月はどっちに出ている
『月はどっちに出ている』(つきはどっちにでている)は、1993年放映のテレビ映画、および同年公開の日本映画である。いずれも監督は崔洋一、原作は梁石日の自伝的小説『タクシー狂操曲』であり、いずれもこれを崔と鄭義信が脚色している。主演は石橋凌(ドラマ版)、岸谷五朗(映画版)、ルビー・モレノである。
概要
タクシーの運転手を務める在日コリアンの男と日本で逞しく生きるフィリピン女性との恋愛模様を軸に、在日外国人やヤクザなど、様々な人々の人生を描くヒューマンドラマ。
「月はどっちに出ている」というのは方向音痴のドライバーである主人公が帰り道が分からなくなった時に本社に電話したら、相手が最初に聞く言葉である。周りに何が見えるか、と聞かれることもあるが、アサヒビールのスーパードライホールを「金色のうんこのようなものが見えます」という。
これまで主に弱者として描かれてきた在日コリアンを、生の赴くままに行動する人種として描いたことで高い評価を得た。近年『GO』(2001年)、『血と骨』(2004年)、『パッチギ!』(2005年)あるいは『パッチギ! LOVE&PEACE』(2007年)など在日コリアンを題材にした映画が多数製作されているが、その系譜の端緒となった作品である。また、過激な性描写も特徴である。
10年後に製作された『血と骨』の主人公(新井浩文)が成人し、『月はどっちに出ている』の主人公「神田忠男」(石橋凌、岸谷五朗)となる。どちらも梁石日の自伝的小説だからである。
WOWOW版は、「Yahoo!動画」で2007年10月3日 - 2008年2月2日に無料配信した。 映画版は、2008年5月に韓国で、同国内向け(リージョンコード3)に(株)ワイドメディアよりDVD化された。 韓国語タイトルは『달은 어디에 떠 있는가』(月はどこに出ているか)。 映画版は、日本国内では、2013年4月5日、<発売・販売元> オデッサ・エンタテインメントよりDVDが発売された。
ドラマ
テンプレート:Sidebar with collapsible lists 1993年にWOWOWのスペシャルドラマ「J MOVIE WARS」の一編として製作・放送された。上映時間は34分。16ミリフィルムで撮影され、のちに東京・渋谷のシネマライズほかで劇場公開された。
スタッフ
- 監督 - 崔洋一
- 脚本 - 崔洋一、鄭義信
- 原作 - 梁石日 『タクシー狂躁曲』(ちくま文庫、1987年、ISBN 4480021582)
- 撮影 - 佐々木原保志
- 照明 - 安河内央之
- 美術 - 平井浩一
- 録音 - 酒井雅章
- 編集 - 掛須秀一
- スチール - 横尾英樹
- 監督補 - 祭主恭嗣
- 助監督 - 久保寺和人
- 企画 - 出水啓一郎
- 総合監修 - 石井聰亙
- プロデューサー - 仙頭武則、佐藤正悦、香月純一
- プロデューサー補 - 木村立哉
- 製作会社 - 日本衛星放送(現WOWOW)、ヒルヴィラ、東映
キャスト
- 忠男 - 石橋凌
- コニー - ルビー・モレノ
- 忠男の母 - 絵沢萌子
- サラリーマンの男 - 利重剛
- 安保満 - 小島康志
- 細川直樹 - 米山善吉
- 大野治 - 鄭義信
- タクシーの客 - 浦田賢一
- 課長 - 崔洋一
受賞
- 第3回 日本映画プロフェッショナル大賞
- 最優秀作品賞、
- 最優秀主演男優賞
映画
テンプレート:Infobox Film 1993年に製作・公開された。製作会社はシネカノン。スーパー16ミリで撮影され、35ミリプリントにブローアップされた。コニー役のルビー・モレノ、忠男の母役の絵沢萠子は上記「WOWOW版」にひきつづき登板、スタッフも監督補の祭主恭嗣、装飾の平井浩一がひきつづき参加している。
1994年、第44回ベルリン国際映画祭フォーラム部門で上映された。
スタッフ
- 監督 - 崔洋一
- 脚本 - 崔洋一、鄭義信
- 原作 - 梁石日 『タクシー狂躁曲』
- 音楽 - 佐久間正英
- 撮影 - 藤澤順一
- 照明 - 上田なりゆき
- 美術 - 今村力、岡村匡一
- 録音 - 北村峰晴
- 編集 - 奥原好幸
- 監督補 - 祭主恭嗣
- 助監督 - 前田哲
- 装飾 - 平井浩一
- 題字 - 黒田征太郎
- プロデューサー - 李鳳宇、青木勝彦
- 音楽プロデューサー - 石川光
- 製作・配給会社 - シネカノン
キャスト
- 岸谷五朗 (姜忠男、通名「神田忠男」、WOWOW版では石橋凌)
- ルビー・モレノ (コニー、WOWOW版も同様)
- 絵沢萠子 (池英順、忠男の母、WOWOW版も同様)
- 小木茂光 (金世一、通名「金田世一」)
- 遠藤憲一 (朴光洙、通名「新井光洙」)
- 有薗芳記 (ホソ、WOWOW版では米山善吉)
- 麿赤児 (仙波)
- 國村隼 (多田、WOWOW版では崔洋一)
- 芹沢正和 (おさむ、WOWOW版では鄭義信)
- 金田明夫 (安保、WOWOW版では小島康志)
- 内藤陳 (谷爺)
- 木村栄 (やくざ)
- 瀬山修 (やくざ)
- 萩原聖人 (サラリーマン、WOWOW版では利重剛)
- 金守珍 (司会者)
- 金久美子 (チョゴリの女)
- 城春樹 (金田タクシーの面々)
- 吉江芳成 (金田タクシーの面々)
- 木下雅之 (金田タクシーの面々)
- 大西正昭 (スタント)
- 古尾谷雅人 (紺野)
受賞
- 第67回 キネマ旬報ベストテン 委員選出日本映画第1位/監督賞/脚本賞/主演女優賞
- 第44回 ブルーリボン賞 作品賞/主演女優賞
- 第18回 報知映画賞 作品賞/監督賞/主演女優賞
- 第48回 毎日映画コンクール 日本映画大賞/男優主演賞/女優主演賞
- 第16回 日刊スポーツ映画大賞 監督賞
- 第15回 ヨコハマ映画祭 作品賞/監督賞/助演女優賞/新人男優賞/撮影賞
- 第17回日本アカデミー賞 優秀作品賞/優秀監督賞/優秀主演女優賞/優秀脚本賞/優秀編集賞/新人賞
- 第3回 東京スポーツ映画大賞 監督賞/主演女優賞
- 第8回 高崎映画祭 最優秀作品賞/最優秀助演女優賞/最優秀新人男優賞
関連書籍
外部リンク
- ドラマ版
- 映画版
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