バイオハザード (映画)
テンプレート:Infobox Film 『バイオハザード』 (Resident Evil) は、2002年公開のアメリカ映画。カプコンのゲームソフト『バイオハザード』を原案とした、サバイバルアクションホラー映画である。日本では、アミューズピクチャーズ配給で、2002年8月31日に松竹系で公開された。世界興行収入は168億円。
続編として『バイオハザードII アポカリプス』(2004年。以降、『II』)、『バイオハザードIII』(2007年。以降、『III』)、『バイオハザードIV アフターライフ』(2010年。以降、『IV』)が製作されている。『バイオハザードV リトリビューション』は、2012年9月14日に日米公開された。
目次
あらすじ
21世紀初頭。全米No.1の巨大複合企業であり、アメリカでの家庭用医薬品シェア90%を誇るアンブレラ社。その裏の姿は、細菌兵器の開発などを行う“死の商人”であった。
ある日、アメリカのラクーンシティに存在するアンブレラ社の秘密地下研究所「ハイブ」で、研究中のT-ウイルスが何者かの手によって漏れ出すバイオハザードが発生。空調設備を通じて所員全員がT-ウイルスに感染したため、ウイルスの漏えいを防ぐべくハイブの制御コンピュータ「レッド・クイーン」はハイブの各通路を封鎖し、消火剤を研究所内にまき、500人を超える所員全員を死亡させて汚染を研究所内部に封じ込めた。この事故を知ったアンブレラ社は、レッド・クイーンが故障したと勘違いし、レッド・クイーンをシャットダウンするため、特殊部隊を現地へ派遣する。その頃、広い洋館の一室で記憶喪失の女性アリスが目覚める。何も思い出せぬまま彷徨うアリスは、突然謎の男性に抱きかかえられ、次いで突入してきた特殊部隊によって彼共々捕らえられる。部隊長らしき男性から報告を要求されるも、アリスにはその言葉の意味がわからない。部隊長らしき男性が言うには、記憶喪失の原因は屋敷の防衛システムが放出した神経ガスの副作用によるものとのこと。また、アリスと共に捕らえられた男は「警官だ」と名乗るが、警察手帳に記載されていた「マット・アディソン」という名前は、警察のデータベースには存在していなかった。隊員たちがアリスとマットを連れて屋敷の地下へ移動すると、そこにはハイブへ繋がる地下鉄道が敷設されていた。一同は列車に乗り、バイオハザードの現場へ潜入する。
キャスト
詳細はバイオハザードシリーズの登場人物を参照。
- アリス・アバーナシー
- 演 - ミラ・ジョヴォヴィッチ
- 本作の主人公で、洋館で記憶を失っていた女性。27歳。洋館でマットやアンブレラ社の特殊部隊と出会い、わけのわからぬままハイブに入った後、記憶を徐々に取り戻していく。実は彼女もアンブレラ社の特殊部隊の隊員で、高い戦闘能力を持つ。
- マット・アディソン
- 演 - エリック・メビウス
- アリスが目覚めた洋館にいた男性で、自称“配属されたばかりの警察官”。妹がいるが、非業の再会を果たし、自身も後に悲劇的運命を辿る。
- スペンサー・パークス(スペンス)
- 演 - ジェームズ・ピュアフォイ
- アリスたちがハイブへ向かう列車の中で出会った男。38歳。アリスと同様に記憶を失っていた。彼もアリス同様、アンブレラ社の特殊部隊の隊員で、ハイブへ繋がる移送車のある洋館を守る仕事に就いており、そのためにアリスと偽装結婚していた。記憶を取り戻す前は思いやりのある性格であったが、記憶を取り戻した瞬間、本来の目的を思い出し私欲を優先する様になる。それが仇となり、リッカーに襲われ捕食される。その後、ゾンビ化し、アリスに襲い掛かるも、あっけなく斧で斬殺される。
- ジェームス・P・シェイド(ワン)
- 演 - コリン・サーモン
- アンブレラ社の特殊部隊の隊長。37歳の黒人男性。冷静な性格で、隊員たちからの信頼は厚い。物語中盤で三名の隊員と共にシステムトラップで死亡。
- レイン・オカンポ
- 演 - ミシェル・ロドリゲス
- アンブレラ社の特殊部隊の隊員。24歳。気が強く、態度や言葉遣いの雄々しい女性。アリスとは戦友の様な絆で結ばれていく。物語中盤でT-ウイルスに感染、最後にゾンビ化するも、マットに射殺される。なお、日本語吹き替え版ではゾンビ化する直前、吹き替えオリジナルの台詞が登場するが、演じた朴璐美のアドリブである。
- チャド・キャプラン
- 演 - マーティン・クルーズ
- アンブレラ社の特殊部隊の隊員。32歳。コンピュータのプロで、IT担当。臆病な性格。電車で変異したリッカーに食い殺される。
- J.D.サリナス
- 演 - パスクエール・アリアルディ
- アンブレラ社の特殊部隊の隊員。28歳。レインとは友人でもある。物語中盤、ゾンビの大群に捕食され、自身もゾンビ化してレインに襲い掛かるが、レインに射殺される。
- レッド・クイーン
- 演(モデル) - ミカエラ・ディッカー
- アンブレラ社が開発した最先端の人工知能。ハイブ内のあらゆる環境と動力を制御しており、災害や事故など不測の事態に対して完璧な防衛システムを備えている。システムの中枢が置かれている部屋はハイブの最下層に存在しており、その部屋への通路はレーザートラップなどのセキュリティシステムで厳重に守られている。プログラマーの娘をモデルにした少女のホログラムがインタフェースになっており、彼女と対話することでレッド・クイーンのシステムへのアクセスが可能となる。バイオハザード発生時は、いかなる場合でも感染者を施設の外に出さないよう、プログラムされている。小説版の『I』では、カプランによって記憶媒体にコピーされ、以降行動を共にするが、最早不要とみなされたアリスに記憶媒体を破壊され、消滅した。また、小説版の『II』では、チャールズ・アシュフォードによってプログラミングされ、彼の娘であるアンジェラ・アシュフォードの容姿がインターフェースという設定。
- なお、小説版ではホワイト・クイーンも登場しているが、これは『III』で映画本編にも登場することとなる。
- ウィリアム・バーキン博士 / ナレーター
- 演 - ジェイソン・アイザックス ※ノンクレジット
日本語吹き替え
役名 | 俳優 | 日本語吹き替え | |
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ビデオ・DVD版 | ゴールデンシアター版 | ||
アリス・アバーナシー | ミラ・ジョヴォヴィッチ | 本田貴子 | 岡寛恵 |
マット・アディソン | エリック・メビウス | 宮本充 | 内田夕夜 |
スペンサー・パークス(スペンス) | ジェームズ・ピュアフォイ | 江原正士 | 山路和弘 |
ジェームス・P・シェイド(ワン) | コリン・サーモン | 大友龍三郎 | 玄田哲章 |
レイン・オカンポ | ミシェル・ロドリゲス | 朴璐美 | 高山みなみ |
チャド・カプラン | マーティン・クルーズ | 咲野俊介 | 小森創介 |
J.D.サリナス | パスクエール・アリアルディ | 大川透 | |
レッド・クイーン(モデル) | ミカエラ・ディッカー | かないみか | 大前茜 |
ウィリアム・バーキン博士 / ナレーター | ジェイソン・アイザックス ※ノンクレジット | 有本欽隆 | |
その他の吹き替えキャスト | 相沢正輝 山像かおり 石塚理恵 谷昌樹 桐本琢也 大坂史子 千島楊子 赤城進 斉藤次郎 横島亘 徳光由禾 三宅健太 風間秀郎 |
日曜洋画劇場でもゴールデンシアターと同じ素材を使用。
登場クリーチャー
詳細はバイオハザードシリーズ#登場クリーチャーや個別項目を参照。
- ゾンビ
- 死亡したハイブの職員たちが、T-ウイルスによって甦ったもの。最も本能的な欲求である、「食欲」に突き動かされ、生き残っている人々を次々と襲う。脊髄か脳を破壊することで、活動を停止する。
- ケルベロス
- ハイブ内で実験用に飼育されていたドーベルマンが、T-ウイルスに感染したもの。ゾンビと同様に「食欲」に支配され、俊敏な動きで人を襲う。名前の由来は、ギリシア神話に登場する地獄の番犬「Kerberos」。
- リッカー
- 人体組織に直接T-ウィルスを注入する事で開発された生物兵器で、本作のボスクリーチャー。中盤、リッカーが培養されていたタンクが爆破された事により解放され、アリスらを襲った。新鮮なDNAを摂取することで変異する。変異に伴い、骨格がケルベロスに近い形に変形し、体躯も巨大化した。名前の由来は「舐める者」を意味する英語「licker」。
スタッフ
- 監督、脚本 - ポール・W・S・アンダーソン
- 製作 - ポール・W・S・アンダーソン、ジェレミー・ボルト、ベルント・アイヒンガー、サミュエル・ハディダ
- 製作総指揮 - ヴィクター・ハディダ、ダニエル・クレツキー、ロバート・クルツァー、岡本吉起
- 撮影 - デヴィッド・ジョンソン
- 音楽 - マリリン・マンソン、マルコ・ベルトラミ
- 視覚効果スーパーバイザー - リチャード・ユリシッチ
- 編集 - アレグサンダー・バーナー
- 原案 - カプコン『バイオハザード』
- ノヴェライズ本 - 角川ホラー文庫
作品解説
監督・脚本のポール・W・S・アンダーソンと主演のミラ・ジョヴォヴィッチは共に原作のファンで、自ら望んで本作に携わった。
ゲーム版に使われている設定(巨大企業「アンブレラ」や「T-ウイルス」など)をベースに映画オリジナルの要素を加え、その中でストーリーが展開される。登場人物はゲーム版と異なるが、ゾンビやケルベロス(ゾンビ犬)などのクリーチャーは登場する。
日本ではPG-12指定で、地上波テレビ放送の際には、レーザートラップによる斬殺シーンなどの残酷描写に修正が加えられた。他の国でもR-15やR-18である。
配役
ミラの来日インタビューによると、当時13歳の弟が大のゲーム好きであり、特に『1』のファンだったことから出演を決めたという。弟の影響からミラ自身も気がつけば1日5時間プレイするほど『バイオハザード』の世界観にハマっていたといい、オファーを受けた時は「主演は私しかいない」と即決したという。また、ポールも数人の女優にオファーを出す予定であったが、最初に会ったミラの熱意を感じ取り、他の女優には会わないまま彼女を抜擢した。
撮影・演出
ミラは事前のアクショントレーニングをみっちりこなし、1カットを除いてハードなアクションシーンも全て自身が演じた。そのため、ラストシーンでミラの身体に存在するアザは全て本物である。ポールは、何でも自分でやろうとするミラを抑えるのに必死だったという。また、作中の「真っ赤なワンピースとブーツ」という出で立ちは、「(アクションシーンなどで)身体の動きをよく見せたい」というミラの希望から、彼女が美術スタッフと共に考案した。衣装の素材を薄くしたため、下着の線がカメラに映らないよう、下着を着けずに撮影に臨んだ。ただし、主な撮影時期が真冬であり、しかも地下の撮影で上着も着られないまま数多くのアクションを行ったことは、ミラにとっても誤算だったという。
ハイブの設計は、主に日本のコンクリート建築を参考にしている。
オマージュ
映画オリジナルの要素として、『鏡の国のアリス』へのオマージュが挙げられる。
- ヒロインの名前が「アリス」。
- ハイブへの入口の通称が「鏡の館」[1]。
- 最初は記憶を失っているが、徐々に異質な世界に適応していく。
- 人工知能の名称が「レッド・クイーン」。『鏡の国のアリス』には、同名の不可思議な価値観を持つ女王が登場する。
ゲームソフトへの影響
『バイオハザード アンブレラ・クロニクルズ』には本作のレーザー攻撃システムとレッド・クイーンの設定が、『バイオハザード4』や、『バイオハザード6』にはレーザー攻撃システムが取り入れられている。
各国レイティング
書籍
脚注
外部リンク
- バイオハザード - アミューズソフトエンタテインメント
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テンプレート:バイオハザード テンプレート:ポール・W・S・アンダーソン監督作品テンプレート:Link GA
テンプレート:Link GA- ↑ 作中では明言されないが、設定では「バンクス・ドラクロワ邸」という名前である。