ノイエ・ジール
ノイエ・ジール(Neue Ziel)は、OVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に登場する架空の兵器。
デラーズ・フリートが使用したアクシズ製モビルアーマー (MA)である。
なお、本項では派生機体についても併せて記述する。
機体解説
テンプレート:機動兵器 デラーズ・フリートを陰ながら援助するため、同じジオン残党であるアクシズ側から引き渡されたMA。ガンダム試作2号機を失った後のアナベル・ガトーがパイロットを務めた。
「ノイ」(ノイエ)と「ジール」はドイツ語でそれぞれ「新しい」「目標」を意味する。ただし、本来のドイツ語では「ノイエス・ツィール」(Neues Ziel)が正しい。「ノイエ・ジール」では、形容詞 Neu の格変化および Ziel の日本語表記(読み方)が間違っており、架空の言語となっている。
明貴美加によるそのデザインは羽根をひろげた巨大なアゲハ蝶をかたどったもの。ショルダーアーマーが前翅、プロペラントタンクが腹節両側の後翅になっている。本機を見たガトーはこれを「ジオンの精神が形になったようだ」と感嘆の声を発した。
その巨大な外見に似合わず、機体各所に大型スラスターを持ち、運動性は良好である。また、有線クローアームを射出することによって、オールレンジ攻撃が出来るのも特色。サイコミュを用いない半自動制御によって、ニュータイプでないパイロットが1名のみであってもオールレンジ攻撃が可能になっており、ニュータイプ以外の操縦では2名のパイロットを要したブラウ・ブロより優れている。しかし、それほどの操作をするにはかなりの操縦技術とパイロットへの負担が必要となる。ガトーは百戦錬磨のエースであったところからこの機体を自在に操る事が出来たと考えられる。
武装は、ジェネレーターに直結されたすさまじい威力を誇るメガカノン砲や、エネルギーCAPにより連射が可能な偏向メガ粒子砲、ミサイルランチャーの他に2本の有線式のアーム・クローにはビームサーベルを内蔵したメガ粒子砲が搭載され、それによる格闘戦も可能。この他にも隠し腕と呼ばれる4本のサブアームを持つ。Iフィールドジェネレーターも搭載されており、ガンダム試作3号機のメガビーム砲をも防ぐ事が可能である。ビグ・ザムのような全周のメガ粒子砲で艦隊を殲滅させるほどの非常識な火力は持っていないが、その代わり稼働時間は長い。
因みに、この機体の設計自体は一年戦争時から進められていたが、物資や技術等の問題から設計が見送られていた。しかし、アステロイドベルトの豊富な資源や、各種技術の進歩によってようやく建造が可能になったと言う経緯がある。
また、α・アジールに類似した形状からその原型であるとも言われている(実際に『0083』制作関係者がα・アジールに似せてデザインしたことを明言している)。また漫画『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』では、ノイエ・ジールの原型ともいえるゼロ・ジ・アールが登場している。
- 型式番号について
- 当機の型式番号は「AMX-002」とされることが多いが、これは本来ガザBの型式番号であり、誤りであるとする資料も多い。また、「AMA-X2」はデラーズ・フリート内での型式番号とする説もある。講談社発行の書籍『機動戦士ガンダム 公式百科事典 GUNDAM OFFICIALS』では「AMA-002」が正しいとされ、近年ではこちらの型式番号が一般的になりつつある(だが、現在でもAMX-002と表記される事がある)。なお、これはジャムル・フィンの「AMA-01X (AMA-001X)」に次ぐ番号である。
- 劇中での活躍
- 劇中ではアクシズ艦隊からデラーズ・フリートへ、地球にスペースコロニーを落下させる星の屑作戦の最終段階においてコロニー防衛のため戦線に投入された。コンペイトウからの連邦軍の追撃艦隊を奇襲し、戦艦を次々に撃沈し、撃退する。
- その後、コロニー奪還のため追撃してきたアルビオン隊のガンダム試作3号機と交戦。ビーム兵器主体の本機は序盤こそ劣勢だったが、ガンダム試作3号機のIフィールド・ジェネレータを破壊した後は優位に立ち、コロニーの阻止限界点突破を成功させた。
- その際、地球連邦軍が地球へ向かうコロニーを焼き尽くすために稼動準備を進めていた、ソーラ・システムIIのコントロール母艦を稼動直後に撃破し、作動不能に陥らせると言う戦果を挙げている。その後、再稼動したソーラ・システムIIに狙われ、照射されるも、コントロール艦が破壊されていた事と、コロニーの直撃により一部のミラーが使用不能になったことによる威力の低下が幸いして、大破は免れた。その後連邦軍艦隊(サラミス級巡洋艦)に特攻を敢行して爆散、機体は失われた。
ノイエ・ジールII
ゲーム『SDガンダム GGENERATION』に登場するアクシズのニュータイプ専用試作MA。 テンプレート:機動兵器
ノイエ・ジールの後継機としてグリプス戦役初期に開発され、サイコミュを搭載したニュータイプ専用機となっており、ファンネルによるオールレンジ攻撃が可能となった。また、ベース機に比べ固定武装の威力は弱体化したが、その代わりにエネルギー消費を抑え、戦闘時の稼働時間を延長させている。
しかし、生産コストの高さや、テストにあたるNTパイロットが確保出来なかったことなどから、結局生産は見送られた。なお、当機はシャア・アズナブル大佐の搭乗が予定されており、彼の専用機として塗装も赤系統(実際は紫に近い)となっている。
ゲーム『機動戦士ガンダム ギレンの野望』シリーズでは、SDではないリアルタイプで登場する。
ゼロ・ジ・アール
漫画『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』に登場するジオン公国軍の試作型MA。 テンプレート:機動兵器 一年戦争時、ジオン公国中将 ドズル・ザビによりシャア・アズナブル(当時少佐)の専用機として試作機開発が進められていたが、ガルマ・ザビ戦死時におけるシャアの失策にドズル中将が激怒した事により開発が頓挫。大戦終了後にアクシズにて開発が再開され、アクシズに逃げ延びたシャアへ、当初の予定通り渡される。
拠点防衛用として開発された大型のMAであり、機体本体に多数のビーム砲を搭載し、その圧倒的火力で敵を制圧。また防御に関してはIフィールドを装備し、敵のビーム攻撃を無力化させるという移動要塞的な運用を考えられていた。後に外装や口部メガ粒子砲やサブアームの追加など実戦仕様に改修されている。
本来、操縦はプログラムによる自動操縦で行われ(防御はIフィールドで行われるので、相手の攻撃による機体の損傷をあえて考慮していない)、搭乗者は攻撃に関する武器管制をメインに行うのが基本だが、シャアは全ての操作を自身の手で行い、模擬戦では一箇所を被弾したものの他の攻撃を全て回避し、模擬戦で対戦した7機のMSを全機撃墜している(これは、抜群の操縦技術を持つシャアだからこそ出来る事だとも言える)。シャア自身は、MAは大きすぎて機動性に欠けるとしてあまり乗り気ではなかったが、この機体のコンセプトは後にノイエ・ジールやα・アジールに引き継がれている。
なお名称の「ゼロ・ジ・アール」は、数字の「0」と「remake」の頭文字であるRから来ており、「0からの再構築」を意味している。 アクシズからのジオン公国再出発の象徴たる名とも取れるが、機体自体は一年戦争中から開発されており、実際には「MS戦、MA戦を根本から変える力がある」事を誇示したかった事から付けられた。
- 劇中での活躍
- 宇宙世紀0081年12月の地球連邦小惑星機動艦隊襲撃事件にて実戦運用される。
- しかし、連邦軍のジム・コマンド宇宙用(改良型)にアムロ・レイの戦闘データを元にした回避プラグラムが登録されていたため、攻撃を回避されるなど苦戦を強いられた。また、Iフィールドの出力が計算値以上に高く機体異常が発生し、さらにサラミス級宇宙巡洋艦の攻撃からハマーン・カーンを救出するために自ら盾となるなど、限界を超えた運用がなされた。そのため、機体の損傷が予想以上に大きかった事が後に判明し、技術側から修理自体不可能かもしれないと示唆されている。
- 以後劇中には登場せず、シャアはそれ以後本作中で専用機に搭乗することはなかった。