タピオカ
テンプレート:栄養価 タピオカ (tapioca) は、トウダイグサ科のキャッサバの根茎から製造したデンプンのこと。菓子の材料や料理のとろみ付けに用いられる他、つなぎとしても用いられる。紙の強度を上げるための薬剤の原料としても重要である。
概要
キャッサバは、南米、北東ブラジルが原産だが、根茎に多くのでんぷんを持つことから世界各地で重要な作物として栽培されており、食用や工業原料として広く利用されている。
キャッサバデンプンをタピオカと呼ぶのは、ブラジル先住民のトゥピ語ででんぷん製造法を「tipi'óka」と呼ぶことによる。
タピオカには小麦粉が含むグルテンがなく、タンパク質もほとんどない。水分を加えて加熱すると糊化しやすく、抱水力が強いのが特徴である。
- Manihot esculenta dsc07325.jpg
キャッサバの根茎
- Tapioca pudding.jpg
タピオカプディング
利用
食用
食品の増粘剤として糊化したものが用いられる。また、ライスヌードル、冷凍うどんなどの麺類、菓子などの食感調整、品質維持にも用いられる。ミスタードーナツのポン・デ・リング、白い鯛焼きなど、もちもちした食感の菓子を作るのに重要な役割を持つ。
タピオカパール
糊化させたタピオカを容器に入れ、回転させながら雪だるま式に球状に加工し、乾燥させたものは「スターチボール」、「タピオカパール」などと呼ばれ、中国語で「粉圓」(テンプレート:ピン音)と呼ぶ。煮戻してデザートや飲料、かき氷、コンソメスープの浮身などに用いられる。黒、白、カラフルなタイプとさまざまな色が着けられた製品がある。
従来より、サゴヤシのでん粉で作られ、「西穀米」(テンプレート:ピン音)、「西米」(テンプレート:ピン音)と呼ばれていたが、現在は安価なタピオカに切り換えられているものが多く、「西米」という呼称も避けられている。また、大きい粒には食感調整のために甘薯(さつまいも)デンプンが加えられていることが多い。
このタピオカパール、スターチボールをミルクティーに入れたタピオカティー(珍珠奶茶)は、発祥の地である台湾はもとより、現在では日本や他の東南アジア、欧米諸国などでも広く親しまれている。
中華点心では小粒のものを煮てココナッツミルクに入れて甘いデザートとして食べる。他に、ぜんざいのように豆類を甘く煮た汁と合わせたり、果汁と合わせたりもする。テンプレート:要出典範囲
乾燥状態で直径5mm以上の大きな粒の場合、煮戻すのに2時間程度かかる。また、水分を少なめにして煮ると粒同士が付きやすくなるので、型に入れて冷やし、粒々感のあるゼリーの様なデザートを作ることもできる。欧米では、カスタード風味のタピオカプディングがよく知られている。
食品加工
デンプンには米ぬかを吸着する性質があるため、乾燥状態の硬さがちょうどいいことからも、無洗米を作るためにかかせない原料にもなっている。
工業利用
酵素によるカチオン化処理を経て製紙用の乾燥紙力増強剤として利用される。使用する際には水を加えて加熱し、糊化した上でパルプの中に混ぜたり、紙の層の間にスプレーする。また、紙の表面に塗布して、吸水しにくくするための表面サイズ剤としても用いられる例がある。最近では、チューブのりの原料としても利用されている。