ファイナルファンタジー
テンプレート:Otheruseslist テンプレート:Pathnav テンプレート:Infobox 『ファイナルファンタジー』(FINAL FANTASY、通称:ファイナルファンタジーI(-ワン)、略称:FFI、FF1)は1987年12月18日にスクウェア(現スクウェア・エニックス)から発売されたファミリーコンピュータ用ゲームソフト。ジャンル種別はRPG。ファイナルファンタジーシリーズの第1作。
タイトルにナンバリングはされておらず、当初の正式タイトルは単に『ファイナルファンタジー』である。リメイク作品には「I」の呼称が付けられる。
この名称は後に発売されたファミリーコンピュータ版およびPlayStation版『ファイナルファンタジーI・II』とゲームボーイアドバンス版『ファイナルファンタジーI・II アドバンス』で部分的に現れる。
目次
ゲームの特徴
テンプレート:出典の明記 ファイナルファンタジーシリーズの初作となる本作は坂口博信をはじめ、『サガ』の河津秋敏、『聖剣伝説』の石井浩一らが総力戦で作り上げた以降のスクウェアRPGの原点の一つであり、『ウィザードリィ』や『D&D』といった作品の世界観をベースとしながらも独自の装飾によって個性的なファンタジーの様式を作り上げ、当時まだ『ドラゴンクエスト』の模倣に留まっていたコンシューマRPGの分野に新たな流れをもたらす作品となった。
本作の大きな特徴の一つが変則的なスタイルで導入されるオープニングタイトルのシーンである。ゲーム本編はプレイヤーがフィールドに放り出される形で唐突に始まるのだが、ゲームが進行しおぼろげながら状況と目的が見えてきた所ではじめて物語の大きな目的が示され、美しいグラフィックや音楽と共に探求の旅へ誘う演出は本作の代表的なシーンとして知られ、その音楽はシリーズの代表曲として続編作品に広く使われる物となった。
「頻度の高いコマンドのショートカット」「全世界を見渡せるマップ」「エンカウントのない飛行乗り物」や「乗り物の高速スクロール処理」など他のRPG作品がスーパーファミコン世代になってようやく実装し始めるような洗練されたインターフェースが既に多く採用されている。またフィールドマップにおいてはファミコンの限られたVRAMをグラフィック描画に集中するプログラムテクニックによって滑らかな海岸線や立体的な質感の山岳などが表現されており、このためフィールドマップでは会話ウィンドウは開かない仕様になっている。
キャラメイキング要素を備えたファミコンRPGとしては『ドラゴンクエストIII』に先駆けており、魔法を店で購入する独特のシステムや、属性や弱点を突いた多彩な戦術シチュエーション、どのジョブでもクリアできる自由度の高さなどといったやり込みやリプレイバリューの要素、また浮遊城や海底神殿などの幻想的なダンジョンの舞台設定やアニメーションで表現された戦闘シーン、要所で挿入される四天王的ボスとの対決や外来語の多用で異国的な雰囲気を盛り上げる演出手法など、今日においてはもはや当たり前すぎて気にも留められないほどの定番的手法の数々をコンシューマRPGにおいていち早く取り入れた点でも業界を大きく先取る先駆的な作品であった。
ファイナルファンタジーシリーズの定番と言えるクリスタルや飛空艇(飛空船)、可愛らしい魔道士キャラクターといったお馴染みの要素も一作目から多く登場しており、超文明や時空輪廻など世界を形作る高次的な概念や、敵キャラクターにもカオス、四元素といった哲学的な名前が与えられるなど、勧善懲悪に収まらない観念的な世界観を敷く手法もまた形を変えながら後のシリーズや派生的な作品に色濃く引き継がれている。
歴史
開発の経緯
PCゲーム市場において「グラフィックに長けたADVを作るソフトハウス」としてヒット作を多く出していたスクウェアは、1985年に鳴り物入りで家庭用ゲーム機市場(ファミコン市場)に参入するが、PC時代とは違い、そこそこのヒット作しか生み出せなかった。
この状況に対応すべく、スクウェア幹部は1986年にディスク・オリジナル・グループなど様々な企画を立ち上げるが、この際に開発グループを必要以上に細分化してしまったことにより、持ち前の開発力が低下。結果的に粗製乱造状態になり全ての作品がヒットしないという悪循環に陥ってしまう。業績が急速に悪化したスクウェアは、倒産寸前までに追い込まれていた。
そして、スクウェア所属のゲームクリエイター坂口博信もまた、ファミコン参入以降の自分の作品を気にいれずにおり、ゲームクリエイターをやめて大学に復学しようと考えていた[1]。
坂口はPC時代にはADV『ウィル デス・トラップII』や3DRPG『クルーズチェイサー ブラスティー』を手がけていたが、ファミコンでは一転、アクションゲームやレースゲームを製作していた。これは当時のゲーム業界において「RPGやADVはファミコン向け市場として成立しない」とされていたからである。当時ファミコンのROM容量は制限が厳しく、大量の文字や画像を扱わねばならないRPGやADVは制作自体が非常に困難をともなうものであり、また、ユーザーのほとんどが若年層であるファミコン市場において、思考系ゲームの最たるものであるRPGやADVは彼ら若年層のユーザーにとって非常にハードルの高い存在であったのだ。
そのような状況の中、1986年にエニックスの『ドラゴンクエスト』が登場する。『ドラゴンクエスト』のヒットにより、ファミコンでもRPGが成立しうることを確信した坂口は、最後の作品としてRPG『ファイナルファンタジー』の製作に取り掛かる。製作期間は当時のファミコンソフトとしては異例の1年[2]。 開発に当たったのは坂口博信を中心とするスクウェアAチーム。当初は4人でのスタートだった[3]
完成したゲームは社内での評価は良かったものの[4]、スクウェア自体が倒産寸前の時期だったため、出荷数を極力抑えようとしたという[5]。同作の発売直前には本社を維持することが出来なくなり雑居ビルに移転するなどスクウェアは瀬戸際にあった。鈴木尚[6]によると、「これがヒットしなかったら会社を畳もう」という話も出ていた[7]。
1987年12月18日に発売となった『ファイナルファンタジー』は52万本という売り上げを記録。この作品の製作である種の達成感を得た坂口は、ゲームクリエイターとしての自信を取り戻し、次作の製作に取り掛かる。『ファイナルファンタジー』シリーズは、以降安定したヒットを維持し、いまなお続く人気シリーズとなっている。
天野喜孝のデザイン
キャラクターデザインを天野喜孝が担当する事になったきっかけは、坂口博信率いるFF開発スタッフの中に熱烈な天野喜孝ファンがいたためである。天野の参加についての交渉には、坂口と共に、天野がキャラクターデザインを務めた『機甲創世記モスピーダ』のメインライターの一人でもあった寺田憲史も同行した。ただし、当時寺田は天野との面識はなかったようである。この誘いに、天野は「面白いからやりましょう」と即答した。当初は断られるか、少なくとも「ちょっと考えさせてくれ」と言われるとスタッフは思っていたという。
天野が最初に描いた絵は、ドット絵らしいカクカクとしたものだったそうだが、スタッフが普通に描いてくださいと頼むと、彼らしい独特な絵を描いてくれるようになったという。
その後、天野は主要キャラクターデザイン、イメージデザインの他にもモンスターデザインも手掛けることになり、FFシリーズには彼のデザインによるモンスターが非常に多く登場することとなった。また『FFIII』以降は召喚獣のデザインも手掛けている。ちなみに開発スタッフが天野喜孝の絵を見て刺激を受け、ゲーム内容を変更することもあるそうだテンプレート:要出典。例えば天野の描いた「タコのようなものの絵」を見てインスピレーションを受けた開発スタッフがそのイメージのままに創り出したのが『FFVI』の名脇役「オルトロス」であるというテンプレート:要出典。
サウンド
音楽は植松伸夫が担当している。植松は坂口から作曲を任される際に「『ドラクエ』にはならないように」という注文を受けたと語っている[8]。特に以下の4作は、質の高さゆえにファイナルファンタジーの顔と呼べる存在である。これらの楽曲は、初出時には全てフラット系の楽曲であった。
FINAL FANTASY(メインテーマ)
植松がこのゲームの音楽を作るにあたって最初に完成した曲は、最初のイベントをクリアした後、橋を渡った時に流れる「オープニング・テーマ」という曲である。これは実際にゲームのオープニング映像を見てから、それに音楽を付けたものである[9]。植松は、この当時この楽曲がテーマソングだと意識していなかったし、ましてファイナルファンタジーを代表するテーマになるとは思ってもいなかったとのことである[10]。リメイク版では同時発音数が増えて豪華になり、テンポは荘厳性の為にかなり遅く変更された。またこの曲は後にファイナルファンタジーシリーズのメインテーマとなる曲である。今作の調性はヘ長調。後のシリーズでは変ロ長調(『FFIV』、『FFVI』、『FFXII』)、ハ長調(『FFV』)、ホ長調(『FFIII』、『FFVIII』、『FFIX』)などに転調されて用いられている。ちなみにオーケストラアレンジ版はホ長調でサビ部分にメロディーが追加されている。実はこの曲にもメンデルスゾーンの結婚行進曲からの素材引用があることは、あまり知られていない[11]。全シリーズに使われていると思われがちだが『FFII』『FFX』『FFXIII』では使用されなかった。また、リメイクおよび移植版などにも追加される事はなかった。
当時のFFのBGM路線はクラシック楽曲からの編曲、様式模倣、そして冗談系の三つでできていた。「プレリュード」は編曲、「メインテーマ」は模倣、冗談系は「チョコボのテーマ」であり、FF黎明期からすでに典型例が認知されていた事になる。この路線はFF6までは継続していた。
プレリュード
同じくファイナルファンタジーの全シリーズを通して使用される事になる楽曲「プレリュード」は、この第1作のみ変ロ長調で作曲されていた。しかも単純な上昇音形ではなく、オクターブ上のB♭から始まって短七度下のCに16分音符分落ちてから上昇する巧妙な仕掛けが施されていた。この他にも4オクターブの音域に詰め込むため、いくつかの音名で後のシリーズとはオクターブが違っている。さらに8分音符分のディレイが加わることにより、音源の貧しさにもかかわらず大変色彩的な効果が得られている。この第1作のみフェード・インが使われている。
ポスト・ミニマリズム的要素をRPG用の楽曲に適用したのは、当時の製作状況を考えると斬新である。これだけ練られた作曲上の効果は、後のシリーズの「プレリュード」では聴かれることはなく、美しい8分音符ディレイは後のリメイク版『FFII』と『FFXI』でまた採用された(リメイク版では、後のシリーズのような上昇音形と下降音形に改められ、8分音符ディレイも割愛されている)。
8bit音楽の黎明期には、近代以前のクラシック音楽が、その源泉に挙げられる事が多い。この「プレリュード」もその典型例であり、カール・タウジッヒの「毎日の練習[1]」のシャーマー社版33ページ(シュタイングレーバー社版原典では第一巻最終ページ)に極めて類似したパッセージが見られる。
当初「プレリュード」のBPMは100に設定され、軽快な印象を与えていた。しかし、後のシリーズではよりゆったりとしたBPMが採用されることが多い。サウンドトラック全体にも、同様の傾向が見られる。また、仮想したハープの音質が最もFFらしく響くようで、その後のシリーズにてアレンジや機材のヴァージョンアップを経ても、ハープで仮想されることが多い。
2014年6月20日から、まらしぃのピアノ演奏でトヨタ・アクアのコマーシャルソングとして使用されている。
ファンファーレ
全シリーズを通して使われる「勝利のファンファーレ」も『FFI』から登場しているが、音源の制限から、4オクターブの音域に詰め込むために出だしのアルペジョが2回同じ音域を不自然に反復される(リメイク版では丸ごとカットされている)。初出の調性は変ホ長調。このファンファーレは後にハ長調(『FFIV』)に改められる。旧第1開発事業部(北瀬佳範、野村哲也所属)が制作した作品(『FFVII』、『FFVIII』、『FFX』)で使用されているものはファンファーレ後のメロディが異なっている。また『FFXI』はレベルアップ時にファンファーレ部分のみが流れる。
戦闘
本作には戦闘シーンの音楽が1曲しか存在せず、ボス戦、およびラストボス戦も普通の戦闘の曲である。これも初出は現在とは違うト短調であった。しかしながら、印象的なイントロはすぐにユーザーに記憶され、後のシリーズでも活用されることとなったがファンファーレ同様、旧第一開発事業部が制作した作品には使われていない。
後のFF作品では、戦闘のBGMはバリエーションに富んだものとなっていき、ボス戦の曲だけでも数曲が作られるという作品も登場する。それに合わせ本作のリメイク版にもボス戦用の曲が新たに作られた。
パーティ制の導入
本作は複数のキャラクターが戦闘に参加するパーティバトルを実装している。これは、1986年5月27日に発売された『ドラゴンクエスト』との差別化を図ることもその目的のひとつであったテンプレート:要出典。
システム
本作は終始4人パーティで進行するが、移動シーンの画面では先頭の1人だけが代表的に表示される。
移動中におけるアイテム・魔法の使用やステータスの確認などは、メニュー画面と呼ばれるサブ画面を開いて行う。また、町やダンジョンなどでは、決定ボタンを1回押すだけで目の前の人との会話をしたり、物を調べたりすることができる。
後述のようなMPシステムや魔法の内容、ジョブの特徴、モンスター名などに、テーブルトークRPGの『ダンジョンズ&ドラゴンズ』や『ウィザードリィ』の強い影響が見られる。
戦闘システム
戦闘は当時の多くのRPGと同様のターン制となっている。敵モンスターを全て倒すと戦いが終了する。主人公たち4人全員が死亡あるいは石化状態になるとゲームオーバーとなり、前回セーブを行った場面からの再開となる。
戦闘画面は、画面右側に主人公たち4人が縦に並び、画面左側に敵モンスターのグラフィックが表示されるサイドビュー方式。主人公たちが行動するときはキャラクターが実際に剣を振ったりする動作が見られ、HPが少なくなったりステータス異常に陥ったりすると、キャラクターが膝を落としてうずくまるようになっている。このように、「戦闘時に自分たちのキャラクターが画面に表示されてアニメーションする」RPGは、『ドラゴンクエスト』のような「敵モンスターだけが画面に表示される」方式が主流であった当時としては珍しいものであった。また、キャラクターやモンスターの行動時には「○○のこうげき」「○○は××をとなえた」のような文章による表現を使わず、行動したキャラクターと相手の名前、魔法や特殊攻撃などの名前、攻撃ヒット回数、ダメージポイントなどが、並んだウィンドウ内にそれぞれ表示されるだけである。このように、シリーズ第1作目の本作から既に戦闘時のビジュアル重視の作風が見られ、後の作品ではさらに文字によるキャラクターの行動の説明が少なくなっていくこととなる。
また、パーティは隊列になっており、上部に配置したキャラクターほど敵に狙われやすい。この隊列配置はマップ移動中にのみ変更することが可能である。なお、戦闘中に毒・石化・死亡状態になったキャラクターは、戦闘終了後自動的に最後尾へ下げられる。
魔法
キャラクターの職業によっては魔法を使用することができるが、本作では魔法はレベルアップによって覚えるのではなく、町の中にある「魔法屋」(黒魔法屋・白魔法屋)で購入することによってのみ習得できる。習得できる魔法は職業によって異なる。
魔法は1から8までのレベルに分かれており、各レベルごとに白魔法・黒魔法それぞれ4つ存在する。ただし一人のキャラクターが覚えられる魔法数の限度は1つのレベルにつき3つまでなので取捨選択することになる(FC版では一度覚えると消去できない)。また、魔法の使用回数は魔法のレベルごとに決められており、キャラクターのレベルが上がるほど、魔法の使用回数も増えていく(本作における「MP」とはこの「使用回数」のことを指す。宿屋に泊まることによりすべて回復する)。レベルが低いうちに高レベルの魔法を購入することも可能ではあるが、その魔法レベルの最大MPがゼロであればMPが上がるまで使用することはできない。
本作では後のシリーズと違い、魔法の全体化はできない。魔法ごとに敵全体、味方一人、自分のみなどの効果範囲が決められており、そのために後シリーズとは魔法体系も異なっている。本作固有の魔法としては、アンデッドにダメージを与えるディア系、味方全体を回復するヒール系などが存在する。他に、雷系の攻撃魔法が「サンダガ」でなく「サンガー」となっていたり、ケアルの第二段階の名前が「ケアルラ」でなく「ケアルア」であるなど、名称が異なる魔法も幾つか見られる。なお、本作には「アディア」のように「ア」をつけて強化される白魔法が他にも存在し、「アレイズ」のように後のシリーズに受け継がれたものもある。 ちなみにケアルアはファイナルファンタジーXIIIで、初代以来の復活を遂げている。
ただしGBA版およびPSP版では魔法の回数制は廃され、新たに「MP」の数値が設定された。同様にMPを消費する『FFII』や『FFIV』以降のシリーズと近いシステムとなっている。
乗り物
本作に登場する乗り物は3種類。なお、船や飛空船(飛空艇)に乗っているときは、それぞれ波の音、プロペラの音が効果音として鳴るようになっている。
- 船
- 海の上を移動することができる。川や湖は移動できない。移動スピードは徒歩の2倍。港町プラボカを占領していた海賊ビッケの率いるカイゾクを倒すことで譲り受ける。なお、本作では上陸できる場所は「港」に限られるが、カヌーを持っていれば河口に船を止めてそこからカヌーに乗り換えることができる(つまり、河口を港代わりに使うことができる)。
- カヌー
- 川や湖の上を進むことができる。これを持っていれば、川・湖に入ったときに自動的にカヌーに乗ることができる。
- 飛空船(飛空艇)
- 伝説の空飛ぶ船。船にプロペラがついたもので、どんな地形の上でも空を飛んで移動することができる。ただし着陸できるのは平地のみ。移動スピードは徒歩の4倍で、飛行中はモンスターとのエンカウントが発生しない。なおGBA版とPSP版でのみ、開発者はシドであるとされる(ゲーム中には登場せず、名前のみ語られる)。
セーブ
FFシリーズでは第1作目である本作からバッテリーバックアップが採用されている。ただし、ファミコン版はセーブデータを1本のカセットにつき1つしか記録できない。ROMカセットでのセーブ機能は『ドラゴンクエスト』に先んじての導入である。ただし、本作がファミコンRPG初の採用ではない。
本作では、町の「宿屋」に泊まるか、あるいはワールドマップ上で「テント」「コテージ」などの宿泊用アイテムを使用することによってセーブするシステムである。ただしGBA版、PSP版では移動中であればどこでもセーブが可能になっている。
ファミコン版でも宿泊用アイテム使用時にセーブするかどうかは任意だが、コテージはセーブを選択しないとMPが回復しない。セーブを選択してもセーブのタイミングがMP回復の前であるため、(直後に別のアイテムでセーブしない限りは)再開した際にMPが回復していない状態から始まるという仕様になっている。また宿屋に泊まる際には必ずセーブに同意しなくてはならないため、ファミコン版ではセーブせずにMPを回復させる手段が無い。セーブバッファは1つしか無いため前回のプレイデータを温存してゲームを進める事は困難だった。
ミニゲーム
船の中でAボタン(○ボタン)を押しながら、Bボタン(×ボタン)を一定回数押すと、ミニゲームの「15パズル」をプレイできる。クリアすると、ファミコン版では100ギルを得られ、リメイク版ではクリアタイム更新ごとに高額の賞金や貴重なアイテムを得られる。携帯電話版には存在しない。
ファミコン版の15パズルは、ナーシャが勝手に入れたもので、周囲のスタッフはあまりに嬉しそうにそれを報告するナーシャを見て何も言えず、そのままとなった[12]。
本作ではオープニングがゲーム途中の1イベントであるため、普段はオープニングの音楽を聴く機会が無い。しかしこのミニゲームを起動することで、物語途中でもオープニングの音楽およびタイトルグラフィックの一部を視聴することができる。
ジョブ
FFシリーズでの「ジョブ」とは職業(キャラクタークラス)のことである。『ファイナルファンタジーIII』の「ジョブチェンジシステム」が初出の語でありFC版「I」の頃は特別な呼び方は無かったが、現在では公式にもジョブの呼称が用いられている。
本作はゲーム開始時に4人のキャラクターのジョブを選択し、以降転職することはできない。物語の後半になると「クラスチェンジ」によって、それぞれの上位のジョブになることが可能。
クラスチェンジをすると新たな武器や魔法を扱えるようになり、キャラクターのグラフィックも変わる。ファミコン版ではグラフィックの頭身が上がり、まるで子供から大人に成長したかのような姿になるのが特徴。後の作品やリメイク版では頭身の変化はない。
矢印の右側に記した名称は、クラスチェンジ後のジョブである。
- 戦士 ⇒ ナイト
- 重装備に身を包み、武器を使った戦いを専門とする。クラスチェンジ後は一部の白魔法を習得できる。
- シーフ ⇒ 忍者
- 戦闘はやや苦手だが「こううん」が高く、「にげる」の成功率が高い。クラスチェンジ後は装備が大幅に増え、一部の黒魔法を習得できる。FC版では他のジョブと比べて見劣りするが、GBA版以降は「すばやさ」が物理攻撃の命中回数に関わるため、序盤から終盤まで攻撃力が高い。
- モンク ⇒ スーパーモンク
- 肉弾戦の専門家。素手の攻撃力がレベルアップに従って加速度的に強くなる。物理攻撃の命中回数が倍になっていることもあり、最終的には全ジョブの中で最も攻撃力が強くなる。防具を装備しないと防御力が高くなる。
- 赤魔術士 ⇒ 赤魔道士
- ある程度の白魔法・黒魔法を使うことができ、武器攻撃もこなす。
- 白魔術士 ⇒ 白魔道士
- 白魔法(主に回復魔法など)を使用できる。
- 黒魔術士 ⇒ 黒魔道士
- 黒魔法(主に攻撃魔法など)を使用できる。
スタート時の選択画面では「戦士・シーフ・モンク・赤魔術士」(機種によって「戦士・シーフ・白魔術士・黒魔術士」)が表示されているが、どんな組み合わせでもクリアはできる。複数のキャラクターを同じジョブにもできる。
移植版・リメイク版の特徴
前述のように、本作はシリーズ中でも特に多くのリメイク・移植がなされている。ワンダースワンカラー版以降のリメイク版のタイトルロゴは、『FFIV』以降の字体が用いられ、「光の戦士」が描かれている。ロゴのキャラクターデザインは天野喜孝である。PlayStation Portable版では、再度タイトルロゴがリニューアルされた。
MSX2版
- BGMはMSX2の拡張機能を利用してFM音源+PSG音源を用いてアレンジされている。
- メディアはフロッピーディスクであり、頻繁にディスクアクセスが発生する。
- 処理速度を稼ぐために移動時の画面は描画エリアが少ない(それでもかなり遅い)。
- モンクの武器防具をはずした場合のパラメータ未実装。モンクはマサムネ以外はテツヌンチャクが最強の攻撃となる。
- 攻撃魔法の属性が曖昧。
- エンディング後にCtrlキーを押すとサウンドモードに入れる。
ワンダースワンカラー版
- グラフィック・ボス戦BGM・効果音・台詞・メッセージの追加・変更。
- イベントシーンの追加。
- 「15パズル」でクリア時間などに応じアイテム等をもらえるようになった。
- バグの修正のほか、一部の敵の行動パターンの変更・ボスのHP増加によるバランス調整。
- 倍速移動(ダッシュ)が可能になった。
- オートターゲットが可能。狙っていた敵が別のキャラクターの攻撃で既に倒されていた場合、自動的に他の敵へターゲットを変えて攻撃する。
- 全体マップでは地名が記載されている。
- アイテム所持が無制限に。ショップではまとめ買いが可能。
- 習得した魔法を忘れることができる。
- ダメージや回復の数値表現は、『FFIII』以降と同様に対象キャラクターから数値がポップアップされる形式に変更。
- 攻撃ヒット数は攻撃を行ったキャラ自身の上部に表示される。
- 戦闘中も武器・防具の装備を変更できる。後のシリーズと異なり、盾以外の防具(鎧や小手など)の換装も可能。
- 光の戦士の持っていたクリスタルの設定を「クリスタルの欠片」に変更。それぞれ元のクリスタルが存在する。
PlayStation版
基本的にワンダースワンカラー版の移植だが、ハード性能の違いによりグラフィックは更に精密になり、BGMもアレンジされかなり印象の変わった曲もある。
- ゲームの各所では3Dムービーが流れる。
- 進行状況によって様々なイラストを閲覧できる「イラストギャラリー」がある。
- モンスターのデータを閲覧することができる「モンスター図鑑」がある。
- メニュー画面の専用BGMが無くなった。メニュー表示中は現在移動しているフィールドのBGMがそのままボリュームを抑えて流れる。
- システム面では、レベルアップ頻度や魔法使用回数が大幅に増えた「イージーモード」が追加された。
- レベルはオリジナルが50まで、イージーは99まで。
- 魔法使用回数はオリジナルが9まで、イージーは99まで。
- 「メモファイル」と呼ばれる簡易セーブシステムを導入。電源を切ると失われるデータだが、移動中は任意の場所でデータをセーブ・ロードすることができる。
携帯電話アプリ版
基本的にはワンダースワンカラー版・PlayStation版とほぼ同じ。ただし、セリフやショップ画面、画面切り替え時のワイプ処理などはFC版に近い。コース登録を行い、ポイントを支払う事により購入できる。
ゲームボーイアドバンス版
『ファイナルファンタジーI・II アドバンス』として発売され、本作と『ファイナルファンタジーII』を同じカセットに収録している。
画面はワンダースワンカラー版をベースに色数を増やして描き直されている。戦闘画面では主人公キャラは少しだけ小さめになり、背景画のデザインも異なっている。また、従来の移植ではほとんど変更の無かった基本システムが大幅に変更された。当時の雑誌媒体などに掲載された広告では「低年齢層のユーザーでも楽しめる」ことを強調しており、パッケージや説明書などに使用された各キャラクターのイラストも、親しみやすいデフォルメタッチで描かれている。
主な追加点・変更点としては以下の様なものがある。
- PlayStation版では使われなかったメニュー画面の専用BGMが使われている。
- 会話などのゲーム中のテキストがかなり変更され、一部キャラクターの設定にかかわる部分も変更されている。
- 従来はほぼ無意味だった一部の能力値が、戦闘に大きく影響するようになった。
- 『FFII』以降のFFシリーズに登場したアイテムが多数追加された。強力な回復アイテム、能力増強アイテム、装備品など。
- 魔法の大幅な仕様変更。
- MPが数量制となり、MP回復アイテムも追加されたため、使用の制限が少なくなった。
- それまで固定だったダメージが、「ちせい」に依存するため、使用者の能力値で威力が変化する。
- 上記により、主に魔法系のジョブが大幅に強化され、原作のジョブ間の性能差がかなり是正された。
- レベルアップに必要な経験値が減少し、戦闘が非常に楽になった。ただしボスは強化されている。
- 『FFII』以降と同様に、戦闘勝利後に一部の敵がアイテムを落とすようになった。
- 戦闘でのコマンド入力時、LボタンとRボタンを同時押しするとキャラクター全員が「にげる」を選択したことになる(同録されている『FFII』も同様)。
- 「Soul of Chaos(ソウル・オブ・カオス)」という、物語の本筋とは無関係な4つのエクストラダンジョンが追加された。このダンジョンでは『FFIII』『FFIV』『FFV』『FFVI』に登場したボスモンスター(ただし、『FFI』のゲームシステムに合わせてパラメーター等はオリジナルから変更されている)やアイテムが多数登場する。なお、各作品のボスが登場する際にはそれぞれの原作にもとづいたシチュエーションやセリフなども再現されており、これら作品のファンへのサービス的な要素も大きい[13]。
- ここでの各ダンジョンは、フロアごとのマップ構成が決められたパターンからランダムで選ばれる(ボスフロアを除く)。また、階段を進むと戻ることはできないため、前のフロアに戻りたいならダンジョン自体を再挑戦するしかない。一部のワープゾーン以外では外に戻れないが、全滅してもHP1の状態で脱出できるため、ゲームオーバーにはならない。
PlayStation Portable版
ファイナルファンタジー20周年記念作品。システム、バトル画面の各種デザインなどはGBA版『FFI・IIアドバンス』に収録されている『FFI』(以下、GBA版『FFI』)に準じるが、ハードの変更に伴いモンスター等のグラフィックが全て描き直されている。タイトルロゴもリニューアル。2011年2月11日に、PlayStation Storeにおいてもダウンロード版が配信された。
- マップ背景がリニューアルされ、村の中で光が差し込む演出などが加わった。
- PS版のCGムービーと、GBA版『FFI』の「Soul of Chaos」「サウンドモード」を収録。「Soul of Chaos」のボス戦では各ボスの出演作品にちなんだバトルBGMが流れる。
- PSP版オリジナルの新要素として天野喜孝ギャラリーがある。
- 新ダンジョン「時の迷宮」が追加された。謎解きやパズルの要素も含まれており、難度が高い。
- 「たたかう」「まほう」などのコマンドや、「ダッシュ」などの機能を制限させられ、制限した分だけ制限時間をもらい、その時間内に各フロアを突破する。ターン制の戦闘システムでありながらも、戦闘中も制限時間が経過する。時間切れになっても直接ゲームオーバーにはならないが、視界が悪くなるうえ、敵がでないシチュエーションでも構わず敵が出るようになるほか、時間と共にHP・MPがどんどん減っていく。
Wii、Wii U、ニンテンドー3DS(バーチャルコンソール)版
リメイク版ではなくオリジナル版の配信であるため、内容はファミコン版とほぼ同じ。
PS3・PSP・PS Vita(ゲームアーカイブス)版
PlayStation版を配信しているため、内容はPS版とほぼ同じ。当初はPS3・PSPでの配信だったが、2012年8月28日からはPlayStation Vitaにも対応。
スマートフォン版
PSP版をベースに、タッチ操作でプレイできるようにインターフェイスを変更している。なお、iOS版やWindows Phone版ではGBA・PSP版の追加要素が収録されているが、Android版ではそれらは収録されていない。
製品バリエーション
本作は移植・リメイクなどにより、次のようなバリエーションを持つ。
- ファミリーコンピュータ『ファイナルファンタジー』(1987年12月18日)
- MSX2『ファイナルファンタジー』(1989年12月22日、開発・発売:マイクロキャビン)
- ファミリーコンピュータ『ファイナルファンタジーI・II』(1本のカートリッジに『FFI』と『FFII』を収録、ニューファミコンと同時期に発売)(1994年2月27日)
- ワンダースワンカラー『ファイナルファンタジー』(2000年12月9日)
- PlayStation『ファイナルファンタジー』(2002年10月31日)
- iアプリ『ファイナルファンタジー』(2004年3月1日)
- ゲームボーイアドバンス『ファイナルファンタジーI・II アドバンス』(1本のカートリッジに『FFI』と『FFII』を収録)(2004年7月29日)
- EZアプリ(BREW)『ファイナルファンタジー』(2004年8月19日)
- S!アプリ『ファイナルファンタジー』(2006年7月3日)
- PlayStation Portable『ファイナルファンタジー』(2007年4月19日、DL版は2011年2月22日配信)
- Wii(バーチャルコンソール)『ファイナルファンタジー』(2009年6月16日配信) - 内容はファミリーコンピュータ版と同等。
- PlayStation 3 / PlayStation Portable / PlayStation Vita(ゲームアーカイブス)『ファイナルファンタジー』(2009年6月24日配信) - 内容はPlayStation版と同等。
- iOS『ファイナルファンタジー』(2010年2月25日配信)
- Android『ファイナルファンタジー』(2011年12月1日配信)
- Windows Phone『ファイナルファンタジー』(2012年6月4日配信)
- Wii U(バーチャルコンソール)『ファイナルファンタジー』(2013年11月13日配信) - 内容はファミリーコンピュータ版と同等。
- ニンテンドー3DS(バーチャルコンソール)『ファイナルファンタジー』(2013年12月18日配信) - 内容はファミリーコンピュータ版と同等。
ストーリー
土、火、水、風の4つの力がさえぎられ、暗黒に包まれた世界。人々は世界を救う「光の戦士」の伝説を信じ、待ち続けていた。
長い長い旅の果てに、光の戦士の証である4つのクリスタルを手にした4人の若者がコーネリアの地へと辿りつく。そのころコーネリアでは、かつてこの王国のナイトであったガーランドによってセーラ姫がさらわれるという事件が発生していた。戦士たちは、王の願いを聞き入れ、ガーランドが立て籠もるというカオスの神殿へと向かうことになった。ガーランドを倒し、姫を取り戻した戦士たち。王はその感謝の印としてコーネリアの北にある橋を修復させた。失われたクリスタルの輝きを取り戻し、世界に再び平和をもたらすために、戦士たちは橋を渡り、未知なる大地へと旅立つ。
戦士たちは、クリスタルの輝きをさえぎる存在である土・火・水・風の「4匹のカオス」を倒し、クリスタルの輝きを甦らせていく。しかし、すべての輝きを取り戻してもなお、世界に平和はおとずれなかった。
クレセントレイクの賢者たちは語る。すべての元凶は2000年前にいると。4つの力はその中心であるカオスの神殿へと集まっている。悪の源を叩くのだ。戦士たちは4つのクリスタルと黒水晶の力によって2000年前の「カオスの神殿」へと向かった。
2000年前のカオスの神殿の最下層にいたのは、ガーランドだった。一度は戦士たちに倒されたガーランドは4匹のカオスによってゆがめられた4つの力で2000年前に飛び、そこに甦っていたのだ。そして、2000年後のためにふたたび4匹のカオスを未来へと送り込む。ガーランドは「カオス」として、何度も繰り返される閉じた2000年の時の鎖の中で永久に生き続ける存在になっていた。
戦士たちはカオスに勝利し、時の鎖を断ち切った。世界もまた、元の姿を取り戻す。
人々は、戦士たちの活躍も、ゆがめられた世界のことも覚えてはいない。だが、心のどこかに残ったその記憶を「架空の物語」として語り続けるのだった。
登場人物
主人公
- テンプレート:Anchor (Warriors of Light)
- 本作の主人公でプレイヤーキャラ。コーネリアに現れた4人の人物。それぞれがクリスタルを持っている。後のFFシリーズのプレイヤーキャラたちと違い、彼らには一切セリフらしいセリフがない。また、彼らが何者であるのかについてはエンディングで明らかにされる。
- 歴代FFシリーズのクロスオーバー作品『ディシディア ファイナルファンタジー』と『ディシディア デュオデシム ファイナルファンタジー』では、この4人の一人らしい、このゲームのパッケージに描かれている鎧の戦士「ウォーリア オブ ライト」という名の人物(声:関俊彦)が登場するが、本作『FFI』のゲーム中にこの姿を見ることはない。
- 漫画版では光の戦士として独自のキャラクターが登場している(後述)。
コーネリア関連
- セーラ・コーネリア (Sara Cornelia)
- コーネリアの王女。ガーランドに誘拐される。
- コーネリア王 (King of Cornelia)
- セーラの父親。古来から伝わる予言を信じて、セーラ救出を光の戦士たちに依頼する。妃はジェーン王妃。
- ジェーン・コーネリア (Jeen Cornelia)
- コーネリア王の妻であり、セーラの母親。
- ガーランド (Garland)
- コーネリアのナイトであったが、セーラを強引に我がものとすべく(リメイク版ではコーネリアの王の座を要求するため)誘拐し、カオス神殿に潜む。そこで光の戦士と戦い敗北するが、その後2000年前にタイムトリップし、カオスとして甦る。
- 『ディシディア ファイナルファンタジー』にも、ウォーリア オブ ライトの好敵手として登場する(声:内海賢二)。(→ディシディア ファイナルファンタジーシリーズの登場人物#ガーランド)
その他の人物
- マトーヤ (Matoya)
- 少し偏屈な魔女。大事な水晶の目を盗まれて困っている。言葉を話すホウキと暮らしている。
- ビッケ (Bikke)
- 港町プラボカを占領していた海賊。光の戦士に挑みかかるも返り討ちにあい、詫びを入れるために船を譲った。
- ウネ (Unne)
- メルモンドの町に住む学者。ロゼッタ石を渡すと主人公たちにもルフェイン語を教えてくれる。
- アストス (Astos)
- ダークエルフの王。本来妖精王となるはずのエルフの王子に呪いをかけ、その座を我がものにしようとしていた。
- スミス
- ドワーフの鍛冶屋。アダマンタイトを渡すとエクスカリバーを作ってくれる。
- バハムート (Bahamut)
- ドラゴンの王。光の戦士たちに称号を与えるべく、試練を課す。
- カオス (Chaos)
- 本作のラストボス。2000年前のカオス神殿におり、世界を滅ぼすために4体のカオスを未来に送り込む。その正体はガーランド。
- 4体のカオス (Four Fiends of Chaos)
- 土のリッチ (Lich of Earth)、火のマリリス (Marilith of Fire)、水のクラーケン (Kraken of Water)、風のティアマット (Tiamat of Wind)。カオスに送り込まれた4体の怪物。
- 『ファイナルファンタジーIX』『ファイナルファンタジータクティクスアドバンス』にも登場する。
地名
- コーネリア王国
- 二大国家の1つの国。森と海に囲まれた美しい町で、人々は“夢の都”と呼ぶ。
- 港町プラボカ
- アルディ内海に面した港町。海賊に占領されている。
- エルフの国
- 二大国家の1つでエルフという種族の国。王子が5年間も眠り続けている。街の片隅には、あるゲームの人物の名が刻まれた墓がある。
- メルモンド
- 西の大陸にある町。カオスの影響で大地が腐り、荒廃している。
- クレセントレイク
- 三日月形の湖がある自然に囲まれた町。予言者ルカーンはここを目指したという。
- オンラク
- “情報の宝庫”と呼ばれる北西の大陸にある町。かつて水の力で栄えていた。
- 山頂の町ガイア
- 北の大陸にある山に囲まれた大地の孤島。通称“鷹の目”。妖精の棲む泉があるといわれている。
- ルフェイン人の町
- 北の大陸にある、かつて存在した高度文明の民の町。通称“鷹の翼”。
その他の情報
- エルフの村に「リンク」という人物の墓が存在する。ゼルダの伝説シリーズの主人公リンクと同名であるが、特に何も語られることはない(ちなみに本作より前に発売されていたゼルダの伝説シリーズ第2作『リンクの冒険』では『ドラゴンクエスト』の勇者ロトの墓が登場している)。この「お墓連鎖」ともいえるお遊びは、後にナムコの格闘RPG『ケルナグール』に「フリオニール(『ファイナルファンタジーII』登場キャラの名前)ここに眠る」といったところにも飛び火している。
- 『ドラゴンクエスト』などでは物語の最終目標である事の多かった「捕らわれたお姫様を助ける」という展開がプロローグに過ぎず、その直後にタイトル表示を含んだオープニングイベントが始まるという構成も、当時としては衝撃的なものであった。またFC版ではオープニングでスタッフロールも表示されたがWSC版以降ではその後のシリーズと同様にエンディングで表示される。
- 北米のNES版 “Final Fantasy” および1994年発売の『ファイナルファンタジーI・II』以降のリメイク版では『ダンジョンズ&ドラゴンズ』に登場するモンスターから借用した「ビホルダー」とその派生「デスビホルダー」の名称とグラフィックが変更されており、北米版ではそれぞれ ‘EYE’、‘PHANTOM’、日本版では「イビルアイ」、「デスアイ」となっている(FC版I・IIではグラフィックのみ変更され、名前はそのまま)。
- 『FFII』以降のFFにはあまり見られない、独特なテキストも本作の特徴のひとつ。例えばアイテムや魔法を使用する際にはユニークで愛嬌のあるメッセージが表示された。ただしこれらの多くはリメイク版では失われてしまっている。
- 地図を見るための隠しコマンドのヒントである「サカサ」の呪文「とくれせんたぼーび」が有名。移植先に合わせて「とーたすんたぼーび」「とーたすんたぼつば」「いてっけんたぼろぜ」「いてっけんたぼめこ」などのバリエーションがある。
- 本来港にしか上陸できない船は、カヌーがあればなぜか川にも上陸できるため、ダンジョンの攻略順を本来と入れ替えて、早く有用な装備を入手することができる。さらに、一部のリメイク版で追加されたダンジョンでは、先に進むためにこの仕様を強制的に利用する箇所もある。
- オープニングなどの際、スタッフロールが表示されるが、このとき “PROGRAMMED BY NASIR” とナーシャ・ジベリの名前が誰よりも先にクレジットされている。これは『FFII』『FFIII』も同様。
- 本作より以前、ディスクシステムで『聖剣伝説 THE EMERGENCE OF EXCALIBUR』というRPGの発売が予定されていたが、開発が進まず発売中止となった。その後、スクウェアより「発売中止となった『聖剣伝説』と同様の趣旨を持ったゲーム(パーティー制のRPG)」として本作『ファイナルファンタジー』が発表された。なお、この『聖剣伝説』という名称は、後のゲームボーイ版『聖剣伝説 〜ファイナルファンタジー外伝〜』に引き継がれたものの、ゲーム内容は全くの別物となった。
- スクウェアでアルバイトしていた時田貴司もグラフィックで参加している。
制作スタッフ
- ディレクター・原案 - 坂口博信
- プログラマー - ナーシャ・ジベリ
- シナリオ - 寺田憲史、河津秋敏
- キャラクターデザイン・タイトルロゴデザイン - 天野喜孝
- ゲームデザイン - 田中弘道、河津秋敏
- サウンド - 植松伸夫
- CGデザイン - 渋谷員子、石井浩一
- プロデューサー - 宮本雅史
- 開発 - スクウェアAチーム(坂口博信、田中弘道、河津秋敏、石井浩一、吉井清史、成田賢、渋谷員子、植松伸夫 他)
関連商品
音楽
- 『ファイナルファンタジー I・II全曲集』(ポリスター、1988年)
- FC版の音源を収録している。
- 『ファイナルファンタジーI・II オリジナルサウンドトラック』(デジキューブ、2002年)
- PS版の音源を収録している。
漫画版
1989年12月30日初版。海明寺裕によって漫画化され、JICC出版局より「宝島COMIC」として全1巻が発行されている。タイトルはオリジナル同様『ファイナルファンタジー』。光の戦士やガーランドのキャラクターが掘り下げられており、オリジナル色も強い。この漫画版では、光の戦士としてオリジナルキャラクターを主人公に据えている。
なお、同作者によれば『FFII』の漫画も描かれる予定だったが、60ページほど描き上げた所で当時のスクウェアが版権を引き上げてしまい、世に出ることは無かったということである(但しJICC出版局がこの漫画版『ファイナルファンタジー』発売後に『ファミコン必勝本』別冊として発行した、ゲームコミックアンソロジー的な内容の雑誌には途中まで描かれていた漫画版『FFII』が掲載されている。よって、正確には「単行本として世に出ることは無かった」というべきだろう)。
- パフィ・トルテ
- 漫画版の主人公。ゲーム内には登場しないオリジナルキャラクター。エルフの村の平凡な宿屋の娘であったが、ふとしたことから光の戦士の証であるクリスタルを授けられ、別の次元にある世界(劇中の舞台となるFF1の世界)でマトーヤと共に旅を続けていた。
- フリッツ・スチュアート
- 漫画版のオリジナルキャラクター。元モンク僧の青年。酒と女がバレてしまい、修道院から追い出された「なまぐさぼーず」。クリスタルを持つ光の戦士のひとり。
- DB-6(どぶろく)
- 漫画版のオリジナルキャラクター。ルフェイン人の作ったロボット。400年前、復旧困難に陥った浮遊城からワープキューブを託されて地上へと降りた。オンラク近郊の滝の裏の洞窟でパフィ達と出会う。原作ゲームに登場するロボットは主人公達にワープキューブを渡すと壊れてしまうが、DB-6は最後まで同行する。
- バハムート
- ドラゴンの王。クリスタルを持つ光の戦士のひとり(漫画版でのオリジナル設定)。海底神殿でパフィ達を助け、以降はパーティに同行する。
- マトーヤ
- 幼い少女の様な姿で登場し(但し自称年齢約400歳)、ほぼオリジナルキャラクターといっていいほどゲーム版とは別人として描写されている。クリスタルを持つ光の戦士のひとり(漫画版でのオリジナル設定)。うまそうなモンスター(クラーケン)を見ると目の色が変わる。高所恐怖症。海明寺はこのキャラクターが気に入っていたらしく、漫画版『FFII』にはガイの代わりに出していた。
- セーラ・コーネリア
- コーネリアの王女。ガーランドによってカオスの神殿に囚われる。理想の男性(「かっこいーい人」)を夢見る少女であり、冴えない「おじさん」のガーランドに対してはっきりと嫌悪の意志を示していた。カオスの神殿から救出された後、一度は城に戻ったがフリッツを追ってプラボカまで来てしまい、以降は光の戦士達と同行することになる。
- ビッケ
- 海賊。漫画版ではプラボカでパフィ達に退治された後に、パフィを「あねご」と呼んで付き慕う。飛空艇の操縦などでも活躍。アダマンタイトをドワーフのスミスに送り届けるために単身浮遊城を離れた後、光の戦士達のことを人々に語りかけた。
- ガーランド
- コーネリア城の元親衛隊長。どこか冴えない中年男性として描かれており、醜くはないものの、決して「美形キャラ」ではない。セーラとの縁談がこじれ、力づくでカオスの神殿に彼女を幽閉する。
ゲームブック
- 『ファイナルファンタジー 勇者に光あれ!』
- 双葉社・ファミコン冒険ゲームブックより1988年4月25日刊行。著者は井上尚美、編集はレッカ社。
- 本作の前の物語を描くゲームブック。主人公たる光の戦士達に名前があり、舞台は「コーネリア」でも「プラボカ」でもないゲームブックオリジナルの世界。収録された世界地図は原作の陸地と海が逆転したものとなっている。表紙カバーのイラストは出渕裕が担当。天野の描いた、ゲームソフトのパッケージ等で使用されているイメージイラストをベースに描いている。
- 『ファイナルファンタジー 勇者に光あれ!』では、光の巫女に選ばれたオリジナルキャラクターを主人公に据えている。
- 光の戦士達
- ウルムの月が蛇の星座にかかった時に生まれた4人の少年達。
- トーイ(ウォーリア オブ ライト)
- 主人公で1人目の少年。剣士の一族(族名不明)出身。
- ロム(シーフ オブ ライト)
- 2人目の少年。クノック湖畔に巣食う盗賊団首領の養子。
- マレク(モンク オブ ライト)
- 3人目の少年。ラピアット修道院の院長子息。大食だが力持ち。
- ギア(メイジ オブ ライト)
- 4人目の少年。学者の家系ゴドウィール一族出身でユクリド学寮の生徒。臆病だが魔法の心得がある。
- 光の巫女
- トーイ達4人の少年を光の戦士に選んだ巫女。闇の魔力で封じられている。
- 黒のビショップ
- 闇の魔力の手先。トーイ達の行く手に幾度も現れ妨害する。
- 『ファイナルファンタジー クリスタル継承伝説』
- ケイブンシャ・アドベンチャーヒーローブックスより1987年12月刊行。著者は三原治、編集はスタジオ・ハード。
- 「水」のクリスタルの啓示を受けた少年が光の戦士として活躍するというオリジナルストーリー。ゲーム版以前の時代を舞台とした物語だが、主人公の活躍やヒロインの犠牲をもってしても世界の混沌を完全には打ち破る事ができず、世界の救済は次の世代の光の戦士―――すなわちゲーム本編の光の戦士たちへと託される事となる。なお世界観はゲーム版をベースにSF的な要素を加味したものになっていて、独自の年表などが資料として併載されていた。
攻略本
- FINAL FANTASY 完全攻略本 (FC)
- 徳間書店,1988/01/31
- FINAL FANTASY I・II 完全攻略編 (FC)
- NTT出版,1994/07/13
- FINAL FANTASY,Vジャンプブックス (WS)
- 集英社
- FINAL FANTASY Traveler’s Guide (WS)
- デジキューブ.2000/12/22
- FINAL FANTASY 公式コンプリートガイド (WS)
- エンターブレイン,2001/01/10
- FINAL FANTASY I・II 公式コンプリートガイド (PS)
- エンターブレイン,2002/11/12
- ファイナルファンタジーI・IIアドバンス―ゲームボーイアドバンス版
- Vジャンプ編集部 (編さん) ,集英社 (2004/07)
- ファイナルファンタジー1・2アドバンス (GBA)
- 集英社,2004/08/03
- ファイナルファンタジー 公式ガイドブック (PSP)
- エンターブレイン,2007/06/12
CD
- ファイナルファンタジー I・II全曲集
- 植松伸夫、ポリスター (1988/12/21)
- ファイナルファンタジー I・II オリジナル・サウンドトラック
- デジキューブ (2002/10/23)
脚注
外部リンク
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テンプレート:Link GA- ↑ 文・志田英邦/写真・松井友生『ゲーム・マエストロVOL.1プロデューサー/ディレクター編(1)』(株式会社毎日コミュニケーションズ、2000年)167頁(坂口博信発言)。
- ↑ 滝田誠一郎『ゲーム大国ニッポン神々の興亡』(青春出版社、2000年)p.215
- ↑ 文・志田英邦/写真・松井友生『ゲーム・マエストロVOL.1プロデューサー/ディレクター編(1)』(株式会社毎日コミュニケーションズ、2000年)171頁(坂口博信発言)その4人のうち3人は、坂口本人とナーシャ・ジベリ、石井浩一であったという(同書172頁)。
- ↑ 『ファイナルファンタジー』が発売した頃、社内の人間に「坂口ちゃーん、初めていいもん作ったじゃん」と言われたという(文・志田英邦/写真・松井友生『ゲーム・マエストロVOL.1プロデューサー/ディレクター編(1)』(株式会社毎日コミュニケーションズ、2000年)172頁(坂口博信発言))。
- ↑ 当時のファミコンソフトは独自の生産委託システムを取っており、ソフトを生産する時点で前金として任天堂に多額のロイヤリティを払わなければならなかった。
- ↑ スクウェア創業メンバー。後に社長。
- ↑ 滝田誠一郎『ゲーム大国ニッポン神々の興亡』(青春出版社、2000年)p.215
- ↑ 文・吉田直子/写真・松井友生『ゲーム・マエストロVOL.3コンポーザー編(1)』(株式会社毎日コミュニケーションズ、2001年)73頁(植松発言)、『WEEKLYファミ通』993号(エンターブレイン、2007年)93頁(植松発言)も同旨。なお、当時の社長は、松任谷由実やサザンオールスターズに作曲を依頼するつもりだったとのことである(前掲『ファミ通』同頁)。
- ↑ 『WEEKLYファミ通』993号(エンターブレイン、2007年)93頁(植松発言)
- ↑ 『WEEKLYファミ通』993号(エンターブレイン、2007年)93頁(植松発言)
- ↑ 7-8小節のメロディーとコード進行が、メンデルスゾーンの該当曲のBメロの終止部に酷似している。
- ↑ 電撃オンライン『FINAL FANTASY I・II ADVANCE』インタビュー
- ↑ シリーズの他の作品の敵キャラクターをシチュエーションそのままにゲスト出演させる演出は、のちのファイナルファンタジーIV THE AFTER 月の帰還とも共通点がある。