単価記号
@ は、記号文字の1つである。JIS X 0208では単価記号(たんかきごう)という名称が付けられているが、特に日本ではアットマークという通称が一般的である。
「@」は本来会計での略記として多く一般に用いられる記号であり、請求書で「商品7個 @ $2 = $14」(商品7個 各単価2ドル 小計14ドル)のように用いられていた。1990年代後半以降、レイ・トムリンソンにより電子メールのメールアドレスの中に用いられたことで身近な記号になった。
「a」の丸囲み「テンプレート:Interlang」ではない。
目次
名称
ANSI/CCITT/Unicodeの文字符号化標準では、「commercial at」が公式名称である。
英語では俗にat sign、at symbolあるいは単にatなどと呼ばれ、文章中ではat(アット)と読まれる。
各言語で、以下のような俗称があるテンプレート:要出典。
言語 | 俗称 | 意味 |
---|---|---|
テンプレート:Flagicon イタリア語 | テンプレート:It | カタツムリ |
テンプレート:Flagicon ウクライナ語 | равлик | |
テンプレート:Flagicon エスペラント | heliko | |
テンプレート:Flagicon オランダ語 | テンプレート:Nl | 猿の尾 |
揺れる猿 | ||
テンプレート:Flagicon ギリシャ語 | テンプレート:El | 小さなアヒル |
テンプレート:Flagicon スウェーデン語 | kanelbulle | シナモンロール |
テンプレート:Flagicon スロヴェニア語 | afna | 猿 |
テンプレート:Flagicon スロヴァキア語 | zavináč | ロールモップ(巻きニシン) |
テンプレート:Flagicon チェコ語 | ||
テンプレート:Flagicon 中国語 | テンプレート:Zh(アイ・ター) | 彼を愛す |
テンプレート:Zh | ||
テンプレート:Zh | ||
テンプレート:Zh | 小さな鼠 | |
テンプレート:Flagicon 中国語(台湾) | ||
テンプレート:Flagicon 朝鮮語 | 골뱅이 | 巻貝 |
テンプレート:Flagicon デンマーク語 | snabel-a | 象の鼻のa |
テンプレート:Flagicon ドイツ語 | テンプレート:De | クモザル |
テンプレート:Flagicon 日本語 | なると | |
テンプレート:Flagicon ノルウェー語 | krøllalfa | カールしたα(アルファ) |
テンプレート:Flagicon ハンガリー語 | kukac | 蠕虫 |
テンプレート:Flagicon フィンランド語 | miukumauku | 猫の鳴き声 |
テンプレート:Flagicon ブルガリア語 | маймунка | 小さな猿 |
テンプレート:Flagicon ヘブライ語 | שטרודל | シュトゥルーデル |
テンプレート:Flagicon ポーランド語 | małpa | 猿 |
テンプレート:Flagicon ロシア語 | テンプレート:Ru | 犬 |
テンプレート:Flagicon ベトナム語 | a còng | 湾曲した a |
a móc | 鈎付きの a |
起源
起源にはいくつかの説がある。
- ギリシャの水量の単位@から来ている。
- ラテン語の「アンフォラ」(取っ手が付いたツボ)という意味の記号である。1つの「アンフォラ」に入る量が「1アンフォラ」とされ、その後に単価を表すマークになった。
- スペイン語圏・ポルトガル語圏の質量の単位アローバ (テンプレート:Es) の記号。1448年のアラゴンや、1537年のヴェネツィアに用例がある[1]。
- ラテン語の前置詞 テンプレート:La(英語の テンプレート:En にあたる接頭字)の合字。
- フランス語の前置詞 テンプレート:Fr(英語の テンプレート:En にあたる)の変形。
- 英語の テンプレート:En から、e と a の合字。
意味
単価
たとえば @$300 と書いて、単価(1個の価格)が300ドルであることを意味する。ただし英単語の テンプレート:En の意味は「単価」ではなく「~の値段で」で、単価300ドルは正確には テンプレート:En などという。
メールアドレス
現在では、atの代わりに幅広く使われだしており、特に、インターネットの電子メールのアドレスで、ユーザ名とドメイン名を分けるのに使われる。これは、1971年、レイ・トムリンソンが、前述のように単価を表す文字として使われていた@を「このユーザーは、ローカルマシン上(at the local machine)ではなく、他のホスト上(at another host)に居る」と言う意味を込めるために採用したことに始まる[2]。
自然言語
- 英単語の at の略記に使う。
- メールアドレスでの用法から派生し、自然言語でも、電子メール中などで「人名@企業・団体名」というような使い方をすることがある。
- 特にアメリカでは、スポーツ競技のホームアンドアウェイでの対戦カードを「アウェイチーム@ホームチーム」で表記することが多い。これは、アウェイチームから見て「相手チームのホームで (at) 試合をする」という意味がある。
- Leetでは「a」の代わりに使うことがある(「at」のこともある)。
- 日本語では、at(アト)にかけたインターネットスラングとして、「あと」を意味する。例えば、「@3日」は「あと3日」。
- スペイン語・ポルトガル語などでは、名詞の母音が男性形なら -o- ・女性形なら -a- となるとき通性形として -@- を使う。たとえば、amig@sは「amigos(男の友達)またはamigas(女の友達)」を意味する。
- コアリブ語 (テンプレート:Interlang) の正書法では、ラテン文字の1つとしてアラブ語からの借用語に使われる。@の大文字も使う[3]。文字としての@の大文字・小文字は、国際SILによりUnicodeの私用領域に外字として登録されたが[4]、Unicodeには採用されていない。
記法
- 化学式では内包を表す。例えばN@C60は、C60(フラーレン)の中にN(窒素原子)が入った分子を表す。
- SAMPAやXSAMPAでは [ə] を表す。
- スウォッチ・インターネットタイムでは、時刻を示すプレフィックスとして用いられる。「@500.00」のように時刻を表記する。
プログラミング言語等
- Pascalでは、アドレス演算子「↑」の別表記である。
- Perlでは、配列変数プレフィックスである。例えば、$a は普通のスカラー変数なのに対し、@a は配列変数である。
- Rubyでは、@はインスタンス変数プレフィックス、@@はクラス変数プレフィックスである。
- Twitterでは、リプライ(特定のユーザに向けているが公開される発言)の最初に「@ユーザ名」を付ける(例: @utadahikaru ツイート本文)。
符号位置
Unicode・JIS
記号 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 名称 |
---|
モールス符号
国際電気通信連合は2004年5月3日、国際モールス符号表に@を追加することを承認した。符号は・--・-・。
評価
ニューヨーク近代美術館 (MoMA) は2010年3月22日、建築・デザイン部門の永久コレクションに@を追加した。 @ at MoMA