皇大神宮
テンプレート:Otheruseslist テンプレート:神社 テンプレート:座標一覧 皇大神宮(こうたいじんぐう)は、三重県伊勢市にある神社。伊勢の神宮の2つの正宮のうちの1つである。一般には内宮(ないくう)と呼ばれる。式内社(大社)。
目次
概要
伊勢信仰の中心となる神社で、日本全国の神社で授与される神宮大麻はこの皇大神宮の神札である。
親王の結婚に際して、新婚旅行として「神宮に謁するの儀」が執り行われるのが通例となっている。複数の神社を参拝する場合、格の高い神社から低い神社の順が一般的だが、神宮の通常の神事は外宮、内宮の順で行う。これを外宮先祭と呼び、参拝も外宮、内宮の順で行なうのが正しいといわれる。ただし式年遷宮の遷御は皇大神宮、豊受大神宮の順であり、奉幣は豊受大神宮、皇大神宮の順である。
別宮として、境内に荒祭宮と風日祈宮、境外に月讀宮、瀧原宮と伊雑宮のほか、境内・境外に27社・33座の摂社、16社・16座の末社、30社・30座の所管社を有する。
建物は豊受大神宮と同様に外側から板垣・外玉垣・内玉垣・瑞垣の四重垣に囲まれ、南北の門に宿衛屋が置かれている。建物は神職が交代勤務で24時間、警備・管理を行っている[1]。
祭神
- 主祭神
- 天照坐皇大御神 (あまてらしますすめおおみかみ、天照大御神)
- 相殿神
歴史
『日本書紀』によれば、天照大御神は宮中に祀られていたが、崇神天皇6年、笠縫邑に移し豊鍬入姫命に祀らせた。垂仁天皇25年、倭姫命が後を継ぎ、御杖代として天照大御神を祀るための土地を求めて各地を巡った。この経路は『日本書紀』にあまり記述がないが、鎌倉時代初期成立と考えられる『倭姫命世記』には詳述されており、その途中に一時的に鎮座した場所は元伊勢と呼ばれる。垂仁天皇26年、伊勢国にたどり着いたとき、「この国に留まりたい」という天照大御神の神託があり、倭姫命は五十鈴川上流の現在地に祠を建てて祀り、磯宮と称したのが皇大神宮の始まりである。
明治時代までは、僧侶の姿で正宮に接近することは許されず、川の向こうに設けられた僧尼拝所から拝むこととされ、西行も僧尼拝所で神宮を拝み、感動の涙を流したという[3]。荒木田氏が祠官を世襲していたが、明治以降は世襲制が廃止された。第二次世界大戦後は元皇族の女性が代々の祭主をつとめている。
境内
宇治橋の内側には正宮(しょうぐう)のほか別宮の荒祭宮と風日祈宮、所管社の滝祭神(たきまつりのかみ)・酒の神様を祀る御酒殿神(みさかどののかみ)[4]・御稲御倉(みしねのみくら)・神嘗祭の時に神々の食事の御料を納めた[4]由貴御倉(ゆきのみくら)[注 1]・宮域の守護神を祀る四至神(みやのめぐりのかみ)[4]がある。正宮には所管社の興玉神(おきたまのかみ)・宮比神(みやびのかみ)・屋乃波比伎神(やのはひきのかみ)が祭られる。宇治橋の東に所管社の大山祇神社(おおやまつみじんじゃ)と子安神社(こやすじんじゃ)がある。 境内には神饌を調理する忌火屋殿(いみびやでん)、正宮に供える神饌を調理する儀式を行う御贄調舎(みにえちょうしゃ)、撤下された神宝を保管する外幣殿(げへいでん)、摂末社の遥祀などを行なう五丈殿(ごじょうでん)がある。ほかに祭主・神職が潔斎をする斎館(さいかん)と天皇が宿泊する行在所(あんざいしょ)、皇族から奉納された神馬を飼育する内御厩(うちのみうまや)・外御厩(そとのみうまや)がある。 神楽殿(かぐらでん)では私祈祷の神楽が行なわれ、希望者は奉納ののちに饗膳所(きょうぜんしょ)で直会を行なえる。神楽殿の神札授与所(おふだじゅよしょ)では神楽の受付のほかにお札・お守り・神宮暦・御朱印の授与などを行なっている。参拝者の休憩所の参集殿(さんしゅうでん)では湯茶が用意されているほか参宮記念品の授与も行なっている。 宇治橋の東の丘に、神宮の祭祀をはじめとするすべての事務を取り扱う神宮司庁(じんぐうしちょう)庁舎がある。
摂末社
内宮別宮
別宮(べつぐう)は「正宮のわけみや」の意味で、神宮の社宮のうち正宮に次いで尊いとされる[5]。計10宮。
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内宮摂社
摂社(せっしゃ)は、『延喜式神名帳』に記載されている神社(正宮、別宮を除く)。定義では摂社は全て式内社となるが、戦国時代にほぼすべてが廃絶となり、江戸時代の寛永年間(1630年代)から明治初頭(1870年代)にかけて復興されたため、式内社の比定地とされる場合がある[6]。計27社。
内宮末社
末社(まっしゃ)は、『延暦儀式帳』に記載されている神社(正宮、別宮、摂社を除く)。計16社。
内宮所管社
所管社(しょかんしゃ)は、正宮・別宮・摂社・末社以外の神社。計30社。
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神鶏
境内では、神の使いとしてニワトリが放し飼いにされている。三重県など8県の愛鶏家が結成する神宮奉納鶏保存会が内宮に神鶏を奉納している[7]。2011年(平成23年)6月5日の奉納では小国鶏のつがい2組(4羽)とチャボ・オナガドリなど25羽が奉納され、境内に放鳥された[7]。
神鶏は木の上に止まり眠る[8]。
現地情報
- 所在地
- 交通アクセス
- 最寄駅:近鉄鳥羽線 五十鈴川駅
- 徒歩:約30分
- バス:約10分 - 宇治山田駅・伊勢市駅・外宮からの路線
- 近鉄山田線・鳥羽線 宇治山田駅
- バス:約15分
- JR東海参宮線・近鉄山田線 伊勢市駅
- バス:約15分
- 伊勢自動車道 伊勢西ICから、三重県道32号伊勢磯部線(御木本道路)を南へ、のち「浦田」交差点から伊勢街道を南へ
- 駐車場:宇治橋周辺の参拝者用駐車場を利用
脚注
- 注釈
- ↑ 現在は御倉の守護神が祀られている。
- 出典
参考文献
- 伊勢文化舎 編『宇治橋ものがたり』伊勢文化舎、平成21年10月1日、119p. ISBN 978-4-900759-39-8
- 主婦の友社 編『開運!ガールズ♡お伊勢まいり』主婦の友社、2011年1月20日、95p. ISBN 978-4-07-276191-5
- 『伊勢神宮参宮公式ガイドブック 辛卯版』講談社MOOK、講談社、2011年5月25日、105p. ISBN 978-4-06-389562-9