文庫
- サブウェイ ハルキ・ホラー文庫、2002
- 僧正の積木唄 文藝春秋、2002 のち文庫
- 天正マクベス 修道士シャグスペアの華麗なる冒険 原書房、2003
- サイコトパス 光文社、2003
- イノセンス After The Long Goodbye 徳間書店、2004 のち文庫
- マヂック・オペラ 二・二六殺人事件 早川書房、2005
- ロシアン・ルーレット 集英社、2005
- 神狩り2 リッパー 徳間書店、2005 のち文庫
- 早春賦 角川書店、2006 のち文庫
- 翼とざして アリスの国の不思議 光文社カッパノベルス、2006
- カオスコープ 東京創元社、2006
- 雨の恐竜 理論社、2007
- 創造士・俎凄一郎 第一部 ゴースト 講談社ノベルス、2007
- 白の協奏曲(コンチェルト)双葉社、2007
- 神君幻法帖 徳間書店、2009
- イリュミナシオン 君よ、非情の河を下れ 早川書房、2009
- 帰り舟 深川川獺界隈 朝日文庫、2009
- 恐怖の人間競馬 悪魔のギャンブル ハルキ・ホラー文庫、2010
- ファイナル・オペラ(ミステリ・ワールド) 早川書房、2012.3
- ふたり、幸村 徳間書店、2012.5
- 復活するはわれにあり 双葉社 、2013.4
短編集
- 終末曲面 講談社、1977 のち文庫
- 剥製の島 徳間書店、1978 のち文庫
- 贋作ゲーム 文藝春秋、1978 のち文庫、扶桑社文庫
- ヨハネの剣 講談社、1980 のち文庫
- 超・博物誌 徳間書店、1980 のち文庫、集英社文庫
- ふしぎの国の犯罪者たち 文藝春秋、1980 のち文庫、扶桑社文庫
- 恋のメッセンジャー 集英社、1981 「地球軍独立戦闘隊」文庫
- あやかし 集英社、1981 「夢と闇の果て」のち文庫、「吉原蛍珠天神」文庫
- 少女と武者人形 文藝春秋、1982 のち文庫、集英社文庫
- 魔境物語 光風社出版、1983 のち徳間文庫
- 不可思議アイランド 光風社出版、1984 のち徳間文庫
- 物体X ハヤカワ文庫、1986
- まだ、名もない悪夢。徳間書店、1989
- 五つの標的 光風社出版、1991 のち文庫
- 1ダースまであと一つ 光風社出版、1991
- 夢の中へ(ふしぎ文学館)出版藝術社、1993
- ヘロデの夜 出版芸術社、1994
- 見えない風景 出版芸術社、1994
- 京都蜂供養 出版芸術社、1994
- 渋谷一夜物語(シブヤンナイト)集英社、2002 のち文庫
- 風水火那子の冒険 光文社カッパノベルス、2003 のち文庫
- 私を猫と呼ばないで 小学館、2007
- オフェーリアの物語 理論社 2008.5
共著
映画出演
- 立喰師列伝 - 山田正樹 役。厳密には役者としての出演ではなく、山田正紀の写真をCG加工したアニメ映画である。
海外への翻訳
中国大陸(簡化字)
- 五感推理シリーズ
- 触觉 (刊行予定、吉林出版集团有限责任公司)
- 视觉 (刊行予定、吉林出版集团有限责任公司)
- 听觉 (刊行予定、吉林出版集团有限责任公司)
- 嗅觉 (刊行予定、吉林出版集团有限责任公司)
- 味觉 (刊行予定、吉林出版集团有限责任公司)
- 神獣聖戦 (刊行予定、吉林出版集团有限责任公司)
脚注
外部リンク
テンプレート:Normdaten- ↑ 第12代会長 山田正紀 - 日本SF作家クラブ50周年記念サイト