孔雀王
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アニメ |
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『孔雀王』(くじゃくおう)は、密教世界をモチーフにした荻野真の漫画のシリーズ、およびそれを原作としたメディアミックス作品である。後に作者はこの作品を「宗教漫画ブームのはしり」と称している[1]。
シリーズ作
孔雀王
1985年から1989年にかけて集英社『週刊ヤングジャンプ』に連載された。単行本全17巻、文庫本全11巻。当初は主人公の退魔師孔雀が化け物退治をする1話完結のシリーズだったが、凶皇仏を祭る嬲楽尼とのエピソードから本作の最終的な敵となる闇の密法集団・六道衆(リクドウシュウ)との戦いが開始される。
伝説の大魔王・孔雀王の復活を画策する大聖歓喜天、黄播星に操られた死人・倶摩羅、魔神軍荼利の画策により闇の大日如来と化した悲劇の姉弟オルガとオカン、裏高野退魔師でありながら闇に落ちた鳳凰、これらの敵と戦い抜いた孔雀は神の聖杯を巡るラストバタリオンとの最終対決へと向かう。しかし、その背後には双子の姉・朋子の姿があった…。これら孔雀出生の秘密を縦糸とし、世界中のいろいろな神話をモチーフとした壮大な物語としてストーリーは最終局面へと向かうこととなる。
孔雀王 退魔聖伝
1990年から1992年にかけて『週刊ヤングジャンプ』にて連載された、前作『孔雀王』の続編。単行本全11巻、文庫本全7巻。
絵柄の変化はあるものの、慈空の右手が無い(前作の終盤で失う)、裏高野先代座主が行に入っているなど、本作は前作の続編として描かれている(これは『曲神記』の展開からも明らかである)。しかし、主人公がスサノオの生まれ変わりであることが示唆されたり、前作との矛盾点もある(サタンが敵として召喚されるが、前作でサタンの化身とされた鳳凰ではないなど)。前作と同じく、当初は細かな退魔行エピソード、暗黒神テスカポリトカと戦う中盤を経て、目玉の怪物を発端とした本作のメインストーリー「天津神との戦い」へと移行した。
物語の途中で突然連載が終了し、不人気による打ち切りではないかとの噂が流れた。ところが、本作の後の連載作品である『怨霊侍』3巻のあとがきに、初めて打ち切りになって驚いた旨のコメントが書かれ、作者の認識として『退魔聖伝』は打ち切りではなかったことが明らかとなった。
『孔雀王』連載時は力のあるリアルなタッチで描かれた肉感的なキャラクターであったが、『ALGO!』連載を経て絵柄が変化し、『退魔聖伝』では前作と比べて頭部が大きく、手足の細い、線が整理されたある意味デフォルメされたようなキャラクターとなっている。この絵柄の変化は後の作品でも進んだため(頭身が低小さくなり、よりシンプルな線使いとなった)、『曲神記』では最初の『孔雀王』のタッチの面影はほとんどなくなった(作者自身も当時の絵に似せようとしたが無理だったとのコメントがある)。
孔雀王 曲神紀(まがりがみき)
『週刊ヤングジャンプ』に2006年17号から2009年47号まで連載された後、『月刊ヤングジャンプ』の2009年12月号より同誌に移行するも、2010年3月号にて『退魔聖伝』と同様に物語の途中で突然連載が終了している。単行本全12巻。
『退魔聖伝』からの続きで、天津神と国津神の戦いを終わらせるため、「スサノヲの牙」を探す。『退魔聖伝』後半より4年後の世界であることが明らかになっている。
孔雀王ライジング
小学館の『月刊!スピリッツ』にて2012年5月号より連載されている。
「孔雀王」本編より前の時点である裏高野に入門したばかりの頃の、少年時代の孔雀を描く。ただし、劇中の時代設定は連載時期に合わせて平成となっている。 テンプレート:節スタブ
孔雀王-戦国転生-
リイド社の隔月刊誌『コミック乱ツインズ 戦国武将列伝』にて2012年12月号より連載されている。
呪いにより戦国時代(この世界自体も呪いによって歪んでいる)に送り込まれた孔雀が、己とこの時代の呪いを解くため、若き織田信長や木下秀吉らと共に上洛を目指す。 テンプレート:節スタブ
登場人物
孔雀と仲間たち
本編における主要人物、孔雀と主に行動を共にする仲間たちを記述する。
- 孔雀(くじゃく)
- 全編にわたる主人公、裏高野の退魔師。師に慈空阿闍梨を持ち、裏高野での階級は第九階『中僧都』(ちゅうのそうず)。本名は明(あきら)と言い、父親はかつて裏高野を追われた退魔師慈覚、母親は闇の者をも救わんと永劫の行脚を続ける地蔵菩薩の化身、双子の姉は孔雀と同じく黄幡星(九曜の羅睺星と同じ)の宿命を持つ朋子(後の天蛇王)という出生の秘密を持つ。堕天使ルシフェルの生まれ変わり(初期作品では、孔雀明王とルシフェルは同一神という設定)。
- 守護神は孔雀明王で、その他の神仏の様々な法力をも自在に使いこなすほどの才覚の持ち主だが、普段はスケベで食べ物に強い執着を持ち、付き合いとあれば平気で酒を飲み、時にはパチンコすらやってのける生臭坊主。マヌケ振りも相当なもので、修行や退魔行に失敗する事もしばしば。乗り物には弱く、車の移動では車酔いに苦しめられている。
- 孔雀王とは、邪教とも言われるヤズィード派の主神である。人類を救うために堕天したメレクタウス(マラク・ターウース=文字通り「孔雀王」の意味)からきているようだ。マラク・タウスとは彼に対する尊称で、アザゼル・サタンのこと。
- 無印の終わりの時点で22、3歳(慈空が2、3歳の孔雀を引き取った後「20年かけて密法を教えた」とある)と思われる。『退魔聖伝』後半で20代半ば、『曲神紀』では20代後半のはずであるが、顔は幼くなっている。
- また無印のラストで(朋子と融合・分離したため)全ての密法術を忘れてしまっている。その後、慈空の元で再度修行を積んだと思われる。『退魔聖伝』で孔雀の術が無印と異なる部分があるのはこのためなのかもしれない。
- 阿修羅(あしゅら)
- 孔雀を想う闇の血を引く少女。守護神は阿修羅王で、炎を自在に操る力を持つ。
- 故郷では魔神阿修羅の血を引く呪われた子として忌み嫌われ、産まれた時からずっと塔に幽閉されていたが、孔雀王が封印された地獄門を開ける鍵として六道衆の大聖歓喜天によって連れ去られる。大聖によって洗脳され、孔雀と敵対していたが孔雀の優しさによって心を呼び覚まされる。
- 大聖から救われた後は孔雀や慈空と一緒に生活しながら学校に通うかたわら、退魔行の手伝いをしている。
- 本来は明るく元気な少女で、『退魔聖伝』では小遣い稼ぎのために勝手に退魔行を行ったり、ファッションモデルに応募する等現代っ子っぽい一面もある。見事な金髪と碧眼を持つ美少女であり、無印では最終的なヒロインでもある。
- 登場初期の連載誌上では「初登場時に大聖歓喜天に犯され、以後も性調教を受け続け洗脳されているため、彼の命令に逆らえない。」となっていたが、単行本収録時にこの設定はカットされた上、連載誌上でも無かった事になった。
- 『退魔聖伝』終盤から異世界に囚われた住人になっている。彼女を救い出すことが『曲神紀』での孔雀の目標の一つである。
- 年齢は初登場時は12歳。無印の終わりで15歳。退魔終盤では17歳程度。
- 登場人物の中でも外見の変化が著しく、シリーズが変わる度にほぼ別人となっている。
- 慈空(じくう)
- 孔雀の師匠。裏高野では指導層である阿闍梨の地位にあり裏高野の退魔師の長でもある。
- 孔雀の父でもある慈覚の師であり、チベットで出会った幼い日の孔雀から忌まわしき事件の記憶を封印した。
- 師匠だけあり、その知識と霊力は孔雀を遥かに凌ぐ。
- 普段は阿闍梨の地位を捨て下山先の荒寺で暮らしており、大酒は飲むわ女は買うわの生臭ぶりでも孔雀を上回る。
- 『退魔聖伝』後半で襲撃を受け、現在生死・行方共に不明。
- 王仁丸 太郎邪(おにまる たろうじゃ)
- 悪名高き呪禁道家である王仁丸一家の長兄であり、金で呪殺を請け負う呪禁道士で式鬼の使い手。ある事件により孔雀と決闘し『甘いヤツ』と見下しながらも孔雀を認める。
- 一見冷たい様に見えるが、人情に厚く数々の孔雀の危機を救っている。守護神は大黒天。
- 強靱な肉体と霊力を持ち、孔雀とは良きライバル・腐れ縁にある(時には子供っぽい喧嘩も)。実は鬼と人間の女との間に生まれた半人半鬼であり、その闇の血を狙われて故郷の村を軍荼利に滅ぼされている。
- 太郎邪という名前は、単行本では曲神記7巻が初出。初期の設定では「王仁丸」という名前は、呪禁道の村の言い伝えで人と鬼との間に生まれた子供が呪禁道師と鬼供の長になり、その子供にだけ付けられる特別な名前という設定であった(現在のように姓の扱いではない)。
- 黄 海峰(こう かいほう)
- 中国に古代より伝わる呪術集団『黄家仙道』の仙道士。父は天道神君と呼ばれる黄家仙道の党首・無上。兄は天道士・黄太元。霊剣『獅咬剣』を武器とする。
- 屍解仙の事件で孔雀と共闘し、その後の軍荼利編では父の命により、人工の孔雀王として作られたオカンの命を狙い孔雀と戦うが、最終的にはオカンとオルガを救うために孔雀と共に六道衆と戦う。
- 非情になりきれない優しい性格であり孔雀の姉、朋子と愛し合う事になる。しかし六道衆により天蛇王として蘇った朋子を救いきれず、身も心も闇に堕ち八葉の老師・文殊菩薩へと成り代わる。無印の最終決戦では孔雀の前に立ちはだかるが、朋子を救うために自分も消滅する事を覚悟で最終密法、金剛界四印会の最後の一人となる。最後に救われた朋子を託され、共に暮らすようになる。
- 『退魔聖伝』には登場しなかったが『曲神紀』で再登場。
- 一介の農民として暮らしていたがイザナギに連れ去られた息子、明星を取り戻すため、孔雀と共に行動する。
孔雀と血縁のある人物
孔雀と血縁関係にある人物を列記する。
- 朋子(ともこ)
- 孔雀の双子の姉で同じ黄幡星の御子、闇曼荼羅の中心に立つ天蛇王の宿命を背負った女性。
- 幼い頃は父慈覚や孔雀と共に裏高野からの刺客から逃走する日々を送っていたが、八葉の老師の策略により、父や弟と引き離され、当てのない孤児としてさまよっている内に、ジークフリート(六道衆によってサイボーグ化されたアドルフ・ヒトラー)に拾われ育てられる。
- 幼少時のショックから記憶を無くしており、人形の様な生活を送っていたが、アシュラや黄との出逢いにより人の心の温かさに触れて、黄と愛し合う様になる。しかし父慈覚のミイラと対面した事で、過去の忌まわしい記憶が蘇り、真の天蛇王として覚醒する。
- 最終決戦後は黄と共に中国で暮らして息子、明星を産む。
- 慈覚(じかく)
- 孔雀と朋子の父親、慈空の弟子で当時、裏高野最強と言われた退魔師である。
- 日に日に強大になる闇の力を憂い、孔雀王を復活させようと自ら冥界に入るが、孔雀王の魂がすでに死滅していた事に絶望する。その時に、ある魔族の女に救われ愛し合い、黄幡星の御子である孔雀と朋子をもうける。
- 妻と別れた後は、たった一人で裏高野の刺客と戦い続けるが、あてのない逃避行に疲れ果てたところを八葉の老師につけ込まれ、その手で朋子の心を殺してしまう。その後、自責の念にさいなまれながら即身仏となり、天蛇王に殺された孔雀に命を与える。
- 朋子と孔雀の母
- 慈覚が冥界で出会った魔族の女性、その正体は全ての亡者を救おうと地獄を彷徨う地蔵菩薩の化身である。
- 鳳凰の策略で冥界に落ちた孔雀に希望を託し現世に送り出す。
裏高野
弘法大師空海を祖とする真言宗(真言密教)総本山の高野山の裏に存在し、一般の人間にその存在は知られていない。 この世から一切の魔を祓う事を使命とする。
- 日光(にっこう)
- 裏高野の座主「薬師大医王」の息子にて、第二位の階級、権大僧正の位を持つ裏高野の若きリーダー。実戦部隊「五輪坊」の首領でもあり、幼き頃より父、薬師大医王より闇を滅ぼす事を命じられ裏高野の指揮を取っていた。最高神大日如来を守護神としているため、並はずれた霊力を持っており、すでに子供の頃から当時最強の退魔師であった慈覚を圧倒する程の力を持っていた。
- 闇を滅ぼすために生きてきたせいか、敵に対しては一切の妥協を許さない性格で、鳳凰の野望を食い止めるために禁断の兵器である阿修斗羅(アストラ)を持ち出し、裏高野ごと吹き飛ばそうともした。
- 天蛇王との決戦後は裏高野の座主となり、御山の再建を果たす。
- 『退魔聖伝』では裏高野崩壊時、孔雀に後を託して天の岩戸に消える、その後の消息は不明。
- ちなみ守護神に関しては大日如来が定説だが、妹の月読が月光菩薩、父の薬師大医王が薬師如来と言う事もあり、薬師三尊から考えて、日光菩薩であるとの説もある。
- 月読(つくよみ)
- 裏高野女人堂の主。裏高野の座主「薬師大医王」の娘にて日光の妹。生来の盲目であるが、常人では見えない物を見る事が出来る、守護神は月光菩薩。兄、日光とは違い父、薬師大医王より闇の子を救う使命を与えられていた。
- また後述の鳳凰の母親も同じ名前で、先代の裏高野女人堂の主である。
- 盲目の筈だが、『退魔聖伝』では格闘を行ったりするなど、目が見えている様な描写がある。
- 『曲神紀』において、大酒呑みで歌が壊滅的に下手な事が明かされた。持ち歌は何故かブルーハーツ。
- 無印の頃から孔雀を想い、阿修羅と並ぶもう一人のヒロインとしての位置付けをされていた。
- 鳳凰(ほうおう)
- 孔雀と同じ、裏高野第九階中僧都の退魔師。だがその真の姿は、魔族に身も心も売り、大魔王・サタンの生まれ変わりとなった闇の側の人間で、孔雀と果てしない戦いを繰り広げることになる。八鋒輪鈷杵を武器としている。
- 父は当時裏高野最強の退魔師であったが、ある退魔行の失敗により薬師大医王により追放されている。彼が女人堂の先代主・月読を強姦して産ませたのが鳳凰である。
- 闇の側として六道衆と行動を共にするが、独立心が強く、最終的には孔雀たちはおろか朋子までも殺そうと画策している。最強の力を得ようと曼荼羅の神々の力を無制限に受け入れようとするが、肉体がそれに耐えきれず暴発してしまう。しかし孔雀の智拳印の力で徐々に闇の心が洗い流されていき、最終的には解脱してこの世を去った。
- 薬師大医王(やくしだいいおう)
- 裏高野全てを統べる座主、日光と月読の父親でもある。
- 黄幡星の復活により、その時産まれた子供たちを「闇の子」として全て抹殺せよとの非情な命令を下すが、その指令が全く効果が無く、逆に殺された子供たちの怨念により倶摩羅を生み出したり、罪の無い人々を墜落死させたり、朋子が天蛇王になるきっかけとなる行動を慈覚にさせてしまうなどの愚行となってしまう。その一方で光の力だけでは世界は救えないと感じており、月読に闇の子を救う使命を与えた。
- 鳳凰の変により裏高野が崩壊する時は日光たちに後を託し、冥界の門をふさぐため即身仏となる。
- 守護神においては作中で明言されていないが、大医王と言う名称、二人の子供がそれぞれ太陽と月を表している事から、薬師三尊の中心である薬師如来であるとの説が有力である(大医王とは薬師如来の別名である)。
- その後、『退魔聖伝』でも登場しているが、無印より数年経っているにもかかわらずまだ生きており、またキャラクターも人の命より掟やしきたりを重視するエゴイスト的な人物になっており最後は孔雀によって塵と化す。
- ちなみに無印連載時より子供虐殺の愚行については読者より非難轟々であった。
- 嵐(らん)
- 裏高野の実戦部隊「五輪坊」の「風」の部隊の頭領、男装しているがれっきとした尼僧である。守護神は風天神。『紫雲糸』と呼ばれる鋼をも裁つ糸を武器にして戦い、その力は軍荼利の軍団をも全滅させる程。部下である五輪坊を殺された事で同じ頭領である雷火と共にオカンを狙う。
- 実は軍荼利によって産み出された闇の子の一人であり、背中に六道衆の紋章がある。
- 『退魔聖伝』では女人堂で月読の警護に任じていた。裏高野の異変を慈空に伝えるが重傷を負い、慈空が襲撃された後は行方不明となる。
- 「ライジング」では守護神(守り本尊)が風天神から伊舎那天に代わり、孔雀よりも6歳も年上であることが明らかとなった。
- 雷火(らいか)
- 裏高野の実戦部隊「五輪坊」の「火」の部隊の頭領。雷電鼓が武器。
- 嵐と共に部下を殺したオカンを狙うが、シャンバラに登ったオルガに殺されてしまう。
- 薬師十二神将(やくしじゅうにしんしょう)
- 裏高野最強の実戦部隊。実質的リーダーは宮毘羅(クビラ)で他11人のメンバーを率いている。
- 大聖による阿修羅復活を阻止すべく、孔雀と共闘する。大聖との戦いで次々とメンバーを失っていくが、「薬師瑠璃光背扇陣」などの連携奥儀で大聖を追い詰め、最期は宮毘羅が自己を犠牲にして「薬師瑠璃光光炎弾」で大聖に突撃し、大聖に致命傷を与えた。しかしこの戦いで十二神将は全滅した。
- 慈海(じかい)
- 慈空の師、齢140年を越える裏高野唯一の大阿闍梨。天蛇王復活の鍵である聖杯の所有者。
- 龍山寺で五穀断ちの千日行をしていたが、ラストバタリオンの襲撃を受け聖杯を孔雀に託す。
- 半ば死した状態でありながらその霊力は凄まじく、九字発勁でラストバタリオンの大軍を壊滅させるが八葉の化身となったカール・ハウスホッファーに敗れる。
- 『退魔聖伝』には若き日の慈空を諫める壮年期の姿が描かれている。
六道衆
蛇の紋章を持つこの世に六道魔界を建設する事を目論む闇の密法集団。裏高野の宿敵であり孔雀王の血を引く孔雀を狙う。
- 大聖歓喜天(タイセイカンギテン)
- 象頭の魔人である六道衆、アシュラを利用して封印された地獄門を開きその奥に眠ると言われた孔雀王の復活を企む。
- 冷気を操る密法を使い、裏高野最強の実働部隊と言われた薬師十二神将を壊滅させたが、孔雀と心を取り戻したアシュラによって敗れる。
- 倶摩羅(クマラ)
- 孔雀王を崇める教団「光翼教団」の教祖であり、自ら孔雀王の化身を名乗る。
- 黄幡星の御子であり、十数年前に裏高野によって殺される所だったが、夜叉王の手によって救われ、六道衆によって孔雀王の生まれ変わりとされる。
- 光翼によって死人を操る術の他、孔雀と同じく孔雀明王呪を使いこなし、一度は孔雀に勝っている。
- 実は死人であり、その命は十数年前に慈空によって奪われているが、同じく裏高野によって殺された子供の怨念と、黄幡星自身によって動かされていた操り人形であった。
- 「ライジング」では裏天台上僧として登場。
- 夜叉王(やしゃおう)
- 倶摩羅の僕であり、かって裏高野五大明王の一人に数えられた密法者。守護神は金剛夜叉明王。
- 黄幡星の御子であるというだけで子供たちを殺す裏高野に逆らって幼い倶摩羅を連れて逃げつつも慈空の手によってとどめを刺されたが死人として復活し以後は倶摩羅に従う。
- 死人となりながらも人の心は失っておらず、倶摩羅に敗れた孔雀を救い、最後は孔雀に全てを託して死ぬ。
- 羅誐(ラーガ)
- 倶摩羅の側近の女、正体は六道衆の愛染明王であり「天弓」と呼ばれる密法を使い、五輪坊「地」の部隊を全滅させる程の力を持つ。
- 倶摩羅こそが復活した孔雀王と信じており、倶摩羅が孔雀王として即位した暁には自らは八葉の位につく事を夢見ていたが、王仁丸と慈空によって倒される。
- 軍荼利(グンダリ)
- 六道衆八大明王の一人、その正体は帝政ロシア末期、権力をほしいままにしたラスプーチンであり自らを神の人(スクレツ)と呼ぶ。ロシアの凍土で人造的に孔雀王を誕生させるべく世界中から闇の血を引く子供達を集めていた。
- 崑崙編にて己のクンダリーニチャクラを使い嵐と王仁丸を追い詰めるも、自分が人造の魔神であることに気づかずチャクラを使ったため自滅した。
- オルガとオカン
- ツングースのとある寒村に住む姉弟。弟のオカンに闇の血が流れていることに目を付けた軍荼利と六道衆によって、人工的に孔雀王が造り上げられようとしたが、姉・オルガによってその手を逃れ、日本に行きつく。オカンは富士の冥穴に潜み孔雀王として覚醒しようとするが、孔雀の命がけの説得により元の心優しい少年として生まれ変わる。
- しかし六道衆は次にオルガの中に流れる闇の血に目を付け、彼女を天蛇王として覚醒させることに成功。心を失ったオルガは孔雀に襲いかかるが、オカンの捨て身の攻撃によって人の心を取り戻し、オカンと共に絶命。
- その後孔雀王たるオカンと天蛇王たるオルガの二人の魂が合一し、最強の魔神・『闇の大日如来』が誕生するが、所詮六道衆による造り物の魔神に過ぎず、真の孔雀王たる孔雀によって破られる。
- 闇曼荼羅の魔神達
- 朋子により覚醒させられ、闇の盟主・天蛇王に付き従う数百体の魔神の群れ。闇の世界を渇望する。一体一体が強力な神であり、数体で戦車を含む中国軍数個師団を壊滅させる実力を持つ。
- 八葉の老師
- 「闇の管理者」を名乗り、六道衆を司る8人の謎の魔神達。その正体は胎蔵界曼荼羅の中台八葉院の八仏(宝幢、開敷華王、無量寿、天鼓雷音の四如来、そして普賢、文殊、観自在、慈氏の四菩薩)と思われる。
- この世の始まりから生き続ける不死の神々で、孔雀王の力を持ってしても倒す事は出来ない。六道魔界を築き上げるために様々な刺客を孔雀に仕向ける。
- そのうちの一人、文殊菩薩(カール・ハウスホッファー)のみ聖槍で倒され、空位になったその席は黄海峰が座ることとなったが、最後は海峰が裏切り、八葉の陣が崩れた隙に金剛界四印会の陣で滅殺された。
- 六道衆は闇の大日如来編では、遙か太古に地球に飛来した高度な機械文明を持つエイリアンとも取れる演出があったが、後の話では神話・宗教的なものに落ち着いている。
龍神族
六道衆の眷属の1つであるが、魔族でありながら唯一光を信ずる心を持っていたため、光と闇どちらの陣営からも蔑まれ、地底の奥でひっそりと暮らさざるを得なかった。地に住む地龍族と海に住む海龍族の2種族に分かれている。 全員戦闘種族であるためか兵士の姿をしており、人の姿でありながら背中に龍の翼を持ち、飛ぶことが出来る。 これは仮の姿であり、真の姿は兵士全員巨大な龍となる。
- 金龍
- 地龍族の少年で、孔雀が最初に出会った龍神族。名前の由来は、龍神族の最高神金龍から。
- 天蛇王に破れ魂の抜け殻と化した孔雀を匿い、最終決戦では金剛界四印会の陣に参加した1人となった。
- 黄龍
- 地龍族の長老。孔雀を龍神族を救う大極の王の器を見出し、ロンギヌスの在処を教えた。
- 龍姫
- 若年でありながら海龍族でもかなり高い地位にいると目される少女。
- 最終決戦では金剛界四印会の陣に参加した一人となった。
- 青龍
- 海龍族の長。龍神族最強にしてロンギヌスの槍の守護者。相手の力に応じて自身の姿と能力を変化させることが出来るが、本来の姿は非力な老人に過ぎない。
『退魔聖伝』『曲神記』から登場した主要人物
『孔雀王』の続編である『孔雀王 退魔聖伝』と『孔雀王 曲神記』から登場した主要人物
- 服部 遮那(はっとりしゃな)
- 『退魔聖伝』から登場。能楽宗家の父を持ち、生きながら冥界と交信を持てる幽玄の子。鬼を操る鬼一法眼刀を持てる唯一の人間であり、それを悪用しようとした鬼人である鬼道会の蛾王に誘拐されてしまう。
- これが原因となり源義経の悪霊に憑依され体を乗っ取られ、義経の邪悪な意思により京都の鬼門を開き、魔界の化け物によって地上を地獄に変えようとする所を孔雀達が阻止。退魔により救われた。
- この出会いがきっかけで、しばらく慈空の寺に預けられる事となる。
- 寺にいる間は阿修羅によって雑用係として散々こき使われ、小遣い稼ぎを企んだ阿修羅によって孔雀のフリをさせられ退魔行を引き受けてしまった事もある。
- その後、能楽師の修行のために別れるが、『曲神紀』で孔雀と6年ぶりに再会し現在は孔雀一行とともに牙探しの旅をする。
- 蓮華(れんか)
- 『退魔聖伝』から登場。チャクラムを使いこなす裏高野女人堂の女退魔師。守護神は勢至菩薩だが護符を使う事で、あらゆる神の力を使う事が出来る。
- 自惚れが強い性格で自分を認めようとしない裏高野に反感を持ち、裏高野を飛び出してしまう。しかし、吸血鬼のジル・ド・レエから、友を信じる事と戦人の誇りを学び改心する。
- 裏高野に戻り修行をしていたが、ツクヨミ(ツキヨミ)の裏高野乗っ取りの際に殺されてしまう。心臓を抜き取られ、天津神の意のままに動く操り人形と化した蓮華は、神々の踊り子アメノウズメに。
- 宣導涼子
- 『退魔聖伝』で登場。この人物が孔雀に仕事を依頼した事から現在まで永く続く事となる「天津神編」が始まる。
- 人犬(ひといぬ)の大咬に襲われ命を落とすが、国津神のタケミナカタにより鬼部村に運ばれる。
- 鬼(もの)の王であるスサノオ復活の鍵を握る重要人物の1人だが現在は生死不明で行方不明。曲神記でやっと鬼部村が登場するがその時も姿を見せていない。
- タケミナカタ曰く「この女、いずれオレ達とやつらの戦いに必ず役に立つ そう長老が言ってた」「この女がきっかけとなって この世に最強の鬼が生まれると言うんだ」「この女がそいつを目覚めさせる」
- と言っている事から、宣導涼子はこの物語終盤の最重要人物と考えられる。
- 大咬太夫(おおかみだゆう)
- 『退魔聖伝』から登場。目魂一党(オモイカネ)の下で働く暗殺者の一人で現在の犬神統の次期統主。
- 黒いスーツに身を固めた伊達男だが、本性は人犬(ヒトイヌ)と呼ばれる獣人。
- 人犬とは太古の天津神侵攻の際、国津神を裏切った鬼の一族であり、眷属と呼ばれているが実際は天津神の奴隷に近い。
- 満月の夜にはその月の霊力により不死身の大口真神(おおぐちまがみ)に化身する事が出来る。
- 妹の十六夜太夫によるとかなりの英国かぶれらしい(狼男の本場がイギリスだと言う理由で)。
- 建御名方(タケミナカタ)
- 『退魔聖伝』から登場。スサノオの血を引く直系の子孫であり現在の国津神の長。天津神の手よりこの国を奪いかえそうとしている。
- 現在の国津神最強の戦士であり、巨大な鬼に変化する事が出来る。
- 手足を自在に切り離して攻撃する事が出来、人間状態でもその力を使う事が出来る。
- 仲間や一族に対する思いは強く、ツキヨミとの一騎撃ちではその点を突かれ敗北するが、明星によって救われる。
- 下照比命(シモテルヒメ)
- 建御名方(タケミナカタ)の異父妹。『退魔聖伝』から登場していたが名前と設定は曲神記で明かされた。
- 猫の様な獣人に変化する事が出来、敏捷性に優れた攻撃を得意とする。
- ツキヨミの手で曲神にされるが、孔雀によって救われ以後は孔雀たちと行動を共にしている。
- 名前は下照比命(しもてるひめ)だが、孔雀達には「織姫(おりひめ)」と呼ばせるようにさせている。
- あっけらかんとした性格で「~ニャ」が口癖、TVの恋愛ドラマが好きで勝手にワンセグ携帯を買った事もあった。
- 孔雀に惚れており「あたしの彦星様」と呼んでいる。
- 思兼神(オモイカネノカミ)
- 『退魔聖伝』で登場。この世の原初から存在していた別天津神であり、天津神に協力した知恵の神。
- 目魂事件の黒幕であり、最初に登場した天津神でもある。智恵の神と称するだけあってあらゆる術に精通しており、孔雀以上に密法を使いこなす。
- またアマテラスを守らせるために若き空海を騙して裏高野を作らせた張本人である。
- その正体は脳髄と目玉だけの化け物であり何千年もの間、肉体を変えて生きながらえてきた。裏高野乗っ取りの際は月読の肉体に憑依するが、日光によって脳を粉々にされて息絶える。
- 十六夜太夫(いざよいだゆう)
- 『退魔聖伝』から登場。大咬太夫の妹。
- 曲神記で再登場したが、『退魔聖伝』の頃とは姿や性格がかなり変わっている。
- 兄の件での恩を孔雀に返すため、現在は一時的に孔雀一行と行動を共にしている。
- ジョージ チャキリス ハーン
- 『退魔聖伝』から登場。ギリシア人の民族学者。孔雀と最初に出会った時は、十六夜太夫と一緒に暮らしていたようだが詳細は不明。
- 日本では「大泉八雲(おおいずみやくも)」と名乗っているが、孔雀達には「ハーン」とお呼び下さいと言っている。
- 『退魔聖伝』ラストでは孔雀・少彦名神と共に3人でスサノオの牙探しの旅を始めた筈だったが、曲神記では別行動をとっていたらしく孔雀一行とは無関係の話で一度しか登場していない。
- ツキヨミ(ツクヨミ)
- (上の月読と区別するためにカタカナ表記)
- 『退魔聖伝』から登場。実質的な天津神の頭領。月読と同じ名前と髪型だが、性別は男。
- 裏高野の奥に眠るアマテラスを復活させるため、裏高野を乗っ取る。三種の神器を揃え、アマテラスの眠る岩戸を開ける事に成功するも日光の策によりアマテラス復活を阻止され失敗。
- その上、孔雀の術により顔面を負傷し、以後仮面を付ける。
- アマテラスの復活に失敗後、アメノウズメとなった蓮華とともに各地の天津神を復活させる。
- 『曲神紀』からは名前の読み方が「ツクヨミ」から「ツキヨミ」となり、月蛾と呼ばれる蛾を使って、様々な曲神を誕生させ孔雀に送り込む。
- また一度死んだ人間に命を与えて、自らの奴隷とする事ができる。
- 『退魔聖伝』では月光菩薩真言を唱え、氷や冷気の術を使用していたが、『曲神紀』では蛾の姿にイラストがアレンジされると共に能力も蛾の能力が使われている。
- 阿久谷(アコヤ)
- 『退魔聖伝』で登場。出羽三山の修行僧。
- 大法頭層都から裏高野にいる蓮華を連れて来るように頼まれ、丁度ツキヨミによる裏高野乗っ取りの騒動に巻き込まれ投獄されていた所で丁度同じく投獄された孔雀と出会う。
- 共に乗っ取られた裏高野を脱出するために協力し、オモイカネによる呪縛を解かれた月読を救出しつつ無事脱出する。
- その後は出羽三山で月読に武術の稽古を付けたり、月読が出かける時は常に行動を共にするボディーガード的存在になっていたが、曲神記では何故か登場していない。
- 特技として、ネズミと会話する事が出来、ネズミ達を使った行動が出来る。
- アマテラス
- 『退魔聖伝』から登場。天津最高神の一人でツキヨミの姉神
- ツキヨミによる裏高野乗っ取りの際に、二千年ぶりに復活を果たそうとするが、孔雀と日光により阻止される。
- ツキヨミの過去の話として、過去のアマテラスは曲神記でも少し登場しているが容姿は全然違っている
- 猿丸上人(さるまるじょうにん)
- 『退魔聖伝』で登場。出羽三山など羽黒全山の修行僧や鴉天狗部隊すべてを束ねる大法頭層都(だいほうずそうず)。
- 孔雀にスサノオの牙の力の本質や恐ろしさを教え、その力に苦悩する孔雀に進むべき道を示した人物。
- なぜアコヤに蓮華を連れて来るように頼んだかは不明。天狗のような風貌をしている。
- 少彦名神(スクナビコナノカミ)
- 『退魔聖伝』から登場。この世の原初から存在していた別天津神であり、国津神に協力した知恵の神。
- 蛾のような羽が生えており、非常に小さく、人間の頭ほどの大きさ。姿を消す事が出来る。
- 他界渡りの神馬を作るために妖魔を作り出していたところに、その妖魔の件の依頼を受けた孔雀がそこに訪れた事で出会う。
- 孔雀がスサノオの牙に選ばれた者である事、そして孔雀の目的がこの世から神を消し去る事だと知ると、神々の最後を見届けたいとの思いから孔雀の仲間となり孔雀とともにスサノオの牙を探す。
- どうしようもない程の酒好きで、この酒代のために孔雀は拝み屋をさせられる事がある。
- 若い頃のイザナギに創造の智恵を授けた事もあった。
- スサノオ
- 古代最強神であり、国津神・鬼(モノ)の祖先。
- 詳細不明であるが、鬼(モノ)の形態にあるものはあらゆる天津神を怯えさせ、アマテラスでさえ逃げ隠れしてしまう。しかし、最終的には天津神によって滅ぼされ、その牙だけが受け継がれることになる。その牙を全て集めスサノオの力を身に付けることで、この世のあらゆる宗派の神を消せる力を持つことができるとされる。
- 童子姿のスサノオはイザナギによって破壊されたとされるが、上記のスサノオと同一神であるかも含め、シリーズのミステリーになっている。
- 道陸神(ドウロクジン)
- 曲神記で登場。ツキヨミの事が嫌いな天津神で少彦名とは古き友。
- 本当は戦いを好まない気の良い神である。ツキヨミの月蛾により曲神にされ孔雀に襲いかかるが、孔雀によるスサノオの牙の力で救われる。
- 底筒之男(ソコツツノオ)
- 曲神記で登場。天津神の一人。
- 一応、ツキヨミやアマテラスの兄神だがツキヨミの事を「ツキヨミ様」と呼んでいるので立場は下のようである。
- ツキヨミの月蛾により曲神化し、人間の荒川に憑依し孔雀に襲いかかるが、スサノオの力による孔雀の黒い発勁により曲神化が溶け、乗っ取っていた荒川の身体から出て逃げ出した。
- 荒川
- 『曲神紀』で登場。年増の水泳教師。過去にオリンピックでメダルをとった栄光が忘れられず、現状の水泳部と自分の不遇に悩む。「口惜しい」が口癖。
- 心の隙を曲神につかれ乗っ取られる。しかし最後は生徒を想い異世界から救い出した。モデルはどう見ても荒川静香。
- 毒茸彦(ドクタケヒコ)
- 曲神記で登場。ツキヨミの配下、天津神 八十禍津日神軍(ヤソマガツヒしんぐん)の一人。
- 猛毒を使い孔雀達を苦しめたが織姫の協力もあり、最後は孔雀明王とスサノオの力のダブルパワーにより消滅した。
- 剣難神(ケンナンシン)
- 曲神記で登場。天津神 八十禍津日神軍(ヤソマガツヒしんぐん)の一人。
- ツキヨミの月蛾を飲む事を断り、曲神になる事を拒否した時に、丁度さらわれた妹の織姫を探していたタケミナカタと出くわし、自信満々に戦いを挑むも返り討ちにされた。
- 丹下左膳のような風貌をしている。得意技は厄災剣。
- 伊邪那岐神(イザナギノカミ)
- 日本列島を作った日本の創生の神。
- 創造神であり、神を創り出すことができ、他の天津神から「父」と呼ばれる。
- 呪いをかけることができ、呪いを浴びたものは体の動きを封じられ、絶望と苦痛の果てに死を迎えることになる。
- 自らも、童子姿のスサノオの呪いにより、強力な神の創造ができなくなっている。
- 黄 明星(こう めいせい)
- 『曲神紀』で登場。黄と朋子の息子で、つまり孔雀の甥。神仙の生まれ変わりでありスサノオの化身とされる。
- 両親にかけられたイザナギの呪いを解くために、あえてイザナギの義理の息子となっている。『曲神紀』での最重要人物の一人。
- 年齢は6、7歳と思われる。
- 王仁丸 六角(おにまる ろっかく)
- 悪名高き呪禁道家である王仁丸一家の末弟。つまり、王仁丸(太郎邪)の弟。
- 長兄である太郎邪の指示により、孔雀達に危機を知らせに現れ行動を共にする事になった。
- 長兄の太郎邪が正当な「式神=妖怪・俗神」使いなのに対して、六角は「死鬼神=死霊」を使役する。
- 曲神記6巻のあとがきによると王仁丸兄弟は6人兄弟である事、六角は「怨霊侍(おんりょうじ)」に出ていた王仁丸 六角と同一人物である事が明かされている。
- ただし、怨霊侍3巻の初版本ではミスか誤植か「王仁丸 八角」となっている。
『ライジング』から登場した主要人物
「孔雀王」のプレ・ストーリーである「孔雀王 ライジング」から登場した主要人物達
裏高野・真言寺
- 童鬼(どうき)
- 孔雀と同じ日に裏高野入りした沙彌。守り本尊は羅刹天。
- 父親はヤクザだが、卑怯な真似はせず正面から向かっていく男で背中に彫った不動明王の紋々が自慢だった。何者かに父が「後ろから斬られて死んだ」事から力を求めて裏高野に来た。
- 当初は結縁した羅刹天を認められずにいたが、魔仏に襲われた際に孔雀を助けることができた事で受け入れた。
- 賽目(さいもく)
- 孔雀と同じ日に裏高野入りした沙彌。守り本尊は帝釈天。
- 新入門した中では即物的なタイプで、漠然としたイメージだが裏高野で得た力で出世したいらしい。当初は守り本尊もまともには出せなかったが、露天風呂に住み着いた魔仏を退治した際には見事な帝釈天を呼び出した。
- 地卒(ちそつ)
- 孔雀と同じ日に裏高野入りした沙彌。守り本尊は閻魔天。本名は正道。
- とある寺の跡取りだったが、孫の人生決めつけようとする住職(祖父)に反発した母を殺そうとした祖父を己が呼び出した閻魔天で殺してしまい(実行犯は母とされ、逮捕)、裏高野にやってきた。
- 実家の寺が天台系だったため、呪術業界にはそこそこ明るい。
- 隠象(おんぞう)
- 孔雀と同じ日に裏高野入りした沙彌。守り本尊は摧砕天。
- 「強くなること」に固執して周囲との軋轢を起こす。実は力を求めて呪禁に手を出した密法修験者の父親に魔仏の種を植え付けられており、このままでは大人になる前に魂を喰いつくされて魔仏の器と化してしまう。自身が生き延びるべく、父を殺すための力を求めている。
- 妙比(みょうひ)
- 孔雀と同じ日に裏高野入りした沙彌尼。守り本尊は歓喜天。
- 役者バカが過ぎて汚れ役ばかり押し付けられていた母親に反発して家出した末に裏高野にやってきた。賽目と並んで世俗的なタイプだが、作中では孔雀同様に守り本尊である歓喜天と会話している。呼んでもいないのに現れた守り本尊・歓喜天が性のオーラ垂れ流し状態になって寺内を出入り禁止になったりした。
- 流鳥(るちょう)
- 孔雀と同じ日に裏高野入りした沙彌尼。守り本尊は迦楼羅天。
- 隠象と並んで入門者の中では筋が良いが、共に守り本尊に術者の個性が反映されない事から魔仏になってしまいはしないかと危ぶまれている。外国人らしく、言葉の端々に若干それっぽい訛りがある。臆病で戦うという行為自体を忌避してしまう。やたらと謝まりまくるところから彼女も家族関係に問題がある模様。
- 行手(ぎょうしゅ)
- 孔雀たちの指導を担当する青年僧。守り本尊は降三世明王。
- 当初は白狐と嵐が担当する予定だったが、孔雀の守り本尊が「孔雀明王」と判明したため、同格の守り本尊を持つ行手が抜擢された。もっとも、作中の描写を見ても修行の成果次第で守り本尊の発揮する力量は変わるため、格だけで選ばれた訳ではない。
- 白狐(びゃっこ)
- 裏高野でも札つきの不良僧。守り本尊は茶吉尼天。
- 修行中に命を落とした僧や「仏闘試合い(守り本尊による対戦)」で倒した相手の守り本尊を絵札に封じて収集している。孔雀たち新入りには居丈高にふるまうが、自身の力(守り本尊)が明王などと比べて非力な事にはコンプレックスがある。
- 空顕(くうけん)
- 裏高野寺の師僧頭である阿闍梨。漂々とした老僧だが、「裏高野では生きるも死ぬも自己責任」言いきるところも…。元は裏天台の学生だったが、破門されて裏高野に来た。自らは怠け者の劣等生だったとうそぶいているが、現・裏天台座主である不空とはかつて確執があった。
- 不毛な「仏闘試合い」に反発して大暴れした孔雀を追放処分とする。
- 猛亥(もうい)
- 「仏闘試合い」に出場した一人で学僧頭。守り本尊は宮毘羅大将。
- ヒゲ面の強面だが、行手よりも年は下らしい。仏闘試合いの最中、知識の足りない孔雀に説明をした。倶摩羅と対戦し、羅睺の力を喰らって堕ちかけるが孔雀の導きで持ち直した。
その他の人物
- 仁王(におう)
- 裏天台の律師。「仏闘試合い」で裏天台側の立会人として参加するが、試合に負けた者を蔑み、嵐には「お前は坊主じゃない」と殴られた。
- 捨覚(しゃかく)
- 裏高野を追放されることとなった孔雀を迎えに来た男。孔雀同様に裏高野から破門された立場だが、かつては裏高野最強の名を馳せていた。孔雀の師・慈空の弟子であり、孔雀の父・慈覚の弟弟子。
- 種字(梵字一文字で仏を表す文字)と印だけで仏を降ろす実力を持ち、基礎的な指導と退魔行の実戦で孔雀を鍛える。
法力
- 不動明王火界呪
- 大聖歓喜天自在法
- 孔雀明王延命飛行呪
- 大日如来種字光護法
- 日輪爆烈鎖
- 雷帝電縛鎖
- 孔雀明王大呪
- 大日如来光爆波
- 愛染明王天弓光
- 愛染明王星天弓
- 毘沙門天夜叉爪牙
- 軍荼莉明王火炎蛇
- 一字頂輪王呪
- 金剛夜叉真言
- 月光菩薩真言
- 火天真言
- 水天真言
- 地天真言
- 大極破
- 大極火
- 智拳印
- 風天神斬裂渦
- 摩利支天武具加持法・太陽剣
- 摩利支天隠形印
- 孔雀明王退魔曼荼羅結界
- 発勁
- 韋駄天真言
- 月光菩薩冷光波
- 大発勁
- 九字神刀
- 光明真言破地獄秘法
- 九字護身法 - 「臨・兵・闘・者・皆・陣・裂・在・前」と唱えながらそれぞれに対応した印を結ぶ。
アニメ
孔雀王
1988年から1991年に3本のOVAが作られた。
鬼還祭のみ、タイアップとしてSPLASHによるED曲『レプリカント スキャンダル』CDVが発売され、ジャケットはOVAに合わせたスペシャルバージョンとなっていた。
キャスト
- 孔雀と仲間たち
- 裏高野
- その他
スタッフ
- 原作 - 荻野真
- 監督 - 秋山勝仁(1、3)、板野一郎(2)
- 脚本 - 会川昇(1、2)、夏木玲生(3)
- キャラクターデザイン - 越智博之(1)、摩砂雪(2)、岸田隆宏(3)
- クリーチャーデザイン - わたなべぢゅんいち(1)
- モンスターデザイン - 和田卓也(2)、スクリーミング・マッド・ジョージ(2)
- 作画監督 - 大森英敏(1)、藤川太(2)、和田卓也(2)、奥田淳(3)、田中正弘(3)
- 総作画監督 - 岸田隆宏(3)
- モンスター作監 - 宇佐美皓一(2)
- 演出 - 川瀬敏文(2)
- 美術監督 - 南郷洋一(1)、金村勝義(2)、中原英統(3)
- 撮影監督 - 高橋明彦(1)、鳥越一志(2)、小西一廣(3)
- 音楽 - YAS-KAZ(1、2)、クリストファー・カレル(3)、小椋悟&キットカットクラブ(3)
- 音響監督 - 本田保則(1)、山田悦司(2)、岩浪美和(3)
- プロデューサー - 中野和雄(2)、野村和史(1、2)、柳田滋夫(2)、山崎成人(3)
- 制作プロデューサー - 内山秀二(1)、榎本歩光(1)、野崎絹代(2)、渡辺欽哉(3)
- アニメーション制作 - AIC(1、3)、STUDIO SS(2)
- 企画・製作・著作 - 集英社、創映新社(1、2)、ポニーキャニオン(1、2)、ネクスタート(3)
各話リスト
話数 | 発売日 | サブタイトル | 脚本 | 作画監督 |
---|---|---|---|---|
第1話 | 1988年4月29日 | 鬼還祭 | 会川昇 | 大森英敏 |
第2話 | 1989年11月3日 | 幻影城 | 藤川太 和田卓也 | |
第3話 | 1991年9月21日 | 櫻花豊穣 | 夏木玲生 | 奥田淳 田中正弘 |
真・孔雀王
1994年に『真・孔雀王』として再度OVA化された。
キャスト
- 孔雀と仲間たち
- 孔雀と血縁のある人物
- 裏高野
- その他
スタッフ
- 原作 - 荻野真
- 監督 - りんたろう
- 脚本 - 浦畑達彦、稲葉一広
- キャラクターデザイン - 小池健、阿部恒
- 演出 - 遠藤卓司
- 作画監督 - 阿部恒
- 美術監督 - 平城徳浩
- 色彩設計 - 村上芳枝
- 撮影監督 - 諫川弘
- 音楽 - 本多俊之
- 音響監督 - 三間雅文
- 制作プロデューサー - 丸山正雄、高江勇次
- プロデューサー - 中野和雄、久米憲司、真木太郎
- アニメーション制作 - マッドハウス
- 製作 - 集英社、ポニーキャニオン、パイオニアLDC
各話リスト
話数 | 発売日 | サブタイトル | 脚本 | 演出 | 作画監督 |
---|---|---|---|---|---|
上巻 | 1994年4月25日 | 天魔復活 | 浦畑達彦 稲葉一広 |
遠藤卓司 | 阿部恒 |
下巻 | 1994年5月25日 | 崑崙鳴動 |
映画
孔雀王
キャスト
- 孔雀(海外向け吹き替え版の字幕では「吉祥果」と表記) - 三上博史
- コンチェ(同上、「孔雀」) - ユン・ピョウ
- 冴子 - 安田成美
- アシュラ - グロリア・イップ
- 宮毘羅 - リュー・チャーフィー
- 皆魔障外神 - 季洪
- ジグメ - 高雄(エディ・コー)
- 刑事 - コント山口君と竹田君
- 佐藤 - 左とん平
- 慈空 - 緒形拳
スタッフ
- 製作:フジテレビジョン、ゴールデン・ハーベスト、砂工房
- 監督:ラン・ナイチョイ(藍乃才、香港出身)
- 製作者:三ツ井康、レイモンド・チョウ
- 製作総指揮:村上光一、チャイ・ラン
- プロデューサー:河井真也、室岡信明、佐藤武光
- SFXプロデューサー:一瀬隆重
- 原作:荻野真
- 脚本:橋本以蔵、関澄一輝
- 企画:岡正、三木考祐、曽愛屏、周震東
- 撮影:奈良一彦、関志勤
- 音楽:ミッキー吉野
- 主題曲:ロクサーヌ
- 挿入曲:崎谷健次郎「IF EVER YOU FALL」
- エンディングテーマ:THE ALFEE「FOR YOUR LOVE」
- 美術:田中孝男、馬磐超
- 編集:神谷信武、姜興隆
- 録音:武進
- コーディネートプロデューサー:堀口壽一
- 助監督:桑原昌英、龍天生
- 照明:高屋齋、阮定邦、劉鉄志
孔雀王アシュラ伝説
キャスト
- 孔雀 - 阿部寛
- コンチェ - ユン・ピョウ
- アシュラ - グロリア・イップ
- 珍 - ロレッタ・リー
- 且 - 劉錫賢(ラウ・セイン)
- 輪光尼 - 橘ゆかり
- 輪月尼 - 早瀬恵子
- 輪星尼 - 荒井乃梨子
- 鬼妃 - 倪雪(ナイ・シュ)
- 天輪尼 - 名取裕子
- 慈空 - 勝新太郎
スタッフ
- 監督:藍乃才
- SFX監督:佐川和夫
- 製作者:レイモンド・チョウ、レナード・ホー
- 製作総指揮:蔡瀾、三木孝祐
- 原作:荻野真
- 脚本:曽田博久
- 撮影:関志勤
- 音楽:陳斐烈
- 編集:姜興隆
- 照明:阮定邦
- 主題歌:グロリア・イップ「ASHURA」
ゲーム
- 孔雀王
- ファミリーコンピュータ、1988年9月21日、ポニーキャニオン
- コマンド選択式のアドベンチャーゲーム。MSX2にも移植された。
- 孔雀王
- セガ・マークIII、1988年9月23日、セガ
- 謎解きのアドベンチャーゲームと横スクロールアクションの複合したゲーム。
- 孔雀王2 幻影城
- メガドライブ、1989年11月25日、セガ
- 面クリア方式のアクションゲーム。
- 孔雀王II
- ファミリーコンピュータ、1990年8月21日、ポニーキャニオン
- コマンド選択式のアドベンチャーゲームだが、ロールプレイングゲームの要素が追加されている。
出典
外部リンク
- 孔雀の実家(荻野真公式サイト)
- ↑ 夜叉烏6巻 集英社1995年刊