台湾料理

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台湾料理(たいわんりょうり。テンプレート:Lang-zh、タイツァイ)は、台湾で食べられる中華料理のうち、主に福建料理をベースとして、台湾で発展した郷土料理である。

食材では新竹米粉(ビーフン)、カキサバヒーカラスミなどの海産物、メボウキエシャロットオオタニワタリなどの野菜、また料理では台南担仔麺意麺などが著名である。

特徴

台湾は四方をで囲まれており、また国内中央部に3千メートル級の山々が南北に縦走しているなど、比較的小さな地域であるにも拘わらず、国内に多様な地形や豊かな自然条件が揃っていることでも知られており、豊かな海の幸、山の幸など多くの食材に恵まれている。台湾料理は福建料理をベースに、これら台湾で採れる豊かな食材を取り入れ、郷土料理として独自に発展してきたものである。

その特徴として、まず、を多用する他の地方の中華料理と異なり、比較的淡白で素朴かつ繊細な味付けの料理が多く、塩気も全体に抑え気味である点を挙げることができる。また、客家料理日本料理からの影響も受けていることから、醤油鰹節シイタケを基調とした味付けや、乾物や塩漬けをよく使うといった点も指摘されている。一方で、油で揚げたエシャロットニンニクメボウキコリアンダーなどといった、香りの強い薬味も好んで加えられる。

食材面では、魚・カニエビイカ類など、新鮮な海鮮食材を豊富に使用すること、をはじめとする旬の野菜を使った料理が多いといったような点が大きな特徴である。また、住民の多くは開拓民としてのルーツを持っており、食材を無駄なく使うといった発想から牛・豚などの内臓や血液を用いる料理も発達しており、鴨の血餅、牛の胃腸の絲(スー、細切り)、豚の腎臓の麻油揚げなど、内臓や凝固させた血液を多用する料理が多い点も特徴として挙げることができる。

また、肉類では豚肉が中心であることも大きな特徴のひとつで(元来開拓民にとって貴重な動力源である牛を食べる習慣はなかった)、現在台湾でポピュラーなメニューとして定着している牛肉麺など牛肉を使う料理は、基本的に戦後中国大陸からもたらされたものということができる。その他、宴会料理では、潮州料理と同様にフカヒレツバメの巣もよく使われていること、医食同源の思想が深く、漢方薬も料理の材料として用いられることなども特徴として挙げられる。健康上や宗教上の理由から肉や魚を使わない素食精進料理)も台湾ではよくみられる。日本の素朴な精進料理とは異なり、豆腐グルテンを用いて作られた素鶏、素魚、素肉と呼ばれる本物そっくりなモドキ料理が特徴である。

料理のスタイルで見ると、見た目に洗練された豪華な一皿よりも、むしろ庶民的な家庭料理を基本として発達してきており、家庭的で素朴な料理が多くある点を特徴として挙げることができる。料理一つひとつの分量があまり多くなく、清粥(おかゆ)と一緒に食べさせる郷土色豊かな「小菜」(小皿料理)があることでも有名である。また、古くから外食文化も盛んであり、夜市に代表されるような路上の屋台でも多彩なメニュー(小吃)を楽しむことができ、これらが台湾の食文化の一翼を担っている点も特徴として指摘されている。

歴史

台湾はもともとマレーポリネシア系の原住民が住んでいた土地に、16世紀頃から漢民族が開拓民として徐々に入植して今日のような社会を形成してきた。また、その間に数度にわたり、かなりまとまった期間オランダ日本などの外来政権に統治されるといった経験を有している。台湾料理についても、これらの歴史的経緯を反映し、今日までの400年あまりの歴史の流れの中で、徐々に出来上がっていった料理ということができる。

台湾では元々の郷土料理厦門泉州漳州に由来する福建料理が混ざったものが伝統的に作られており(例えば料理に芋粥が添えられる点を福建系の人々の食習慣の反映として指摘している資料がある)、一般にはこれらの様式の料理を指して「台湾料理(台菜)」と呼ぶ場合が多い。

また、福建省出身の開拓民と同時期に台湾に渡ってきた、広東省東北部出身の客家の料理も今日の台湾料理根底の一部をなしていること、さらには戦後国民党軍が中国大陸各地から兵士などと共に一流のコックを連れて渡ってきたことでも知られており、香港などと並び、大陸のものよりさらに洗練された形での中国各地の料理を楽しむことができると言われている。さらに、日本統治時代日本料理の影響を強く受けたこともあり、現在でもおでん(「黒輪」「和田」の表記)や薩摩揚げ(「甜不辣」)、天婦羅刺身寿司(「壽司」。は使わず、寿司と同じ具を用い同じ形のおにぎりのようなものもある)などのメニューが残っている。

主な料理

台湾料理のうち、比較的ポピュラーなメニューの例としては、以下のようなものがある。
台湾語読みが定着している料理名は、台湾語発音をカタカナで表記した)

麺類

台湾料理で使う麺は、基本的には華南の特徴である、うるち米を原料としたライスヌードルである。ビーフンが代表的であるが、「米苔目」(ビータイバッ)と呼ばれる太いものもある。これに加えて、華北をルーツに福建省から伝えられた各種小麦粉の麺も用いられる。多くはやや太めの麺であるが、日本のラーメンのような鹹水を使っていないため、全体に白っぽいものが多い。「麵線」と呼ばれる素麺に似た極細麺もある。また、メニューによっては、例えば担仔麺のように、小麦の麺かビーフンか春雨(冬粉)を選択できるものもある。

牛肉麺(ニウロウミェン、台湾語:グーバーミー)
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牛骨や筋からダシをとったスープにやや太めの麺を入れ、牛肉の角切を煮込んだものや香菜などをトッピングしたもの。元来台湾では貴重な農耕具でもあったを食べる習慣はなく、牛肉麺も戦後外省人によってもたらされたものと言われている。現在では台湾料理の最もポピュラーなメニューの一つとして定着している。八角など中華料理特有の香辛料をふんだんに使ってあるため、日本の中華麺とは異なった独特の風味がある。牛肉に加えて牛筋をトッピングしたもの、辛口のもの(紅焼牛肉麺)、カレー風味のもの(咖哩牛肉麺)など、いろいろなバリエーションがある。
担仔麺 (ダンザイミェン、台湾語:ダーアーミー)
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エビでだしを取った味噌仕立てのスープに麺を入れ、豚そぼろ肉や刻みネギ、もやしなどがトッピングされている(牛肉麺などと比べると、分量的には一般にやや小ぶりである)。もともとは台南の名物料理であり、中でも「度小月」のものが特に有名。(麺の代わりにビーフンを使ったものもある)また、担仔麺に加えて、香腸(腸詰)や肉団子や肉そぼろなどのサイドメニューを加えることができる。日本では「タンツーめん」とルビを振る場合が多い。また、名古屋など中京圏で見られる台湾ラーメンは、この担仔麺を元にアレンジしたものである。
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蚵仔麵線(カキ入り極細麺)
大腸麵線(ダーチャンミェンシェン)
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ダシベースの梅ニンニクのような味のドロっとした特徴のある細い素麺料理。名前の通り「大腸」が輪切りになって入っている。西門町にある阿宗麵線が非常に有名である。性質上取り分けが難しく、店頭で取り分けている姿は一種のパフォーマンスともなっている。小椀(35元)と大椀(50元)がある。さらにトッピングとして辣椒(唐辛子)、蒜醤(ニンニク醤油)、烏酢(ウスターソースに似た調味料。黒酢とは異なる。)の3種類がある。
蚵仔麵線(オーアーミーソァ)
上記のものの具をカキに代えたもの。台湾各地で一般的である。

飯類

魯肉飯 (ルーロウファン、台湾語:ローバープン)
白飯の上に豚そぼろ肉をトッピングして甘辛いタレをかけたもの(店によってはこれに高菜や固ゆで卵などを乗せているものもある)。値段も安く、最も庶民的な料理の一つで人気が高い。
鶏肉飯 (チーロウファン、台湾語:ケーバープン)
白飯の上に蒸して細く裂いた鶏肉を乗せ、甘辛いタレをかけたもの。魯肉飯同様最も庶民的な料理の一つ(嘉義市の「噴水鶏肉飯」のもののように、鶏の代わりに七面鳥を使ったバリエーションもある)。
排骨飯 (パイクーファン、台湾語:パイクップン)
排骨(醤油などで下味を付けた後、薄く衣をつけて油で揚げた豚の骨付きあばら肉)と炒めた野菜などを白飯の上に乗せた料理。
肉粽 (ロウツォン、台湾語:バーツァン)
台湾風ちまきのことで、もち米の中に豚の角煮やシイタケなどの具を入れ、ハスの葉や竹の皮で包んで蒸したもの。中に入れる具は肉類や海鮮など、店や地方によってさまざまなバリエーションがある。また、端午節には伝統的に食べる習慣がある。

おかず類(小菜を含む)

鹹蜊仔(台湾語:キアムラーアー)
さっと茹でたタイワンシジミをニンニクと共に醤油漬けにしたもの。この種のシジミは日本で一般に食用とされるシジミ類よりは一回り大きいので、可食部の肉も比較的大きい。
菜脯蛋(台湾語:ツァイボーヌン)
菜脯(切干大根)の入った玉子焼き。
魩仔魚炒土豆(ブタヒーチャートータウ)
揚げピーナッツとしらす干しをからからに炒ったもの。

スープ類

貢丸湯(ゴンワンタン、台湾語:コンオワントゥン)
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肉団子入りのスープ。4つに割れている形をした肉団子を出すお店が比較的多い。新竹が有名。
魚丸湯(ユーワンタン、台湾語:ヒーオワントゥン)
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つみれ入りのスープ。福州風の中に豚肉を包み込んだものが、台北県淡水などで有名となっている。
蛤蜊湯(グーリータン)
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ハマグリ入りのスープ。非常に庶民的なスープである。
冬瓜との相性が抜群であり、冬瓜と一緒に入れて出す場合も多い(冬瓜蛤蜊湯)。
下水湯(シャーシュウェイタン、台湾語:ハーツイトゥン)
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豚のモツと鶏の砂肝などの内臓類をショウガを効かせ煮込んだスープ。下水とは台湾でモツ肉という意味である。
花枝羹、花枝焿(ホワジーゴン、台湾語:ホエキーケン)
イカの切り身またはすり身入りのとろみスープ。

屋台料理

蚵仔煎 (台湾語:オーアージエン)
台湾風カキのオムレツ。小ぶりの煎ったカキに細かく刻んだキャベツなどの野菜を加え、卵とサツマイモ澱粉で綴じる。卵を使わない調理法もある。甘辛い赤色のソースをかけて食べる。
棺材板 (クアンツァイバン、台湾語:コアツァーパン)
揚げた食パンの中をくり抜いてクリームシチューを入れ、さらにパンで蓋をしたもの。棺材とは棺おけのことで形状からその名が付いた。台湾のどの地方でも作られるが、もともとは台南の名物料理。パンの中に入れる具は店によっていろいろなバリエーションがある。南部地域の洋食風の屋台料理。
油飯 (ヨウファン、台湾語:イウプン)
台湾風のおこわ。醤油味を付けた油で味付けし、鶏肉、シイタケ、筍などを混ぜたもの。
蘿蔔糕(ルオポガオ)、菜頭粿(ツァイタウコエ)
日本語の通称は大根餅。千切りにして茹でた大根や、油で炒めた豚ひき肉・エビ・ネギといったような具を水でといた米粉と混ぜて蒸した後、表面を油で軽く焼いて食べる。旧正月の定番料理として作られていたが、今や一年中を通して食べられている。香港から伝わり定着したため、飲茶の中の一品としても食べられる。
臭豆腐 (チョウドウフ、台湾語:チャウタウフー)
豆腐を発酵させた食品。油で揚げる臭豆腐、辛いスープで煮込んだ麻辣臭豆腐、串焼き臭豆腐、蒸す臭豆腐などさまざまな調理法がある。かなり強烈な匂いを発することでも知られており、屋台でこれを揚げているときなどは、10mくらい先からでも匂いでそれとわかる。食べる際には調理時ほど匂いは強烈ではない。
甜不辣 (ティエンブーラー,tyenbūrā、台湾語:テンプーラー)
日本から伝わった九州の天ぷら、関東での薩摩揚げにあたる。魚のすり身を揚げて、一口大に切り香辛料をかけて食べる屋台料理。
基隆天麩羅は台湾の甘辛い赤色のソースをかけて食べる。名前の通り基隆がルーツ。胡瓜との相性が良いため、胡瓜の薄切りを乗せて出される。
滷味 (ルーウェイ、台湾語:ロービー)
台湾風煮込み。セルフサービスでお客が肉、野菜、練り物、インスタント麺などを好きな食材を選んでザルに取ると、店員が八角を効かせた味の濃い醤油スープで煮込んでくれる。学生に人気があり、師大夜市などの学生街で多くみられる。
豬血糕 (チューシェガオ、台湾語:ディーホエコエ)
豚の血ともち米を蒸した食品。食べ方は蒸す、煮る、串焼きなど。串焼きにした豬血糕はピーナッツ粉と香草をまぶして食べる。
肉圓 (ロウユエン、台湾語:バーオワン)
ぶるんとした皮があり、中は粗い肉団子のような餡が入る。

飲料・デザート

愛玉 (アイユー、台湾語:オーギョー)
愛玉子から抽出した多糖類で固めた黄色いゼリー状の食品。ボウルのような大きな器入れて冷やし固めたものを、お玉などで掬って小分けにし、これに氷を加え、シロップやレモン汁をかけて食べる。黒い仙草と並んで夜市での代表的なデザートメニューのひとつ。
珍珠奶茶 (チェンツーナイツァー)
タピオカティー烏龍茶やミルクティーにタピオカパールを入れた飲料。「泡沫紅茶」などの名前でも知られている。タピオカの粒が大きく、これを吸うためにかなり太めのストローを使用する。特に若い女性の旅行者を中心に日本でも人気が出ており、2000年頃から東京などでもこれをメニューに加えている店が出始めている。
木瓜牛奶 (ムーグワニウナイ、台湾語:ボッコエグーリン)
パパイアの果汁と牛乳を混ぜた飲料。高雄にある「高雄牛乳大王」のものがルーツといわれている。現在では台湾全国各地に広まっている。
他にもマンゴーイチゴアボカドなど新鮮な果物や野菜の牛乳飲料がある。
刨冰 (バオビン、台湾語:ツヮーピン、台湾語漢字:礤冰)
かき氷。普通の氷を削った刨冰にはマンゴー、イチゴなどの果物やトウモロコシピーナッツなどのトッピングを乗せる。
雪花冰(シュエホゥアビン)は練乳を混ぜて作った氷を削るフワフワとした食感のカキ氷である。
泡泡冰(パオパオビン)は果物などの材料と氷をかき混ぜて空気を含ませるソフトクリームのような食感のデザートである。
豆花 (ドウホゥア、台湾語:ダウホエ)
石膏で固めた、柔らかい豆腐に、黒蜜などのシロップを掛け、煮豆や白玉などをトッピングして食べるデザート。量の割にはカロリーが抑え目で、タンパク質も取れるヘルシーなデザートとして、日本でも女性を中心に人気のあるデザート。
酸梅湯
サンザシハイビスカス、他、名称からして意外だが使用分量控えめの梅肉が主原料の一種の砂糖入りアイスハーブティー

関連項目

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