ロシア連邦共産党
テンプレート:政党 ロシア連邦共産党(ロシアれんぽうきょうさんとう、ロシア語: Коммунистическая партия Российской Федерации, Kommunisticheskaja partija Rossijskoj Federatsiji、英語: Communist Party of the Russian Federation)は、ロシア連邦の共産主義政党。エリツィン、プーチン、メドヴェージェフ各政権を通じて、野党の中心的存在として政権を批判してきた。党員は約50万人。党首は中央執行委員長のゲンナジー・ジュガーノフ。
概要
ロシア連邦共産党は、ソ連共産党の崩壊の後を受けて、1993年にロシア共産党再建のため組織委員会が発足し、旧ソ連共産党の党員が結集したところから始まる。こうしてロシア連邦共産党が結成され党首にジュガーノフを選出した。同党は、エリツィン政権下でアナトリー・チュバイス、エゴール・ガイダルらの主導によっておこなわれた経済改革(ショック療法)により生活を直撃された低所得者層の支持を獲得していった。ロシアの独自性を無視した急進的な資本主義市場経済の導入や、チェチェン紛争に対してエリツィン政権に批判を加えた。
1995年1月21日第3回党大会を開催し、新しい綱領を採択した。このロシア連邦共産党綱領は、ソ連共産党綱領を批判的継承した文書と評価される。長期的戦略目標としてロシアの直面している政治的、経済的危機の克服と社会主義体制復活の準備、社会主義体制への移行、社会主義の発展という三段階による「社会主義の復活」を掲げた。その中で当面は、第一段階に立脚し、議会の内外による活動を宣言し、人民代議員大会の復活、ソ連再建やショック療法、民営化の放棄などを謳った。
同時に党大会ではロシア連邦共産党のイデオロギー及び権力獲得の戦略を集約し、同党がボリシェヴィキ以来のソ連共産党の後継者であり、国際共産主義運動の経験に則り、勤労者の政党としての再生を図るとした。また、党歌にインターナショナルを、党章に鎌と鎚に本を加えることを、スローガンには「ロシア、労働、人民権力、社会主義 Россия! Труд! Народовластие! Социализм!」をそれぞれ採択した。
1995年ロシア下院選挙では、エリツィン政権に対する不満を吸収し、157議席を獲得し第一党となった。続く1996年ロシア大統領選挙では、ジュガーノフは、カリスマ性が足りないと言われながらもエリツィンに善戦した。
1999年ロシア下院選挙でも第一党の座を維持するが、プーチン政権になって行われた2003年ロシア下院選挙では、反プーチンの立場を鮮明にしていた新興財閥である大手石油企業ユコス社から献金を受けていたことなどが暴露され、大幅に議席を失う。2007年ロシア下院選挙でも議席をほとんど増やせなかった。92議席増やしたプーチン政権の与党「統一ロシア」とは対照的である。
2007年の下院選の時点で既にプーチン政権および統一ロシアによる支配は確立されており、世界金融危機での政権支持率低下を以ってしても、共産党が政権を取ることは現在のロシアでは難しい情勢であるとの見方がある一方で、政権支持率の日を追うごとの低下で、再び共産党が脚光を浴びる可能性もあるとの見方もある。事実、2009年には、モスクワ北西部のトヴェリ市議会選挙で共産党が勝利しており、景気失速で共産党は支持を伸ばしつつある。
2011年ロシア下院選挙では1259万9507票(19.19%)を獲得し、92議席と議席を増やしたが第一党に返り咲くことは出来なかった。ところが、シンクタンクGovernance and Problem Analysis Centerの調査によると、ロシア連邦共産党が2011年の下院選で本当は30%の得票を獲得、第一党になっていたという結果が出た(統一ロシアは二位の22%の得票)。2011年の下院選の監督者であったウラジーミル・チュロフは、「私は選挙スタッフたちにモスクワとサンクトペテルブルクの精神病院の住所を把握するようお願いします」(要するにそこに行けということ)と批判した。なお、与党である統一ロシアは「報告書はファンタジーでありコメントするに値しない」と述べた[1]。
組織
ロシア連邦共産党は、ロシアの政党法にのっとり合法的に地方組織を整備している[2]。すなわちロシアの政党法では連邦議会下院国家会議に議席を得るために、政党は1万人以上の党員と連邦構成主体のうち、50の連邦構成主体に支部を設置しなければならないが、ロシア連邦共産党は81全連邦構成主体に党組織をもっている[3]。それぞれの地方組織、支部は州や地方、市ごとに地域委員会を設置し、地域委員会は第一書記により指導される。ロシア連邦共産党の本部はモスクワにある。党の青年組織としては、ロシア連邦レーニン主義コムソモールがある。
党内派閥
ロシア連邦共産党にはいくつかの派閥が存在するとされる[4]。
- 左翼ナショナリスト:ゲンナジー・ジュガーノフ党首の出身派閥。ロシアの伝統的な歴史や文化と社会主義を結合させる傾向がある。ロシアの著名な歴史家であるレフ・グミリョフの作品の影響を受けていると言われる[5]。
- マルクス・レーニン主義者:階級闘争史観やマルクス主義の基本に忠実な派閥。ナショナリズム及び社会民主主義の双方に反対の立場を取る。幹部ではなく、一般の下部党員にこの傾向を持つ人が多いとされている[6]。
スターリンの扱い
ロシア連邦共産党は「再スターリン化」を標榜し、宣伝看板にはソビエト連邦の独裁者であったスターリンの絵が大きく描かれている[8]。また、この党のモスクワ支部のサイトでもやはりスターリンを美化している絵が掲載されていた[9]ほか、党が運営する「スターリンの汚職防止委員会」というページがある[1]。更に、ジュガーノフ党首がスターリンの胸像に献花したこともある[10]。
1956年のフルシチョフによるスターリン批判以降のソ連共産党では、時期によってスターリンに対する批判の強弱はあるものの、このようにスターリンを前面に押し立てることはなかった。
ただ、ジュガーノフ自身は、1996年に共産党が政権をとった場合でも極端な経済政策は採らないことを表明しており、実際に共産党が政権をとりソ連が再建された後も、かつてのような一党独裁のスターリン主義国家に戻る可能性は未知数である。なぜここまでスターリンを持ち上げるかといえば、ロシア国民の間で愛国主義の象徴として崇拝する人も少なくないスターリンを持ち出すことで、国民の愛国心に訴え支持拡大を狙うパフォーマンスの一種との見方もされている(左翼ナショナリズム)。皮肉にも、プーチン大統領も国民の愛国心を鼓舞して自身の支持率を上げることを戦略としており、その点で統一ロシアと共産党の政治手法の差はあまりないと言える。
日本共産党との関係
日本共産党の党大会の際には、メッセージを寄せている[11]。
脚注
関連項目
- 共産主義
- 共産党
- レフィー・フロント (ロシア) - ロシアの左翼青年たちの政治行動組織。ロシア連邦共産党のデモに参加し、自組織の旗を掲げながら共闘することがある。
- インターナショナル (社会主義)
外部リンク
テンプレート:Russia-stubテンプレート:Link GA- ↑ テンプレート:Citenews
- ↑ http://minjust.ru/nko/gosreg/partii/spisok
- ↑ http://minjust.ru/node/2266
- ↑ Bozóki, A & Ishiyama, J (2002) The Communist Successor Parties of Central and Eastern Europe,p241
- ↑ Bozóki, A & Ishiyama, J (2002) The Communist Successor Parties of Central and Eastern Europe,p245
- ↑ [http://www.partinform.ru/ros_mn/rm_5.htm Глава 5. Коммунистическое движение]
- ↑ Bozóki, A & Ishiyama, J (2002) The Communist Successor Parties of Central and Eastern Europe,p245
- ↑ Нижегородская область. Производство работает, заказы есть, пожары тушить прилетает лично Владимир Владимирович. Но побеждает КПРФ!ロシア連邦共産党公式サイト 2011年9月19日
- ↑ [2] ロシア連邦共産党モスクワ支部公式サイト 2011年10月8日
- ↑ Г.А. Зюганов: «Учиться у Ленина и Сталина!» Коммунисты возложили цветы к могиле Генералиссимуса Победыロシア連邦共産党公式サイト
- ↑ [http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-01-13/2006011302_02_1.html 共産党大会 メッセージを寄せた外国の党を紹介]2006年1月13日 しんぶん赤旗