上諏訪駅
上諏訪駅(かみすわえき)は、長野県諏訪市諏訪一丁目にある、東日本旅客鉄道(JR東日本)中央本線の駅である。
目次
概要
東京方面から来た場合、山岳地帯を走り終え、眼下に諏訪湖を眺められるようになると当駅に到着する。諏訪湖観光はもとより、霧ヶ峰高原・高島城の最寄り駅ともなっており、また駅周辺には上諏訪温泉が湧出し温泉宿が軒を連ねることから、多くの観光客が訪れる。当駅の1番線ホームにも足湯があり、列車を眺めながら浸かることができる(後述)。毎年夏には諏訪湖畔で諏訪湖祭湖上花火大会、全国新作花火競技大会が行われ、当日は臨時改札口も設けられ多くの人で混雑する。このように多くの観光の拠点となっていることから、特急「あずさ」、「スーパーあずさ」、臨時で延長される「かいじ」、また臨時特急「はまかいじ」、東海旅客鉄道(JR東海)飯田線から直通する普通列車など、当駅を経由するすべての旅客列車が停車する。
中央本線(中央東線)の単線区間中にある。駅西口には、2013年3月まで松本運輸区上諏訪支区が置かれており、中央本線の運転上の拠点となっている。標高は約761.9メートルで、諏訪湖畔にある岡谷駅・下諏訪駅・上諏訪駅の3駅中では最も低い。
当駅の名前の由来は、開業時の町名・上諏訪町である。周辺の村と合併し現在の諏訪市となったのは1941年(昭和16年)8月10日と、かなり歴史の古い市であるが駅名は当時の町名のままとなっている。しかし諏訪市唯一の駅として、また観光の拠点として機能している。
歴史
古くは上諏訪機関区が設置され、蒸気機関車の石炭・水等の補給が行われた。
- 1905年(明治38年)11月25日 - 国鉄中央本線 富士見駅・岡谷駅間開通と同時に開業。旅客および貨物の取扱を開始。
- 1950年(昭和25年)3月 - 現駅舎完成。
- 1967年(昭和42年)8月17日 - みどりの窓口設置。
- 1984年(昭和59年)1月15日 - 貨物の取扱を廃止。
- 1986年(昭和61年)8月8日 - 1番線ホームに温泉浴場設置。
- 1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄分割民営化により東日本旅客鉄道の駅となる。
- 2002年(平成14年)7月9日 - 温泉を足湯に改装、オープン。
- 2005年(平成17年)3月23日 - 自動改札通路を4通路導入、運用開始。
- 2014年(平成26年)4月1日 -東京近郊区間に編入され、 Suica利用可能駅になる。
駅構造
駅舎に接して単式ホーム1面1線、その奥に島式ホーム1面2線の、あわせて2面3線を有する地上駅。駅舎は、国道20号沿いにあり、常設唯一の改札口である東口(愛称「霧ヶ峰口」)改札を有する。西口(愛称「諏訪湖口」)に常設の改札口は無い(近隣のイベント開催時のみ開設される[1])。西口と東口の連絡のため、国道20号の横断歩道橋を兼ねた自由通路が駅舎外に設置されている。エレベーターが設置されており、車椅子等での利用も可能である。
駅舎は1950年(昭和25年)3月完成の2階建てで、数度の改修を経て使用されている。駅としての機能は1階部分に集まっている。また、改札口につながるホームを含め、各ホームともエレベーターが設置されている[2]。
改札口には4通路の自動改札機(Suica利用可)が設置されている。改札の外には、みどりの窓口(営業時間 5:30 - 21:00)、自動券売機4機、指定席券売機2機、待合室が設置されている。みどりの窓口上には上下の直近各3本の列車の案内等のための発車標が設置されている。コンコースの待合室脇にはコンビニエンスストア「NEWDAYS MINI」がある。以前はそれぞれ1番線ホームからも利用できたが、現在はどちらもホーム側からは利用できない。このほかホーム上には、飲料の自動販売機が設置されている。
改札の中には、二つのホームを結ぶ跨線橋が2本があり、下諏訪方面の跨線橋にはエレベーターが、茅野方面の跨線橋の1番線側脇にはトイレが設置されている。喫煙所は茅野方面の各ホーム端にある。当駅名物の足湯は1番線ホーム上の下諏訪寄りにある(足湯についての詳細は後述)。 利用客の注意を促すため、列車接近表示機及び接近自動放送、発車ベルと発車放送が整備されているが、次に到着・発車する列車を案内するような旅客案内用の電光掲示板や自動放送は整備されていなかったが、2008年12月下旬頃に2・3番線ホームにある階段付近に電光掲示板が設置され、2009年(平成21年)1月下旬より稼働している。なお、最大12両の特急列車が停車するため、ホームはいずれもこれに対応できるだけの長さを持っている。
駅舎外には、東口に喫茶店「タリーズコーヒー上諏訪店」(駅舎内待合室などとつながっている)、旅行センター「びゅうプラザ上諏訪」が営業している。トイレは、東口は駅を出て茅野駅側、東西自由通路のエレベーター脇に設置されており、西口は自由通路階段を下りて直進した突き当たりに設置されている。東口には多目的トイレも設置されている。
3番線を利用し、特急列車と普通列車の間で緩急接続がとられる。
かつては「上諏訪機関区」が置かれ蒸気機関車の基地となっていたので、その名残で構内が広い。中央本線や、飯田線から乗り入れる一部の普通列車、快速列車の始発・終着駅となっており、3本の側線が留置に使われている。車両の入換は、入換用の線路長の関係で、茅野駅方で6両、下諏訪駅方で4両までの編成に制限される。茅野駅方では踏切を横切るために、自動車、歩行者等の交通を遮断する必要があるが、下諏訪方では踏切を通らないため、交通に支障は出ない。
のりば
駅舎・東口改札側を1番線として、以下の通りである。
番線 | 路線 | 方向 | 行先 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | テンプレート:Color中央本線 | 上り | 小淵沢・甲府・新宿方面 | |
2 | テンプレート:Color中央本線 | 下り | 塩尻・松本・長野方面 | |
3 | テンプレート:Color中央本線 | 下り | 塩尻・松本・長野方面 | 待避・始発列車 |
上り | 小淵沢・甲府・新宿方面 | 待避列車 |
一駅一名物:足湯
上諏訪駅の1番線ホーム脇には上諏訪温泉がひかれている。かつてはこれを利用した露天風呂形式の公衆浴場が設置されておりマスコミにもたびたび取り上げられたが、2002年(平成14年)にこれを足湯に改装され、脱衣の手間なく気軽に利用できるようになったほか、一度に利用可能な人数が増加した。湯は50°C前後の熱めで、足のみを暖める足湯としては一般的な湯加減である。
利用後に足を拭くタオルなどは備え付けられていないので、利用者自身で用意する必要がある。コンコースのNEWDAYSにはオリジナルのタオルが販売されている。また、更衣室が設置されている。
- 利用可能時間は9時から21時までとなっている[3]。乗車券や定期券、入場券(140円)など、改札内に入れる切符があれば利用できる。
- 温泉は飲用には利用できない。また、源泉温度が高いため加水している。
- 入口と出口には、御柱をかたどったミニチュアの柱が2本ずつ建てられている。
- 足湯脇の温泉洗面所でも上諏訪温泉の湯を利用している。冷水は天然の湧き水である。
駅弁
主な駅弁は下記の通り[4]。塩尻駅と同じ駅弁である。テンプレート:Main
- とりめし
- 小さな信濃路
- 信州和風牛肉弁当
- アルプスの四季
- いきだね(山なか)
- 幕の内弁当(山なか)
また、日中には、コンコースで峠の釜めしを販売していた。
利用状況
長野県内では長野駅・松本駅・篠ノ井駅に次いで第4位の乗車人員で、長野県内では比較的利用客が多い駅に分類されるが、近年は減少傾向にある。
朝夕は、市内のセイコーエプソン等の企業や、塩尻・松本方面の企業などへの通勤客、市内外の学校へ通学する学生等が、日中は特急列車と普通電車の緩急接続がとられる時間帯は乗り換えの利用がそれぞれある。休日の日中は、諏訪湖・霧ヶ峰・上諏訪温泉および周囲にある美術館・博物館を中心とした観光目的の利用が多いほか、毎年8月15日の諏訪湖祭湖上花火大会および9月第一週の全国新作花火競技大会開催日はホームやコンコースが人であふれかえり、当駅では普段見ることのできない混雑となる。
近年の一日平均の乗車人員の推移は以下の通りである。
年度 | 一日平均 乗車人員 |
---|---|
2000年 | 4,742 |
2001年 | 4,639 |
2002年 | 4,695 |
2003年 | 4,617 |
2004年 | 4,632 |
2005年 | 4,598 |
2006年 | 4,412 |
2007年 | 4,412 |
2008年 | 4,405 |
2009年 | 4,366 |
2010年 | 4,320 |
2011年 | 4,190 |
2012年 | 4,285 |
2013年 | 4,230 |
駅周辺
当駅は、諏訪湖・霧ヶ峰観光の拠点となっており、霧ヶ峰高原や車山高原などへの路線バスが運行されている。諏訪湖周辺の観光施設は、諏訪湖間欠泉センターやサンリツ服部美術館などの最寄り駅となっており、バス(スワンバス)または徒歩による観光が可能である。なお、諏訪大社上社・白樺湖・蓼科高原への観光は隣の茅野駅が比較的利便性が高い[5]。周辺は上諏訪温泉の湧出地であり近辺には温泉宿が多く立地するほか、駅構内の足湯といったユニークな施設もある。ただ、駅前にあったまるみつ百貨店が閉店したこともあり、当地での商業の中心は事実上中央自動車道諏訪IC周辺に移動している。
2006年(平成18年)9月20日から、国土交通省長野国道事務所によって、国道20号の無電柱化事業( - 2009年度)が行われることに伴って、1956年(昭和31年)から建設が始まったJR上諏訪駅前商店街(国道20号沿い)のアーケードが撤去され、ファサードの改修および歩道の拡張工事が始まった。「レトロといやしのまち」をコンセプトに、開放的で明るい商店街を目指しており、新たな駅前のまちづくりへの期待が高まっている。
国道20号を横切る踏切が駅の両側にそれぞれあり、慢性的な渋滞の原因となっている。市民からは地下方式による踏切解消の要望(JRは高架による連続立体交差化を主張)もあるが、計画[6]は事業化されていない。
東口(霧ヶ峰口)
上諏訪駅唯一の常設改札口を出ると東口である。送迎者駐車場、タクシー乗り場、屋根付きのバス待合所および停留所、観光案内所、交番、立体駐車場、立体駐輪場(自転車のみ)などがある。線路と並行している国道20号を挟んで、高速バス乗車券売場、旧まるみつ百貨店、スワプラザ、駅前市民会館がある。(駅舎の付帯設備については、構造を参照)
東口発着のバス路線
路線バスのバス停は駅を出て右手、国道20号の両脇にある。高速バスのバス停は国道20号を横断したところにある。
東口周辺のその他の施設
西口(諏訪湖口)
前述の通り西口には常設改札口はないため、通常はエレベーター付の東西自由通路を利用して東口方面と行き来する。こちら側は、ロータリーになっており、トイレ、送迎者駐車場、タクシー乗り場、駐輪場(屋根無し)、屋根付きのバス待合所及び停留所がある。また、法務局が隣接している。観光地となっている諏訪湖(徒歩約7分)およびその周辺の美術館等、高島城(徒歩約10分)、また千人風呂で有名な片倉館(徒歩約5分)へ行くにはこちら側からが便利である。また、駐輪場脇には松本運輸区上諏訪支区、パークアンドライド駐車場がある。
西口発着のバス路線
- 角間新田行(諏訪バス)
- 霧ヶ峰・車山高原・白樺湖経由茅野駅行<乗車専用>(諏訪バス)
- かりんちゃんバス
- 市内循環外回り線
- 茶臼山四賀線
- すわっこランド・上社有賀線
- スワンバス
- 内回り線
- 外回り線
西口周辺のその他の施設
その他の当駅を最寄りとする施設
- SUWAガラスの里の美術館(かりんちゃんバス「すわっこランド行」乗車)
- 諏訪市原田泰治美術館(諏訪湖沿いを反時計回りに徒歩約30分、車で約15分)
- 長野県諏訪実業高等学校
- 長野県諏訪清陵高等学校・附属中学校
- 長野県諏訪二葉高等学校
隣の駅
※特急「あずさ」「スーパーあずさ」の隣の停車駅はあずさ (列車)を参照のこと。
- 東日本旅客鉄道
- テンプレート:Color中央本線