味千ラーメン
味千ラーメン(あじせんラーメン)は、台湾出身の客家、重光孝治[1]が創業の重光産業が経営し、熊本市に本店を置くラーメン店チェーンである。
日本国内で約100店、日本国外では中国や東南アジアを中心に2011年7月末現在約650店舗を営業している[2]。
概要
福岡県の久留米市を発祥とする豚骨ラーメンが熊本市に伝わり、現在の台湾高雄市美濃区出身の客家である創業者重光孝治(劉壇祥。客家語 リウタンシオン)が台湾料理で多用されるニンニクの風味を加えて提供し、人気を博したのが始まりで、現在の熊本ラーメンの源流のひとつとなっている[3]。白濁した豚骨スープを用いるが、現在の熊本ラーメンの中では比較的あっさりした味に属する。
ラーメンの他、担担麺、焼きそば、餃子、炒飯などのメニューを揃えている。また、熊本の郷土料理・太平燕もあり、人気がある。持ち帰り用に濃縮スープ付き生麺の販売も行っている。
分布
日本国内の店舗は2011年7月末現在98店舗あり、その約7割が熊本県内に立地する。
日本国外では1994年に台湾に合弁で海外初出店をしたがスープの味を守れずに業績は振るわなかった。1996年にパートナー(現味千中国ホールディングスCEO)にラーメンの味を変えない条件で香港に出店した結果、行列ができる人気店となったのを期に多店舗展開を進め、中国、アメリカ合衆国、タイなどでフランチャイズ展開しており、特に中国では日本の外食チェーンの中では最も多くの店舗(500店舗以上)を展開し、米ビジネス誌『ビジネスウィーク』が発表した「2007年アジア急成長企業トップ100」では、味千ラーメンを中国で展開する合弁企業がトップにランクされた。海外では、ラーメンや中華料理系の主力メニューだけでなく、焼き鳥や炒め物、和食等のサイドメニューも充実させている。中国の大都市では、コンビニエンスストアやスーパーマーケットで広く生麺を販売している。
他に、カナダ、大韓民国、ベトナム、フィリピン、マレーシア、シンガポール、インドネシア、オーストラリアにも店舗があり、国によって現地に合わせた味のラーメンも提供している。
チィちゃん
マスコットキャラクターである「チィちゃん」のモデルは重光産業の創業者重光孝治の娘で、現在、重光産業の取締役広報室長を務める重光悦枝(よしえ)である。悦枝の3歳ごろがモデルとなっており、悦枝は『若っ人ランド』出演時に「溺愛していた娘をキャラクターにしたかったのだろう」「最初は恥ずかしかったけど、味千ラーメンが海外に進出して、世界中にチィちゃんが知られていると思うと嬉しい」と語った[4]。
歴史
- 1968年 - 専門店用の生麺とベースの製造販売を開始。
- 1972年 - 株式会社を設立。大津工場において、生麺、調味料、スープ等の製造をすると共に「味千ラーメン」と銘打って、フランチャイズチェーン店を募集し組織化を開始。
- 1994年 - 台湾台北に海外1号店出店(合弁)。
- 1995年 - 中国北京に1号店出店(合弁)。
- 1996年 - 重光孝治の死去により、長男の重光克昭が重光産業の代表取締役就任。香港1号店FC出店。
- 1997年 - 中国北京・香港に各2号店出店。シンガポールFC出店。
- 1999年 - 東京池袋店オープン。
- 2001年 - ニューヨークFC出店。福岡キャナルシティ博多のラーメンスタジアムに出店。
- 2002年 - 味千本店リニューアルオープン。
- 2007年 - 味千中国ホールデイングス、香港株式上場。
骨湯門
2011年に、中国の味千ラーメン(味千拉面)のスープは、各店舗で仕込んでいるとされていたのに、工場でつくられているのではないかとの噂がインターネット上などで流れ始めた。7月に入ると中国メディアは、スープは濃縮還元スープであったとして「骨湯門」の名でスキャンダルとして大々的に報道した[5]。中国語で「骨」はとんこつ(豚骨)「湯」はスープを指し、「門」はスキャンダルを意味する[6]。
また、スープにカルシウムなどの成分が多く含まれることを宣伝に使っていたのにもかかわらず、誤って未還元の濃縮スープ中での含有量を表示していたことが問題となった。8月地元の新聞社は、上海市当局は同市内に展開する味千ラーメンを、虚偽宣伝の疑いで調査していると報じ[7]、その後、11月に上海市商工局から20万元の罰金の支払いが命じられた[8]。
関連図書
- 『中国で一番成功している日本の外食チェーンは熊本の小さなラーメン屋だって知ってますか?』 重光克昭 (2010年、ダイヤモンド社) ISBN 9784478014202
脚注・出典
外部リンク
テンプレート:ファーストフードチェーン店- ↑ 中国庶民ですら驚いたサイゼリヤの「安さ」 中途半端な値下げでは通じない (4/12ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ)
- ↑ 味千拉麺店舗情報
- ↑ 当時の味を再現したラーメンを提供するセカンドブランドの「拉麺劉」が熊本市内に2店ある。
- ↑ TKUテレビ熊本 2008年11月15日放送
- ↑ 味千骨汤门 味千骨汤门真相披露 商都生活 2011年7月25日(中国語)
- ↑ 味千ラーメン、中国でイメージダウン=日系外食の代表格が苦境 サーチナ 2011年8月18日
- ↑ 上海市当局が味千ラーメンを「虚偽宣伝」の疑いで調査 サーチナ 2011年8月3日
- ↑ 味千ラーメン問題の調査終了=罰金240万円の支払いを命じる―上海市 Record China 2011年11月18日