依田紀基

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依田 紀基(よだ のりもと、1966年2月11日 - )は日本囲碁プロ棋士北海道岩見沢市出身。安藤武夫七段門下。1980年入段。1993年九段。

名人4期、碁聖6期、NHK杯優勝5回などタイトル獲得数35。第1回三星火災杯世界オープン戦優勝など、世界戦でも活躍。棋道賞は昭和56年に敢闘賞で初受賞したのをはじめ、優秀棋士賞4回など計20回。左利き。

履歴

棋風

  • 棋風は柔軟で優れた大局観を持ち、捨て石の名手ともされる。
  • 白2手目で天元大高目2連打などの意表を突く布石を時折用いる。2007年には「神のお告げがあった」として初手5の十や黒3手目での「7の十」を打ち、話題を呼んだ。

人物

  • 180cm・90kg と大柄で、髪を短く刈り込んだいかつい風貌。体型が多少変わっても融通が利くことから、近年は公私ともに和服を着用することが多い。
  • 若くして頭角を現した「エリート棋士」の経歴からは想像しがたいが、以下に述べるように「最後の無頼派囲碁棋士」とでも呼ぶべき存在である。
  • 自著「プロ棋士の思考術」で、以下のようなエピソードを明かしている。
    • 小学校での成績がほとんどオール1であり、「このままでは自分は生きていけないのではないか」と激しい不安を抱いていた。
    • 18歳で師匠宅から独立して一人暮らしとなったのち、新宿歌舞伎町に入りびたり、ギャンブルなどに熱中する生活を送るようになった。その生活から脱却したのは、先輩棋士の上村邦夫の助言によるものだという。
    • 28歳で今度はバカラにのめりこむ。その生活を見直したのは、中村天風の著書を読んだことがきっかけだという。以降、天風の教えを自身の勝負観に盛り込んでいるという。
    • 韓国の李昌鎬、中国の常昊らとも親しい関係にある。
    • 「自分は意志が弱い」とし、名人戦のタイトル戦の対局前日に、熱狂的なファンである「三国志のゲーム」に熱中してプレイしていたこともあったという。
  • 他にも、野球のルールを全く知らなかったなど、逸話が多い。
  • 1984年津田女子大学を囲碁の講演に訪問、その際学内で知り合った囲碁をまったく知らない女子大生と交際後に結婚した。しかし1998年に離婚。その後1998年に女流棋士の原幸子と再婚し、2002年に長男、2003年に次男、2010年に三男が誕生している。原は依田を「大きな赤ちゃん」と形容し、「もしも私が3日間ほど彼の元を離れていたら、彼は餓死するかもしれない」と語っている。
  • 自他ともに認める子煩悩。あるアマ囲碁大会で長男が熱を出して欠場したときには、自らが代理出場している[2]
  • 対局中に激しくぼやくことで有名。第54回(2007年度)3月11日NHK杯の準決勝で趙治勲と対戦した際、優勢だった碁を自身の見落としで必敗の形勢にしてしまい、「ああー分かんねえよ、バカ」「ああひどいなあ、俺なあ」「そっか、ひどいね」「こんな碁打ってるようじゃどうしようもねえな」と激しくぼやきながら打つ姿が放送された。尚対戦相手の趙も対局中よくぼやくことで知られるが、この時は依田のあまりにも激しいぼやきぶりに黙りこんでしまった。
  • NHK杯に遅刻を繰り返したことから、当時名人の地位にありながらNHK杯への出場権を取り消されたこともある。
  • 世界最強とも目される韓国の李昌鎬、中国の古力相手に勝ち越している数少ない棋士。
  • 政治家の小沢一郎と親交が深い。2007年10月、小沢が与謝野馨と対戦した際には解説を務め、「小沢先生の手には一手一手理屈がある」と評している。
  • 美術鑑賞も趣味で、東京国立近代美術館の年間パスポートの利用者でもある。

筋場理論

  • 本人によれば、碁の歴史を変えるほどの大発見である筋の根本原理である理論。
  • 筋場は石が2つ以上並んだ瞬間に存在し、「2つ以上石が並んだ、相手の石がない側の1路横」、つまりアキ三角になる場所のことである。
  • 手筋とは、「利き筋を手順よく利用して、相手の石を筋場に持って来て石の働きをよくする打ち方、あるいは自分の石が筋場にこない、そういう形を目指す打ち方」とできる。依田曰く、有名な手筋である「イタチの腹ヅケ」や「タヌキの腹ヅツミ」も筋場理論から言えば筋でもなんでもないということであり[1]、石を殺す手段であるナカデも場合によっては筋の悪い手と言える。なお、碁の筋には、①筋場理論と②ダメ詰まり(ウッテ返し系)があり、筋場が手筋になる場合もある。

表彰

  • 1995年5月29日 北海道栄誉をたたえて

著書

  • 『プロ棋士の思考術』(PHP新書)
  • 『新版 基本布石事典 上・下』(日本棋院)
  • 『21世紀の旗手―依田紀基、タイトル獲得への歩み』(日本棋院)
  • 『勝負の極意―世界トップとの碁に学ぶ』(フローラル出版)
  • 『依田ノート』(講談社)
  • 『依田紀基のサバキの急所と手筋 (NHK囲碁シリーズ) 』
  • 『初段の壁を破る依田囲碁講座』全3巻(筑摩書房)
  • 『依田流 並べるだけで強くなる古碁名局集』(マイコミ)
  • 『泰然知得―古典名局選集』(日本棋院)
  • 『至高の決断―依田、山下、井山の頭脳』(マイコミ)
  • 『石の効率がぐんぐん良くなる本』(マイコミ)
  • 『基本の詰碁 初段・二段・三段』(成美堂出版)
  • 『はじめてでもどんどん上達する囲碁の新しい打ち方』(主婦の友)

他多数

外部リンク

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  1. 「ヨダログ」参照