イー・アル・カンフー
テンプレート:Infobox 『イー・アル・カンフー』(Yie Ar Kung-Fu)は、1985年に当時のコナミ(2006年3月31日の持株会社化に伴い、版権はコナミデジタルエンタテインメントに移行)から稼動されたアーケード用対戦型格闘ゲーム(アクションゲーム)。移植機種によっては中黒を除いた『イーアルカンフー』、『イーアールカンフー』とも表記される。
オリジナルのアーケード版と、ほぼ同時に発売されたMSX版および数ヵ月後に発売されたファミリーコンピュータ(ファミコン)版では、BGMやステージ・敵キャラクターの数や種類が異なる。いずれも、後に複数の機種に移植された。
目次
概説
プレイヤーは主人公を操って、様々な武器や体術を使う格闘家と戦う。敵はアーケード版では11人、MSX版・ファミコン版では5人おり、間合いや攻撃法が異なる。
主人公の名前は、アーケード版では「ウーロン(Oolong)」、MSX版・ファミコン版では「リー(Lee、李)」となっている。また、本作のアーケード版を収録したPlayStation版『コナミ80'sアーケードギャラリー』の説明書では、2つの名前を統合した「リー・ウーロン」という名で紹介されている。ストーリーもアーケード版とMSX版・ファミコン版で異なり、アーケード版はカンフーの達人だった父の無念を晴らすため格闘大会「王座杯」で優勝を目指す、MSX版・ファミコン版では中国全土で悪業を重ねるチャーハン一族を倒すため「メンマの塔」へと乗り込む、というものになっている。ただし、移植版によってはアーケード版のストーリーが悪党軍団によって占拠されたチャイナタウンに平和を取り戻すとされているものもある。
レバーを入れる方向(8方向)とパンチ、蹴りボタンの組み合わせによって、アーケード版では16種類、ファミコン版では7種類、MSX版は使用するボタンが1つのため5種類の技を使い分けるシステムになっている。アーケード版ではレバーがどの方向に入っているのかを主人公キャラクターの下の矢印で表示する。相手に勝つと残った体力の分だけボーナスが入り、さらにノーダメージで勝つとパーフェクトボーナスとして通算対戦相手数×10000の点数(最大100000点まで)が加算される。
対戦型格闘ゲームの草分けではあるが、対人戦プレイは行えず、アーケード版での2人プレイは対コンピュータ戦を交互にプレイとなっていた。後に、2002年にゲームボーイアドバンスで発売された『コナミアーケードゲームコレクション』に収録されたものは、アーケード版を元にしたアレンジ移植となっているが、タイトルが『イーアールカンフー』となって新キャラクターを2人追加しており、通信プレイではウーロンを含む全14人からキャラクターを選んでの2人対戦が可能となっている(1人用のプレイヤーキャラクターはウーロン固定)。
オリエンタルリフを使った特徴あるBGMの作曲はアルバイト時代のMIKI-CHANG(東野美紀)で、後のコナミ作品『セクシーパロディウス』の竜宮ステージBGMや『KEYBOARDMANIA 3rdMIX』の「EE-AL-K」などアレンジされて使用されている。
1985年には、MSXで続編として『イーガー皇帝の逆襲』(サブタイトル:イー・アル・カンフー2)が、アーケードでは本作の流れを汲む『ショーリンズロード(少林寺への道)』が発売されている。
発売機種
- アーケード版
- 『イー・アル・カンフー』(1985年1月、アーケード)
- 欧米では同年、コモドール64、Amstrad CPC、シンクレア ZX81/ZX Spectrum、BBC MicroなどのPCへも移植。
- 『コナミ80'sアーケードギャラリー』(1998年、アーケード / 1999年5月13日、PlayStation)に収録
- 『コナミアーケードゲームコレクション』(2002年5月2日、ゲームボーイアドバンス)に収録(『イーアールカンフー』として)、新キャラクター追加および対戦プレイ可能
- 『イーアルカンフー』(2004年7月14日、携帯電話アプリゲーム) - コナミネットDXで配信、隠しモードで新キャラクター登場
- ソフトバンクモバイル(2004年7月14日) - 配信当時はボーダフォン
- NTTドコモ(2004年9月2日) - タイトルが『完全版』となっており、ファミコン版の移植『小』も別配信されている(後述)
- au(2004年10月6日)
- ウィルコム(2006年6月7日) - 2010年6月30日に配信サービス終了
- 『オレたちゲーセン族 イー・アル・カンフー』(2005年10月27日、PlayStation 2)
- 『コナミ アーケード コレクション』(2007年3月15日、ニンテンドーDS)に収録
- 『Yie Ar Kung-Fu』(2007年7月18日、Xbox 360(Xbox Live Arcade)) - 画面が高解像度に描き直されている。従来の画面も選択可能。
- 『NEWラブプラス』(2012年2月14日、ニンテンドー3DS) - ミニゲーム「イー・アル・カンフー+」として収録、彼女がたまに操作権を勝手に奪うという要素が追加されている。
- MSX版
- 『イー・アル・カンフー』(1985年1月、MSX)
- 『コナミゲームコレクション Vol.1』(1988年、MSX)に収録、SCCカートリッジ対応
- 『コナミアンティークスMSXコレクション Vol.1』(1997年11月20日、PlayStation)に収録
- 『コナミアンティークスMSXコレクション ウルトラパック』(1998年7月23日、セガサターン)に収録
- 『イー・アル・カンフー』(2006年、i-revo) - 2011年3月31日に配信サービス終了
- ファミコン版
- 『イー・アル・カンフー』(1985年4月22日、ファミリーコンピュータ)
- 『コナミGBコレクション VOL.3』(1998年2月19日、ゲームボーイ)に収録、解像度の関係でプレイフィールドが固定画面からスクロール方式へと変更、スーパーゲームボーイ対応
- 『イーアルカンフー小(シャオ)』(2001年7月、iアプリ) - 画面が狭く、ボーナスステージが削除
- 『イー・アル・カンフー』(2006年、i-revo) - 2011年3月31日に配信サービス終了
- 『イー・アル・カンフー』(2008年1月8日、Wii バーチャルコンソール、500Wiiポイント)
- 『イー・アル・カンフー』(2013年6月19日、ニンテンドー3DS バーチャルコンソール、500円)
敵
登場順。
アーケード版
- Buchu(ブチュ)
- 色黒の大男で、飛び跳ねながらフライングボディアタックを仕掛けてくる。大きいが動きは遅く、武器は使わない。
- Star(スター)
- ピンクの装束をまとったシニヨン頭の少女で、手裏剣を使ってウーロンの足止めをしつつ、素早いパンチやキックで攻撃してくる。
- Nuncha(ヌンチャ)
- 黄色い道着を着たヌンチャク使いで、ヌンチャクで動きを封じてくる。
- Pole(ポール)
- 背の低い棒術使いで、頭上で棒を振り回しながらウーロンに攻撃してくる。
- Feedle(フィードル)
- 分身の術を使い左右から次々と現れるが、攻撃が一発当たるとその分身を撃退できる。
- Chain(チェイン)
- 鉤付きの鎖で攻撃してくる大男。ウーロンが近づくとキックも繰り出す。
- Club(クラブ)
- 棍棒使いの大男で、右腕の盾を使ってウーロンの攻撃を防いでくる。
- Fan(ファン)
- チャイナドレスを身に付けた女性で、スターよりも女性的な風貌。羽毛のように落下する、鉄製の扇を手裏剣のように投げてくる。
- Sword(ソード)
- 中国刀使い。画面の端に追い詰められると何故か反対側にワープしてしまうことがある。
- Tonfun(トンフン)
- トンファー使い。素早い動きで攻撃する。
- Blues(ブルース)
- 最強の敵。ウーロンが拳法着を脱いだような上半身裸のクンフー使いで、素早い攻撃とジャンプキックを繰り出してくる。なお海外で発売されたBBC Micro版では登場せず、フィードルとの再戦である。ブルースを倒すと2周目が始まり、再びブチュとの対戦になる(機種によってはブルースを倒すとゲームが終了する)。
ゲームボーイアドバンス版で追加
ゲームボーイアドバンス版では、アーケード版に加えて新キャラクターが2人追加されている。1人用モードでは、タイトル画面でコナミコマンドを入力すると、ブルースを倒した後に続けて隠しキャラクターとして登場。また、2人対戦プレイモードでは最初から使用できる。
- Bishoo(ビショウ)
- 白い服を着た女性で、短剣を使って攻撃する。
- Clayman(クレイマン)
- 生きている像で、ソードよりもさらに大きい剣を使って攻撃する。
携帯電話アプリ版で追加
携帯電話アプリ版ではアーケード版の11人を倒すと一旦ゲームクリアとなるが、クリア後にオマケモードが出現し、EASY・NORMAL・HARDを通して全33試合をプレイする「SURVIVAL」、スターと戦って落とした手裏剣の数を競うミニゲーム「OMAKE STAGE 2」、分身し続けるフィードルを倒した人数を競うミニゲーム「OMAKE STAGE 5」、そしてオリジナルキャラクターのカタナと戦う「OMAKE STAGE 99」をプレイすることができる。
- Katana(カタナ)
- 長い髪を結わえ、白い服に赤い袴を履いた、刀を携えた人物。リーチの長い刀による攻撃のほか、消えながら素早くダッシュし、刀から風の衝撃波を放つ。ステージは夕日を背景にした屋根の上。
MSX版・ファミコン版
敵が悪者「チャーハン一族」という設定のため、登場キャラクターが一新されている。
- Wang(ワン/王)
- 棒術使い。ポールと違い、棒は振り回さず縦に持ち構えて攻撃してくる。
- Tao(タオ/桃)
- スターと同じような動きで火の玉を吹いてくる。
- Chen(チン/陳)
- チェーンとほぼ同じ動きをしてくる。ワンショルダーの服を着て、ヒゲを生やしている。
- Lang(ラン/藍)
- スターとほぼ同じ外見と動きだが、手裏剣攻撃などの動作がより素早くなっている。
- Wu/Mu(ウー/呉)
- ブチュと同じような動きをしてくる。ただしウーは垂直に跳び上がることもできるため、攻撃パターンが変わっている。
- ファミコン版では肌の色が白くなっており、名前表記が「Mu」となっている。
チンを倒した後、ランとの戦いの前には、リーを目掛けて飛んでくる物体(剣や扇)を破壊するという内容の得点を稼げるボーナスステージがある。
関連項目
- イーガー皇帝の逆襲 - MSX版の続編
- ショーリンズロード - 関連作
- マーシャルチャンピオン - 元は本作の続編として開発されていたアーケード用対戦型格闘ゲーム
- セクシーパロディウス - 竜宮ステージに本作のBGMが使用、ファミコン版のリーが敵としてゲスト出演
- KEYBOARDMANIA - 『3rdMIX』にてアレンジ曲「EE-AL-K」が使用されている