倉敷チボリ公園

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倉敷チボリ公園(2008年7月、倉敷駅北口より)

倉敷チボリ公園(くらしきチボリこうえん)は、かつて岡山県倉敷市寿町(JR倉敷駅北口前)に所在した公園、都市型テーマパーク

概要

1997年平成9年)、旧倉敷紡績倉敷工場跡地に開園。デンマークコペンハーゲンにある世界最古のテーマパークで、数々の童話を世に送り出したハンス・クリスチャン・アンデルセンが頻繁に訪れたことでも知られる「チボリ公園」をモデルとしており、園内にはデンマークやアンデルセンをイメージしたアトラクションや庭園、ショップ、レストラン、劇場などが点在していた。

敷地面積は約12ヘクタール。2008年平成20年)11月の時点では、園内には20のアトラクション、13の土産物店、14のレストランがあった。

運営は、岡山県などが出資する第三セクターチボリ・ジャパン株式会社が行っていた。経営難のため、2008年12月31日の営業終了(正確には2009年(平成21年)1月1日の午前1時)をもって閉園し、11年の歴史に幕を下ろした。

園内

シンボルは中央の「プレーネン広場」に接した「チボリタワー」と観覧車「チボリバルーン」。また「アンデルセンホール」や「カルケバルン劇場」などのホールがあり、アンデルセンホール前に「チボリ湖」と称する池が存在していた。アトラクションとしてはロイヤルコペンハーゲンのティーカップをイメージした「ロイヤルティーカップ」、北欧神話主神オーディンから名付けられたジェットコースター「オーディンエクスプレス」などがあった。開園当時は企業の後援を得たレストランも複数存在したが、利用者の低下に伴い末期には僅かとなっていた。なお、自前の駐車場はなく、車での来園者は北側隣接地の「倉敷駅北駐車場」(岡山県開発公社所有・運営)[1]または周辺の民間時間貸駐車場を利用していた。

沿革

誘致から開園まで

岡山市が市制施行100周年(1989年(平成元年))の目玉事業として1986年昭和61年)、岡山市北長瀬、北長瀬表町、野田にまたがる日本国有鉄道(国鉄)岡山操車場(当時休止中、現・西岡山駅)用地にチボリ公園を誘致する構想を発表した。1990年(平成2年)2月には岡山県と岡山市が出資する第三セクター、チボリ・ジャパン社が設立され、同年8月には岡山操車場および日本貨物鉄道(JR貨物)西岡山駅旧駅跡地の日本国有鉄道清算事業団用地(面積15.4ヘクタール、現・岡山操車場跡地公園)を特殊公園の「岡山チボリ公園」とし、その東側を駐車場用地とする都市計画決定が行われた。

しかし同じ月にチボリ・ジャパン社のずさんな経営とローカライズ(付近住民への配慮を含む)を完全に視野から外していた、いわば「チボリ公園の運営マニュアルをそのまま持って来ればなんとかなるだろう」という認識に基づく緩慢な運営プランが発覚し、地元から公園誘致に対する反対の声が強まったため、推進派だった岡山市長の松本一は1991年(平成3年)1月に辞職し市長選に再出馬したが、松本はチボリ計画見直しを掲げる対立候補の安宅敬祐に敗れ、新市長の安宅は当選後、計画からの撤退を決めた。一方、松本と同じく推進派であった岡山県知事長野士郎は岡山市の計画撤退表明後、倉敷駅北側のクラボウ倉敷工場(旧万寿工場、面積12.0ヘクタール)が閉鎖されることが明らかになったのを受け、1991年9月、倉敷市長の渡邊行雄に対してチボリ公園の受け入れを要請した。

土地所有者のクラボウは1993年(平成5年)6月、倉敷工場跡地へのチボリ受け入れを決め、9月には倉敷市議会もチボリ誘致を決定したものの、事業そのものについては倉敷市が建設費用助成として100億円を負担するにとどまり、ともに公園事業への直接参加にはいたらなかった。さらに1994年(平成6年)4月には計画の中核企業だった阪急電鉄が撤退したため、チボリ公園は岡山県の単独事業となった。1995年(平成7年)5月に岡山県はクラボウと工場跡地の賃貸借契約を締結してチボリ・ジャパン社に転貸。公園施設の工事は同年9月に始まり、2年後の1997年7月18日に開園した。 

開園後

年度別 倉敷チボリ公園入園者数
年度 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008
入園者数(人) 2,986,471 2,941,021 2,380,300 1,819,548 1,340,072 1,162,175 1,091,068 1,105,065 910,196 819,603 752,538 798,795

(注)1997年度は7月から3月までの9か月間の、2008年度は4月から12月末までの9か月間の入場者数。

開園直後のお盆期間には東京ディズニーランドに次いで多い入場者数を記録し、開園後の数年間は200万人台を保っていたものの、年々利用者数は減少した。2001年(平成13年)4月には、経営の立て直しを期待して民間から起用された髙谷茂男が社長に就任し、業務の見直しによる経費の大幅な圧縮・削減や、より庶民的なイベント企画などが取り組まれた結果、入園者の激減には歯止めがかかり、年間110万人前後で横ばいとなった。しかし、2005年(平成17年)9月に髙谷が退任(10月に岡山市長に当選)する前後から状況は再び暗転し、同年度からは100万人以下に割り込む状況となった。

この状態を立て直すために、2007年(平成19年)4月に入場料金などの料金改定を行うなどの再建計画を行って来たが、同月にチボリ・ジャパン社はデンマークのチボリ・インターナショナル社との運営契約の更新を断念した。これにより、「チボリ」の名称は2009年1月1日をもって使用できなくなることとなった。

岡山県はその後、2009年以降は県民ないし倉敷市民の公園として活用する方向で検討し、チボリ・ジャパン社長の坂口正行は公園面積を3分の1に縮小し残りの土地を三井不動産開発主導でアウトレットモールを誘致する考えを示した。また、5月にはチボリ・ジャパン副会長の伊原木一衛天満屋会長)が取締役会の席でデンマークのチボリ社と再契約の上で完全民営化する提案を出す[2]など、さまざまな提案がなされた。

しかし、こういった計画はどれも具体的なものにはならず、2008年5月に新倉敷市長となった伊東香織も、具体案は打ち出さず、むしろ撤退を推進した。

終焉

2008年8月6日、チボリ・ジャパン社取締役会において、坂口社長が前述した自らの提案は県や市の支援を得られず実現出来ないと表明。同年12月31日付での事業廃止ならびに同社解散を全会一致で可決した。これにより同日のカウントダウンをもって閉園することが決まり[3]、同年8月26日の株主総会で87%の賛成(反対12%、棄権1%)を得て正式に決定した。最終年度となった2008年度は、閉園間際の駆け込み需要のため、開業以来初めて黒字となった[4]。2009年1月に清算会社に移行したチボリ・ジャパン社は同年8月26日に清算が終了した。

閉園後の動向

岡山県がクラボウから賃借していた公園用地は遊具などの施設の解体が進められ、2010年平成22年)2月に県から所有者のクラボウに返還された。クラボウは返還後の用地の再開発についてイトーヨーカ堂を事業主体に選んだ[5]

倉敷市は跡地の再開発を行い、2011年(平成23年)11月23日倉敷みらい公園がオープンした。同公園が倉敷チボリ公園の住居表示を引き継いでいる。

イトーヨーカ堂は三井不動産と共同で再開発にあたり、イトーヨーカ堂の「アリオ倉敷」が2011年11月24日三井不動産の「三井アウトレットパーク 倉敷」が同年12月1日にオープンした。[6]

成人式

開園後、2000年(平成12年)より当園で開催されていた倉敷市成人式も2008年12月の閉園により中止、2009年成人式はマスカットスタジアムで開催されることが決定した[7][8]。市は1999年成人式まで行われていた倉敷、玉島児島地区の3地区分散開催をも検討していたが、2000年以降実施していたチボリ公園での一括の成人式の参加率が軒並み7割を超えるものだったことから一か所での式開催に踏み切ったものとされる。

その他

当園近くの山陽マルナカの店舗は「チボリ店」と名乗っている[9]。閉園後も変更されていない。

画像

脚註

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外部リンク

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  1. もう一つのチボリ問題 倉敷駅北駐車場 赤字続きも当面存続 悩む県開発公社 岡山日日新聞 2008年8月22日
  2. 倉敷チボリ公園の完全民営化を提案 - 2008年9月10日 閲覧
  3. 12月末で倉敷チボリ公園廃止 - 2008年9月10日閲覧
  4. チボリ・ジャパン、08年度は初の経常黒字 駆け込み客寄与 日本経済新聞 2009年3月31日閲覧
  5. テンプレート:PDFlink クラボウ 2009年8月27日
  6. イオンとヨーカ堂の両雄激突 岡山と倉敷の流通地図はどう変わるかダイヤモンド・オンライン、2011年10月6日)
  7. 来年の倉敷市成人式はチボリ閉園でマスカット球場に - 2008年10月27日閲覧 - 山陽新聞
  8. 倉敷市の成人式 来年開催はマスカット チボリ閉園受け - 2008年10月27日閲覧 - 岡山日日新聞
  9. テンプレート:Cite web