麻実れい

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:ActorActress 麻実 れい(あさみ れい、1950年3月11日 - )は、元宝塚歌劇団雪組トップスターで、日本女優。本名:信元 孝子(のぶもと たかこ 旧姓:田中)。

東京都千代田区出身。身長172cm、血液型O型。愛称ターコ梅田芸術劇場所属。

来歴

1968年3月、東京家政学院高等学校卒業。同年4月、宝塚音楽学校入学。1970年56期生として宝塚歌劇団に入団。同期には萬あきら条はるき東千晃(元星組トップ娘役)、小柳ルミ子(当時は夏川るみ)らがいる。雪組公演『四季の踊り絵巻/ハロー!タカラヅカ』で初舞台を踏み、翌年、星組に配属。

1972年、『花の若武者』新人公演にて主役・鬼若(若き日の弁慶)に大抜擢。研3(宝塚用語で「入団3年目」をさす)での新人公演主演は当時の新記録だった。同年、雪組に組替え。

1975年、入団6年目にして『ベルサイユのばら-アンドレとオスカル-』でアンドレ役に抜擢され、美貌の長身男役スターとして人気を博す。翌1976年、『星影の人』で土方歳三を、1977年には『あかねさす紫の花』で中大兄皇子を演じ、自身の代表作となった。後に二番手男役スターに昇格。

1978年、『風と共に去りぬ-スカーレット編-』にてレット・バトラーを演じ、人気を決定付ける。当時の雪組トップスター・汀夏子には固定の相手役がおらず、二番手の麻実とよく組んでいた為「男役同士のコンビ」(汀談)[1]と呼ばれた。

1979年宝塚バウホールにて自身のリサイタルとなる『愛の飛翔』に出演。この作品は1984年まで『愛の飛翔Ⅱ』『愛の飛翔Ⅲ』とシリーズ化される作品となる。

1980年、汀の退団に伴い、雪組トップスターに就任。お披露目公演は『花の舞拍子/青き薔薇の軍神-アンジェリクⅡ-』。相手役は星組より遥くららを迎え、抜群の美貌と華・息の合った演技でゴールデンコンビと謳われた[2]

1983年、クロード・アネ原作の『うたかたの恋』にて自身が熱望したルドルフ皇太子を演じ、この作品は現在まで再演され続ける名作となる。

1984年、再演『風と共に去りぬ』で再びレット・バトラー演じるも、相手役・遥はこの作品限りで退団。麻実は新しい相手役を特定せず空位としたまま、次作『千太郎纏しぐれ/フル・ビート』公演中に退団を発表。

1985年4月、『花夢幻/はばたけ黄金の翼よ』を最後に退団。この公演では、相手役を入団4年目(研4)だった一路真輝(当時は一路万輝)が務めた。

退団後は舞台女優として活躍。1995年にはタイトルロールを演じた『ハムレット』で10年ぶりに男役を演じ、第3回(1996年度)読売演劇大賞最優秀女優賞を受賞[3]。その後2011年には『黒蜥蜴』で再び同賞を受賞している[4]

2001年には初出演した映画『十五才 -学校Ⅳ- 』にて第24回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞し[5]2002年には毎日芸術賞を受賞するなど、女優としての地位を確立している。

2006年紫綬褒章を受章した。

人物・エピソード

  • 東京の神田明神界隈で刀剣金具製造業((つば)など)の父のもと三人姉妹の末子として生まれる。幼稚園時からバレエを習い、高校卒業後、宝塚ファンであった姉達の勧めで音楽学校を受験[6]。初めての受験で合格した。
  • 本来ならば1984年の『風と共に去りぬ』で退団することを決めていたが、偶然にも相手役の遥も退団を決めており、退団の意思を遥が先に切り出した為、「雪組の二本柱が同時に出てしまうと土台ががたついてしまう」という理由で一旦自分の退団予定を取り下げた。遥を送り出した後は「多数の若手娘役たちと組んだりして成長させてあげたい」という意思があり、後任の相手役を決めなかったという[8]

宝塚歌劇団時代の主な舞台

初舞台・星組時代

雪組時代

  • 1973年2月、『花吹雪』 - 酒井主膳 役/『愛のラプソディ』
  • 1973年11月、『たけくらべ』 - 新人公演:信如 役(本役:汀夏子)/『ラブ・ラバー』
  • 1974年5月、『若獅子よ立髪を振れ』 - 新人公演:松平容保 役(本役:神代錦)/『インスピレーション!』
  • 1974年11月、『紅椿 雪に咲く/ファンキー・ジャンプ』
  • 1975年2月、『フィレンツェに燃える』 - オテロ 役/『ザ・スター』
  • 1975年8月、『ベルサイユのばら-アンドレとオスカル-』 - アンドレ
  • 1976年1月、『白鷺の詩』 - 黒鳥の王 役/『ムッシュ・パピヨン』
  • 1976年6月、『星影の人』 - 土方歳三 役/『Non,Non,Non』 - ミスター・クロック 役
  • 1977年2月、『鶯歌春』/『マンハッタン・ラグ』
  • 1977年7月、『あかねさす紫の花/ザ・レビュー』 - 中大兄皇子(天智天皇) 役
  • 1978年1月、『風と共に去りぬ-スカーレット編-』 - レット・バトラー 役
  • 1978年6月、『丘の上のジョニー』 - アラン 役/『センセーション!』
  • 1979年1月、『春風の招待』 - ジョセフィーヌ、エクトール 役/『ハロー!ホリデー』
  • 1979年8月、『朝霧に消えた人』 - 三浦左馬介 役/『オールマン・リバー』
  • 1979年10月、リサイタル『愛の飛翔』
  • 1980年2月、『去りゆきし君がために』 - フェルナンド 役
  • 1980年8月、バウホール公演『クレージーなそよ風』 - 鳥売りの青年、ビル、ジミー 役

雪組トップ時代

  • 1980年10月、『花の舞拍子』/『青き薔薇の軍神-アンジェリクⅡ-』 - フィリップ・デュ・プレシ・ベリエール 役
  • 1981年1月、バウホール公演『恋の特ダネ』 - ロバート 役
  • 1981年5月、『彷徨のレクイエム』 - ウロンスキー、ミハイル、フェリックス 役
  • 1981年11月、『かもめ翔ぶ海』 - 悠太郎 役/『サン・オリエント・サン-太陽讃歌-』 - 太陽神 役
  • 1982年5月、『ジャワの踊り子』 - アディナン 役
  • 1982年9月、リサイタル『愛の飛翔Ⅱ』
  • 1982年11月、『パリ変奏曲』 - カール・ハインリッヒ 役/『ゴールデン・ドリーム』
  • 1983年5月、『うたかたの恋』 - ルドルフ 役/『グラン・エレガンス』
  • 1983年12月東京宝塚劇場公演『うたかたの恋』 - ルドルフ 役/『ハッピーエンド物語』
  • 1983年8月、『ブルー・ジャスミン-砂漠の愛-』 - カシム・ベン・フセイン 役/『ハッピーエンド物語』
  • 1984年3月、『風と共に去りぬ』 - レット・バトラー 役
  • 1984年5月、リサイタル『愛の飛翔Ⅲ』
  • 1984年9月、『千太郎纒しぐれ』 - 千太郎 役/『フル・ビート』
  • 1985年1月、『花夢幻』/『はばたけ黄金の翼よ』 - ヴィットリオ・アラドーロ 役 *退団公演

宝塚歌劇団退団後の主な活動

舞台

  • シカゴ(1985年、1986年)(ヴェルマ・ケリー 役)
  • マクベス(1987年 - 1989年)(マクベス夫人 役)
  • 危険な関係(1988年、1993年)(メルトゥイユ侯爵夫人 役)
  • 双頭の鷲(1990年)(王妃 役)
  • サド侯爵夫人(1990年)(侯爵夫人ルネ 役)
  • メアリー・ステュアート(1990年、1993年、1996年)(メアリー・ステュアート 役)
  • 桜の園(1991年、2003年、ただし演出家は別)(ラネーフスカヤ 役)
  • ハムレット(1995年、1997年、1998年)(ハムレット 役)
  • 蜘蛛女のキス(1996年、1998年)(蜘蛛女 / オーロラ 役)
  • グリークス(2000年)(アンドロマケ 役)
  • オイディプス王(2002年、2004年)(イオカステ 役)
  • タイタス・アンドロニカス(2004年、2006年)(タモーラ 役)
  • エリザベス・レックス(2004年)(エリザベス1世 役)
  • 箱根強羅ホテル(2005年)(山田智恵子 役)
  • 黒蜥蜴(2006年)(緑川夫人/黒蜥蜴 役)
  • 夏の夜の夢(2007年、2009年)(タイターニア / ヒポリタ 役)
  • かもめ(2008年)(アルカージナ 役)
  • 山の巨人たち(2008年)(伯爵夫人イルセ 役)
  • ストーン夫人のローマの春(2009年)(カレン・ストーン 役)
  • コースト・オブ・ユートピア(2009年)(ヴァルヴァーラ 役他)
  • 冬のライオン(2010年)(エレノア・オブ・アキテーヌ 役)
  • 水の手紙 井上ひさしへのラブレター(2010年)
  • おそるべき親たち(2010年)(イヴォンヌ 役)
  • 朗読劇・停電の夜に(2010年)
  • トップ・ガールズ(2011年)(イザベラ・バード / ジョイス / キッド夫人 役)
  • キネマの天地(2011年)(立花かず子役) 
  • みんな我が子(2011年)(ケイト・ケラー役)
  • サロメ(2012年)(ヘロディア役)
  • サド侯爵夫人(2012年)(サン・フォン伯爵夫人役)
  • しゃばけ(2013年)(おたえ役)
  • 鉈切り丸(2013年)(建礼門院役)
  • おそるべき親たち(2014年)(イヴォンヌ役)
  • 昔の日々(2014年)

映画

テレビドラマ

受賞歴

  • 1996年 第3回読売演劇大賞 最優秀女優賞『ハムレット』『エンジェルス・イン・アメリカ』
  • 1997年 第18回松尾芸能賞 演劇優秀賞『蜘蛛女のキス』
  • 2000年 第7回読売演劇大賞 優秀女優賞『リトル・ナイト・ミュージック』『恋の三重奏』
  • 2000年 第25回菊田一夫演劇賞『リトル・ナイト・ミュージック』『恋の三重奏』『二十世紀』
  • 2001年 第35回紀伊国屋演劇賞『二十世紀』『グリークス』
  • 2001年 第24回日本アカデミー賞 優秀助演女優賞『十五才・学校IV』
  • 2002年 第43回毎日芸術賞『サラ』
  • 2003年 第10回読売演劇大賞 優秀女優賞『くしゃみ』『オイディプス王』
  • 2004年 第11回読売演劇大賞 優秀女優賞『桜の園』『サラ』『AOI』
  • 2004年 第54回芸術選奨文部科学大臣賞『桜の園』『AOI』
  • 2005年 第12回読売演劇大賞 優秀女優賞『タイタス・アンドロニカス』『エリザベス・レックス』
  • 2006年 第6回朝日舞台芸術賞 舞台芸術賞『黒蜥蜴』
  • 2007年 第14回読売演劇大賞 優秀女優賞 『黒蜥蜴』
  • 2011年 第18回読売演劇大賞 最優秀女優賞 『冬のライオン』『おそるべき親たち』
  • 2012年 第19回読売演劇大賞 優秀女優賞 『トップ・ガールズ』『みんな我が子』

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

関連項目

  • テレビ西日本(宝塚現役当時にこの放送局のテーマソングを遥と共に歌っていた)

外部リンク

テンプレート:宝塚歌劇団 テンプレート:宝塚版 ベルサイユのばら 主要キャスト テンプレート:宝塚版 風と共に去りぬ 主要キャスト テンプレート:宝塚歌劇団雪組主演男役

テンプレート:毎日芸術賞
  1. 元の位置に戻る 毎日新聞社発行 「毎日グラフ別冊 タカラヅカよ永遠に!」1984年6月30日発行 41頁
  2. 元の位置に戻る 朝日新聞 2014年1月1日付 別刷り紙面 2頁 大阪本社発行
  3. 元の位置に戻る 演劇大賞 過去の受賞作 第3回
  4. 元の位置に戻る 演劇大賞 過去の受賞作 第18回
  5. 元の位置に戻る 第24回日本アカデミー賞優秀作品助演女優賞欄参照
  6. 元の位置に戻る 宝塚歌劇団発行「宝塚グラフ」1983年5月号 44-45頁
  7. 元の位置に戻る 由美子へ・取材ノート 第19章 レクイエム(ベルばらkidsわ~るど 宝塚プレシャス 2007年8月14日)
  8. 元の位置に戻る 宝塚 DREAM FOREVER-100周年、そして、輝ける未来へ-#22「麻実れい」番組内で本人が発言