札幌市交通局8000形電車
テンプレート:鉄道車両 札幌市交通局8000形電車(さっぽろしこうつうきょく8000がたでんしゃ)は、札幌市交通局(札幌市営地下鉄)が保有する通勤形電車。東西線で運用されている。
概要
最初に落成した編成は1999年2月25日の東西線琴似 - 宮の沢間延伸開業に向けた輸送力増強の目的で導入され、延伸開業前年の1998年8月18日から営業運転を開始した。2002年以降は将来のワンマン運転化(2009年4月1日開始)に向けて従前の6000形の置き換えを開始し、2008年8月30日をもって、6000形は全て8000形に置き換えられた。
車体などの基本構造は南北線用の5000形をベースとしている。外観は先に登場した東豊線用の7000形新型車や5000形と共通するデザインで、白地をベースに扉部分を東西線のラインカラーであるオレンジ色としている。全幅が3mを超える札幌規格も踏襲されている。1両当たりの客用ドア数は6000形を踏襲し片側3ヶ所である。側灯などはLED式に変更された。
車内設備は5000形に近いが、5000形で採用された片持ち式座席は本形式では採用されていない。連結部の貫通路の形状は六角形ではあるが、5000形と同様の寸法で、6000形よりも幅が狭い。連結部付近のつり革は6000形の5本から6本に増やされ、客用ドア付近にも横方向につり革が増設された。車内自動放送設備が落成時から装備され、2005年9月27日からは英語放送と広告放送も追加された[1]。客用ドアの室内側上部には案内表示器が設置され、路線図とLED式文字スクロール表示を組み合わせたものと、路線図のみのものが交互に配置されている。文字スクロールは2段表示式であるが、5000形に比べると文字のバランスが悪い[2]。
7両編成で、以下のように組成される。
テンプレート:TrainDirection | ||||||
81## | 82## | 83## | 84## | 86## | 88## | 89## |
同じ編成には"##"に同じ車両番号が入る |
「85##」と「87##」が欠番になっているのは、1976年の東西線開業当初の構想においては将来の乗客数増加時に最大9両編成への増結が計画されており、それに沿った6000形の付番方式を踏襲しているためである。ただし、これまで7両の固定編成でのみ運転され、8両以上で運転されたことはない。東西線では当初より各駅のホームは9両分の長さで建設されてきたが、1999年に延伸開業した宮の沢駅と発寒南駅は今後大幅な乗客増は見込めないものとして8両分に短縮されたため、今後増車した場合でも8両編成までとなり、9両編成で運転する計画は事実上放棄された。また、両先頭車が電動車であった6000形と異なり、本形式では電動車はすべて中間車である。付随車2両にバッテリーなどが配置されているため、本形式では7両から中間車を減らして運転することは不可能である。
市交通局車両課によると、8000形は車両構造上は東豊線を走行することも可能ではあるが、東豊線を走る認可を受けていないこと、ホーム構造の問題から現時点での乗り入れに関しては難しいとのことである。
1998年に25・26編成を増備した後、自動放送の一部内容が修正されたものの、2002年度から2005年度まではマイナーチェンジせずに増備が続いた。連結部の転落防止外幌は、南北線5000形とは異なり、車両高の半分程度の標準的なサイズである。
2006年度導入車両ではマイナーチェンジが行われ、ワンマン運転に対応するための機器が搭載されたほか、韓国大邱地下鉄放火事件の影響による省令改正に伴い、車両火災時の延焼防止のため連結部に全面強化ガラス製の貫通扉を設置[3]したほか、同様に火災時の溶滴落下防止のため蛍光灯カバーの廃止、車内案内表示器へのガラス保護板取付け等がなされた。また、一部つり革の高さ変更[4]、座席部への握り棒(スタンションポール)の設置、非常通報ボタンの増設(1両当たり1ヶ所→3ヶ所)、などの細部の仕様変更も行われた。なお、6000形に連結されていた8300形についても本形式編成への組み込みの際に蛍光灯カバー以外の車内改造が施工された。交通局ではこの車両を「8000形新型車両」と呼称してPRしていた。2006年度に4編成、2007年度に4編成、2008年度に3編成が導入され、東西線の全24編成中11編成がこの「8000形新型車両」となっている。
2007年度導入車からは、従来固定式であった車端部の窓を上下二段式とし、上段が開閉できるようになった。貫通扉で締め切ったことで車端部の空気の流れが悪くなって夏場の車内温度が上昇し、ラッシュ時に窓が結露する状態になることがあり、それに対処したものである[5]。2007年度導入車のうち、6000形試作車(第1編成)の代替で導入された01編成は運転台にITVモニター(ドア開閉時におけるホーム確認用)の設置準備がなされ、2008年2月20日からモニターを設置して運行された。2006年度以降に導入された車両(01編成まで)には当初モニターが設置されていなかったが、2008年1月15日の10編成を皮切りにモニターが設置された。
2007年7月9日から、6000形を含むすべての車両の乗降ドアの内側に、号車とドア位置を示す点字プレートが設置された。
2009年9月以降、可動式ホーム柵設置に伴い車体下部の車番表記が見えなくなったことへの対応として、車体上部にも表記する措置が行われている[6]。
2009年3月に東西線全駅への可動式ホーム柵設置が完了したため、連結部の転落防止外幌が不要となった後も設置されたままであったが、2010年7月には17編成の外幌が撤去されている。以降、順次撤去されるものと思われる。
8300形
1999年3月の東西線琴似駅 - 宮の沢駅間延伸開業に合わせて、それまで6両編成であった6000形を7両編成に増結することになったが、この増結車は東西線車両を近い将来全面的に8000形に置き換えた以降も継続使用できるよう、8000形編成では本来3号車に当たる8300形が製造され、既存の6000形編成に5号車として挿入された(6000形編成での組成位置については札幌市交通局6000形電車#概要も参照)。車体塗装を6000形に合わせてあること、車内案内表示器の設置スペースなどが化粧板で隠されていること、戸挟み防止機能が使用されていないこと、転落防止幌が装備されていないことが異なるほかは、全新製車編成の8300形と同一の仕様であった。
その後、当該8300形は車体塗装の変更、客用ドア近くの保護棒の支えを黒色から銀色に変更、パンタグラフを1基搭載するなどの改造を実施した上で、8000形新製車編成の中間に組み込まれた。
ワンマン運転対応改造
2005年以前に導入された車両については、ワンマン運転に対応させる改造工事が実施された。
- ワンマン運転対応…ATOを設置、運転台の仕様変更、モニタ装置の設置。
- 消火器の移設…従来は乗務員室内に設置されていたものを客室内に移設。
- 「開戸表示灯」設置 (両先頭車のみ)
- 非常通報ボタン追加設置…1両当たり1ヶ所から3ヶ所に増設。そのうち82xx, 88xxの車椅子スペース付近のボタンは従来より低い位置に移設。
- 車椅子スペースへの手すりを横に1本追加
- 1基設置されていた88xxのパンタグラフを撤去
2008年7月までに、2005年以前導入車(02・06・09 - 14・19・20・23・25・26)は全て上記改造が完了した。ただし、これらの編成には2006年以降導入車のような連結部の貫通扉の設置や一部つり革の高さの変更、スタンションポール設置などは施工されていない。また、モニタ装置については、2006年度以降に落成した編成においても随時設置された。 テンプレート:-
製造
すべて川崎重工業で製造されている。7両全てが新製車の編成と、上記のとおり当初6000形編成に組み込まれていた8300形を改造の上で組み込んだ編成が存在する。この経緯により、編成番号は新製順ではない。
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脚注
外部リンク
- 札幌市交通局8000形地下鉄電車 - 川崎重工 車両カンパニー
- ↑ ただし、英語・広告放送は、9月27日から数日間にわたって1日数編成ずつ対応工事が施工された。
- ↑ LED案内表示器の横幅は8文字分(24×24ドット使用時)で、数字も全角1文字分使用する。東西線は「バスセンター前」「南郷18丁目」など、南北線に比べると文字数の多い駅があり(南北線は多くても4文字)、「まもなく」は全角2文字分に、最長7文字の駅名「バスセンター前」は6文字分の幅に詰めて表示される。ただし、「琴似」「菊水」などの短い駅名表示でも「次は」は左に寄り、「まもなく」も全角2文字分で表示される。また、「発寒南」「東札幌」などの3文字の駅名においては、停車時に中央に詰めて表示される(南北線では「幌 平 橋」のように均等割付で表示される)。
- ↑ 札幌市交通局では初採用の傾斜式戸閉め機構付きである。この貫通扉には客車間移動時の衝突を防止するために「ドア注意」のステッカーが貼付されている。
- ↑ バリアフリー対応の観点から従来のものより約10cm低くなった。
- ↑ これに該当する編成は2006年度導入の04・07・21・24編成である。2009年度中に該当する全編成の車端部の窓が二段式に改良されている。
- ↑ 都営地下鉄6300形、東京メトロ02系などと同様