中房温泉
テンプレート:日本の温泉地 中房温泉(なかぶさおんせん)は、長野県安曇野市(旧南安曇郡穂高町、旧国信濃国)にある温泉。北アルプスの燕岳への登山口でもある。
概要
長野県の燕岳登山口の山中にある秘湯とも言うべき一軒宿。日本秘湯を守る会所属。
裏山に「焼山」と称する地熱の高い場所があり、卵や芋を埋めて置くと20分ほどで蒸しあがる。
温泉
浴場
ひとつの旅館内に内湯外湯をあわせて16箇所の浴場が存在し、1泊で全てを巡るのは大変なほどである。 男女別の「湯原の湯」と貸し切り浴場以外の外湯は混浴である。
内湯
- 大浴場 混浴・女性専用時間帯あり。近年新築移転した。
- 大浴場岩風呂 混浴・女性専用時間帯あり。移転前の大浴場の建物を撤去して露天風呂としたもの。
- 不老泉 混浴・女性専用時間帯あり。湯船のすぐ隣の石庭風の石組みの中に源泉がある。新しいが味わい深い浴場。
- 大湯 男女別 1階と地階にそれぞれ浴室がある。1階の浴室は2002年に大風で屋根が飛ばされたのを機に、露天風呂に改装された。地階の浴室は湯気が充満し、スチームサウナのようである。
- 御座の湯 男女別 古い時代の浴場の面影を色濃く残し、古いが味わいのある浴場。松本藩主の入浴が度々あったための名称という。
- 薬師湯 男女別 小規模な浴室。
- 家族風呂 薬師湯の隣にある。小規模。
外湯
- 湯原の湯 男女別露天風呂。2006年に新設された外来用の浴場。
- 滝の湯 露天。いわゆる「うたせ」。近年貸し切り浴場になった。
- 蒸し風呂 天然のサウナ。近年改築された。貸し切り浴場。
- 綿の湯 蒸し風呂の隣にある事実上の汗流し浴場であったが、2004年足湯に改造された。
- 月見の湯 混浴露天風呂 高台にあり、その名の通り月見が出来る。
- 菩薩の湯 混浴露天風呂 一番低地にある。すぐ隣が源泉。
- 白滝の湯 混浴露天風呂 沢の上流に登った所。お湯が小さな滝となって流れ落ちた所。
- ねっこ風呂 一人用半露天風呂 温泉プール近くに新しく作られた一人用風呂。大木をくりぬいた浴槽が使われている。
- 温泉プール ぬるめの湯を使った25メートルプール。夏場以外の遊泳は寒い。
日帰り入浴
長らく「下山後の登山者」以外の日帰り入浴は認めておらず、また「下山後の登山者」も、温泉側から入浴する浴場を指定され、自由に浴場を選択できなかった。
2006年になってようやく立ち寄り湯である「湯原の湯」を新設したため、登山者・宿泊者以外も外来入浴できるようになった。入浴料700円。それ以降従来の浴場の外来入浴はできなくなっている。
「中房温泉郷」
隣接する「国民宿舎有明荘」を含めて「中房温泉郷」とし、「中房温泉」は一軒宿ではないとする見解もあるが、公式には中房温泉に「国民宿舎有明荘」は含まれず、有明荘は別の温泉(有明温泉)である。
「中房温泉」は「国民宿舎有明荘」が「中房温泉郷」を名乗らないように裁判所に求め、2006年にほぼ請求どおりの内容で和解が成立した経緯がある。
歴史
開湯は1821年である。百瀬茂八郎がこの地に明礬(みょうばん)の鉱山を開いた際に、湧出する温泉を利用して湯治場を設置したのが始まりである。
また、開湯伝説として以下のような話も存在する。
北アルプス燕岳、槍ヶ岳登山口でもあることから、多くの人が訪れている。永田鉄山、大町桂月らの文人墨客をはじめ朝香宮鳩彦王、秩父宮雍仁親王、皇太子徳仁親王ら皇族の来訪歴も多数ある。1918年(大正7年)7月には、日本で初めての林間学校が旧制成城中学校(現成城中・高等学校)により当地で開設された。
日本アルプスを世界に紹介したイギリス人宣教師・ウォルター・ウェストンは、1912年にこの温泉に宿泊している。今でも当時の部屋が残されている。
1980年3月27日 - 環境庁により、穂高温泉とともに国民保養温泉地に指定(昭和55年環境庁告示第24号)。2011年7月25日 - ウォルター・ウェストンが宿泊した部屋が残る本館菊など7件が国の登録有形文化財に登録される。
文化財
- 本館菊
- 旧湯会所
- 田村薬師堂
- 山の神の社
- 温泉大プール
- 土蔵
- 板倉