プロ野球スピリッツ
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『プロ野球スピリッツ』(プロやきゅうスピリッツ)は、2004年からコナミ(2006年3月31日の持株会社化以降はコナミデジタルエンタテインメント)から発売されているリアル版プロ野球ゲームシリーズのタイトルで、略称は『プロスピ』。開発チームは『実況パワフルプロ野球』(パワプロ)シリーズを手がけているパワプロプロダクション(旧・ダイヤモンドヘッド)。
概要
『プロ野球JAPAN2001』、『THE BASEBALL バトルボールパーク宣言シリーズ』の流れを汲んだ野球ゲームである。
基本的な操作性は『パワプロ』のものを踏襲しているが、そのゲーム性は常に進化を続けており、「ダイレクト投球」「覚醒」「独自の投手ローテ機能」「フライング盗塁」など、積極的にシステムの改変・追加を行っている。これらのシステムの中には『パワプロ』に導入されたものもある。
広告看板を含めた実際の球場の再現に加え、テレビの野球中継の演出を襲踏しており、パワプロでは採用しなかった解説者を採用したり、テロップによる演出や、テレビ中継アングル(球場別)モードでは球場別のカメラ位置を再現している。
その広告看板や収録ユニフォームは『プロ野球スピリッツ5完全版』を除き、発売する1年前のペナントシーズン中のデータを基にしている。
プロデューサーは『THE BASEBALL 2003 バトルボールパーク宣言 パーフェクトプレープロ野球』から引き続き、奥谷友春が担当。3では難波和宏との二人制となった。2010からは上野亮作が担当している。
作品リスト
発売元は『2』まではコナミ、『3』以降はコナミデジタルエンタテインメント(KDE-J)。
タイトル | キャッチコピー | ハード | 発売日 |
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プロ野球スピリッツ2004 | 2004年、野球ゲームを変える。 | PS2 | 2004年3月25日 |
プロ野球スピリッツ2004クライマックス | 忘れないこのシーズン 本当のクライマックスはここにある | PS2 | 2004年9月16日 |
プロ野球スピリッツ2 | 激動から躍動へ | PS2 | 2005年4月7日 |
プロ野球スピリッツ3 | 野球イズム、全開。 | PS2・Xbox360 | 2006年4月6日 |
プロ野球スピリッツ4 | これが、本物のプロ野球 | PS3・PS2 | 2007年4月1日 |
プロ野球スピリッツ5 プロ野球スピリッツ5完全版 |
最高のプロ野球を、あなたへ | PS3・PS2 | 2008年4月1日(5)、 2008年12月4日(完全版) |
プロ野球スピリッツ6 | プロ野球、想うがままに。 | PS3・PS2 | 2009年7月16日 |
プロ野球スピリッツ2010 | 誰がやってもプロ野球! | PS3・PS2・PSP | 2010年4月1日 |
プロ野球スピリッツ2011 | ファンの数だけ、プロ野球がある。 | PS3・PSP・3DS | 2011年4月14日 |
プロ野球スピリッツ2012 | 魂を燃やせ。 | PS3・PSP・PS Vita | 2012年3月29日 |
プロ野球スピリッツ2013 | プロ野球を遊びつくせ。 | PS3・PSP・PS Vita | 2013年3月20日 |
プロ野球スピリッツ2014 | 1年中"LIVE"プロ野球 | PS3・PSP・PS Vita | 2014年3月20日 |
プロ野球スピリッツ LIVING MANAGER | リビングのテレビ(テレビリモコン)で名監督を目指せ! | G-cluster・ひかりTVゲーム | 2014年3月28日 |
作品 | 実況 | 解説 |
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プロ野球スピリッツ2004 プロ野球スピリッツ2004クライマックス |
山口富士夫 | 田尾安志、秋山幸二、牛島和彦、宮本和知 |
プロ野球スピリッツ2 | 金村義明、達川光男、西崎幸広、宮本和知 | |
プロ野球スピリッツ3 プロ野球スピリッツ4 プロ野球スピリッツ5 |
田尾安志、達川光男、西崎幸広、宮本和知 | |
プロ野球スピリッツ6 プロ野球スピリッツ2010 プロ野球スピリッツ2011 |
田尾安志、達川光男、黒木知宏 | |
プロ野球スピリッツ2012 | 田尾安志、達川光男、黒木知宏、伊東勤 | |
プロ野球スピリッツ2013 プロ野球スピリッツ2014 |
三橋泰介 | 小宮山悟、仁志敏久 |
ゲーム内容
メニュー
- ペナントレース
- 1チームの指揮官となり自チームを優勝・日本一へと導くモード。監督パートでは1軍決め、オーダー、投手のローテーション、また新戦力の補強などを考え、試合では全員操作、1人だけ操作、(フィールドプレイと呼ばれる。投手の場合自分が登板時のみ、野手の場合は自分が打席に立った時のみ操作する。設定でベンチに居るときやネクストバッターのときも観戦したり守備や走塁も操作可能だが、自動操作もできる全員操作と違って守備・走塁もすべて手動で操作するため、走塁時には打球判断、守備時にはアウトカウントとランナーの場所といった状況判断が不可欠となる)監督操作(自分は操作せず、選手に指示を出して操作する。)観戦、(指示は一切出せず見るのみ。)スキップ(試合自体を飛ばす。ただし、経験値が入らないなどやや不都合がある)から選択可能。ちなみに同社のアーケードゲーム『BASEBALL HEROES』では監督操作の方法を採用している。『プロ野球スピリッツ2013』からは、コンバートも可能になった。
- クライマックス
- 好きな1チームを選び、クライマックスシリーズのみプレイできるモード。
- 対戦
- COMか2Pと対戦、あるいは2Pと協力(打撃は交互に行い、守備では1Pが投手で投球コース指定とリリースを操作、2Pが捕手で球種指定と守備シフト指示を担当。守備時には、先にボールに触れた選手を2Pが操作し、送球をするたびに交互に入れ替わる。代打・代走・リリーフ・捕手交代といった選手交代があれば1Pと2Pの役割が入れ替わる)してCOMと対戦できる。方法はペナントと同様に全員、1人だけ、観戦から選ぶことが可能。COM同士の試合を見ることもできる。
- スピリッツ
- パワプロにおけるサクセスに似たモード。新人選手となり春季キャンプでの練習を通して自分のステータスを上げる。キャンプは4種類あり、それぞれ育成システムが異なる。試合(オープン戦)のないキャンプ地の場合、試合が苦手な人でも強力選手を作ることができる。また、最後までやりとおせば確実に選手登録できるため、ゲームオーバーで選手削除となるパワプロよりは難易度は低め。ただし、パワプロでいうイベントがない(逆に言えば、パワプロでゲームオーバー要素となっている再起不能の怪我を負うようなイベントもない)ためある程度の実力は問われるし、キャンプ地によっては強力選手誕生は運次第となることもある。
- スターダム(スタープレイヤー)
- パワプロにおけるマイライフに似たモード。新人選手や実在選手、スピリッツで作成したひとりの選手になりきって、選手生活を楽しむ。ゲーム終了後、このモード用に新しく作った選手のみオリジナル選手として登録が可能。こちらも試合に重点を置いているためシナリオは無い。4以前はスターダムモードの前身として、「選手プレイモード」や「MVPモード」の名称で搭載されていた。5では「スターダムモード」となり、最長20年のプロ生活を楽しめるようになった。6からは所持金でアイテムが買えるなどいくらかマイライフに近くなった。2010ではライバルとレギュラー争いができるようになったが、6~2011までは1年のみのプレイであった。2012は「スタープレイヤーモード」と名前が変わり、再び最長20年にわたる選手生活をすることができるようになった。
- ホームラン競争
- 10球によるホームラン競争。VPチャレンジでは、最初の10球でホームランを打てば1本ごとに打つと通常よりVP加算額が多くなるエクストラボールが1球加算される。10球(エクストラボールで最大20球)打った結果でVP加算額が決まる。なお、もらえるVPは選手の能力と球場によって決まり、長打力(巧打力・パワー・弾道・「パワーヒッター」等の長打系特殊能力で決まる)が高いほど基本額が安くなり、球場が広い・フェンスが高いと倍率が上がる。また、コンボ(連続ホームラン)を長く続けると加算額も多くなる。
- ストライクピッチ
- ストラックアウト風のパネル抜きゲーム。本家同様ストライクゾーンが9分割されているが、本家と違いフレームは無い。また、ど真ん中のパネル(本家では5番)はドクロになっている。8球でパネルを抜くたびにVPが加算。最初の8球で2枚抜きをすれば通常よりVP加算額が多くなりエクストラボールが1球加算される。ただし、真ん中のドクロに当ててしまうと抜いたパネルが復活してしまう。(獲得したVP・エクストラボールは没収されない。)また、用意された8枚を抜くと新たな8枚が登場する。(ドクロが大きくなり、ターゲット、特に四隅が小さくなる。8枚クリアごとに大きさは小さくなる)8球(最大16球で32枚)抜いた結果によりVP加算額が決まる。なお、加算額は球種(変化しない直球は少なく、斜めに変化するカーブ・シンカー・スクリュー系は多い)と投手のコントロール能力(低いほど多く、高いほど少ない)で決まる。なお、6以降は収録されていない。
- トライアル
- トレーニングの上位版。走塁、守備の上級テクニックを学ぶことができる。ドリル制で1ブロッククリアごとにVPが加算。さらに1ブロックノーミスクリアで加算額が2倍になる。また、全ブロッククリアで大量VPがもらえる100本ノックに挑戦できる。こちらも6以降は収録されていない。
- VPショップ
- 獲得したVPを消費し選手の覚醒や拡張アイテムを購入することができる。
- トレーニング
- 投球練習、打撃練習、守備練習をすることができる。
- ユーティリティ
- 各種設定やチームエディット、応援歌の作成ができる。プレイステーション系列のパワプロシリーズの一部作品のサクセスモードで作成した選手や応援歌はこちらのモードにて引継ぎする。
- オンライン
- オンラインで全国のプレイヤーと対戦できる。監督プレイ、アクションプレイを楽しむことが出来る。
- プロスピ入門
- 基本的な操作を簡単に習得することができる初心者向けのモード。『4』から登場。
- マネジメント
- 球団を経営していくモード。『2013』で初登場。
特徴
- VP
- ビクトリープレイポイントの略である。試合が終わった後などに手に入るゲーム内の通貨。これを使い、選手の能力を覚醒(後述)したり、拡張アイテムを購入したりすることが出来る。購入できるアイテムは、地方球場の使用権やルールの追加、監督・コーチの現役時代の能力を持った選手(試合でも使える)等様々。ゲームを有利に進めるための道具もここで買うことができる。
- ダイレクト投球
- 投手操作時に投球モーションに入ると、狙っているコースを示すポイントに向かって青い円形のカーソルが収束を始める(収束の形やスピードは投球フォーム・選択した球種のコントロール・状況によって変わる。また、対人戦用にリリースタイミングのみ見極めて狙っているコースが判らないように中央に固定表示する設定もある他、非表示にしてモーションでリリースタイミングを合わせることもできる)。カーソルが最も小さくなった(投球ポイントと重なる)瞬間にリリース操作をすると「ベストピッチ」となり、打撃ポイントが点滅して球威が大幅に上昇する(『3』以降はベストピッチしても球種ごとに設定された球威が低いと当たり判定は大きくなる)。ただしベストピッチできないとタイミングや球威にもよるが、コントロールがブレたり(狙ったコースから外れる。『5』以降では投手のコントロールが低いとベストピッチしても同様に狙っているコースから外れやすい)打撃ポイントが大きく表示される甘い球となって打たれやすくなるだけでなく、対人戦ではボールの縫い目の回転でどの球種系統かも相手に分かってしまう。さらにリリースのタイミングが極端に早い・遅いと、投手の頭上に白い「!」が表示され、もっとも甘い球である「失投」となってしまう(失投した球が真ん中に集まる確率は特殊能力「逃げ球」「一発」で変動)。なお、2012から導入されている雨天試合の際は晴天試合よりも制球力が落ちる。
- フライング盗塁
- 相手投手の投球前から盗塁のスタートのコマンドを入力できるシステム。しかし、タイミングの早すぎるスタートは牽制で刺されてしまうので、投球モーション開始と同時にスタートを切るのがセオリー。
- 覚醒
- プロスピシリーズでは、VPを消費することで選手の能力を上げることができる。これを「覚醒」という。その年、入団した期待の新人を覚醒させてみると大物選手へと成長していく可能性がある。覚醒レベルがあり(初期能力が低い選手ほど覚醒レベルの数が多い傾向がある)、レベルがMAX覚醒になるまで何度も覚醒をすることができる。覚醒した選手は、「真剣ペナント」では使用できない。但し『5』は「マジペナント」でも覚醒できる。
- ブロックサイン
- 『3』から登場。打撃・投球前に特定のコマンドを入力しておくことで味方選手と連携を取れる。特に、ウエストボール・敬遠はブロックサインでのみ指示することができ、指示を出さずにボールを大きく外すよりも「ランナーを刺しやすい」「絶対に暴投にならない」「敬遠してもそれによる投手への悪影響が出ない」という効果がある。サイン内容も初心者向けにガイド画面(各サインの内容・各ランナーの役割などの説明)も表示したり、対人戦で相手にわからないようにサインも非表示にすることもできる。
- 字幕テロップ
- タイアップ解消後もテロップの内容や雰囲気が日本テレビ系列の野球中継に類似している(日本テレビは2011年にテロップデザインを変更したが、プロスピのテロップは2010年以前のバージョンがベースになっている)。『5』からはスコア表示のみテレビ愛知と日本海テレビで使用しているものと類似のデザインとなっている。
- 『2011』以降、テロップが毎シリーズ変更されている。