カリフォルニア工科大学
テンプレート:Infobox カリフォルニア工科大学(テンプレート:Lang-en)は、アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス郡パサデナに本部を置くアメリカ合衆国の私立大学である。1891年に設置された。
概要
Caltech(カルテック、カルテク、キャルテク)の略称でも親しまれる。アメリカではマサチューセッツ工科大学(MIT)と並び称される工学及び科学研究の専門大学である。学部生896人、大学院生1275人。校訓は"The truth shall make you free"。
量子電磁力学の発展に寄与し、初等物理学の教科書やエッセイでも有名なリチャード・P・ファインマンや、クォーク仮説のマレー・ゲルマン、トランジスタの発明者の一人であるウィリアム・ショックレー等が教壇に立っていたこともある。
NASAの技術開発に携わるジェット推進研究所 (JPL) があることでも有名。
キャンパス
カリフォルニア工科大はパサデナ市の東側に124エーカーのキャンパスを構えている。パサデナ市は人口およそ136,000人で、カリフォルニア州のサンガブリエル山脈の南部、太平洋岸から約50km、ロサンゼルス市中心部から北東約15kmに位置している。同市はロサンゼルス郊外の高級住宅地で、ローズボウルでも知られる。
歴史
1891年9月に、パサデナ市の慈善家エイモス・スロープは、スロープ大学(カリフォルニア工科大学の前身)を設立する目的で、パサデナ市にあるウスターブロックをカリフォルニア州から借り受けた。その年の11月に、スロープ大学は、開学し31人の学生を受け入れ6学科を設けた。その後、天文学者ジョージ・ヘールがパサデナへ着任した。ウィルソン山天文台で台長を務めたヘールは、1907年にスロープ大学の評議会のメンバーとなり、大学を工学と科学研究のための、全米で第一級施設と教育機関となるようにその情熱を傾けた。彼のリーダーシップの下で、スロープ大学の変化は始まった。
1921年までに、ヘールは化学者アーサーA.ノイズと物理学者ロバート・ミリカンの大学への協力を得ることができた。これらの3人の学者は、カリフォルニア工科大学(その時までにスロープ大学の名称は、カリフォルニア工科大学へと名称を改められた)の基盤作りを行い、大学を新しい道筋の上に置いた。
その後、長い年月を経てカリフォルニア工科大学は、工学及び科学研究の教育機関として、さらには研究機関として、優秀性を広く評価されるようになった。ミリカンと彼の後継者達である、リー・ドゥ・ブリッジ、ハロルド・ブラウン、マーヴィン・ゴールドバーグ、トーマス・エバーハート らが大学の研究をリードしていった。この間に、大学の教育及び研究プログラムには地質学、生物学、航空学、天文学、天体物理学、社会科学、コンピューターサイエンス、さらには計算機工学と神経システム工学など様々な領域が加えられていった。
今日では、カリフォルニア工科大学は世界の最先端で研究・教育をリードする大学の一つとなっている。ゴーマンレポートではアメリカの大学としては12位[1]、工学部格付けでは3位[1]、また工学系大学院としては5位[2]、大学院としての総合的な評価は12位[2]。The Times Higher Education Supplementの2008年世界大学ランキングではトップ5に含まれた。USニューズ&ワールド・レポート誌の2009年度向け全米ランキングではペンシルベニア大学と並んで6位、前後には4位にスタンフォード大学とマサチューセッツ工科大学が、8位にコロンビア大学が名を連ねる。
2011年10月の英国高等教育専門誌「Times Higher Education」においてはハーバード大学を抜き、世界第1位の高等教育機関として位置付けられた。 2012年10月及び2013年10月も同誌のランキングで第1位に選ばれている。
組織
カリフォルニア工科大学には、現在6つの学科がある。
さらに6つの学科からなる研究及び教育組織の下に、科学、数学、エンジニアリングと人文科学と人間科学に関する約40の研究及び教育プログラムが存在する。
学生の人種構成
MITやUCLAなどと同様、中国系・韓国系などの学生が多く、在校生の31%をアジア系が占めている。(College Board, fall 2005)
教員
- H. デビッド・ポリツァー - 2004年 ノーベル物理学賞受賞
- アハメッド・ズウェイル - 1999年 ノーベル化学賞受賞
- カール・デイヴィッド・アンダーソン - 1936年 ノーベル物理学賞(陽電子の発見)
- キップ・ソーン - 宇宙物理学者
- ジェームズ・ヘス(en:James Heath)-Ph.D.学生のときにHarold Kroto、Richard Smalleyらと共にフラーレンを発見、Nanosys社技術顧問
- ジョージ・ウェルズ・ビードル - 1958年 ノーベル生理学・医学賞受賞
- デヴィッド・ボルティモア - 1975年 H・M・テミン、R・ダルベッコとノーベル生理学・医学賞受賞
- トーマス・ハント・モーガン- 1933年 「遺伝における染色体の役割に関する研究」でノーベル生理学・医学賞受賞
- ハリー・グレイ - 2004年 ウルフ賞化学部門受賞
- マックス・デルブリュック - 1969年 ノーベル生理学・医学賞受賞
- マレー・ゲルマン - 1969年 ノーベル物理学賞受賞。クォークの父
- ライナス・ポーリング - 1954年 ノーベル化学賞受賞
- リチャード・P・ファインマン - 1965年 朝永振一郎、 ジュリアン・シュウィンガー とノーベル物理学賞受賞
- ルドルフ・マーカス - 1992年 ノーベル物理賞受賞
- ルドルフ・メスバウアー- 1961年 ノーベル物理学賞受賞
- レナート・ドゥルベッコ - 1975年 ハワード・M・テミン、D・ボルティモアとノーベル生理学・医学賞受賞
- ロジャー・スペリー - 1981年 ノーベル生理学・医学賞受賞
- ロバート・A・ミリカン - 1923年 「電気素量、光電効果に関する研究」でノーベル物理学賞受賞
- ロバート・オッペンハイマー - 物理学者。ロスアラモス国立研究所の所長としてマンハッタン計画を主導
- ロバート・グラブス - オレフィンメタセシスの触媒開発など。2005年、ノーベル化学賞受賞。
- 大栗博司 - 理論物理学者
- 金森博雄 - 地震学者
- 下條信輔 - 実験心理学者
主な出身者
- カール・デイヴィッド・アンダーソン, 1936年 陽電子の発見でノーベル物理学賞受賞
- ロバート・バロー, マクロ経済学者、ハーバード大学教授
- デイヴィッド・ブリン,SF作家
- フランク・キャプラ, 映画監督 代表作『素晴らしき哉、人生!』
- チェスター・カールソン, 乾式複写機の発明
- ウィリアム・ファウラー, 1983年 ノーベル物理学賞受賞
- ドナルド・グレーザー, 1960年 泡箱の発明でノーベル物理学賞受賞
- リーランド・ハートウェル, 2001年 ノーベル生理学・医学賞受賞
- エドワード・ルイス, 1995年 ノーベル生理学・医学賞受賞
- ウィリアム・リプスコム, 1976年 ノーベル化学賞受賞
- ブノワ・マンデルブロ, フラクタル幾何学の創始者
- ジョン・マッカーシー, LISPの開発者、 人工知能の提唱者
- エドウィン・マクミラン, 1951年 グレン・シーボーグとともに超ウラン元素の発見でノーベル化学賞受賞
- ロバート・マートン, 1997年 マイロン・ショールズとともに、「金融派生商品(デリバティブ)価格決定の新手法(ブラック-ショールズ方程式の開発と証明)」でノーベル経済学賞受賞
- ゴードン・E・ムーア,インテルの創立者、 ムーアの法則の提唱者
- ダグラス・D・オシェロフ, 1996年 超流動の発見でノーベル物理学賞受賞
- ライナス・ポーリング, 1954年 X線による物質の結晶構造の研究でノーベル化学賞を、 1962年 原水爆反対運動によりノーベル平和賞を受賞
- レオ・J・レインウォーター, 1975年 ノーベル物理賞受賞、コロンビア大学教授
- ベンジャミン・ローゼン(en:Benjamin Rosen), コンパック協同設立者
- ハリソン・シュミット 宇宙飛行士・米国上院議員
- ウィリアム・ショックレー, 1956年 「半導体の研究およびトランジスタ効果の発見」でノーベル物理学賞受賞。トランジスタの父。シリコンバレーの創始者
- バーノン・スミス, 2002年 ノーベル経済学賞受賞
- ハワード・テミン, 1975年 「癌ウイルスと細胞遺伝質との相互作用に関する発見」でノーベル生理学・医学賞受賞
- チャールズ・H・タウンズ, 1964年 「メーザー、レーザーの発明および量子エレクトロニクス分野の基礎研究」でノーベル物理学賞受賞、コロンビア大学教授
- ケネス・ウィルソン, 1982年 「相転移に関連した臨界現象に関する研究」でノーベル物理学賞受賞
- ロバート・W・ウィルソン, 1978年 「宇宙マイクロ波背景放射の発見(膨張宇宙の証明)」でノーベル物理学賞受賞
- スティーヴン・ウォルフラム, マセマティカの開発者
- 下村努(学部課程), 計算物理学者・コンピュータセキュリティ専門家, FBIによるハッカーのケビン・ミトニックの逮捕にあたり捜索し協力
出典
- ↑ 1.0 1.1 ジャック・ゴーマン 『ゴーマンレポート アメリカの大学および世界の主要大学格付け』 (1998年8月、ILS出版) ISBN 4-900909-03-3
- ↑ 2.0 2.1 ジャック・ゴーマン 『ゴーマンレポート〈大学院版〉アメリカおよび世界の主要大学院格付け』 (1999年3月、ILS出版) ISBN 4-900909-04-1