吉原直樹
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吉原直樹(よしはら なおき、1948年 - )は、日本の社会学者。長らく東北大学大学院文学研究科教授を務め、2011年4月より大妻女子大学社会情報学部教授、東北大学名誉教授。社会学博士。社会学系コンソーシアム理事長。専門は、社会学、都市社会学、地域社会学、アジア社会論。
人物・来歴
1948年、徳島県阿南市生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、同大学大学院社会学研究科を修了。立命館大学産業社会学部助教授、神奈川大学外国語学部教授などを経て、1993年度から東北大学文学部教授。インドネシア大学大学院客員教授、地域社会学会会長、東北都市学会会長、東北社会学研究会会長、東北社会学会会長などを歴任[1]。2011年度からは大妻女子大学社会情報学部で教授を務める。2013年6月には社会学系コンソーシアム理事長に就任[2]。日本学術会議連携委員。
研究歴
アメリカ都市社会学(主にシカゴ学派)および新都市社会学をベースとした理論的研究とともに、戦後日本の地域社会(町内会)にかんする実証的研究を進めた。
現在は、グローバルとローカルとのパラドクスの諸相を見すえながら、時間、空間概念の再定式化を介して、都市社会学の理論的再審の方向を模索している。またその応用的地平において、地域住民組織論と接続させることで、新たなアジア社会論の可能性について検討している。
著書
単著
- 『地域社会と地域住民組織――戦後自治会への一視点』(八千代出版, 1980年)
- 『都市社会学の基本問題――アメリカ都市論の系譜と特質』(青木書店, 1983年)
- 『戦後改革と地域住民組織――占領下の都市町内会』(ミネルヴァ書房, 1989年)
- 『都市空間の社会理論――ニュー・アーバン・ソシオロジーの射程』(東京大学出版会, 1994年)
- 『アジアの地域住民組織――町内会・街坊会・RT/RW』(御茶の水書房, 2000年)
- 『都市とモダニティの理論』(東京大学出版会, 2002年)
- 『時間と空間で読む近代の物語――戦後社会の水脈をさぐる』(有斐閣, 2004年)
- 『開いて守る――安全・安心のコミュニティづくりのために』(岩波書店[岩波ブックレット], 2007年)
- 『モビリティと場所――21世紀都市空間の転回』(東京大学出版会, 2008年)
- Fluidity of Place (Trans Pacific Press, 2010).
- 『コミュニティ・スタディーズ』(作品社, 2011年)
- 『「原発さまの町」からの脱却――大熊町から考えるコミュニティの未来』(岩波書店, 2013年)
共著
- (藤田弘夫ほか)『都市化と地域社会』(時潮社, 1978年)
- (梶田孝道ほか)『現代社会の社会学』(川島書店, 1980年)
- (加藤哲郎ほか)『東京――世界都市化の構図』(青木書店, 1990年)
- (金子勇・藤田弘夫・盛山和夫・今田高俊)『社会学の学び方・活かし方――団塊世代の社会理論探求史』(勁草書房, 2011年)
- (伊豫谷登士翁・齋藤純一)『コミュニティを再考する』(平凡社, 2013年)
編著
- 『都市の思想――空間論の再構成にむけて』(青木書店, 1993年)
- 『都市経営の思想――モダニティ・分権・自治』(青木書店, 2000年)
- 『都市空間の構想力(21世紀の都市社会学シリーズ・第5巻)』(勁草書房, 1996年)
- 『アジア・メガシティと地域コミュニティの動態――ジャカルタのRT/RWを中心にして』(御茶の水書房, 2005年)
- 『グローバル・ツーリズムの進展と地域コミュニティの変容――バリ島のバンジャールを中心として』(御茶の水書房, 2008年)
- 『防災の社会学』(東信堂, 2009年)
- 『防災コミュニティの基層―東北6都市の町内会分析』(御茶の水書房, 2011年)
- Global Migration and Ethnic Communities: Studies of Asia and South America (Trans Pacific Press, 2012)
共編著
- (大橋隆憲・宝光井顕雅)『社会調査論――社会科学としての社会調査』(法律文化社, 1985年)
- (岩崎信彦)『都市論のフロンティア――[新都市社会学]の挑戦』(有斐閣, 1986年)
- (藤田弘夫)『都市――社会学と人類学からの接近』(ミネルヴァ書房, 1987年)
- (岩崎信彦・上田惟一・広原盛明・鰺坂学・高木正朗)『町内会の研究』(御茶の水書房, 1989年)
- (藤田弘夫)『都市とモダニティ――都市社会学コメンタール』(ミネルヴァ書房, 1995年)
- (藤田弘夫)『都市社会学』(有斐閣, 1999年)
- (橋本和孝)『都市社会計画と都市空間――盛岡市のまちづくりを中心に』(御茶の水書房, 2000年)
- Grassroots and the Neighborhood Associations, co-edited with Raphaella D.Dwianto, (Grasindo, 2003)
- (宝月誠)『初期シカゴ学派の世界――思想・モノグラフ・社会的背景』(恒星社厚生閣, 2004年)
- The Possibility of Sustainable Cities and the Problems of International and Intellectual Exchange, co-edited with I Gede Putu Wirawan, (Universitas Udayana, 2004)
- (似田貝香門・矢澤澄子)『越境する都市とガバナンス』(法政大学出版局, 2006年)
- (新津晃一)『グローバル化とアジア社会――ポストコロニアルの地平』(東信堂, 2006年)
- (長谷川公一)Globalization, Minorities and Civil Society: Perspectives from Asian and European Cities (Trans Pacific Press, 2008).
- (橋本和孝・藤田弘夫)『世界の都市社会計画―グローバル時代の都市社会計画』(東信堂, 2008年)
- (倉沢愛子)『変わるバリ、変わらないバリ』(勉誠出版, 2009年)
- (橋本和孝・藤田弘夫)『都市社会計画の思想と展開』(東信堂, 2009年)
- (斉藤日出治)『モダニティと空間の物語』(東信堂, 2011年)
- (大西仁と共監修)『移動の時代を生きる――人・権力・コミュニティ』(東信堂, 2012年)
- (近森高明)『都市のリアル』(有斐閣, 2013年)
訳書
- A.H.ホーリー『都市社会の人間生態学』(時潮社, 1980年)
- C・G・ピックバンス編『都市社会学――新しい理論的展望』(恒星社厚生閣, 1982年)
- マニュエル・カステル『都市・階級・権力』(法政大学出版局, 1989年)
- スチュアート・ロー『都市社会運動――カステル以後の都市』(恒星社厚生閣, 1989年)
- W.ミルズほか『プエルトリカン・ジャーニー』(恒星社厚生閣, 1991年)
- マニュエル・カステル『都市とグラスルーツ――都市社会運動の比較文化理論』(法政大学出版局, 1997年)
- ハーベイ・W・ゾーボー『ゴールド・コーストとスラム』(ハーベスト社, 1997年)
- デヴィッド・ハーヴェイ『ポストモダニティの条件』(青木書店, 1999年)
- ジョン・アーリ『場所を消費する』(法政大学出版局, 2003年、新版2012年)
- ジョン・アーリ『社会を越える社会学――移動・環境・シチズンシップ』(法政大学出版局, 2006年、新版2010年)
- (中村潔・長谷部弘と編訳)『バリ島に生きる古文書―ロンタール文書のすがた』(東信堂, 2012年)
- ジョン・アーリ『グローバルな複雑性』(法政大学出版局, 2014年)
脚注
外部リンク
- 吉原直樹INDEX (公式サイト)
- コミュニティ・自治・歴史研究会『ヘスティアとクリオ』 (主宰)
- 東北大学文学部社会学研究室