三菱・シャリオ
シャリオ(CHARIOT )・シャリオ グランディス(CHARIOT GRANDIS )は、1983年から2003年まで三菱自動車工業が製造・販売していたミニバン。
1977年に開発を開始、1979年にはSSW(スーパースペースワゴン)として第23回東京モーターショーに出品された[1]。 プレーリーと並んでミニバンの先駆けといわれたクルマである。
1997年以前のモデルがシャリオ、1997年から2003年までのモデルがシャリオ グランディスである。2003年に登場した後継車はグランディスとシャリオのネームを外した。
目次
歴史
初代(1983年-1991年)
テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 初代は1983年2月23日に発表された。 駆動方式は発売当初はFFのみであったが、後に4WD(四輪駆動)パートタイム、さらにはフルタイム(ビスカスカップリング式)となった。 2ボックスボディに3列シートという、当時は類を見ないタイプのクルマであったため、1982年に発売されたプレーリーや1983年に発売されたクライスラー・ボイジャーなどと並んで「ミニバンの嚆矢」と呼ばれている。 本車はトレディア(初代ミラージュの姉妹車)をベースに開発された。車格としては2000年に登場したディオンに近い。
初代モデルはRVブームやバブル景気と相まって、8年間のロングサイクルモデルとなった。
また、4WDが発売された1984年にファラオラリーへ参戦、ガソリン4WD無改造クラスにてクラス優勝した。
グレード構成
最終的なグレードとしては、2,000cc 4WDのMT、MF、ME、1,800cc FFのMX、MH、Thanks(サンクス:当初は特別仕様車で登場。後にカタログモデルに格上げ)、1,800cc FFターボディーゼルのMFとなっている。なお、1983年-1987年には、1,800ccガソリンターボ搭載のMR(G62B)も存在した。 また、特別仕様車に「ロスアンデス」(スポーツ用品社との共同開発というふれこみで販売、MTのバリエーションで冬季用ウインタースペシャル)や「ビーチボーイ」(MTのバリエーションで夏季用を意識したモデル)もあった。
年式によりヘッドライトは異型シールドビームで、汎用性のないモデルもある。
年表
- 1983年7月 - D03Wにターボ車追加発売
- 1984年5月 - D02W・D03W:マイナーチェンジ('85M)
- 1985年9月 - D02W・D03W・D05W・D08W・D09W:マイナーチェンジ('86M)
- 1986年9月 - D05W・D08W・D09W:マイナーチェンジ('87M)/全車ドアミラー化&サイクロンエンジン搭載
- 1987年8月 - D05W・D08W・D09W:マイナーチェンジ('88M)/大型バンパーのデザイン変更
- 1988年10月 - D05W・D08W・D09W:マイナーチェンジ('89M)/フロントグリルの統一化
- 1989年8月 - D05W・D08W・D09W:マイナーチェンジ('90M)
- Mitsubishi Space Wagon 1st gen Sweden.JPG
初代(リア:後期型)輸出車両
- Mitsubishi Space Wagon front 20071025.jpg
欧州仕様のスペースワゴン(フロント)
- Mitsubishi Space Wagon rear 20071025.jpg
スペースワゴン(リア)
2代目(1991年-1997年)
テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 2代目は1991年5月23日に発表された。 駆動方式はFF・フルタイム4WD(ビスカスカップリング方式)となっている。先行して発売された、初代RVRとはシャーシや主だったコンポーネンツを共有している姉妹車でもある。 トランスミッションは基本的に5速MTとフロア4速AT(2,400cc ガソリンはフロア4速ATのみ)が用意されていた。 1994年9月には大幅なマイナーチェンジが施され、フォグランプがフロントバンパーに内蔵されるなど外装に変更を施した後期モデルに移行している。
さらには1995年5月、4G63インタークーラーターボ(5速MT・230PS/4速AT・220PS)+4WDを搭載したリゾートランナーGTが追加された。本車は当時「世界最速の7人乗り」や「シャリオエボリューション」とも言われるほどであり、また1987年まで初代シャリオに存在していた1.8MRターボ以来のミニバンのターボ車でもあった。
2代目は多彩なシートアレンジとルーフバリエーションが特徴であり、シートはアレンジ次第で12通りの組み合わせが楽しめ、ルーフは通常のものに加え「クリスタルライトルーフ仕様」(ハイルーフな上、前席頭上にチルトアップガラスルーフ、2列目頭上にスライドガラスルーフ、3列目頭上にはめ込みガラス)や、「リゾートランナーシリーズ」(ハイルーフ+前席頭上にチルトアップガラスルーフ)、特装車扱いとしてリヤセクションがハイルーフ化された昇降リフト付きの車いす対応福祉車両が存在していた。
また、特別仕様車として「ロスアンデス」(冬季特別仕様)や「ロード」(初代RVRスポーツギア用のオーバーフェンダー、背面タイヤ、リアバンパーを追加した3ナンバー仕様)、さらにモデル末期には「タウンクルーザー」(MXをベースにエアロパーツを装備)なども存在していた。
なお、過去には北海道池田町にあるタクシー会社・ワインタクシーではタクシーとして、テレビ朝日のマラソン移動中継車にはシャリオを改造した車両が使われていたことがある(2008年で運用終了)。
年表
- 1991年5月 - 発表。
- 1993年5月 - クリスタルライトルーフ追加。
- 1994年9月 - マイナーチェンジ。後期型に移行。
- 1995年5月 - リゾートランナーGTを追加。
- 1996年5月 - リゾートランナー MSやリゾートランナー MX、リゾートランナーのノンターボシリーズ追加。リゾートランナーGTは、メーターパネルをホワイトアウトに変更。3列目シートを廃したリゾートランナーGT-Vが登場。全車に運転席エアバッグを標準装備し、キーレスエントリーを別体式から一体式に変更。
- 1997年2月 安全装備(エアバッグとABS)を標準装備としたリゾートランナーMXフィエロと2.0MXフィエロが追加。
エンジンバリエーション
- 1991年5月 - 2,000cc ガソリン SOHC8バルブ
- 1992年6月 - 2,000cc ガソリン SOHC16バルブ(105PS→135PS)、2,000cc ディーゼルターボ(88PS)
- 1993年5月 - 2,000cc ガソリン SOHC16バルブ(135PS)、2,400cc ガソリン SOHC16バルブ(145PS)、2,000cc ディーゼルターボ(88PS)
- 1994年9月 - 2,000cc ガソリン SOHC16バルブ(135PS)、2400cc ガソリン SOHC16バルブ(145PS)、2,000cc ディーゼルインタークーラーターボ(94PS)
- 1995年5月 - 2,000cc ガソリン SOHC16バルブ(135PS)、2400cc ガソリン SOHC16バルブ(145PS)、2,000cc ガソリンDOHC16バルブインタークーラーターボ(5速MT・230PS/4速AT・220PS)、2,000cc ディーゼルターボ(94PS)
- Mitsubishi Chariot 1994 Diesel Turbo.jpg
2代目 後期型
- CHARIOT RR-GT(E-N43W).JPG
シャリオリゾートランナーGT
- Mitsubishi Chariot PC210303.jpg
クリスタルライトルーフ仕様
3代目(1997年-2003年)
テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 3代目は1997年10月17日に発売。本モデルから、シャリオの名にグランディスのサブネームが追加された。 競合車を意識したため先代よりもボディは拡大され、全車3ナンバーボディとなった。
先代で特徴的だったシートアレンジの多様さは引き継がれており、6人乗りでは3列目を取り外し可能とするなど、使い勝手が考慮されたものとなっている。 また当時クラス初のインパネシフトを採用。 グレードは最上級から「ROYAL」(後期モデルのみ)、「SUPEREXCEED」、「EXCEED」、「MX-SELECT」、「MX」、最廉価「MX-B」の6グレード構成。「ROYAL」のみ本革シートを装備。各グレード6人乗り(セカンドシートがキャプテンシート)、7人乗り(セカンドシートがベンチシート)を選択できた。駆動方式は「FF」、「フルタイム4WD」の2系統となっている。
デビュー当初は全車に2,400cc DOHC16バルブ・GDIガソリンエンジンを搭載、追ってディアマンテと同じ3,000cc V6 DOHC24バルブ・GDIガソリンエンジンを搭載し「ロイヤル」シリーズも追加されるが、後に3,000ccは廃止される。
GDIエンジンには電子制御スロットルが採用されているが、スロットルセンサーが一般的なアクセルペダルに接続する形でなくて、エンジンルーム内にある為、アクセルペダルとスロットルセンサーの間にはアクセルワイヤーが介在する変則的な機構となっている。
1998年3月にはおよそ1万1,000台の売り上げを記録し、大ヒットとなった。
2003年5月にグランディスが発売されたため、生産中止。これにより20年間続いた「シャリオ」の名前が消滅した。
歴史
- 1997年10月17日 - 発売。
- 1998年3月 - 1万1000台達成。
- 1999年 - メッキドアミラー、メッキドアハンドルを装備した限定仕様車「SUPEREXCEEDリミテッド」、「EXCEEDサンルーフリミテッド」を発売。
- 1999年12月 - ロイヤルシリーズを発売。
- 2000年5月 - マイナーチェンジ。エクステリアのリア部分では、リアガーニッシュにナンバープレートホルダーとなる樹脂パーツが設置され、スリーダイヤとGDI・シャリオの英字ロゴ配置が変更された。なお、グランディスとグレードの名称の英字ロゴは変更されなかったものの、MITSUBISHIの英字ロゴが廃止された。「SUPEREXCEED」、「EXCEED」にHID(ディスチャージヘッドランプ)を追加。
- 2001年11月 - マイナーチェンジ。エクステリアは2.4Lモデルのフロントグリルが一新され、ボディサイドにあるターンシグナルランプのレンズがクリアに変更された。また、カーナビゲーションの記録メディアがCD-ROMからDVD-ROMに切り替えられた。
- 2002年5月 - ロイヤルシリーズの生産終了。
- 2003年5月 - 2.4Lモデルの生産終了。
- 1998-2001 Mitsubishi Nimbus (UG) GLX van (2010-07-05).jpg
Nimbus
- Mitsubishi Space Wagon front 20071009.jpg
輸出車両スペースワゴン
- Mitsubishi Space Wagon rear 20071009.jpg
リア(写真は輸出車両スペースワゴン)
海外での販売
北米市場へは初代、2代目が輸出されエキスポとして販売されたほか、クライスラーのダッジ部門よりコルト ビスタ、イーグル部門よりビスタワゴンとしてOEM供給されていた。 その他の地域では販売先によりスペースワゴン・Nimbus等がある。
また、2代目は韓国の現代自動車からライセンス生産車「サンタモ」が発売(生産はグループ企業の現代精工(現:ヒュンダイモービス))されており、初代RVRやシャリオ・ロード(特別仕様車)と同様の背面タイヤを装備していた「サンタモ・プラス」もあった。起亜自動車の「カースター/ジョイス」のベース車両にもなっている(当初はサンタモのビッグマイナーチェンジ版として開発されていたが、現代自動車が起亜自動車を買収した関係で起亜ブランドで販売された)。
3代目は現在でもOEM供給されており、台湾の中華汽車が『サブリン(SAVRIN)』(マイナーチェンジ後はスポーツグレードのみ「サブリン・インスパイア」に変更)、中国の東南汽車が『菱紳:ソベラン(SOVERAN)』の名で販売しているが、元の車両が分からないほど大幅にデザインが変更されている。
- Mitsubishi-Expo.jpg
エキスポ
- Kia Joice front 20080123.jpg
キア・ジョイス
- HYUNDAI Santamo PLUS.jpg
ヒュンダイ・サンタモプラス
- 2003 mitsu savrin.jpg
菱紳:SOVERAN
車名の由来
- CHARIOT(シャリオ:フランス語)
- 古代ギリシャや古代ローマで使用された戦闘用二輪馬車の種類(チャリオット)。
- GRANDIS(グランディス:フランス語)
- 雄大(Grandios )の意味。「GRANDIS」は造語。