カワガラス
カワガラス(河烏[1][2]、川鴉、学名:Cinclus pallasii テンプレート:AU, 1820 )は、スズメ目カワガラス科カワガラス属に分類される鳥類の一種[3][4]。
南北アメリカ大陸(新北区、新熱帯区)に分布するメキシコカワガラスの近縁種。
目次
分布
ヒマラヤ北部からインドシナ半島北部、中国、台湾、サハリン、日本、カムチャツカ半島に分布する[5]。生息地では、基本的には留鳥である。
日本では、北海道、本州、四国、九州、屋久島にかけて広く分布する[1]。留鳥として、河川の上流から中流域にかけてと山地の渓流に生息する[5][1]。
形態
全長は21-23 cm、翼開長は約32 cm[1][6]、体重65-90 g。ヒヨドリやツグミより少し小さい。全身が濃い茶色(チョコレート色[2]、光の具合により赤茶色に見えることもある[6]。)の羽毛におおわれているのが名前の由来だが、カラスの仲間ではない[注釈 1]。尾羽は短めで黒味の強い焦茶色[6]。目は茶色で、目を閉じると白いまぶたが目立つ[6]。雌雄同色[5][2]。くちばしは黒く[2]、足は灰色でがっちりしている。ミソサザイを大きくしたような体形で、短めの尾羽を立てた独特の姿勢をとる[1]。幼鳥は喉から腹にかけて白くて細かいうろこ模様がある。
- Cinclus pallasii (back).JPG
後姿と尾羽
- Cinclus pallasii (young).JPG
うろこ模様がある幼鳥
生態
平地から亜高山帯の川の上流から中流の岩石の多い沢に生息する。冬期(積雪期)には下流側に生息場所を移動することもある。一年中、単独(非繁殖期は単独で行動している[7])もしくは番いで行動し群れを形成することはない。つがい形成期には、一夫二妻行動をとることがある[8]。ピッピッと鳴きながら、速い羽ばたきで川面の上を一直線に飛翔する[5][1][2]。頑丈な脚で岩をつかみ、水流の圧力を利用して川底を歩きながら水中で捕食を行う[2]。尾羽を上下に動かしたり、風切羽を半開きにしたり、まばたきし白いまぶたを見せながら、石や流木の上で休息する[5]。
- Cinclus pallasii (swimming).JPG
渓流を泳ぐカワガラス
- Cinclus pallasii (in flight).JPG
水面上を真直ぐに飛ぶ様子
食性
食性は動物食。水に潜ってカゲロウ、カワゲラなどの幼虫などの水生昆虫やカニなどの甲殻類、小魚を捕食する[5][1][2]。水面上を泳ぎながら首を水中に入れて覗き込み、頻繁に潜水する[9]。水中では水底を這うように歩き回って川底の餌を探し、『渓流の素潜り名人』と称されることがある[1]。水にもぐっているときは羽毛の間に空気がふくまれるため、全身が銀色にみえる。
- Brown Dipper (Cinclus pallasii).jpg
幼虫をくわえたカワガラス
- Cinclus pallasii 01.jpg
川で小魚を捕えた瞬間
生活史
ほかの鳥にくらべて繁殖を始めるのが早く[5]、12月頃からオスがさえずり縄張り宣言を行う。暖地では1月頃から繁殖を始める[1][2]。滝の裏の岩の隙間にコケや植物の根で半球状のドーム形の巣をつくる[1][2]。岩の陰やコンクリート護岸の排水口、橋桁[10]などの人工物にも巣を作ることもある[2]。造巣の際の雌雄の貢献度はほぼ等しく分業は行われない[11]。日本では2-6月に1腹4-5個の卵を産む。抱卵日数は15-16日で、雌が抱卵する育雛は雌雄共同で行う[9]。雛は21-23日で巣立つ。雛は飛べない内から、水中を泳いだり歩くことができる。
鳴き声
オスは12月頃の繁殖期から「ピピピ チュシュ ピッピッ ピュュ」と鳴き始める[5]。セグロセキレイ似た濁った声で「チーチージュピチリリ」と複雑に鳴く[1]。地鳴きは「ピッ ピッ」[1]。
亜種
本種は以下の亜種に分類されている[3]。日本には亜種カワガラス(学名:Cinclus pallasii pallasii Temminck, 1820)が分布する[3][4]。
- C. pallasii tenuirostris テンプレート:AU, 1850 - アフガニスタン北部と中央アジアからヒマラヤ中央部にかけての山地に分布する。
- C. pallasii dorjei テンプレート:AU, 1937 - ヒマラヤ東部からミャンマーとタイ北西部にかけて分布する。
- C. pallasii pallasii Temminck, 1820 - シベリア東部から中国、サハリン、千島列島、日本、台湾、インドシナ半島北部にかけて分布する。
種の保全状況評価
国際自然保護連合(IUCN)により、レッドリストの軽度懸念(LC)の指定を受けている[12]。個体数は安定傾向にある[12]。
日本では以下の都道府県でレッドリストの指定を受けている[13]。河川開発が個体数の減少の原因であると見られている[14][15]。
人間との関係
若山牧水により『川鴉(かわがらす) なきすぎゆきぬ たぎつ瀬の たちき輝き流る上を』と詠まれている。
脚注
注釈
出典
参考文献
- テンプレート:Cite book
- 五百沢日丸 『日本の鳥550 山野の鳥 増補改訂版』 文一総合出版、2004年
- テンプレート:Cite journal
- テンプレート:Cite book
- 黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編 『動物大百科9 鳥III』、平凡社、1986年、154頁。
- テンプレート:Cite journal
- テンプレート:Cite book
- 高野伸二編 『山溪カラー名鑑 日本の野鳥』 山と溪谷社 、1985年
- テンプレート:Cite journal
- テンプレート:Cite journal
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite book
関連項目
テンプレート:Commons&cat テンプレート:Sister
外部リンク
- カワガラスの標本 (山階鳥類研究所)
- カワガラス (日本野鳥の会)
- 鳥類アトラスWEB版(鳥類標識調査 回収記録データ)・カワガラス (環境省自然環境局生物多様性センター)
- カワガラス (国土交通省中部地方整備局天竜川上流河川事務所)
- 岐阜県の野鳥 -深山の鳥6- (岐阜県)
- Brown Dipper (Cinclus pallasii) Temminck, 1820 (バードライフ・インターナショナル)テンプレート:En icon
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